芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

間一髪

2009-01-25 17:13:19 | 心に残った話、出来事
去年は本厄で、普段考えられないような出来事がいくつかあったが、中でも今思い出しても、よく無事でいられたと思う出来事があった。

建具のホゾ取りをしている時に「バーン!」という音と共に、突然材料が割れた。金属が折れるような感触があったので、材料の中に、釘などがささっていたのかと思い、機械を止めて調べてみた。

床の上に何かが落ちていて、それが取れてしまった機械の刃先だと気づいた。(しかも2ヶ) 
それが自分の方に飛んできたら大怪我、もしくは死んでいたかと思うと一寸怖くなってしまい、しばらくの間、何もできなくなってしまった。

偶然だったかもしれないが、年始めに近くのお寺で厄払いをしてもらった、御利益だと感じる。
今年も同じお寺に厄払いに行って、謙虚に暮らしていきたいと思う。


手前にあるのが欠けた刃。こんな物が飛んできたら、ただではすまない



衝撃で裂けた材料と折れた定規棒
























丸太の皮むきをしました

2009-01-12 15:02:19 | 建具屋のかあちゃん
年末に父ちゃんと、材木市で買った桧の丸太の皮むきをしました。

2人で2日かかって大体20本くらいやりました。

晴れた日を選んで、えっちらおっちら 

乾燥していない、水をたっぷり含んだ切りたての丸太は

皮むき器でピューッとむくと、木からしぶきが飛びます。

冷たい風が吹く日でしたが、すぐに暑くなり、薄着で

がんばりました。

何故丸太の皮むきをするのかといえば、父ちゃんに言わせると

木を食う虫が入りにくくなるからだそうです。しばらく工房

で桟積みして寝かせなくてはならないので、折角買った

建具の材料に虫が入ってしまったらいやだからという

訳なのですが、それにしても重い丸太を転がしたり、

結構重労働で、上半身筋肉痛になりました。

(ちょっとは筋肉ついたかな)







台打ちをしてみての発見(その6)

2009-01-04 13:28:16 | 道具、砥ぎの話
手打ち台の効用:自分で台打ちをすると、前回に書いたような二度手間な手直しをせずに仕込みを進めていける。今回は台そのものについて少し書いてみたい。

大量生産の機械堀りの場合、9割方は機械で掘り、最後の仕込みを手作業で調整している。
だから、機械のセットも寸八を標準としたセットのままで他の刃巾にまで対応させている。この為、台厚や芯棒の太さは寸四だろうが、2寸だろうが同じで、好みの寸法にした場合どこかで無理が出る。

手打ちの場合は自分の好きな寸法の台を用意できる。又意外と取り上げられないが、屑たまりの部分の角度を70度に立てることによって穴掘り部分を小さくできる。(通常は60度)
この事は台の欠損を少なくし、狂いが出にくくなるし、穴が小さい分掘る手間も減って、一石二鳥の効果がある。また、好みの問題だが、見た目がよくなる。

板目か、柾目についてだが、私の経験上、柾目の方が断然狂いにくいと感じる。
さらに植物オイルを全体に塗ってやれば、より狂いが少ない。(※油台とは違う)

押さえ棒を付ける場合は、4㎜Φくらいに細くしたほうが見た目にも効き具合もよい。(3寸釘でもOK)


左が手打ち台、右が機械打ちで厚みを落とした物。屑たまりの角度や押さえ棒の太さの違いに注目


台打ちをしてみての発見(その5)

2009-01-02 16:38:49 | 道具、砥ぎの話
台屋さんが作る鉋台は通常、寸八サイズを基準に設定されているようだ。
その為、刃巾が狭くても同じ台厚になっていて、分厚く重いバランスの悪い鉋台しか市販されていない。

厚みで言うと、一寸二分(36ミリ)が標準厚。自分は指が短いので、この厚みだと厚すぎて握りこみにくい。

寸八サイズだと9分5厘(28ミリ)ぐらいまで厚みを落とさないと、使いづらい。
普段は寸四サイズを一番よく使い、台厚を一寸から一寸一分に落としている。
3ミリから6ミリといった数値的には少ない寸法だが、この差は大きい。

ところで、市販の台の厚みを落とす際に、大体巾方向に大きな隙間ができてしまう。(向こう側が丸見えになるくらい)

我慢して使えば使えなくもないが、やはり左右の遊びが大き過ぎるので、刃が傾きやすい。また、何といっても新品にもかかわらず、すでに残念な見栄えになっているのが、どうにも納得し難い。

市販鉋の場合、今まで書いてきた刃のひずみ直しや、片刃砥ぎになっているかのチェックはもちろんしていない。
刃裏の状態も100%自分で直さないとならない状態で、台屋さんが仕込んでしまうので、結構さかのぼって手直しをしないとならない。

自分で台打ちをするにせよ、人に任せるにせよ、順番としてはまず、鉋身を正常な状態にしてから台打ちをしないと、細かい点で、後からの直しが多くなるのが私の実感だ。




台打ちをしてみての発見(その4)

2009-01-01 15:25:19 | 道具、砥ぎの話
片刃砥ぎの弊害について:刃先が鉋身の中心線と垂直になっていない状態すなわち片刃砥ぎのまま刃を平行に出そうとすると、当然台に対して、鉋身を斜めにしないとならなくなる。

片刃砥ぎになっていることに気づかずに、仕込んでしまうと、鉋身の上の方の左右どちらかと、刃口側の上でつっかえている方と逆側の部分を落とさないと刃がまっすぐ出ない。
逆にあたっていない方の側は、上下共必要以上に隙間が出来ていく。

刃を出す時は常に頭の片方ばかりを叩くことになり、巾方向に隙間のあき過ぎた鉋が出来上がる。

 
片刃砥ぎの刃を左右並行に刃を出そうとした場合、上の様に斜めに刃がささっていることになる。 

 
刃の傾きに合わせて巾の当たる所を削っていくと、上側では右に隙間、刃口側は対角方向に隙間ができる。