芭屋框組(はなや かまちぐみ)

残しておきたい情報や、知っておきたい事

こわれた瓦の再利用

2011-07-28 14:28:47 | 建具屋のかあちゃん
先日、テレビを見ていたら、震災等でこわれた瓦の再利用を行っている

会社が紹介されていました。

エコシステムという石川県の会社なのですが、いらなくなった瓦を

チップ状にして、アスファルト舗装材に混ぜれば、透水性のある道路に

変わるそうです。(4ℓの透水時間約4秒)

これがたくさん道路に使えば、少しでも大雨が降った時の浸水被害が

を防げるのではないでしょうか。



アスファルトだけでは水がしみ込まない



大雨で、道路が川になっている映像を見る度にそう思います。

又、多孔質な物性があるので、調湿効果があり、一度水を含むと気化熱

が奪われ、打ち水をしたような効果が現れるとか。

他にも、養分がないので、厚く敷き詰めると日光をさえぎり、

雑草を抑制する効果があるそうです。

さて、今回の東日本大震災では、大量の瓦が廃棄されたそうですが、

このリサイクルシステムで、少しでも再生される事を願います。




2011 松本研修会

2011-07-17 17:27:15 | 建具について


毎年恒例の松本研修会プラスミニ削ろう会が今年も行われた

今年は新潟から現代の名工渡辺氏を講師に招き、建具についての話を

して頂いた。



先ず木の使い方、木表、木裏をどういった方向に使うか

見付面に、板目又は柾目を持ってきた時の効用等基本的な木取りの

方法に始まり、後半は実物の作品を見せて頂きながらの技法や

使用道具の紹介、説明などをして頂いた。













今年36歳の若さながら、この世界に入って18年、

27歳で至上最年少の現代の名工に選出されただけあって、技術はもちろん

木の扱いに対する深い洞察力はさすがである。

私もまがりなりにも、建具で生計を立てさせてもらっているが、

全く次元が違うのを思い知らされ、背筋が伸ばされる思いがした。


土壁の家 その2

2011-07-14 08:26:58 | 建具屋のかあちゃん




先日、建具を取り付けた現場が土壁の家だったのですが、

この工法、素材が今迄に無いスグレものだったので紹介します。

普通、土壁の家というと下の写真の様に、貫工法で作られた構造材に竹小舞あるいは

木小舞と言われる下地を縄で編みこんでいくという、大変手間がかかる

工程をふまなければなりません。






その後もほぼ柱の太さ分の土を何回にも分けて盛り付け作業

ならし作業、また、土が乾くまでの日数や夏場の乾きすぎや、冬場

の凍結等気候や温度に大変制約が多く、土壁の家が快適で良いのは

判っていても、なかなか実現しにくい工法でした。


ところが今回の現場はまず、筋交い+間柱の上に「木摺り」と

呼ばれる薄い桟を釘打ちしただけ。





そこに中塗り兼、仕上材の「瀬戸漆喰」を塗っていって仕上がり。

おまけに強度は従来の土壁の5倍というから良いことづくめです。

この「瀬戸漆喰」は、今年4月に発売されたばかりで、

その特徴としては

1)牡蠣の殻から抽出した成分を使っている為、強度があり、

リサイクルにもなっている

2)アルカリ性の為、釘が錆びないので、「木摺り」を編まずに釘打ちできる

3)塗りしろが12~15㎜で済むので、少ない量で良い。

(今回の現場が1件分で、およそ2㎥程使用されたとの事)

薄塗りの為、断熱性は低いが、塗りしろが少ない為、従来の断熱材が入れられる。

4)塗りしろが少ないので、壁が垂れ下がってこない。ならし作業もしなくてよい

その他、貫工法で作らなくて良いので、刻みの手間が少なく、

現場で出た端材も「木摺り」に使えるので無駄が出ない等々。

このように大工手間の部分でも、魅力が多いのではないかと思われます。

元々石膏ボートやメッシュといった分別、リサイクルが出来にくい

物を使わなくて済むことを目指して開発されたものだけあって

これからの素材として注目していきたいです。