芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

明けましておめでとうございます

2017-01-04 11:31:43 | 柄の話
明けましておめでとうございます、例年通り、もたついている間に年が明けてしまいました。

うっかりウィンドウズ10にしてから、写真の取り込み方が分からなくなってしまった事もあり、すっかりご無沙汰しています。(デジカメ~パソコン~画像圧縮~ブログ用画像フォルダーへアップと言った大変時代遅れなやり方でやっているので御察し下さい。)

こんなずぼらブログでも、毎日多くの方が楽しみにしてアクセスして頂いている様です、有難う御座います。今年も気長にお付き合い下さい。

では、早速





以前送って頂いた裏出し用の槌、櫃穴の精度が全く出ていなかったのでヤスリで擦り直し。

今回の柄は御本家を意識して太めにする事に。





上が御本家そして・・









寸法:左側が長さ=260ミリ 肩の断面=30×21ミリ 柄尻の断面=42×32ミリ 櫃穴=29×11ミリ

右側 長さ=243ミリ 肩断面=25×21ミリ 柄尻断面=44×31ミリ 櫃穴=21×11ミリ

今回太さを確保したかったので、首の所に肩(=胴付き)をつけた。





左側の物は、穴の背が30ミリも有るのが功を奏して、かなり良い感じの握り易さに出来た。今後150匁~の重めの玄翁は肩を作ってこの形にしようと思う。

右の物握り心地悪くないが、首付近の断面は縦にひらたい方がずっと良い。見た目はおかしくなるが高さ方向にも肩を作れば良かったと後悔した。柄尻の大きさは、2本共ほぼ同じなのに大分印象が変わってしまう。


玄翁柄すげ -参考・耕木杜-

2012-05-06 17:49:19 | 柄の話


10年程前に自分で柄入れした玄翁もついでにすげ直してみた。

今回は、耕木杜の阿保さんの寸法を参考にして、
100匁で太さ27.8×33長さ308㎜
150匁で太さ33×45長さ288㎜

阿保さんのデーターでは100匁で32×42×308㎜ 160匁で34×46×288㎜
実際その太さだとあまりにも太い感じがしたので、縦横同じ比率で一回り小さな
寸法にしてみた。







まずは柄抜き。




  
原寸図を作図してみる:打面を下にして、玄翁を垂直に立てた際に、
床から5分隙間がいく角度に設定。全体の長さの3分の1ぐらいまでを
真っ直ぐにしてそこから柄尻までをアールで結ぶ。





櫃穴に入る部分は以前に紹介した通り、実際の櫃穴のアキ寸法プラス0.6㎜。

ノギスで穴の上側と下側の寸法を測ってみて、表裏の寸法が、
同じになっているのが理想だが、誤差が大きいようならば、ヤスリで真四角に
なるように整形しておく。



差金を使って、直線部とアール部を繋げる墨付け。



木表が下端に来るように木取り



アールの深さまで鋸目を入れておいて、鑿と鉋で成型していく。









100匁も同様に作成。









削り終わったら、仕上に堅木をこすり付けてやる。すると不思議な事に
使い込んだ様な艶が出てくる。





柄尻を丸めて出来上がり。150の方は、ちょっとごつい感じ。
100の方は今迄作った中で、一番しっくりくる形。



これに比べると土田刃物式の寸法は柄尻が細すぎて80匁以上の重さだと
振った際に、すっぽ抜けそうになるので、親指と人差し指の間に余計な
力がかかってしまう。(頭が軽いとつまむ感じで振れるのでいいのだが)

今回の柄尻の寸法だとどちらかと言うと、小指、薬指の辺りにフイットして
スムーズに振れる感じ。




鑿の柄直し

2011-10-09 16:18:20 | 柄の話


細軸の鑿を新調したのを期に、前から気になっていた鑿柄を
少し手直しした。(画像上が新調した鑿柄:かなり細い感じ)

