芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

積層台への道 -3歩目-

2012-06-24 18:50:02 | 積層台
板接ぎのボンドが、硬化するまでの間 角パイプの位置、本数の再検討。





図面では気付かなかったが、実物が出来上がってくるにつれ、考えも変わってくる。

まず、後ろのパイプ本数を6本から5本へ。また将来的に台を、短くも出来る様に

1番前と1番後ろのパイプを外側へずらした。

これで、長さ九寸~一尺五分まで好きな長さにカット出来る。




表なじみの下のパイプは細くするか、丸パイプにして少し前にずらす。


その他、化粧貼り用の材を荒木取りしてみた。





昇降盤で挽き割ってみたのだが、この時の刃のつまり具合で、その材料の

素性が大体わかる。

たまたまかもしれないが、白樫が、一番狂いにくそうだった。

この薄さに挽き割って真っ直ぐいられるのは、ちょっとびっくり。

やっぱり芯材も白樫で作った方が良かったかもしれない。



積層台への道 -2歩目-

2012-06-24 17:34:40 | 積層台
積層台の一番の悩み所、芯材について:









木目の向き使い方として、一般的に狂い、変形が出にくい木取り方は何か?







板目か、柾目かで言うと、伸び縮みの点で言うと、柾目が○、

同じ柾目でも、追柾に木取ると、ひし形に変形していくので×、

木目は目切れせずに、真っ直ぐ通っているのが○、

鉋台の常識として、木表側を下端にした方が、板が反った場合修正しやすい等々。

下の画像は、一応目の通った正柾(せいまさ=木口方向から見て、

垂直に年輪がある材)で、最も狂いが少ない木取りと言われているのだが、

御覧の様に、ねじれが出てしまっている。



こういう材は、いくら歪みを取っても、後から同じように狂ってくるので、

普段の仕事では、絶対に使わない。

こういう材が、現実に存在しているのを目の当たりにすると、何が正解なのか

まるで解らなくなってしまう。

悩んでいても仕様が無いので、先に進む。

山本さんの集成材を見ていると、はぎ合わせる枚数や、木目の方向は色々だが、

上下二段にしているという点は、どの台を見てもそうなっているので、

鉄則のような気がする。





とりあえず有る材料で、何種類かの組み合わせで、板はぎをしてみた。







普段の仕事で板はぎをする場合は、目違いが出ないように、雇いざねを入れるが、

さねが後から膨らんだりして、下端の変形に影響を与えそうなので、完全にいもはぎ

にした。目違いが生じる事を考慮して、最終的な仕上げ厚み12㎜に対して、

余裕を見て、15㎜厚の状態ではぎ合わせた。

物が小さかったので、思ったよりもずれずに、目違いも殆ど出なかった。

ボンドは普段の仕事にも使っている2液性のウレタンボンド。

ボンド乾燥後、プレーナーで軽くむら取りをして、自動鉋で13㎜まで厚みを

落とした後、厚み方向の板はぎ。

上下のセンターを合わせた所で、ずれ止めに小ビスを打っておく。







普段あまり使わないプレス機で圧着。



余談だが、今回板はぎに使ったウレタンボンドはアイカ製。

あまり知られていないが、アイカ社は、戦時中木製のプロペラを

集成材で作っていたという事で、板はぎ用のボンドとして、結構老舗で、評価が高い。

一晩プレスした後、ボンドが完全に硬化するまで、しばらく放置して、

次の加工へと続く。


山本式砥ぎ 失敗例

2012-06-13 07:08:34 | 道具、砥ぎの話
昨日、削ろう会会報の最新号が届いた。

山本さんのシリーズ連載に、押さえ金を使った砥ぎ方が、詳しく載っている。

実は、知り合いの大工さんに 砥ぎ治具をわけて頂いてやってみたのだが、

全く切れなくなってしまったので、どうしたものかと考えていた所。

まさに「渡りに船」とは、この事か!

