芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

薪ストーブあれこれ -ロケットストーブ-

2012-01-30 17:58:52 | 趣味




知り合いの大工さんでロケットストーブにはまっている方がおられるので、

見学させていただいた。

ロケットストーブについては色々なサイトで紹介されているので、詳しくは

そちらを見て欲しい。

今回見せていただいたのは、ご自分で考案された試作品。外側は版築=土と石灰

を混ぜ合わせた物を突き固めていったもの。





温められた空気は通常、外壁と内側の断熱層の隙間に流していくのだが、この場合

後ろ側一箇所に集め下へ落とし込んでいる。









焚口の径を小さくされたことで、長い薪が入れにくい事や熱効率が思ったよりも

悪い等御本人は改善点を挙げられていたが、出てきた煙もほとんど水蒸気の湯気で

きちんと完全燃焼させておられた。見た目も変わっていてなかなか格好良い。

次にドラム缶で作ったタイプも試し焚きしていただいた。







着火後数分で外側のドラム缶がほんのり暖かくなり始める。





煙突を繋いでいなくても、排気口から出る煙はあんまり煙くない。

ロケットストーブの名前の由来になっている焚口の吸気音は全くと言っていい程

しなかった。

少ない燃料で暖も取れて天板を工夫すれば、湯をわかすくらいの調理が出来るので

ここ最近とても注目されている。

簡単な構造なので、素人でも作れてしまうというのも魅力の一つだ。

廃品利用を上手くすれば、大変安上がりに製作できる点もありがたい。

ここ信州では年間の半分はストーブが必要なので、もう少しきちんと勉強して

是非取り入れていこうと思う。

※御自分で作ろうと思われた方、ロケットストーブについての

基本が書かれた本がありますので、基本的なことを理解なさってからにして下さい。

自己流は火災の原因になりますので注意してください。

山本文義講演会-番外編-

2012-01-22 16:19:16 | 道具、砥ぎの話


先週の講演会の後、改めて削ろう会会報を読み直してみた(58号~60号)

講演会で、聞き逃した点が詳しく載っていたので、おさらいの意味も含め、

紹介しておこう。

1.鉋台の芯材となる集成材部分は、初期の物が2~3枚の貼り合せ、
 その後3cm巾のものを10~12枚の貼り合せ、
 
 上下の接着位置はずらす逆目の向きは揃えておく。接着は木工ボンド





2.ステンレスパイプを仕込んだ以降の接着は全てエポキシ系接着剤
 ボンドEセットMを使用

3.木端方向にも補強と縦方向の曲がり防止で、パンチングメタル2枚、又は
 使用済みのゼットソーを切断した物を入れる。
 
4.アロンアルファを全面にしみ込ませ、乾燥サンディング後エポキシ樹脂を
 拭き漆のように全面にすり込む。
 
 乾燥、サンディング後、ウレタン塗装を削り面以外に施す。

5.台が狂った時は、通常の様に表なじみの高いところを削らずに低い所にエポキシ樹脂
 を塗って盛り上げる。
 
 製作時の面を維持し続けて台を減らさない。

 この様にして製作されたのが下の画像:外側の仕上材は枇杷の木。
 






その他、新潟のK久さんが見えられており、ご自分の作られた鉋の削り具合を

チェックされておられた。

どうも納得のいく削り屑があがって来ず、刃の出来栄えのせいか非常に心配

されていていると、すかさず別の大工さんが台の具合をチェックし次の様な事を

指摘された。

○刃先側の押さえよりも上の方の押さえが効いているので、鉋を挽く時により強く

上から押し付けてしまうので、屑がかすれた様になってしまう。

仕込みを良くすれば、もっと良い屑が上がってくるはず。

○巾方向がぴったり過ぎて、このままだと台が割れてしまう。

それを聞いたK久さんは安心されたのと同時に瞬時にそれらのポイントを

見抜かれた大工さんを非常に感心されておられた。

噺家さんの様に非常に聞き取りやすい口調で説明されていたので、

いつの間にか周りに大勢の人だかりが出来ていた。他にも、

○鉋身の長さについても、あまり頭部分を長くすると台に刺さっている

部分とのバランスが悪くなり、刃先に少し抵抗があると、てこの原理で、

振動が増幅され波打ってしまう。

○削っている感触がダイレクトに伝わる薄台では、よりこのブレが出易いので、

頭が短い方が良い。

○頭が短い刃の欠点としては、裏を押す際に地金部分を砥ぎすぎてしまい、

仕込みが変わってしまう事(押さえ溝に納まる部分)

