芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

7寸勾配やってみました

2018-07-08 20:17:44 | 道具、砥ぎの話



頂いた刃の台打ちをいつも通り8寸5分勾配で完成した直後、「7寸勾配が調子いい」との内容の記事を目にしてしまった。
これも何かのタイミング、引き続き同じ刃を7寸勾配で仕込んでみた。



・引きの軽さは今の時点でよく分からないが、7寸勾配の方が杉が良く仕上がる。








・7寸勾配の方が台に刺さる距離が長くなるので、かい先より上の部分が8寸5分よりずっと早い時期に押さえ溝に干渉してくる。ちなみに今回の台厚みは1寸(30ミリ)








分かりにくいが上が7寸(かい先に注目してもらえば、1センチ位は多く刺さっているのがわかる)

以前国本さんのブログに刃の硬さによってしなりが違うので、硬い刃は勾配立てて、柔らかい刃は寝かせた方が抵抗が少なくなる様な事が書いてあったので、もう少し色んな種類の刃質で試してみても良い気がする。


今回の刃研いだ感じは、特別硬い気はしなかったが「最上の鋼を特殊な方法で焼き入れした鉋」などと刻印してある事とえらく長切れする点から恐らく青紙スーパーとかの硬い鋼ではないかと思う。

とりあえず自分の場合杉が仕上がってくれた方が有難いので、さらにもう1丁7寸勾配で打ってみた。こちらもいい感じ。










あけましておめでとうございます~前回のつづき

2018-01-04 07:34:28 | 道具、砥ぎの話
明けましておめでとうございます、今年も宜しくお願い致します。



では早速前回のつづき:伊那市での削ろう会2日目

石川県の武田外志雄氏による講習会「初心者の為の鉋の仕込み」が行なわれた。

が、しかし丁度池田目立てさんに自分の鋸を目立ててもらっている最中で、殆ど話が聞けなかった。

断片的に聞けた部分をまとめると

●鉋削りというのは、鉄(=刃)と石(=砥石)と木(=鉋台、削り材)の3つの要素で成り立っている。この3つ全てをきちんと調整しコントロール出来ないと成立しない。「二兎を追う者は一兎をも得ず」のことわざがあるが、薄削りを目指すなら三兎も四兎も追わなければならないとの事。

●砥石の調整という事で、砥面の平面を出す。(確かアトマの様なダイヤ砥石と思うが不明)

●刃の調整:表刃と裏の研ぎ方だが、殆ど聞けなかった。裏押しをしたら表刃も若干動くので、もう一度研ぎ直す様な事。また最終的な研ぎ終わりの時に研ぎ角度を1度位鈍角に立てて1ミリだけ前に動かされていた。※片道1回のみ

●台の調整:大きく分けて刃が入る穴側のあたり具合と台の下端の状態。これもあまり詳しく聞けなかったが、仕込み具合として刃を手だけでギュッと押し込んで下から1ミリ手前で止まる位~若干刃が出る位。表なじみに当てるポイント教えて頂いたメモを無くしてしまいうる覚えだが、全体的ではなかった気がする。(機会があれば確認します)

下端は画像の通り厚めのガラス板に粘着式サンドペーパーを使用する。まず長手方向にこすって全体の平面を出し、次に鉋台をガラス板に対し垂直に持ち前後に動かして必要ない箇所を削り落としていく。この作業をする為に試行錯誤の末、丁度よい寸法のペーパーの貼り方になっている。

●ペーパーの粉が刃こぼれの原因になるので、すぐに掃除機で吸い取る事。(エアーで吹き飛ばすのは良くないとの事)

例えば下端をこうして刃を出せば、切れ味はべつとして必ず削れる。この工程に関しては間違いない、ならば上手く行っていない原因はどこか?研ぎなのか何なのか?とにかく各工程でチェックして次に進むといった言われてみればごく当たり前の事だが、意外とそんな風にシンプルに考えて来れなかったし、全体的に曖昧に事を進めてきたなあと反省した。

「鉄」「石」「木」のどこかに結果をつくる原因があり、何がどういう結果をもたらしているかをもっと意識せねばならないようだ。

さて話かわるが、今回より全国大会に向けて展示販売される道具屋さんブースも設けられた。

薄削りの方は全くダメだったので、せめてもと各ブースお買い物気分楽しませて頂いた。そんな中で思わぬ発見

持参の鉋で仕上げ砥石の試し研ぎをしているとふらっと現れたSさん。「ちょっと貸してみ」と私の刃を同じ砥石で研がれたのだが、不思議な事に気になっていた傷が消えてしまった。