成功例は、会報を見て頂くとして。今回は敢えて失敗例

治具に挟んで刃をセット:じつはこの前に刃先をつぶして裏を整えておく

必要があった。(本刃、裏刃共)





中砥で研ぎ終えた様子:本当は本刃と裏刃の刃先の境目が肉眼で見えなくならないと

いけない。(刃先の部分が端まで一体化していない。隙間もあったようだ)






この後、天然砥石での仕上げをしたが、全然刃が切れなくなってしまった。

会報によると、ダイヤモンド砥石♯6000、アルミナ粉♯10000、中高にした

キング♯1000とそれぞれの砥面直しに同じ番手の砥石もう一丁ずつ必要。

これらを全部揃えると、金額的にも大変なので(ダイヤ砥石一丁で1万円以上)

とりあえず手持ちの砥石で、できるだけ近づけた砥ぎ方をしてみようと思う。

結果は又、いずれの報告で・・・

積層台への道  -準備中-

2012-06-10 15:46:56 | 積層台


色々考えすぎて、殆ど何も進んでいない積層台。

最近見たブログに触発されて、少しづつでも手を付け始めた。

折角手間をかけるので、一番狂いの気になる長台に挑戦してみようと思う。

台の構造上、はじめに寸法をきっちり決めないとならない。

台厚:厚い程狂わないのは、解っているが、1寸1分以上になると、

かなりゴツくて持ちづらいのと、中に入れる補強用の角パイプの寸法の都合で、

1寸5厘(32㎜)に決定。

台長さ:今使っているやつが、1尺1寸。この長さでも充分なのだが、折角なので

長台の標準寸法=1尺3寸2分(400㎜)に。



削ろう会会報59号~と1月の山本さんの講習会の写真資料をもう一度良く見直してみる。







積層の芯の組み合わせ方は3枚接ぎだったり、4枚接ぎだったり板巾も色々で、

どれが有効なのかよく解らない状態。とりあえず横方向にパイプを入れて両サイド

に1mm厚くらいのステンレス板を、上下面にはステンレスメッシュを補強に入れている。



この上下面のステンレスメッシュも個人的には無くても良いような気がするので、

追々考えていきたいと思う。

パイプについて解った事:ステンレスの角パイプの規格寸法=12㎜角、

その次のサイズが16㎜角その次が25㎜角。今回の場合、16㎜角までしか使用不可。

丸パイプも同じで12㎜φ、16㎜φ、25㎜φ。

断面積が大きいほどたわみに対して、強いと推測される。

同じ16㎜でも、角の場合、1.6×1.6=2.56  丸の場合、0.8×0.8×3.14=2.009

2.009÷2.56=0.78・・・ 

なので、16角に比べて16丸の方が78%の断面積しかないという事。

山本さんの作りかけの台を見ると、表なじみのすぐ下の箇所だけ他の箇所よりも

一回り小さな角パイプが仕込まれている。これがおそらく12㎜角。





ちなみに断面積は、1.2×1.2=1.44  1.44÷2.56=0.5625

つまり、16角に比べて56%の断面積。

おそらく、表なじみの部分が大きく無くなってしまうので、16角だと残りしろが

少なすぎて、何らかの問題がある為に、12角にされたと思われるが、

上の計算から言うと、16丸の方が、16角まではいかないまでも

大分有効なのではなかろうか。


台が長いので、前に3本、後ろに6本入るように作図してみた。

9寸5分台だと、前に2本後ろに4本。






上下に貼り付けてある、化粧板の厚みも尺鉋でさえ、4㎜厚しか使われていないので、

4㎜とした。



写真の感じからいうと、もっと厚い物を貼り付けている

イメージがあったが、思ったよりも随分薄い板を貼られている。

しかし、我々建具屋が作るフラッシュ建具等で、

2㎜程の化粧板を貼っている事を考えると、4㎜で充分なのかもしれない。

芯材について:一番悩む所。

狂いが少なくて、刃の出し入れで変形しにくい固さとねばりがある材種

最終的には、瞬間接着剤や塗料を含侵させて、強度を出させる様なので、

広葉樹よりもはるかに狂いの少ない針葉樹でも良いのかも等と思いが巡る。

分割して接ぎ合わす事についても大鉋ならいざ知らず、寸八サイズで

わざわざ一つの木をバラバラにしてもう一度組み直す必要があるのか

大いに疑問も残るが、とりあえずやってみようと思う。

かといってわざわざいい材料をつぶしてまで、やるのには忍びないので、

切り落としの材でそこそこ使えそうな物を探してみた。



こうした条件を満たす材料として出てきたのが、桜とブビンガ。

どうなるかわからないが、手探りで進めていこうと思う。