上に比べると必要以上に太く違和感を感じる



とりあえず穂を抜いて冠、口金も取り外し豆鉋で削り込み作業









以前頂いた資料に拠ると、柄丈から口金分の高さを引いた残りを
3等分し、打面から口金に向かって3分の2まではストレート

その先は口金に向かってゆるくテーパーというのが基本的な形。

今回はそこまで厳密にできないので口金の広い方の太さと柄の太さが
なるべく同じ太さになるように削り込んでみた。



次に口金の付け根部分を左画像の様に、面取り加工

口金と冠の取り合わせは下の様に冠の狭い方の内径と口金の
広い方の外径が同じなのが理想的だそうだ。

これにより自ずと柄の太さ、プロポーションが決定される。





市販の冠下げ器で冠を下げると、どうしても矢印部分がめくれて
痛んでしまうので、一回り大きな冠を下に敷いて冠を下げてみた。







こんな感じで冠を痛めずにきれいに下げる事が出来た。

刃を戻す前に冠から出ている木部も叩き丸めて完成。



追い入鑿:この場合板目が正面に来て木使いもおかしかったので、
柾目が正面に来るようもすげ直した。



叩き鑿



鉋で削る際にあまりつるつるに仕上ずに面巾一分くらいに刃痕
を残してやったので手が滑らずいい感じである。

見た目もぐっとシャープな感じに仕上がり、気持ちよく道具が使えそうだ。




玄翁の柄すげ直し

2011-08-21 15:35:06 | 柄の話
「鑿大全」に載っていた資料等を基に玄翁の柄すげ直し



左がおおよその資料通りの寸法:全長1尺、柄尻寸法=8分5厘×8分

左に比べ、柄の長さ、太さ共あるので振り心地重く



ヒツ穴部分の精度も悪い。



柄の抜き取り作業:







柄の長さ1尺にカット



ヒツ穴部分の加工:相田浩樹さんのページに習い、ヒツ穴寸法をノギスで測り+0.6ミリの寸法になるように木部を削る。

いろいろやってみたが、結局鑿で地道に削っていくのが一番確実で

やりやすかった。



ヒツ穴部分は完全に長方形、そこから柄尻に向かい3寸3分程同じ厚み、

後は柄尻に向かいラッパ状に削り込み。



出来上がった様子:ノギスで測ったきっちりした寸法があるのでその通りに

加工できればきれいにすげこめた。



引き続き大玄のすげ直し:これは玄翁の大きさに対してヒツ穴が小さい

ことと、抜けた柄を見てもらえばわかるが穴上部にクサビしろが取ってある為に

柄の上部が広くなっている。



片側だけ上に行くほど寸法が広がっている。

加えて上部の穴に何故か面が取ってあったので、そのままでは柄をすげた時に

上部に隙間が出来てしまう為、ヤスリで成型し直した。



玄翁の垂直と柄の水平の関係:指一本半程入る寸法にしてみた。



柄尻の寸法は図面通りの8分5厘×8分ではどう考えても細い気がしたので

1寸×9分5厘程にした。(中間のストレート部分は中玄の時と同様に)

好みや腕力のバランス等あるが、重い玄翁は柄を短く握り部分は太くした方が

安定して使える気がしていたが、耕木杜の阿保さんも同じように

感じられていたようで、重さによって9種類の柄の寸法を使い分けて

おられるので最後に紹介します。








玄翁の話

2010-07-04 09:17:02 | 柄の話
ナイフマガジン最新号の「土田昇×甲野善紀 日本の大工道具を語る」で穴屋大工の玄翁の柄の仕込み方や使い方が紹介されている。

玄翁を持つ腕の肘の位置の件の意味がいまいちよく分からなかったが実際にやってみると鑿の尻面と玄翁の打撃面の位置関係が良く分かる。



肘が下がっていると、打撃面が斜めに当たるので、上手く力が伝わっていない。今まで鑿の尻面に妙な打ち傷が付いていた原因がよく分かった





肘の位置を高くすると、打ち面が真っ直ぐ当たるので力が上手く伝わることが推測される。




この時玄翁を持っている指はしっかり握りこまずに、親指と人差し指でつまむ感じのほうが、コントロールが利くそうである。




この他玄翁の製造工程の紹介では、櫃穴あけの説明がされている。以前竹中大工道具館で見たビデオの様子はどうもこの何回かにわたる櫃穴あけの一工程だったようだ。

甲野善紀氏の体さばきの説明「居つかないようにする」は身体をリラックスさせてとっさの俊敏な動きに対応することなのだが、スポーツを始め日常の色々な場面にも応用出来る。

