
亀岡の、出雲大神宮から車で15分ほど
畑道を走ると、
なだらかな山間にある、湯の花温泉郷にたどり着く。
翠泉は、すこし坂を上ったところにある
静かな佇まいの、宿である。
ここ翠泉は、<Holistic~ホリスティック>な、宿である。
Holisticの語源はギリシャ語の<Holos>
全体・関連・つながり・バランスなどの意。
人間を<体・心・気・霊性>などの有機的統合体と捉え
社会・自然・宇宙との調和に基づく
包括的、全体的な健康観を志としている宿、である。
宿で提供される
空間・料理・湯・ボディケア・音楽・・・
その全てがこのホリスティックに立脚している。
3年半前に母を連れてきた時は
窓越しに夜桜を眺めながら眠りにつく、という
この世の天国を味わった宿だけれど
今回はまた
窓越しに粉雪が舞う、冬の一番美しい風景を
私にプレゼントしてくれた。

林 真理子さんが<いい宿>について
文章を書かれていたときに
<旅館に着いたときに
抹茶を出すような旅館なんか・・・・>
とあるのを読んだことがあるが、
”そうかなぁ・・・。

宿に到着して、まずは外の景色を眺めながら
点てていただいたお抹茶を
お茶碗を手のひらで抱え込むようにして
ゆっくり頂く・・・
これも、至福のひと時なんだけれど・・・。”

自家製根菜のパウンドケーキと・・・。
お部屋は2階の<玉鬘>。
次の間にはベッドが並ぶ、和洋室。
翠泉では、ソファやティッシュケース、
小物類、タオル、テーブルランナーなどには
すべてお花の<水仙>の模様があしらわれている。


午後3時前に到着した私は
なんだか夕食までの時間、びっしり
スケジュールが入っていた。
予約時に、翠泉ならでは、の
ホリスティックなボディケアをしてくれる
エステを予約していたことは確かなのだけれど・・・。
3時半~ 貸切の露天風呂
4時半~ 北投石のミストサウナ
(いわゆる岩盤浴+ミストサウナ)
5時すぎ~内風呂で汗をながす
5時半~ アロマボディケア
6時半~ クリームバスで頭皮ケア
7時半からの夕食までに
すっかりカラダは浄化される。

野趣あふれる露天風呂は庭の一角にある
粉雪舞う冬の露天風呂、
ココロもカラダも温まります・・・
実はその間、息子はどうしていたかというと
宿に着いたとたん、
嘔吐したのだった。
それまで、何でもなかったのに、急に。
そして、ベッドで爆睡しはじめた。
考えられる理由は2つあった。
1.胃腸の風邪。疲れ。
2.出雲大神宮で巨大な石などからパワーを
子供なので、ダイレクトに受けすぎて、
浄化作用がはじまった。
実は最初は、1の理由だけしか思い当たらなかった。
しかし、熱も出ず、
夜遅くには元気になり、温泉もつかることが出来、
翌朝には朝食をもりもり食し、
京都観光を難なくこなした姿を見ると
もしかしたら、これは、胃腸の風邪ではなく
本当にパワーが効きすぎたのかもしれない、と
ココロの中で思うのだった。

檜の香が漂う、内湯
翠泉の一番の特徴は<お料理>だ。
地元の京野菜をふんだんにつかった
<お野菜づくしの懐石>といってもいいだろう。
よって、
他の旅館で供されるような食事を期待していかないほうが、いい。
つまり、贅をつくした山海の珍味が
惜しげもなくテーブルいっぱいに広げられる、
というような食事ではない。
一品、一品、時間をかけて供される。
一口、一口、旬の野菜を味わいながら
季節を感じ、カラダが喜ぶのを感じながらの、食事となる。
インゲンの胡麻和えの、
インゲン一本一本が、こんなに美味しいと
感じるのも
ここ、翠泉ならではの、喜びとなる。
お料理の幾つかをご紹介すると・・・。

そら豆さんがほっこり。贅沢なからすみ。

新鮮な鯛がたっぷりのお野菜で隠れています
カラダに染み渡る深い味わいのお吸い物

柔らかい大根とみぶ菜と厚揚げの炊き合わせ
なんとゴボウのポタージュとともに

マグロは真っ白な山芋と京湯葉とともに供されます
ポリポリ蕪も一緒に。

宿帳に名前とともに、<旅の目的>という欄があり
<誕生日旅行>と書いたら
なんと、お赤飯を炊いてくださった

この、心遣いに脱帽


最後に大粒の小豆で炊いたお汁粉
息子にはとろとろのおかゆさんを
炊いていただいたが
私の料理が気になって仕方ない息子。
お吸い物とかお魚とかちょこちょこつまみながら
またいつか絶対ここへ来て、この料理を食べるぞ!と
意を決していたようで、ある。


朝はゆっくり寝坊して
グレープフルーツのジェリーと
翠泉オリジナルのDETOXジュースで目覚める。
温泉宿に来て
大きな内風呂を独り占めするコツがある。
それは、<時間差攻撃>だ。
だいたい日本人はせっかちなので
せっかく旅館に来ても
あわただしく着いたとたんにお風呂に入り、
夕食は6時スタート、お酒をのんで寝ちゃって
朝早起きしてお風呂に入る。
このパターンの空き時間をついて
温泉にはいると、たいがい
大浴場と独り占め出来る。
だから、朝早く出発しないといけないような時は
宿ではなくて、ホテルに滞在する。
この日の朝も、
のんびりと息子と貸切状態のお風呂を楽しんだ後、
遅めの朝食。
またまた京都の野菜がたっぷりだ。

母はここのお料理が
他のどこの旅館よりも大好きだった。
たしかに、
新鮮な地野菜と
やわらかなお湯と
透き通った空気で
カラダが生まれ変わるような気が、する。
ここのオーナーもかなり
スピリチュアルな方だと、お見受けする。
サロンの本棚に並べられた本は
京都の観光案内や温泉旅館のガイドブックのほかは
ほとんど、スピリチュアル系の本ばかり・・・。
・・・私の本棚みたい・・・

だから、こうしたホリスティックな考えを
旅館経営に反映出来るのであろう。

”コーヒー、お部屋にお持ちしましょか?”
柔らかい京ことばの仲居さんは
ウェッジウッド ユーランダーパウダールビーに
淹れたてのコーヒーを注いで
持ってきてくださった。
ココロも
カラダも
マインドも
清らかに生まれ変われる宿、
京都 湯の花温泉郷にある
ホリスティックな宿、翠泉。
