確かに生きる 落ちこぼれたら這い上がればいい (集英社文庫) | |
野口健 | |
集英社 |
登山家でヒマラヤや富士山の清掃活動をしている野口健さんの著書です。
リンクの本は文庫版です。私はハードカバーを読みました。ハードカバーでは、副題が「10代へのメッセージ」となっていました。若い人を対象に自身の人生を省みながら、若い世代への励ましの本なのですが、所々に語られる複雑な家族関係に、びっくりしながら読みました。エジプト人であるお母さんが、離婚して家を出てしまったそうなのです。
こんなことは、まあたまにはあるかもしれないけれども、野口健さんは、母が家をでていくきっかけになった異父兄弟の学費を、母側の経済事情がよくないので、支援されているのです。
年の離れた異父弟が20歳になるまで、という期限つきなので、もうその支援は終わられているかもしれない。異父弟自身からヘルプの要請があったそうです。
ほとんど一緒に暮らしていない、数回しか会っていない異父弟の学費支援というのは、ひたすら頭が下がります。
野口健さんは、関係ないと突っぱねると言うことはできるけど、内心絶対どこかで関係があると思っていると言います。100パーセント迷わずに関係ないと言えないと言います。
現実どうするか。山登りは、悪天候やメンバーの体調等で、進むか停滞するか、もしくは下山するかなどの決断の連続です。野口健さんの潔さを垣間見た気がします。
著者の意図ではない、本書の中では小さな扱いの部分のはずなのですが、私は一番感銘を受けたところです。