あれっと思い私が研ぎ直すとまた傷が・・・(=下画像、斜めに入っている白い筋)



今までず~っと水にゴミが入っているせいだと思っていた傷、研ぎ方が原因だとハッキリした。

その後砥石屋さんにもアドバイス受け、手首をロックしたりしていると上手く行く時もチラホラ、だが少し気を抜くと逆戻り。知らないうちに付いた癖を直すのは難しい。





 


今年から伊那市で削ろう会

2017-07-23 18:12:34 | 道具、砥ぎの話




毎年松本で行われていた研修会だったが、諸事情により今年は地元の伊那市で行われる事になった。

加えて2年後の削ろう会本大会も本部へ申請済みとの事。

ということで、全国大会の予行演習もかねて内容的には、例年と打って変わって運営準備に関わらせて頂く事に。

さて1日目は「畑 宜雄氏によるはつり講習会」





はつりの実演やユーチューブでの動画を見た方ならお分かりの通り、理屈抜きの迫力とシンプルな作業なので「百聞は一見に如かず」

要らない説明は無用に思われたが、その道のトップクラスの解説というの物はやはり奥深い。



まず柄の長さについてだが、特に決まりは無く材料の大きさによって変えるらしい。

それよりも刃先の延長線上に柄尻が来る様に仕込む事が重要との事。



刃が緩んでもすっぽ抜けない様に図のように柄や楔に欠きとり加工をした物も。



刃の研ぎ方については図の様に砥石を動かす方式。キング1200番使用、刃角は見た感じで何度かは不明

鎬面はたいらで無く丸刃に、砥石の面わざわざ丸くしたのでは無く研いでいる内に自然と丸くなるらしい。







1回の研ぎで丸太1本はつってしまうとの事。





実際のはつりについて:初めに荒くはつり、逆目など荒れた面を消しながら=押さえながら後ろへと進んでいく。

はつり経験のある大工さんに聞いても皆さん口を揃えて「簡単そうに見えて絶対まね出来ない」と言われる。

刃の動きとしては、材料に沿う様に平らに入り後半ははつりながら抜けていく感じで、はつり終わった面を見ると確かにそういう刃跡が残っている。





2016松本研修会

2016-07-17 14:27:12 | 道具、砥ぎの話





今年も例年通り松本にて研修会が実施された、講師は愛媛の山本文義さんで「研ぎの話」

基本的な内容は以前紹介した事と同じだったが、一応おさらいしておくと・・

1)研太郎ダイヤ1000番で本刃、裏刃の裏研ぎ

2)エビ印ダイヤモンド角砥石6000番で本刃、裏刃の裏研ぎ

3)エビ印ダイヤモンド角砥石10000番の上に20000番の白パウダーで本刃、裏刃の裏研ぎ

4)京セラ特製セラミック砥石(番手不明)で同じく裏研ぎ ※やらなくてもよい

5)裏刃の刃先を本刃より0・2~0・8ミリ出した状態で専用クランプにセット。 この際のクランプの位置、締め方が重要なポイントで上手くセットしないと全てが台無しになってしまう。

先ず刃のカタつき無い様、裏刃の耳叩いたりヤスリで擦り下ろしたりする。自分で試された方の中には裏刃の両端にタップを切ってネジ式にしたと言う人もおられた。

さて、クランプの位置はなるべく刃先側。締め付け加減はずれないギリギリの強さ。(強すぎると刃が変形してダメ)クランプの板の厚みも人によって様々、山本さんは薄目でしならせたいそうである。薄いゴムを挟めば使い易くなるのではないかとの意見も有り、各自工夫のし所。



6)キングハイパー1000番 前後と中で2ミリの落差を付けた物で本刃縦研ぎ(出来れば押す方向のみ)

7)研太郎1000番で横研ぎして砥石当たっているかの確認。

8)エビ6000番に10000番の白パウダーで斜め研ぎ

9)エビ10000番に20000番の白パウダーで斜め研ぎ、横研ぎ

10)京セラでの研ぎ ※やらなくてもよい

11)天然砥に20000番白パウダーで横研ぎ (=人造砥でビンビンになり過ぎた刃先をにぶくする効果)