○鉋の刃はクサビ状になっている為、刃を刺したまま馴染ませておかないと

狂いが出易い等々。





実を言うと、しばらく鉋を触らない内に台がすっかり縮んでしまい、前日には

刃が全然出ない状態だった。何とか削れる状態に仕上げて、当日削ってはいたが、

上の指摘に有るように、屑は波打っていたし、巾も利きすぎてひび割れが少し

入っていた。



集成台に臨む前にもっと基本的な所からやり直さなければならない様だ。

山本文義氏講演会-鉋台編-

2012-01-16 14:01:46 | 道具、砥ぎの話




前回砥ぎの説明をしたが、実は砥ぎと同じぐらい薄削りで必要なのは、台である。

このことは削ろう会に参加された方は皆さんお気づきで各自それなりの工夫を

されていると思うがそこは山本氏。並の鉋台で済むはずが無い。

基本的には、削ろう会会報で紹介されている尺鉋のつくりをそのまま小さくした

感じ。







画像が各工程の実物見本:芯材に横方向の角ステンレスを仕込みステンレスの

木口にウレタンフォーム、最終的な化粧板の下には御覧のようなステンレス

メッシュが仕込まれている。

各材料の接着には、エポキシ系接着剤(削ろう会会報59号にはボンドEセットMを使用となっているが正確には不明)









最終的に出来上がった表面から瞬間接着剤が含浸されている。

瞬間接着剤は水よりも浸透性が高く、塗料などよりもずっと木材の内部まで

浸透するので、使われている。

核となる芯材の作りは細かく集成されたものや上下二段程集成されたもの等様々。







木表木裏や板目柾目の使い方も一見すると法則性は無いように見えるが、山本氏

のことなので、何か秘密があるのかもしれない。



下端のすき具合は、2μ。これは下端定規では確認できない程の微妙な透かせ具合

なので、確認方法としては、2μに削った鉋屑を二台の鉋台に挟んだ状態で

鉋屑が引っこ抜けるかどうかで見ているそうだ。



基本となる下端の平面は平らな御影石に油を敷き、そこに鉋下端をこすりつけ、

油が滲んだ所を、カッターナイフで作ってたスクレーパーでこそぎ落として作る。

こうして出来上がった台と砥ぎで削った特徴としては、薄削りをしても、

一切屑たまりに粉がふかない。

又、通常薄削りの削り屑はくしゃくしゃとすぐ絡み合ってしまうのだが、

刃が良く切れているせいか、屑自体も両面仕上がっていて、つるっと

しているので、絡み合わないし、永切れもする。

最後に、気をつける点として言われていたのは静電気の発生。

山本氏の想像では静電気が発生してている瞬間に刃先にスパークが起こり

その際の高温で鋼が溶ける為、切れ止むのが早くなってしまうと考えられている。

防止法として、前日まで水に漬けておいた材料2枚で、直前まで削り材を

サンドイッチしておくことを挙げられていた。

あくまでも薄削りオンリーの仕込みと前置きされていたが、仕事にも充分応用

出来ると考えられる。

さてこの集成台、実は3年前の三木山鉋塾の際にすでに真似をされて作っておられるのを

見た事があり、その後色々な方のブログに山本さんの講習会の様子などが

紹介されているのも知っていたが、実物を目の当たりにするのは、

今回が初めてだった。

愛媛県内ではもちろん、関西方面では既に多くの方が見聞きされ、かなり普及

していると見受けられる。

しかしながら、私の住む長野県では実践している人は一人も居なく、

大分遅れをとっているのではないだろうかと感じていた。

賛否両論はあるだろうが、私自身は、良い結果が出せる一つの方法として

取り入れていきたいと思うし、未だ知らない人々に是非紹介していきたい。














山本文義氏講演会-砥ぎ編-

2012-01-16 10:23:56 | 道具、砥ぎの話


前回の少しおさらい。

砥石の表面にある無数の穴から飛び出した粒子が刃先と衝突して切っ先が

丸くなり、いわゆるだれた状態になる。10μぐらいの削りの場合

このだれは問題にならないが、3μ以下のきれいな鉋屑を目指すと

このだれが致命的な問題になる。

力を抜く程砥ぎ面は美しくなるが、切っ先は鋭さを失っていく。

      -町屋発ほんまもん 第3回新春初削り配布資料より一部抜粋-

そこで編み出されたのが、裏金を本刃にクランプして一緒に砥ぐ捨て金砥ぎ:

刃と同じ硬度に作ってもらったという特製裏金を本刃よりも0.3㎜飛び出させて

砥いでやると刃返り等のダメな要因が全て裏金で押さえられ、良い刃が

つくという方法。



実際実演された事を順を追って紹介すると、

1 裏金の刃先を0.3㎜程つぶす:番手不明の砥石に刃を立てた状態で4~5往復

2 裏金の裏押し:エビ印の焼結ダイヤモンド砥石♯8000使用
 (山本氏曰く色々使った中でこの砥石がベストとの事)



3 本刃の裏押し:同じくエビの焼結ダイヤモンド砥石♯8000





4 本刃の裏押し:天然仕上げ砥石の上に♯10000の白色パウダー(アルミナか?)プラス
  すべりを良くする為にグリセリンを2分の一希釈したものをかけた状態で研磨



