芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

台打ちをしてみての発見(その3)

2008-10-29 22:04:56 | 道具、砥ぎの話

鉋身のねじれや片刃砥ぎがどのような影響を及ぼすかについて、上の画像のピンクのラインがねじれた鉋身をそのまま裏押しした時の刃裏のライン。

画面左側はいわゆる縦裏といわれる木端にそって、縦方向にあらわれる接地面があるのに対し、画面右側は縦裏がなく代わりに刃横部分の接地面積が左側に比べ、大きくあきらかに左右非対称になっているのが写し出されている。

この刃がどうなっているかというと、右側の刃先と左側の縦裏部分が接地しており、左側の刃先と右側の縦裏部分は、浮いている状態。つまり鉋身がねじれているということ。

鉋の刃はご存知のように、左右の押さえ溝の仕込みが命といって良いほど重要なポイントである。刃裏の接地部分がこのように左右不均等ならば当然左右不均等に鉋台の方にも影響を及ぼす。

いくら表なじみをいじった所で、肝心の押え溝の硬さが左右で違っているのだから、刃が真っ直ぐ出入りしないばかりか、なおしてもなおしても、いつまでも台が狂うことは、容易に想像してもらえると思う。


もう一方の画像は、自身で砥ぎもされる鍛冶屋さんが作られた、裏刃の様子。刃のひずみは全く無く、裏の出具合も、もちろん左右均等で理想的な状態といえる。

次回へつづく

こむらがえりしました

2008-10-24 14:04:22 | 建具屋のかあちゃん
現在「芭屋框組」は追い込みで、毎日父ちゃんはいつもより30分早く起きて帰りはいつもより1時間遅くまで仕事をしています。私も早く起きてがんばってお弁当を毎日作っています。

この間、6時間ずっと立ちっ放しで仕事をしていたせいか夜、何かの時に足に力をいれた瞬間、足のふくらはぎがつってしまい、もう痛くて痛くてさすっても、足の親指を曲げてもぎゅーっと何か筋が硬直したというかそんな感じで30分くらい一人でじたばたしていました。

今までにない痛みで、まさに「こむらがえり」という言葉がぴったりの足の状態でした。なんとか30分後におさまってくれたけれど、本当にびっくりしました。
こういう場合、すぐに直る方法ってあるのでしょうか。何か病気が隠れていたりするのでしょうか。なんとなく不安になります。

こんぺいとう草?

2008-10-07 09:40:06 | 建具屋のかあちゃん


芭屋框組の工房の土手に今年もかわいいピンクの花が咲きました。

私の還暦を過ぎたおばが工房に遊びに来た時に「わあーなつかしい、こんぺいとう草が咲いている」と大喜びしていたのを思い出します。
この花の本当の名前は何なのか、本当にこの名前かはさだかではありませんし、調べようもないのですが、春から夏にかけて草が伸び、秋に花が咲いて私の心をなぐさめてくれます。

この花は街中では決して見ることの出来ないので、貴重なものだと思って大切にしたいのですが、きれい好きな父ちゃんがビーバーで土手をきれいに刈ってしまうものだから、だんだんと年を追うごとに花の数も減ってしまい、悲しいのですがおとうちゃんは私の言う事など聞いてくれません。

今はたくましく元気に育って下さいと、祈る思いです。

台打ちをしてみての発見(その2)

2008-10-05 20:51:11 | 道具、砥ぎの話
鉋身の状態チェックとしてまず、平な上板の上に刃先から換先まで(実際押え溝に刺さっている部分)を置いてみて、刃がねじれていないかを調べる。

かたつきが無く、ねじれがなければ次の段階に進む。もしねじれていれば、浮いている側の下に薄い真鍮版等をかまし、刃裏を上向きに平らな台の上に置き、当木をして、上から玄翁でたたく。

次に刃先の平行度を見るために、図のように方眼紙に刃表を上に鉋身を置く。
鉋身は刃先に行く程、巾が狭くなっており、両木端がテーパー状になっているので、木端にスコヤをあてても刃の平行は分からない。

この為今迄、刃がどれぐらい傾いているのか確認するのに手こずっていたが、この方眼紙の上に鉋身を置く方法だと一目瞭然で、刃先の平行がチェックできる。

刃先が平行、図でいうと、方眼紙の水平線と刃先の線が平行になっており、なおかつ左右の木端と垂直線の空きが、左右対称になっていれば刃が平行ということ。

平行でなければ荒砥やダイヤモンド砥石の300番で刃が平行になるまで刃先を修正する。(※切れる様に研ぐのは後の段階)