12)刃を上に向けて裏刃を下方向にそっとはずす。これも注意しないとせっかく研いだ刃先を痛めてしまう。

100倍のスコープで見てみると、通常どうしても残ってしまう刃先の白いチリチリがほぼ無い状態



ところで、今回陣取った位置悪く手元が殆ど見れなかった。動画撮影されていた方もおられたのでどこかでアップされる事期待したい。







今迄良いと思っていたけれど・・・

2016-07-10 14:16:54 | 道具、砥ぎの話




先日道具仕立ての名手Sさんが遊びに来られ、御持参の素晴らしい道具を前に色々教えて頂いた。

そんな中で今迄良いと思っていたのに「そうだったんだ~」の事を紹介したい。

その1 台直し:



今迄は刃がビレ無い様に刃=厚め、短い目 刃角40度~35度 台も厚め 仕込み勾配=逆勾配が良いと思ってたのに



それでは高い所を削って平らにならず、曲がったなりに滑らかに削っているだけになりがちだそうだ。刃も薄い目で刃角22~24度と鋭角の上硬めが良いとの事。刃の硬さは、硬い砥石に刃を立てて引いてみて、「キーッ」と高い音がする物との事。

はっきり言って真逆の発想です! 常識から言って硬い刃を鋭角の時点ですぐボロボロに刃こぼれする気がするが、阿保さんから直々に教わって実際使われているのだから、試して見る価値は充分あると思う。

その2 南京鉋

従来品:


きついアール削れるように下端をきつく丸めていた。このタイプ下端の接地面が小さく、ばたついて上手く削れない。



実際使いやすい物は、下端のアール緩い目。その代わりに刃厚薄く、丈も短い。要するに奥行きをなるべく狭くして、きついアールも安定して削れる。





その他こんな物も





普通に持って使うよりずっと使い易いそうだ。

それにしても、こんな基本的な事をまともに紹介しているのを見た事が無いとはどういうこと?とつくづく思う。


目次さん講習会2

2016-07-10 08:58:20 | 道具、砥ぎの話


研ぎ終わった刃をご覧の様なテスト用台(国本氏製作)にセットして試し削り。ここでも木槌の仕立てや鉋頭の形状の意味や使い方のコツが説明された。



台を叩く面は、平らでなく緩やかなカーブ=茶筒の蓋型



鉋頭の断面:刃の傾き直す際は、木槌がその目に引っ掛かる様にやすり目を刃と垂直方向にしてある。刃を出したい方へ払う様に叩く、側面を叩くと刃が変形して、仕込みに影響するのでダメ。



ここでようやく削り:6尺材を2回削って、一旦顕微鏡で刃先チェック。1ミクロン以下の欠けならばOK、それ以降は削っている木によって研磨されより安定して削れる刃先が形成される(=いわゆる「ミクロのあご」が作られる)





この辺の詳しい内容は、削ろう会々報77号に目次さんご本人が説明されているのでご覧頂きたい。私自身そのレベルに全く達していないので上手くお伝え出来ない。

後日お伝えする予定でいるが、砥石の3枚擦り合わせ一つ取っても中々思う様にならない。ましてや1ミクロン以下の欠けとか、まだまだ先の長い話である。

さておき肝心の目次さんの削りはと言うと、見事に杉の白太仕上げられていた。



余談として:









杉の木目は20ミクロン巾の中に繊維がうねりまくっている状態だそうで、ピンピンに尖った刃先だと力が一点に集中してしまい欠けやすい。上から見てトタン状というか山の稜線みたいな方が、色んな角度からパイプを切っている感じで良く切れるのではないかとの事。

砥石粒子の直径で言うと、柔らかい天然砥=8ミクロン、硬い天然砥=4ミクロン 人造8000番=1・84ミクロンと天然砥の何倍も細かい。しかしながら天然砥の粒子形状は、丸では無くポテトチップスの様なフレーク状な為、研ぎ傷の溝の形が人造と違う。





その他研ぎ筋が切り取り線になって刃が欠ける事。なので本当は表は縦研ぎが良いなど盛り沢山の内容であっという間に時間が過ぎる。

午後からは、ミニ削ろう会と参加者が持参した刃を電子顕微鏡で見てもらうコーナーが開かれた。

私もその場で杉の白太を削ってみて、自分なりに仕上がったと思った材と刃の両方を目次さんに見て頂いた。結果、研ぎ傷が深い事を先ず指摘され、顕微鏡の様子では10ミクロン程の欠けがあった。

