
プロローグで描かれるユートピアはとても魅力的だ。特に兵器を作っても無駄、株取引はAIが勝つから誰もやらない。人が余ったら対人間の福祉に雇用はある、みんな楽できる、というのは当然ながら目指す未来だ。
が、実際には、極小ドローン兵器は作られそうだし、こわい。みんなが幸福になるのではなく、奴隷的になったり、格差を広げるのではないか?また、企業による社会サービスが行政によるそれよりうまくやれるのだろうか?さらには自分で書いているけれど、それは国家を否定しながら超巨大国家を肯定し、それはつまり英雄願望、独裁国家ではないか。恐ろしい気がするのだが。
バグのないプログラムはない、ハッキングを完全に防ぐ方法はない、と言うようなことが書いてある。(-_-;)
映画マトリックスの引用らしいが、人間はウィルスのように宿主を殺してでも繁栄しようとして、宿主である地球を破壊している、というのは鋭いというか、重いというか。
途中からはなんだか学者の与太話になっていると思う。そう思って読めば楽しめる。でもそれならたとえばファインマンが書いたものの方がおもしろかったなあ。
→囲碁とAIのこと