芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

松本研修会 その2

2010-07-25 18:43:20 | 道具、砥ぎの話
鑿に関して:研修会当日は固くて外れない口金や桂のはずし方に始まり、
余談のように、鑿柄の木取りについての話が取り上げられたが
よく分からなかったので、後日改めて佐藤金物店へ伺って話を聞いてきた。


研修会当日持って来られた市弘鑿(角打ち):江戸鑿らしく細めの柄
スッキリした形



佐藤金物店仕様の追入れ10本組:市弘鑿と同様に鑿の基本ポイントが
守られている。見た目の大きな違いとしては刃の表側がすかれていない事




柄の木取り方向の違い:掘り鑿(一分~一寸)は放射状組織が柾目方向
さらい鑿(一寸二分~)は放射状組織が板目方向



図を見てもらえば分かる通り掘り鑿は木目の繊維に対して直角方向に
鑿を叩くので、打撃ポイントとして矢印方向が最もよく叩かれるので
その方向に一番固い木裏を持ってくるのが有効。

さらい鑿は木目の繊維方向と平行に叩かれるので打撃ポイントは矢印の方向
放射状組織は組織の向きに欠け易いので、打撃方向の向きに通っていると
鑿柄として機能しない最もダメな木取り。(斜めの木取りも同様に適さない)



その外、鑿の全長が追い入れで7寸5分~8寸。柄部分で4寸~4寸5分
刃が砥ぎ減って調子が変わってきたらその都度長い柄にすげかえて
全長の寸法をキープする。

刃丈が始めの寸法の3分の1の長さに短くなったら定規面が機能しないので
刃が切れたとしても使い終わりの時期。






松本研修会 その1

2010-07-19 17:32:48 | 道具、砥ぎの話
年に一度のお楽しみ会:地元長野松本で毎年恒例の研修会が行われた。
今年の講師は甲府の佐藤金物店主、佐藤和彦氏による「今更聞けない重箱の隅」





佐藤さんを御存知の方は承知していると思うが、なにせ几帳面こだわりの性格なので、
私のチンタラブログでは全部紹介するのに何年かかるかわからないような
内容の濃い講義であった。




とりあえず手始めに両口玄翁の九種の基本形プラス4種の叩き玄翁の紹介:
詳しくは下の資料の通り




佐藤さんお手製の資料。参加者には何故か甲丸ヤスリ1本のお土産が頂けた。
この他にも写真や土田刃物執筆のウォーニング、日本建築学院生の卒業論文
等々初めて見る貴重な資料が公開された。




一番上の一本が火造りっ放し、下の7本が基本形9種の内7種




それぞれの木口面






基本形残りの2種:八角と互平の八角(上からと木口から)






右側4本が叩き玄翁4種




写真中央下が叩き玄翁2種と柄入れした70~80匁




柄入れ:土田一郎氏 上の写真のグミ柄は佐藤氏の柄入れ 曲がり柄は別の方




毎年正月の初仕事として、基本形9種の体配造り込みの確認も兼ねて毎年
土田刃物さんが幸三郎氏に注文していたそうである。

この他にダルマ玄翁(原則木口は丸形)の説明や、叩き玄翁の寸法の違い
普通形が3寸8分丈、穴屋形が4寸3分丈の話等どれもこれも今迄聞いた
事の無い話ばかりで、佐藤さん及び、佐藤さんの師匠である、土田刃物さんの
膨大な知識に驚かされる。



郵便受けに鳥が巣を作っちゃいました

2010-07-07 15:37:14 | 建具屋のかあちゃん
ポストの中に何か何処かで拾ってきた苔が、箱の中一面に敷かれて、
何だろう何が巣を作っているのかと思って、さほど気にしていませんでしたが、
3日くらいたった頃、すっかり丸くふわふわの巣が出来上がっていていました。
それから毎日卵が増えていって、ついに6ヶ産まれました。

ちょくちょく巣を覗くと親が神経質になって、卵を温めなくなると困ると思い、
写真もあまり撮らないようにし、手紙が入ってはいけないので、郵便受けも
新しく作り直して、しばらくとうちゃんと見守ることにしました。

図鑑で見た所、胸のネクタイ模様といい、巣箱をよく利用すると書いてある
所から察するとどうも、シジュウカラだと思われます。











玄翁の話

2010-07-04 09:17:02 | 柄の話
ナイフマガジン最新号の「土田昇×甲野善紀 日本の大工道具を語る」で穴屋大工の玄翁の柄の仕込み方や使い方が紹介されている。

玄翁を持つ腕の肘の位置の件の意味がいまいちよく分からなかったが実際にやってみると鑿の尻面と玄翁の打撃面の位置関係が良く分かる。



肘が下がっていると、打撃面が斜めに当たるので、上手く力が伝わっていない。今まで鑿の尻面に妙な打ち傷が付いていた原因がよく分かった





肘の位置を高くすると、打ち面が真っ直ぐ当たるので力が上手く伝わることが推測される。




この時玄翁を持っている指はしっかり握りこまずに、親指と人差し指でつまむ感じのほうが、コントロールが利くそうである。




この他玄翁の製造工程の紹介では、櫃穴あけの説明がされている。以前竹中大工道具館で見たビデオの様子はどうもこの何回かにわたる櫃穴あけの一工程だったようだ。

甲野善紀氏の体さばきの説明「居つかないようにする」は身体をリラックスさせてとっさの俊敏な動きに対応することなのだが、スポーツを始め日常の色々な場面にも応用出来る。

台直し鉋の調整

2010-07-04 08:34:49 | 道具、砥ぎの話
台直し鉋の刃と押さえ溝の巾が合っておらず、
側面も曲がって彫られているので、少し彫りなおしてみた。







溝の側面、彫り上がった様子






刃と溝の様子




刃の位置に合わせて、下端の面を取る。このことによって
刃が何処を削っているか見当がつく。






下端面取り出来上がった様子




ついでなので、以前頂いた資料に基づいて屑抜けの良いように
屑たまり部を加工する








ボール盤で荒取り




鑿で仕上げる:底面は口包みをさらえる様な鑿が無いので、
このままになってしまった。いずれ仕上げる予定、
とりあえずこのまま使用