欠けの深さの3倍が削る薄さの限界であると言われる通り、確かに30ミクロン位の厚みで削っていた。今まで勘でやっていた事が数値化され大変参考になった。



目次さん講習会1

2016-02-14 15:50:00 | 道具、砥ぎの話


「杉削りに適した鉋の仕組みと仕立て」と題して鉋鍛冶 目次伯光(めつぎ のりみつ)さんの講習会が開かれたので、行ってきた。

自身で「仕事を全然間に合わせられないので、職人だとは恥ずかしくて名乗れません。どちらかと言うと自分は研究者タイプなので、鍛冶仕事の出来る研究者思って下さい」と言われている。

小5でキング砥石を3枚擦り合わせて平らにする事を覚えて、大学生の時に土田刃物さんに出会い、土田さんの言う絵に描いた餅の鉋が世間に無いなら、自分で作るしかないと鍛冶屋を目指されたそうだ。

●桧の薄削りに優秀な鉋ならば杉も仕上げられるのか?と愛媛の山本さんに裏金と一緒に研ぐ合わせ研ぎで試した結果ダメ。

●千賀さんや阿保さんの経験談、また削ろう会会報76号より斎田真一さんの経緯より焼き戻し温度を195度にしたら良い結果得られた。

●常識では考えられない高い温度設定だったので(通常180度)まぐれや何かの間違いかと思い他の刃でもテストしてみたが、195度戻しの柔らかい刃の方が杉の白太が良く仕上がり長切れもした。(武生のvc2で57回で切れ止んだが195度戻しでは110回まで切れ止まなかった。)

●これを機に今迄使わなかった各種鋼でも実験。結果 炭素鋼では白紙1号がベスト。青紙は刃が欠けて良くなかったがミツヤさんと言う大工が何とか研ぎ直して切らせた。

●昔の鉋には良く切れる物があった理由は?お客が切れるよと納得するまで焼き戻し続けたのでは・・・勘で戻していたので正確な温度気にしなかった事も想像される。

さてここから実際の刃先の様子や刃の研ぎ方について





電子顕微鏡による刃先の様子





分かりにくいので補足の図



刃先の欠けが1ミクロン以下でないとその後何をやっても無駄になるので、まずそう言う研ぎが大前提。

続いて研ぎの手順:

1)砥石の砥面直し=3枚擦り合わせ







京都ミヤコシ製セラミック砥1000番(特に硬い物をよってもらったとの事)3枚それぞれ表裏決めて、表面同士を回転さす様にこすり合わせる。手に伝わる抵抗でどこが高いか判断し、高い所同士部分的に擦りおろし再び回転。3枚どの組合せでも回転させた際同じ感触になるまでになると、平らになっている証拠。

定規では見きれないのであくまで手の感触のみ

2)同じくミヤコシ2000番擦り合わせ

3)シャプトン2000番をミヤコシ1000番で面直し ※シャプトン砥石4分以下の薄さになると、たわむので何枚か貼り合わせる。また乾いている時と濡れた時で形変わるので使う直前に面直し必要。

4)シャプトン8000番をミヤコシ2000番で面直し ※1000番だと仕上げ砥直すのには粗すぎる為 8000番狂いやすいので半分の長さにして使用。

5)8000番で裏研ぎ 刃先2センチ砥石にかけ10往復



6)裏の様子顕微鏡でだれた所確認。目次さんは鉋刃を片刃でなく両刃と考え(表28度、裏2度)と考えられている。また裏の巾が1ミリ以上になると平面精度が下がり刃先まで砥石が当たらなくなると言われていた。但し刃先当てようと後ろ上げてはいけない、余計に収集つかなくなるので注意!

7)裏OKならばシャプトン2000で表研ぎ(ほぼ横研ぎに近い斜め研ぎ)





8)8000で表研ぎ:研ぎの向き変えて平面確認=3枚擦り合わせの理屈



9)ヒラヒラの薄い返り(=撫でるとほぼ取れる位)確認出来たら、8000裏研ぎ 砥石に15ミリのせる

10)2~3度角度立てて、表研ぎ



出来た刃の様子







表の方はセンで中すきされている。センの硬度鑿に近いので鑿で代用出来るとの事。















引き続きこんな物も届いたので

2016-01-10 17:06:05 | 道具、砥ぎの話




裏出しレールに続いて刃の方も到着。見ての通り見事な裏出し

下手に触ってこの状態を壊さない様に、作ったご本人に電話でアドバイスして頂いた。





Q砥石にどこまで掛ければよいか? 

