芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

2014松本研修会その3

2014-10-10 18:57:33 | 道具、砥ぎの話
玄翁の話しつづき



話し忘れていたが、浩樹さんいわく、そもそも釘を打つのが「金槌」で玄翁とは、鑿を叩くものと位置付けされておられた。

その為、打撃面の硬度も外側は少し硬く、中心部は鑿でもへこむ位に柔らかく作ってあるそうである。

数値的な事は重要視しておられず、感覚とか使った時のバランスに重きを置かれていた。

幸三郎は硬くて欠ける、浩樹はちょっと柔らかい。なんて言う話を何回か耳にしたが、今にして思えば、それらは釘を打っての話と考えられる。

今まで何も気にせず色んな物を叩いて来たが、これからは気を付けたい。

4)櫃穴が大きいと何がいけないか?について:



図を見てもらえば分かる通り、まず力が分散されてしまう事。そして大きな穴によって、穴側面の肉厚が薄くなり、柄をすげた時に穴が押し広げられ、穴と柄の密着度が悪くなる。もちろん強度も落ちるし、良い事は1つも無いとの事。

柄の強度が保てるならば、穴は小さい程よいそうだ。余談だが、叩き玄翁の穴の側面を肉厚にしてあるのは、単なるデザインでない事が今回よく分かった。

5)ダルマ玄翁について:



スケートで回転する時、両手を広げている時よりも、胸の前で腕をすぼめた時の方が、より早く回転出来る事はイメージ出来ると思う。

これと同様に丈の短いダルマ玄翁もクルクルと小回りが利き、狭い場所での作業や、色んな角度から鑿を打つ彫刻に向く。

6)その他

柄の握る部分がどうして円形ではないか?それは振り上げた時にぶれてしまうから。これは削ろう会々報で、槍鉋の柄について村上さんが述べられていた様に、まん丸だと手の中で回転して使い難い!と言うのと似ているのではないか。



それから鍛冶屋の槌は、打ち下ろし専門なので穴の位置が中心で無い事、作業によって柄の持つ位置を変えている等々。話は尽きないが次回からは、玄翁以外の話をして行きたい。