無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

食糧難の時代

2008-05-08 17:52:06 | 食べ物
yukacanさんのご母様が、戦争中に御祖母様の高価な着物で食料と交換した話を載せて貰ったが、父の話で我が家でも同じような事があったようだ。戦中戦後共、食料は配給で現金では相手にされず、祖母の高価な着物を農家に持って行き、米や野菜と換えたそうだ。私の祖母は本間家に乳母として勤めていた事があって、着物やら道具やら良い物があったらしい。食料との交換が進むと、我が家の良い物はそっくり某農家へ引っ越しをしたような形になった。米を担いできた農家の人が、家に上がり込んで勝手にタンスの引き出しを開ける様子を、悲しい思いで父は眺めていたらしい。

私が生まれた戦後も配給は続いたようで、記憶に残っているのは子供の食べるお菓子の「衛生ポーロ」がそうだった。それ以外は両親の力で私達はひもじい思いもせずに育った。私の母は農家の生まれだから、着物を受け取った方なのだろう。特段贅沢はしなかったが、食べる物には事欠かなかったようだ。

時代は変わって平成の世となり飽食が続き、廻りは輸入した食料でいっぱいになった。日本人は自らの舌を頼らず、消費期限や賞味期限に惑わされるようになり、形の悪い野菜は毛嫌いされ、コンビニの弁当は時間で捨てられ、食料の大方は毎日生ゴミにされた。船場吉兆の勿体ないは論外だが、毒入り餃子でハタと気が着いた頃には、日本人は自給率の低さに驚いた。それと前後して、世界はバイオエタノールを作る為に人間の食料に手を付けた。穀物の高騰は、地球温暖化によるオーストラリアの小麦の生産が低下しただけの要因だけではなかった。

現在は着物と食料を取り替える時代ではないが、現金を持たない国は飢えていく世の中だ。これが進んで現金でも買えない世の中になったら、どうするのだろうか。人口は増え続け、食料は減り続けていく。肝を据えて取りかからねばならない時代がやってくるかも知れない。
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6 コメント

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交換した着物 (とも)
2008-05-09 18:38:43
農家の人は、交換して手に入れた着物をどうしたんでしょうね? 野良着にしたわけでもありますまいに。

いつだったか、ひどい米の不作の年があって、外国米とセットでないと買えない時がありましたよね。あの時、あんなに、米は一粒でも大事にしようと思ったのに、なんだか、気持ちが緩んでもったいないことを時々したりしてしまいます。それでも心がけていることは、食べ物を必要以上に買い込まないようにという事です。

さて、これから冷蔵庫の中を検討して、捨てなくてすむように夕食に支度に取り掛かりたいと思います。
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待ってました! (Andi)
2008-05-09 19:26:04
それですよ。私も長年それが疑問でした。都会の人たちの「泣く泣く母の高価な着物を持って行って、野菜と交換した」という話はよく聞きますが、「うちは農家だったので、交換した高価な着物がたくさんありました。」っていう話は聞きません。農家の人たちは、その着物をどうしたんでしょう?やっぱり、野菜以外に、必要で手に入らない物と交換していたんでしょうか? で、その高価な着物はどこへ行ったの~?(欲しいよ~)

外国米とセットでないと買えないとか、ミックスされたお米などが出回ったのは、そんなに昔の話じゃないですよね。まさに、のどもと過ぎればあつさ忘れる。
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Unknown (yukacan)
2008-05-10 05:09:13
農家へ行った着物たちは今どうしているのでしょうね。100パーセント食糧自給と言われていたトルコも旱魃などの影響で小麦、米、乾燥豆等の値段が高騰しています。このまま行ったら「飢え」という文字とも無縁ではないような危機感を感じます。日本にいた時は感じなかった感覚です。
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ともさん (cake)
2008-05-10 11:26:15
本当にあの着物はどうしたんでしょうね。母に聞いたら判るでしょうか。母の知らない所で、やり取りは行われたと思うのですが。

それでも、野良着にはしなかったと思います。娘の嫁入りに持たせたとか、他の物資のやり取りに使われたのでしょう。足りなかったのは米や野菜だけではなかったと思うのです。

ももなさんのブログ「最近の出来事」で、ああなるほどと思える事が書いてありました。日本の米が消えていく事です。興味がありましたら、ご覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/sennin893/e/9d4957b4ee8b2237e243f619d2301fc3
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Andiさん (cake)
2008-05-10 11:32:15
高価な着物はどうなったんでしょうね。きっと良い物は自分の家に取って置いたと思います。タンスの肥やしになっていて、この時代になって古着屋に並んでいるのでしょうか。古着屋では、随分と昔の昭和や大正の着物も出ている事も多いですから。リサイクルされても、使って貰えるのは良いですね。
女性の体型も、昔と違って大きくなりましたから、せっかく勿体ないと仕舞っておいた着物も、寸法が合わなくて着られない事もあると思います。お端折で少しは融通もききますが、最近の女性は手足も長くなっていますものね。

お米がないと騒いだのは、そんなに昔の話じゃないですよね。もっと大変な時代が来ているような気がします。
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yukacanさん (cake)
2008-05-10 11:40:12
あんなに豊かなトルコなのに、何だか食料が値上がりを続けているようですね。以前に起こったインフレとは質が違うような気がします。今はお札が変わりましたが、以前は0を数えるのが大変でした。

トルコは干魃ですか。先日のミャンマーでのサイクロンの被害は、人命が10万人以上の犠牲が出たようですが、稲作の被害も大きいと思います。どれだけ田んぼに塩水が入ったか、怪我をされた方々も沢山います。復活するのには、随分と時間も必要になるでしょう。
地球が悲鳴を上げだしたようにも見えます。
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