A普通の刃みたいに屈んでいないので、カイサキまで砥石に乗せても頭の方は当たらない。逆に刃先だけで当てない方が良い。


Q糸裏をキープするコツは?

A縦裏(脚)はどうしてもいずれ太くなりますよ。

との事。



画像では見づらいがこの様にベタッと置いてもカイサキより上の頭の部分は浮いていて、必要な部分が平らになっている。

更に後日台打ちした際に気付いたのだが、2枚の刃がほぼ同寸法で出来ていて、お互いの台を入れ替えても少し直せば使える精度が出ている。

以前仕事場にお邪魔した際も、目の前でグラインダーを使い刃を成形して貰ったのだが、フリーハンドでやったにも関わらず全て刃角28度 傾きも全くなかった。慣れてるとは言え驚きの身体能力である。



ところで今回55ミリを2丁作って頂いたのだが、この直後にこのサイズの鉋まとまって出回った。黒裏作るの大変らしいので、沢山作った中から1番良いものを内に送って貰ったのでは!?と勝手に想像している。


遅くなりましたが・・・

2016-01-10 15:26:38 | 道具、砥ぎの話


遅くなりましたが、明けましておめでとう御座います

ろくに更新もしないのに毎日沢山の方が訪問して下さり有り難い事です、今年もお付き合いの程宜しくお願いします。


さて早速なのですが、以前浩樹さんの記事で玄翁の櫃穴を開ける「目打ちがね」の材質についてコメントして頂いたので紹介しておきます。

「熱間ダイス鋼」ではないですか:金属は高温になると強度が下がるが「熱間ダイス鋼」は300~400度ならば強度、硬度がたもたれる。

それ以上の熱対抗性を持つ「ハイス鋼」は硬過ぎて耐衝撃性の面で不安があるので、使われないのではないかとの事。非常に的確な御指摘ありがとうございました。


それから話が飛びますが気になった事:道具好きの方のブログで私の記事が無断引用されているのを見かける様になって来ました。

そんな中で「鉋の裏出し」について少し間違って解釈されていたので訂正させて頂きますと・・・

裏出しの前にまず:
 
1)ねじれのチェック ※ねじれあれば、割れ防止の為に刃先をつぶします(ここを勘違いされてた)

2)ねじれ直し

ねじれ修正後:

3)潰していた刃先を荒砥石、グラインダー等で通常の刃角へ整形

4)軽く仕上げ砥石にあてて裏の出具合チェック

5)ここで初めて裏出し

しのぎ面ある程度叩いて耕された状態になると、玄翁の効きが悪くなるのとどこを叩くか判りづらくなるので、一旦叩き傷消えるまで荒砥石で研ぎ直し、希望の裏出るまで繰り返し。


6)刃研ぎ(中砥から)

7)台打ち~台直しへ

引用される方 折角なら正しく引用して下さい。それから何かしらコメント頂ければ嬉しいです。
          





こんな物が届いたので・・・

2015-08-02 15:28:33 | 道具、砥ぎの話








まぁ見ての通り裏出し用のレールと槌:2年前に鍛冶屋さんにお邪魔した際に預けてきた物がようやく帰ってきた。

形は勿論のこと、レールの方は焼き戻して柔らかく、槌の方は逆に焼き入れして硬くなっている。(鍛冶屋さん本人と同仕様)

裏を当てる部分の角度





寸法は左右で2種類あり、10×20㎜と8×15㎜ 高さは両方とも5㎜

槌の重さ:穴の大きいほうで350g、小さい方が370g

さて改めて良く見ると、自分は今迄何を見ていたのか反省させられる。

一般的に言われている裏出しの概念=叩く真下にレールの角を持って来るでは無い!!と言う事。

説明によると、

●刃を少し上にずらしてあまり槌を利かせ過ぎない

●レールも槌も角を少し丸める。丸め具合いは人それぞれなので自分に合った形に。右利きならば、左下の角をよく使うのでそこを細工する。

●叩いて鉄片が出る様ではいけませんとの事。

改めて本家の画像





使っていく内に角がだれて来たら、柄を抜いて上下入れ替えて使うとの事。確かに上下入れ替えても左下の角が削られた状態になっている。

ついでに全体のフォルムと柄の長さ8寸5分(頭いれて)



レールの当て具合



こんな感じか?今後調整していく予定。少なくとも次の当て方では無いと思う。



本家の画像





実際やってもらった裏:分かりずらいが、刃先から15㎜あたりにレールの当たった跡があるのが解かる。



別の刃