この後初めて、裏出し、裏押しを行い、切刃の方も最低でも中砥まで砥ぎあげ、台に仕込む作業を始める。

自分の持っている鉋の調子が、何かよくないあるいはしよっちゅう調子が狂う方は一度刃を外して上記のねじれと刃先の平行のチェックをしてもらいたい。
何故このようなチェックをするのか、又どういう事に影響してくるのかを次回のテーマにするということで、この章をくくりたい。

喰らう人々のラジオを聞いて

2008-10-01 23:35:24 | 心に残った話、出来事
毎週日曜日に女流作家のパーソナリティがひとつの文学作品についてうんちくを言う番組をやっている。

仕事中はラジオをつけっ放しにしているので、特に意識せずとも色んな情報が耳に残る。

この時はヘンミ何とかという人の「くらう人々」か「くらう人」についての話で
その中で外国の猫の缶詰工場で働く少女に著者がインタビューをして、後悔をしたというエピソードが語られていた。

人間の食べるものもままならない国で、日本向けに猫が食べる餌の缶詰を作っていることについてどう思っているか、と質問してそこで働いている人には作った物がどうなるのかを想像しないでよいという権利があるのだ。というくだりや、
我々日本人のほうが逆にその缶詰が何処で作られたか考えるべきだ。という言葉に何か共感するものを感じた。

自分も物づくりというか、住まいという人間の基本的な部分に携わっているが、
果たして使い手は誰がどういう状況で作ったなどということを、どの程度考えるのだろうか。こういうブログを見て、そんなにお手軽に物は作られていないということを少しでも意識して欲しいし、自分自身も身の回りのことにもう少し目を向けたいと思った。

台打ちをしてみての発見(その1)

2008-10-01 22:46:46 | 道具、砥ぎの話
通常、新品の鉋を買うと、そのままでは刃も出ないし、刃先自体も研ぎ直さないとならない状態で、使用者が最終調整をして、使える状態にする、いわゆる仕込という作業をしなければならない。

一般的には、刃の方の仕込みとしては、裏だしや表刃砥ぎ、また台の仕込みとしては表なじみを削り合わせたり、台下端の調整しか紹介されていない。

運がよければ、その程度の仕込みで問題なく使える訳だがいろいろセオリー通りにやっていても何か調子がおかしい事か多い。

例えば鉋頭の真ん中だけを叩いて平行に刃を出したいのに、出ない。もちろん少し刃を引っ込めたい時も平行に引っ込まない。

また、しょっちゅう台がねじれるなど他にも細々とあるが、調整しようとして、表なじみを削りすぎたり、下端を削りすぎて刃がゆるゆるになってしまったりして今までいくつかだめにしてしまった道具がある。

今までは理由がよく分からずに、いじり過ぎてだめにするよりはあまり触りずきない方がいいといった感じで、とりあえず削れる状態になっていれば、台の方はなるべく触らないようにしていた。

去年の夏に機会があり、新潟の台打ち職人の人が講師となり、実際自分で台打ちしてみることとなった。結局その日は時間が足りず、未完成のまま続きをどうしていいのかもよく分からないので、そのままほったらかしていたのだが、これもたまたま知り合った方に別の台打ちの方を紹介してもらって、今度は新潟まで泊りがけで台打ちを習いに行ってきた。

一応その日には鉋くずが出る状態までになって持って帰ってきたのだか、台の厚みを薄くしたり、自分なりにいじくったりしたことや、気候、おそらく湿度の変化ですっかり調子がおかしくなってしまった。

ところが、台打ちする際にどこをいじったらどうなるかということが、以前とは雲泥の差で考えられるようになってきたのか、いろんな人からのアドバイスが知識ではなく実感として捉えられ、今まで「ふーん」と思って聞いていたことが、「ああこういうことだったのか」という連発になった。

そんな中で、あまり一般的には言われていないことや、自分であみだした発見を順をおって紹介していきたい。言い出すと長い話になりそうなので、今回のポイントとしてはただ刃を研いで仕込んだだけでは不十分だということ、その前の段階にさかのぼって仕込みをやっていかないと本来の調子がでない。ということだけお伝えして次回につなげたいと思う。