井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

野幌森林公園夏の花6

2013年07月31日 | 日記


ヒメナミキ。シソ科タツナミソウ属。
小型のナミキソウで「姫ナミキ」と呼ばれる。
タツナミソウ属でナミキソウなどの花冠は基部で急に折れ曲がって斜上したりするが、ヒメナミキの花冠は小型であるだけでなく、基部もナミキソウのようには折れ曲がらない。
葉には短い柄があって対生する。軟弱ながら地下茎を伸ばして群落をつくる。



クルマユリ。ユリ科ユリ属。
葉が車輪のように放射状につくことから「車百合」と呼ばれる。
上部では小型の葉が互生し、輪生状の葉は普通1段だが、時に2段、3段つけることもある。
花披片の上半分は強く反り返る。



ムラサキウマゴヤシ。マメ科ウマゴヤシ属。
ムラサキウマゴヤシは牧草として輸入されものが野生化した。牧草として栄養価が高く「馬肥やし」と名付けられた。
人間にとっては「高コレステロール症」などに効く健康食品として話題を集めたことがある。
シロツメクサなどのシャジクソウ属は掌状の3出複葉で頂小葉に柄葉ないが、ウマゴヤシ属は羽状の3出複葉で頂小葉に柄がある。
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野幌森林公園夏の花5

2013年07月30日 | 日記


マムシグサの果実。サトイモ科テンナンショウ属。
マムシグサは雌雄異株とも言われてきたが、最近では性転換する花として広く知られるようになり、図鑑によっては「雌雄偽異株」という言い方もされる。
緑色の粒一つ一つが果実で、肉穂花序が結実したもの。果序の上に赤っぽく残っているのは花序の上についていた付属体で、訪花昆虫を花の中に閉じ込める働きをしていた。
果実はこの後赤く熟すが、有毒で、食べた小学生が食中毒を起こしたケースもある。



マイヅルソウの果実。ユリ科マイヅルソウ属。
葉脈が弧を描く様子を羽を拡げたツルに見立てて「舞鶴草」と呼ぶ。
果実は「マダラ模様」から赤く熟す。
最近の分類学では、ユリ科からキジカクシ科に変わったという。「オランダキジカクシ」があのアスパラだが、マイヅルソウはアスパラには全く似ていない。



ルイヨウショウマの果実。キンポウゲ科ルイヨウショウマ属。
札幌周辺で見られる「ショウマ」、一番早く咲くのがキンポウゲ科のルイヨウショウマで、一番遅く咲くのが同じくキンポウゲ科のサラシナショウマ。
サラシナショウマの果実が袋果(中に翼のついた種子を入れる)であるのに対して、ルイヨウショウマの果実は液果で黒く熟す。
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野幌森林公園夏の花4

2013年07月29日 | 日記


ツチアケビ。ラン科ツチアケビ属。
葉緑素をもたず、腐生植物とされたこともあるが生物死体を分解する能力はなく、分解能力のある菌に対する「菌寄生」といわれる。これはまだ蕾状態。
花は唇弁が黄色く、他の花弁は薄茶色。やがてウィンナー・ソーセージのような果実をつける。



シャクジョウソウ。イチヤクソウ科シャクジョウソウ属。
イチヤクソウ科の中で、腐生生活というか菌寄生するのは、ギンリョウソウとこのシャクジョウソウの仲間である。
ギンリョウソウは花茎に1個しか花をつけないが、シャクジョウソウでは4~8個の花をつける。
形が修行僧のもつ杖(錫杖)に似るところから「シャクジョウソウ(錫杖草)と呼ばれる。



ジンヨウイチヤクソウ。イチヤクソウ科イチヤクソウ属。
腎臓形の葉をもつイチヤクソウ。「ジンヨウ」を含めてイチヤクソウの仲間は通常葉(葉緑素をもつ)をもつから、シャクジョウソウのように菌寄生ではなく、菌根菌との共生だといわれる。
イチヤクソウの仲間の種子は微小で、菌根菌との共生が必須である。
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野幌森林公園夏の花3

2013年07月28日 | 日記


キツネノボタン。キンポウゲ科キンポウゲ属。
「犬」の名のつく植物は概ね「役にたたない」という意味とされる。「狐」の名のつくものにはそういう共通項はない。
薬草に利用されるゲンノショウコに葉が似ていて有毒なので注意が必要とされるが、誤用のケースは先ずないと考えられる。キンポウゲ科特有の「金平糖」状の果実が特徴の一つ。「ひっつき虫」の印象もあるが「ひっつき虫図鑑」にその名はない。



ダイコンソウ。バラ科ダイコンソウ属。
札幌周辺で見られるダイコンソウの仲間、花期の順でいえば、カラフトダイコンソウ、オオダイコンソウ、ダイコンソウとなる。
オオダイコンソウの茎葉が羽状複葉になるのに対してダイコンソウでは3出複葉、オオダイコンソウの托葉が大型で鋸歯があるのに対して、ダイコンソウの托葉は小型で全縁。



コナスビ。サクラソウ科オカトラノオ属。
属名のオカトラノオ、長く伸びた総状花序を「虎の尾」に見立ててのネーミング。同じ仲間のコナスビは単一の花で「虎の尾」らしさは全くない。
ただ、個々の花の作りはよく似ていて、花弁と雄しべの位置関係が対生となる点は共通。
果実の形がナスに似るのでコナスビと呼ばれる。
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野幌森林公園夏の花2

2013年07月27日 | 日記


オオウバユリの群落。ユリ科ウバユリ属。
本州産のものより大型になるので「大ウバユリ」と呼ばれる。恒温動物では北方のもの程大型になるのを「ベルクマンの法則」というが、植物においても同様の傾向が見られる。
オオウバユリの花、蕾の時には上向きで、開花すると横向きになる。花粉媒介の昆虫に合わせるためという。



オオウバユリの花序。
オオウバユリは1回繁殖型多年草で、前年までに蓄積した栄養量に応じた数の花をつける。1個しかつけない株もあれば、30個以上の花をつける株もある。
開花の先だって花序軸を大きく伸ばし、蕾を保護していた総苞片が花序軸に残される。下部のものでは普通葉と中間的なものも見られる。



頑張るオオウバユリ。
オオウバユリの茎が折られることがある。
そのまま枯れてしまうケースもあるが、維管束が生きてつながっていれば何とか上向きに姿勢を修正しようとする。
横向きに咲いた花は、花後果実になると上向きに戻る。果実は三つに割れて翼のついた種子を風に乗せて飛ばす。そのためにも果実は上向きでなければならない。
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