
JRの広告で
”そうだ、京都に行こう”
というのがあるけれど、
まさに京都は私達に日本人であること、
日本人のココロを取り戻してくれる
大切な場所だと、訪れるたびに思う。
京都駅に着いたのは午後1時。
夕方までに息子のリクエストである
金閣寺・銀閣寺・清水寺を見て歩こう。
私達は観光タクシーをお願いする。
京都のタクシーさんは本当に親切。
そして、リーゾナブル。
すぐに手配がつき、10分後出発。
今回の案内兼ドライバーさんはモリさん。
ちょっとニヒルで
ムーディー勝山が年をとった感じ。

<金閣・銀閣・清水でお願いします>
というと、ちょっと不満そう。
”・・・もっと他に行きたいとこ、無いの?”
モリさんの気持ちも分かります・・・
もうきっとこの3ヶ所は何十回って案内しているはずだから。
”実は、京都は何回か来た事あるのです。
でも、一番有名なこの3ヶ所を息子が訪れていないので
今回はどうしてもおさえたくて・・・。”
モリさんは、軽快に車を走らせる

”ねえ、お兄ちゃんは新撰組好き?”
(・・・

以前も京都のタクシーさんに乗るや否や
新撰組の話が出て、とうとう新撰組ツアーとなってしまったことが、ある)
”寺田屋とか、伏見のほうまで行ったことあります!”
と主張したのだけれど
まっすぐタクシーは新撰組が闊歩していたあたりに
入り込む。
”近藤 勇にご挨拶してこよう。”
実は歴史マニアの息子も新撰組、大好きだ。
心なしか嬉しそうに壬生寺に入っていく。

やれやれ、やっと目的の金閣寺へ
行けるかと思ったら、
今度はモリさんが
”ねえねえ、お兄ちゃん。
お兄ちゃんは、中学校受験とかするの?”
”来年、チャレンジする予定です。”
と答えると
”ぢゃあ、北野さんにお参りしていこう

とまたまた目的地から外れて
学問の神様 菅原道真公が祭られる北野天満宮へ。

金色の灯篭と梅の花が印象的な北野天満宮
さすがに受験シーズン目前、
そして、成人式の日、
とあって北野天満宮はにぎわっていた。
ここは境内が梅の木で埋め尽くされている。
きっと梅が咲く頃には見事なんだろうなあ。
京都の神社・仏閣にはそれぞれ
テーマとなる樹木が植えられているようで
桜や梅、椿、楓、苔・・・
わぁ~っと一面それらが植えられているから
一年中、京都のどこかでは
素晴らしい花や景色を愛でることが出きるようになっている。

鹿苑寺 金閣
やはり、金閣寺は美しかった。
20数年ぶりに訪れたけれど
金色に輝くその姿と
池にまるごとその姿が映し出される様は
息を呑む美しさ、である。
”3年前に金箔張り替えたから
今はピッカピッカよ。”
モリさんが自慢げに言う。
息子は想像以上の美しさに
息を弾ませている

私が感動したのは
庭の中ほどにある<陸舟の松>で、ある。

足利義満公が大事にされていた
盆栽が、今やこんなに立派な松になって・・・。
”木の力””生命力”をずしん、と感じた。

慈照寺 銀閣
京都御所が右、
同志社大学が左。
そして暫く行くと、京都大学のキャンパス。
まもなく、哲学の道。
このあたりは母と京都に来る時に
真っ先に通った道なので
よく覚えている。
そして、哲学の道のそばにある
うどんや <おめん>。
息子はここでおうどんを頂きたかったのだが
今回は時間がないので断念。
かわりに坂の途中の<銀閣シュークリーム>を
私と息子とモリさんでほおばる。
抹茶クリームなので、3人とも
口のまわり、緑色。
”えっ


息子はあまりに華やかな金閣寺を観た後だったので
今度はあまりに質素な 銀閣寺に驚いたようだった。
名前からして、銀色にピカピカ光っているのを
想像していたのかも、しれない。
銀閣寺の庭は全て苔で埋め尽くされている。
一見、ただの<苔>なのだが
数十種類にものぼる<苔>たちが生息しているのだという。

銀閣寺の大切な、苔
苔の中にも
・銀閣寺の大切な苔
・ちょっと邪魔な苔
・あると困る苔
に分類されるという。
そして、あるこ困る苔やちょっと邪魔な苔が
大切な苔を駄目にしてしまい
自分達のテリトリーを増やしていこうとするから
厄介なのだ、と説明された。
・・・これって<苔 社会>だけの話ではないんぢゃないかしら・・・
私達、人間社会も・・・


銀閣寺は椿が多い。
凛と、白い椿が苔むした庭のところどころで
咲いていた。
最後の目的地、清水寺へは
三寧坂を上り、さらに坂道を上り・・・。
この日は成人式とあって
振袖をきたまま、この坂を上ってお参りする姿が見られた。

参寧坂にて。
モリさんも・・・登場
桜や紅葉の時期には
ますます華やかさを増すであろう清水寺。
清水の舞台からは遠く雪がうっすらと
かぶった山々が連なる。

清水の舞台を下から。
そろそろ日が落ちて
冷え込みが増してきた。
モリさんは、息子の手をひいて
”八ツ橋食べて、温かいお茶飲んでいこう。”

とお土産の八ツ橋のお店で
振舞われているお茶と試食用の八ツ橋を
ぱくぱく。

タダでこんなにくつろいでは
申し訳ないかも・・・と
私は<チョコバナナ八ツ橋>を購入。
モリさんが京都駅まで送ってくださった時間は
当初、約束していた時間を40分くらい超過していた。
私は降りる時に
”超過料金、お幾らでしょうか?”とお聞きすると
”いいよ、いいよ。それは。
楽しかったよ、また京都遊びにいらっしゃい。”
と言って、手を振って見送ってくださった。

・・・わぉ

”モリさん、いい方だったね。”息子と話す。
旅って、名所旧跡を歩くだけではなく
そこで出会った人、も
思い出を色濃くする。
真冬の古都の旅。
時を重ねて、大切に残っているものと
人と人との出会いを大切にするココロと
そんな触れあいで
”日本人”って、いいな、と感じる。
新しいものがめくるめく早さで
登場してくる、殺伐とした都会での毎日に
疲れてきたら
京都へ行って、”日本人”になろう!
