今年の研修会は、なぜか普段よくお見かけする事はあっても恐れ多くて
話した事が無い様な方々とお話出来た。
先ずは、直井棟梁。自分が持っていた玄翁に目を止めて下さり
「あんた道具好きなんやったら、これ見したるわ」
とカバンから何やら桐箱を出されてきた。
長谷川幸三郎 古代木目玄翁!!
「これって、本で見た事あるやつやん!」と思わず心の中で叫んでしまった。
そうこうしている内に、鑿鍛冶の田斎さん親子がやって来られ一緒に鑑賞する事に。
「はぁ~きれいな仕事だぁ~。さすが幸三郎さんだ!!」とまるで拝む様に
感心されている姿は、とても印象的だった。
息子さんは、櫃の側面を見て「あ~やっぱりこうなるんだぁ。この木目鍛えに
穴あけんのは、ちょっと嫌ですねぇ~」と、さすがに鍛冶屋さんならではの
目の付け所だ。
その他「直」銘の切り出し、「千三代」銘の延国鉋(これもほんとの初期型)を
見せて頂いた。
細かい点は良く解らないが、う一の銘の切り方やヤスリの掛け方が繊細で
丁寧に手仕事された物が発するオーラというか、風格が出まくっていた。
この鉋刃が納められている桐箱の表書きが、削ろう会のはっぴやTシャツで
お馴染みの是秀直筆「鉋」
「ちょっと貸してあげたら、コピー取られちゃってなぁ~エライ事だった」
と、笑っておられた。
その他箱書きの話から、桐の板は紙と違い筆が滑らないので、非常に書きづらく
普段字の上手な人でも子供が書いた字になってしまう事や、
碓氷健吾さんの奥さんも大変字が上手な方だが、箱書きの字をけなされて
書かなくなった話、先出の木目鍛え玄翁の箱書きは幸三郎さんの娘さんが
なさった事などを伺えた。
そんな訳で貴重な品を前に、とても写真を撮れる雰囲気では無かったので
残念ながら画像はありません。気になる方は「千代鶴是秀 写真集②」の
47ページを参照して欲しい。(※見せて貰ったのは100匁で、本に載っている物では
ありませんでしたが、見た目は近い)
その後、直井棟梁の人を寄せ付けるオーラにあやかれたのか小川三夫さんに
サインを頂けたり、
また鉋削りをしていると、何故か田斎さんが
「悪いけど、どうゆう風にやるか教えてくれんかな。削った事ないから解らんのだよ」
って嘘でしょ!?しかも何で俺ん所に、他に上手い人一杯いるでしょうが!
と思いつつもこれも何かのご縁、あつかましくも一緒に削る事になった。
更に「孫にもやらしてやってくれんかなぁ」と、こうなりゃままよ!
が案の定、黙って見ておれん大御所の皆様にあっという間にバトンタッチ。
やれやれ、おかげで良い経験をさせて頂いた。
その後、貞時鉋の樺沢さんがはな取りをしてくれたり、武藤さんが私の鉋の刃先を
スコープで見て「これだったら、5ミクロンいけるよ」と言って下さった事など
嬉しい事満載だった。
つづく