玄翁の柄入れ その2

2010-01-03 17:04:23 | 柄の話
大玄の柄は、普段もっと太く短くすげるが、土田さんが、実際にすげた柄を振らせてもらって、いい感じだったので、今回は穴屋大工が使っていたと言われる形に挑戦してみた。


普段は木取りから始めるが、道具屋の御主人が是非これを使って仕上げてみなさいということで、市販品の赤樫を使用した。

1)まず、全体の長さを1尺にカット。

2)ひつ穴部分の加工:上側の基準面を鉋で平らに削り、高さ方向を昇降盤で決定する。



3)穴に対してのきつさは、3分入る程度。巾方向も同じ、マッチ箱のように真四角に削る。



4)グリップエンドの寸法:教わったのは、高さ8分5厘×巾8分(内側の墨)。それではあまりにも華奢になりすぎる感じがしたので、9分5厘×9分にした。(外側の墨)木目の向きは本当は木表が下。今回は市販品の為、逆の木使いになっている。



5)ひつ穴側の寸法とグリップエンドの寸法が決定されているのでその2点をゆるやかなアールでつなげる。上端側は直線にする。上端にアールを付けたい場合は、ひつ穴に入る部分をくの字に下げる

※ひつ穴に入る部分は、あくまでも四角。実際挿さり終わった地点からグリップエンドをアールでつなげる。




6)柄を削りこむ前に下端のアールを仕上げてしまう。



7)上から見た形状:ひつ穴側から柄全体の半分の距離までは、穴の巾とほぼ平行。残りの半分の距離をグリップエンドにかけてラッパ型にアールをつける。このことによって、すっぽ抜けが防止できる。




8)あとはひたすら削り込み作業。ひつ穴部分は削りすぎると台無しなので最後の微調整は、カッターナイフをスクレーパー代わりに削り進む。

9)アール部分の削りは豆平鉋や南京鉋を駆使する。あまりつるつるに仕上げず、滑り止めに一分巾の削り跡が残る様に仕上げる。




10)削り作業終了後、いよいよ柄入れ。頭の向きは銘が切ってある方が柄側、握った時に下側になる方向が正式な向きだが、この点については、別に木殺し面が下側に来ても良いと思う。

11)柄の先端を軽く面取りした後、ひつ穴に挿し込み、グリップエンドを別の玄翁で叩いてやると、反作用で柄が入っていく。
途中止まってしまうようならば、スクレーパーで、厚い部分を慎重に削り、入れ進む。