5 自作のクランプで本刃と裏金を合わせる:締め付ける位置はしのぎ面の
  すぐ上くらいなので締め付けクランプの下端が砥面に干渉しないように
  刃と同じ角度=28度に削り落とされている。





  締め付け強さは砥いでいてずれない程度。おそらく締め付け過ぎると
 刃が変形するので、そうならない程度と思われる。

6 裏金側の砥ぎ:キングハイパー♯1000使用(斜め砥ぎ横砥ぎ)





7 本刃側の中砥ぎ:キング♯800か♯1000(不明)使用 (縦砥ぎ押し方向のみ)
※砥面が画像のようにかなり中高に仕上げてある。本人曰く、
両端との高さの差が2㎜。(実際はもっとあるように思われる)


この工程の意味が今ひとつわからなかったのだが、グラインダーでの中すき砥ぎ
の様に刃先に砥石が当たり易くする為の、準備工程なのか?



8 本刃の中仕上げ砥ぎ:キングG-1プラス♯10000パウダー、グリセリン液
 (斜め砥ぎ、横砥ぎ) 

9 本刃の仕上げ砥ぎ:4で使用したままの状態の天然砥石プラス♯10000パウダー、
 グリセリン液(斜め砥ぎ、横砥ぎ)



以上で砥ぎの工程は終わり、時間にして5分間程。

この砥ぎで削った様子:削り屑は見ての通り薄くてもかすれていない状態

屑先を持ってもらわなくても丸まらずに排出されている



補足説明として:

○砥面の修正はキングの♯800~♯1000(不明)とキングハイパー♯1000使用。







○手押しか、自動鉋の刃を定規代わりに砥面の平面確認をされていたが、砥面が

真平らになっている必要はあまり無いと言っておられた。





○実際、砥石の長さに対して刃の巾は4分の1程度なので砥面が狂っていたとしても

4分の1しか狂わないとの事。

○キング砥石の使用が多いのは、ただ単に昔から慣れ親しんでいるだけであって
砥石の番手は関係ない。あくまでもパウダーを転がす為の定盤であり、
その為もあって、砥面が狂う前に素早く研ぎ終わらなければならない。

○ストローク時の力加減は強め。決して力を抜かない事。





山本文義氏講演会-概念編-

2012-01-16 09:14:44 | 道具、砥ぎの話




昨日、大鉋削りで有名な山本文義氏の講演会に行ってきた。

とても内容の濃い講演だったので忘れない内にその内容の一部をここに紹介

していきたい。

今までの常識を覆す内容も多く、ついて行けない部分も多々あるが、

イメージだけでも掴んでもらえる事を願いたい。

まず山本氏が前置きとして言われたのは、次のポイント。

1 あくまでも薄削り用オンリーの研ぎと仕込み

2 従来の様な手を離しても砥石の上に刃がひっついて倒れないような
  研ぎをしたら薄削りはおろか、仕事削りも出来なくなった事

3 本等に紹介されている研ぎ方や仕込み方は、削りをやった事の無い
  学者や日曜大工程度のレベルの人が多い。

特に仕上げ砥石をかければかける程良いというのは、
次に紹介する刃先のダメージの点から言っても、やってはいけない工程



まず、砥石面がどうなっているかのイメージとして画像の様に表面に無数に

穴が開いていて、そこにゴマ粒の様に色々な物質がめりこんで飛び出た状態。

研ぎの際、刃先がこの飛び出した異物にどんどんぶつかり、ダメージを

受けて時間をかけて研げば砥ぐ程刃先が痛められる。

始末の悪い事に顕微鏡で見た際は、砥ぎ傷が減り、良い刃がついてきたように

思われてきたが、実際は刃先が、だれた状態になっている。



もう一点山本氏が指摘されていた点は、平らな物の上に平らな刃を

こすりつけても、実際は刃先と一番後ろ側に力がかかり、平らに砥げない

という事。

これらの事を解消する為に次回に紹介する砥ぎ編で捨て金を利用した研磨法を

編み出された。                         つづく

 

同世代への旅 -1967年とその周辺-

2012-01-04 15:26:57 | 心に残った話、出来事


昨年暮から始めたこのシリーズ

くずくずしている間に案の定、年をまたいでしまった。

今回、1967年(昭和42年)は私の生まれた年。

意識していた同世代と言えば、清原、桑田、三浦カズ等

20代の頃はあまりにも世界が違いすぎて遥か雲の上の存在で

その頃の自分の置かれていた立場を考えると自己嫌悪に陥らされていた。

40歳を過ぎた今となれば、気負いが無くなったのか、みんながんばっているなあと

素直に感じられる。

ところで、4.5年前の同窓会に行って、俳優の佐々木蔵之介が同級生だった事を初めて知った。



それ以前から気になる俳優だったが、まさか自分の同級生とは思いもよらなかった。

最近、話題のドラマや映画でも主役や重要な役どころが多いので

自分の事の様にうれしい限りである。