芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

2011 松本研修会

2011-07-17 17:27:15 | 建具について


毎年恒例の松本研修会プラスミニ削ろう会が今年も行われた

今年は新潟から現代の名工渡辺氏を講師に招き、建具についての話を

して頂いた。



先ず木の使い方、木表、木裏をどういった方向に使うか

見付面に、板目又は柾目を持ってきた時の効用等基本的な木取りの

方法に始まり、後半は実物の作品を見せて頂きながらの技法や

使用道具の紹介、説明などをして頂いた。













今年36歳の若さながら、この世界に入って18年、

27歳で至上最年少の現代の名工に選出されただけあって、技術はもちろん

木の扱いに対する深い洞察力はさすがである。

私もまがりなりにも、建具で生計を立てさせてもらっているが、

全く次元が違うのを思い知らされ、背筋が伸ばされる思いがした。


木の基本性質 つづき

2009-11-08 14:46:50 | 建具について
木の反りを正しい向きで使う実例


画面左側は戸の反りが壁と当たる向きで悪い例
画面右側は戸の反りが壁と反対側に逃げるので、戸がすらない





左の様な戸の向きになっている設計は以外と多い。メンテナンスで、

頻繁に呼ばれたり、戸を作り直した事もある。

簡単な理屈なので設計時に是非気をつけて欲しい。


又、別の事例として、無垢のテーブルの天板に汚れ止めの

ビニールシートがかけられたため、天板の裏側ばかり乾燥して、

板が反り上がっていたが、ビニールシートをやめ、通気性のある

テーブルクロスに交換してもらったら、反りが戻った。

この事例も木の基本性質にそった事をしなかったために起こった事。

皆さんも家の中をもう一度チェックしてみよう。



木の基本性質

2009-11-08 11:50:50 | 建具について
木の基本性質を簡単に言えば、乾燥すれば縮み、吸湿すれば膨らむ。
この2つを覚えておけば建具や家具が狂う原因や対処法に役立つ。

下の写真は、薪ストーブの前に段ボールを置き、ストーブの熱で乾燥
していくと、どのように段ボールが変形していくかを捉えた物。

ストーブ側に膨らんでいる。つまり反対面より水分が多い状態


数分後、ストーブ面にほぼ平行。(段ボールの表裏の水分量がほぼ同じ)


さらに数分後、ストーブの熱で乾燥して、縮んだ状態。

家の中でもこれと同じ原理が働くと木が極端に反る。

例えば、直射日光が当たる箇所やファンヒーター等の温風が
直接吹き付けられると、その面が乾燥して縮む。

逆に脱衣場や台所等の湿気の多く発生する場所は、
吸湿して膨らみ、乾燥した時と逆側に反る。

この理屈にのっとり、実際の設計現場での注意点を
見ていきたいと思う。            つづく