12)驚異的な精度のひつ穴だったので、セオリー通りにやれば、一発できれいな柄すげができた。




13)グリップエンドの仕上げ:柄すげ後切り出しペーパー等を使い、グリップエンドを少し丸く仕上げてやる。

刃物だけでは仕上がりきらないので、♯120から始めて、最終的に♯800~♯1000のペーパーで磨いてやるとかなりきれいに仕上がる。




普段愛用している中玄とのグリップエンドの形状の比較。右端は、赤樫で胡桃油仕上げ。今回柄すげした物も胡桃油を塗ってやれば同様の仕上がりが予想される。



今迄使っていた、大玄との比較。左3つが180匁。一番右は120匁。



普段愛用の100匁中玄との比較。





玄翁の柄入れ その1

2009-12-13 16:55:57 | 柄の話
珍しい玄翁が手に入ったので、次回から順を追って柄入れの様子を紹介したい。まずは、じっくりと御覧いただきたい。







ヒツ穴の中の様子:ほぼ真っ直ぐ、上下の大きさもほぼ同じ陶器の様な焼き肌も美しい。



樽型の為、平らな基準面がないにも拘らず、ヒツ穴の精度はバッチリで、神業としか言いようがない。



トレードマークのへそ:打撃面も精度よく火造りがなされていないと、このようにはならない。180匁で刻み専用なので両面共平ら。








鑿の柄 その3

2009-12-13 14:43:34 | 柄の話
いただいた資料の補足内容

1)8分の叩き鑿の場合、鑿全体の長さ一尺5分で柄の長さおよそ5寸1分2厘

2)柄の形は柄の全長から口金寸法を引いた残りの寸法を3等分して、カツラ側から3分の2をストレートに削り、残り3分の1を口金方向に対し、ゆるやかなテーパーをつけて削る。
  
長期間使用して、残り3分の1の地点に達するとカツラが抜け落ちるので、それが柄の寿命

3)カツラの木殺し側、即ち玄翁で叩く側の内径と口金の広い側の外径が同じ。 口金の狭い方の外径は穂の胴付面の径=マチ径と同じなので、おのずと柄の太さが決定される

4)込みの長さとホゾ穴の深さが同じ。ここが深いと口金が柄にめり込む

以上の通りにすると全体的にほっそりした柄になるはずだ。刃の切れ味と打撃の伝わり方のバランスを考えれば、必要以上に重い玄翁で叩くと切削力よりつぶす力の方が多くなる。

80匁程度の重さで軽く振り下ろして切れていく感じが良い様だ。




6分、3分鑿の柄の太さの比較:それぞれ右側が理想的な太さ。(6分で20φ、3分で19φ)左側は口金に対して柄が太すぎる(6分、3分共22φ)


以下、あまり良くないと指摘された例:口金の内側に取られるべき面が外側にとられているので口金本来の目的である柄がコミをしめつける効果が弱い。



カツラの内部に段差がある為か、抜けやすい






鑿の柄 その2

2009-11-15 18:02:49 | 柄の話
鑿柄の仕込


1)口金と木部の境目を木槌で叩き、穂を抜く。この際、後で穂先を戻すときの向きがわかるように目印をつけておく。



このままだと口金が木部にめり込み、後々割れの原因になる



2)口金の導突きが木部にめり込まないよう、面を取る。



3)口金側もヤスリで面を取っておく。



面が取り終わった口金



木部、口金、面取り完了



口金内部がさびついていて、木部からはずれない場合はガスコンロ等で口金をあぶってやる。熱が完全にさめると金属が膨張して、簡単外れる。濡れた新聞やキッチンペーパー等でこがさないように、養生してもよい。さびはカッターナイフをスクレーパー代わりにして、取り除いておく。



4)穂先がないので、下の様な治具を使うと簡単にカツラがはずれる。



5)当木をして、カツラを下げてやる2~3mm木部がカツラより出れば、よいだろう。玄翁で、出た木部を丸めてやって完成。塗装がしてある場合カツラを仕込む前に、剥がしておく。




穂先がないので、刃をいためる心配が無くどんどん叩ける。刃のほうも柄が無いほうがずっと研ぎやすいので、別々に完成させて最後に合体させる。最初につけた目印の向きに穂をあらかた差し、柄の尻を叩いてやると、反作用できっちりささる。



鑿の柄 その1

2009-11-15 16:33:58 | 柄の話
鑿柄の口金部分の仕込みがどうなっていくか


通常の口金導突部分(木部に直接当たる形)


上の状態で使い続けるとこうなる



口金が木部に食い込んで割れた状態。※犬の糞ではない



別の鑿柄。上と同様に口金が木部にかなり食い込んだ跡



以前に口金部分の仕込み法を紹介した物を読んだ事があり、なんとなく気にはなっていたが、具体的にどんな事をするかが、あまり詳しく書かれていなかったので、自分流に木部に面を取るぐらいしかしてこなかった。

最近、鑿柄のはずし方を教わった際に資料を分けていただいたので、紹介したい十数年前の勉強会の資料らしいが、今迄知らなかった事が色々書かれている。手書きなのも今の時代かえって新鮮だ。