芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

2013松本研修会つづきのつづきからの~

2013-09-29 20:17:44 | 心に残った話、出来事
さて忘れてはならないのが、清水大会で優勝された金沢の武田さん。

ここ何年か松本にも足を運んで下さり、すっかりお馴染みの顔となられている。


テレビ出演効果もあってか、その一挙手一投足が注目の的だ。

ご本人は、いたって普段通り相変わらず安定した削りをされており、

清水大会で優勝出来たのは、計測所のすぐ近くで削っていたので

計測に来た人がいない時を見計らって、削ってすぐの鉋くずを計測してもらえたから

良かったと仰っていた。並んでいる内に乾燥して厚くなってしまうとの事だ。

記録を出すには、そんな事も勝負の分かれ目になってしまうようだ。


最近の情報化により皆さんの砥ぎのレベルは、格段に進歩している様に思う。

武藤さんもこう仰っていた。

「最近の連中は、スコープを覗いてるから5ミクロン削れる砥ぎは出来ている。

でも台がだめだ!台直しも荒しこ、中しこ、仕上げの3丁使い、

下端に段差が無い様に綺麗に仕上がってないとだな」と。


ふと気付くと武田さんの砥ぎの実演に人だかりが出来ていた。

詳しくはブログNGなので書けないが、国本さんが究極の砥ぎを発表される前の

砥ぎをされていた。


そして注意されていたのは、とにかく自分でやってみる事。

その上で自分の方法を見つけるしかない!という事。

それからこんな事も、「普段こんな騒がしい所で、絶対に砥がない。

静かな部屋で、研いでいる音も聞き逃さない様でないと、こんな繊細な

砥ぎは出来ません。」


成る程やはりそうだろう。その後皆さんもご存知の通り、国本さんが究極の砥ぎの

全てをブログで発表され、遂にパンドラの箱が開かれてしまった。


このブログ公開により皆さんが、究極の削りを手に入れたかというと?

どうもそうでも無い様に思われる。


自分よりも遥かに上手な方々が、それほど簡単に2や3ミクロンの削りが出来ない

ようであるから。

自分の場合、砥面を平らにする所ですでにつまずいている始末、

全くお話にならない。もう一つ致命的な事は、指先の触感が鈍ってきたのか

刃返りが触っても解らなくなって来た事。

まぁこんな事を、ひとつひとつクリアして行くしかない。


それと最近気になるのが石定盤。愛媛の山本さんが約一年前に紹介されているのだが

いまいち全貌が解らない。最初はてっきりラップ砥ぎの定盤だと思っていたが

どうも台下端をみる定規のようだ。その内誰かが発表するのを待つ事にしよう。






2013松本研修会つづき

2013-09-29 16:08:23 | 心に残った話、出来事
今年の研修会は、なぜか普段よくお見かけする事はあっても恐れ多くて

話した事が無い様な方々とお話出来た。

先ずは、直井棟梁。自分が持っていた玄翁に目を止めて下さり

「あんた道具好きなんやったら、これ見したるわ」

とカバンから何やら桐箱を出されてきた。

長谷川幸三郎 古代木目玄翁!!

「これって、本で見た事あるやつやん!」と思わず心の中で叫んでしまった。

そうこうしている内に、鑿鍛冶の田斎さん親子がやって来られ一緒に鑑賞する事に。

「はぁ~きれいな仕事だぁ~。さすが幸三郎さんだ!!」とまるで拝む様に

感心されている姿は、とても印象的だった。

息子さんは、櫃の側面を見て「あ~やっぱりこうなるんだぁ。この木目鍛えに

穴あけんのは、ちょっと嫌ですねぇ~」と、さすがに鍛冶屋さんならではの

目の付け所だ。



その他「直」銘の切り出し、「千三代」銘の延国鉋(これもほんとの初期型)を

見せて頂いた。

細かい点は良く解らないが、う一の銘の切り方やヤスリの掛け方が繊細で

丁寧に手仕事された物が発するオーラというか、風格が出まくっていた。

この鉋刃が納められている桐箱の表書きが、削ろう会のはっぴやTシャツで

お馴染みの是秀直筆「鉋」

「ちょっと貸してあげたら、コピー取られちゃってなぁ~エライ事だった」

と、笑っておられた。


その他箱書きの話から、桐の板は紙と違い筆が滑らないので、非常に書きづらく

普段字の上手な人でも子供が書いた字になってしまう事や、

碓氷健吾さんの奥さんも大変字が上手な方だが、箱書きの字をけなされて

書かなくなった話、先出の木目鍛え玄翁の箱書きは幸三郎さんの娘さんが

なさった事などを伺えた。


そんな訳で貴重な品を前に、とても写真を撮れる雰囲気では無かったので

残念ながら画像はありません。気になる方は「千代鶴是秀 写真集②」の

47ページを参照して欲しい。(※見せて貰ったのは100匁で、本に載っている物では

ありませんでしたが、見た目は近い)


その後、直井棟梁の人を寄せ付けるオーラにあやかれたのか小川三夫さんに

サインを頂けたり、





また鉋削りをしていると、何故か田斎さんが

「悪いけど、どうゆう風にやるか教えてくれんかな。削った事ないから解らんのだよ」

って嘘でしょ!?しかも何で俺ん所に、他に上手い人一杯いるでしょうが!

と思いつつもこれも何かのご縁、あつかましくも一緒に削る事になった。

更に「孫にもやらしてやってくれんかなぁ」と、こうなりゃままよ!

が案の定、黙って見ておれん大御所の皆様にあっという間にバトンタッチ。

やれやれ、おかげで良い経験をさせて頂いた。


その後、貞時鉋の樺沢さんがはな取りをしてくれたり、武藤さんが私の鉋の刃先を

スコープで見て「これだったら、5ミクロンいけるよ」と言って下さった事など

嬉しい事満載だった。



                                     つづく