まなびの途中

色々な仕事をしてまいりました。
色々な出会いがありました。
勘違いもありますが、
学んだことを書いてまいります。

全部調べたら、ものすごく大変なことになるだろうな。

2005年11月22日 | ニュースに絡んで
手抜き工事ではなく、手抜き設計があったんだ。
なんとなくの不安を感じていた「建築物」に対して、今回の事件ほどショッキングな
事件はないであろう。
以前、台湾地震で、ビルの倒壊写真を見た事があるが、柱の補強に、「赤ちゃんのコナミルク缶」が
使用されていて驚いたことがある。
鉄筋でなく、コナミルク缶をコンクリで固めた柱である。
無論、ポッキリ折れ曲がった。

昨年5月、改正された「建築基準法」が施行され、民間会社が「建築確認」が出来るようになった。
耐震設計偽造 国交省、月内にも刑事告発 姉歯建築士と6設計業者
の記事にも書かれているが、この建築士が計算した計算書を審査したのが、
現在、ホームページがパンク状態のイーホームズ。
姉歯氏がもともと頼んでいたのは、日本ERI。この検査が厳しいとのことで、
イーホームズに審査を頼んだと言うこと。

日本ERIは株を上げたんじゃないのかな。
この民間に審査を委託することは、「民活」の一環でもあるのだが、
アメリカでは、建築には行政の許可が必要だが、建築中に10回以上も行われる検査には
「インスペクター」と呼ばれる行政と契約した民間人に委託されている。
また、イギリスでは、建築確認の約半分は民間機関が行っている。
日本ERIのホームページに詳しい。

日本では、建設省以来、地震大国といった現状を踏まえ、建物つくるのが、何より
大好きな国民性、政治性だ。1つの問題がおきると、雨後の竹の子のように政府関係機関が増える。
国土交通省関係公益法人という一覧があるが、その住宅局。
いわゆる財団法人、社団法人で70以上もの団体がある。

例えば「財団法人 建築行政情報化センター」
  建築行政の高度情報化に関する調査研究を行うとともに、建築確認支援システムの
  普及等に関する事業を行い、もって建築活動の円滑な実施に寄与する。

「社団法人 日本建築構造技術者協会」
  建築構造の設計、工事監理等に関する学術・技術の発展を図ることにより、建築物
  の質の向上に貢献し、もって社会公共の福祉増進に寄与することを目的とする。

「社団法人 日本建築家協会」
  建築家の職能理念に基づいて、建築家の資質の向上及びその業務の進歩改善を図る
  ことにより、建築物の質の向上及び建築文化の創造・発展に貢献し、もって公共の
  福祉の増進に寄与する。

「財団法人 建築技術教育普及センター」
  建築設計・工事監理業務に関する試験の実施、設計・工事監理業務に携わる建築技術
  者の啓発及び資質の向上並びにこれらに係わる調査研究を行うこと。

「社団法人 日本建築積算協会」
  建築積算業務の改善と建築積算技術者の技術的水準及び社会的地位の向上を図り、
  以てわが国建築生産の発展に寄与すること。

まだまだあるぞ。
それらに、免許試験など、委託しつつ、言ってみれば育成、管理、指導、監督をも
行わせている。そしてさらに、建築確認については、民間に委託する。
何重構造になってんだろうか?ていうか、何をやってんだ、この団体群は。
責任の所在が、本当に見えてこないシステムは、日本の行政の特徴ともいえるが、
民法でも、「請負」に関する、特に建築の場合、建てちゃったものには、
なかなか悪意が無ければ、罰せられない、そんなシステムになっている。
だって、何かあったら、双方、飛びますから。
こういう大型の「事件」。いくつかが倒産して、なんの処理もされずに、また廃墟が
出現するんであろう。
もう、「国に」いくら訴えても、多分無理であろう。

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4 コメント

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Unknown (U-2)
2005-11-22 16:26:00
はじめまして。責任をたらいまわしにする仕組み、酷いですね!原子力発電所の汚染監視委託もそんな感じのようですよ。



原子力発電所の耐震強度も、直下型で、M6.5までなんです!神戸の震災のM7.3の何分の一なんでしょう。

近くの住民のこと、考えてんでしょうか。ほんとに~!
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Unknown (U-2さんへ)
2005-11-23 00:12:16
読んで頂いてありがとうございます。



本当は、管理を民間に委託することは、世界的な流れとして、取り組むべきことだと思いますが、委託した「国」の側が、なんだか、ほとんど責任まで、「丸投げ」しているかのようです。

そのくせ、天下りのような、機関がごろごろ。



お話にあるように、原子力発電も、国の政策として始めたわけですから、

本当に、もっと、ちゃんとして欲しい問題です。この件も、ちょっと勉強いたします。



これからも、よろしくお願いいたします。

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Unknown (yuta)
2005-11-26 02:31:34
KANATAさま、

大変ご無沙汰しており、恐縮です。



事件で明るみになるのは、いつも特定のスケープゴートのケースだけですが、とてもそれだけではすまないですね。



阪神大震災の際も、実は謳っている耐震基準に適合しない建築物がたくさんあったとのことです。

素人にチェックできない以上、プロの良心とモラルにかかっている専門の世界。

とても信頼できないですね。実際、地震が起こってみるまでは…。



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Unknown (yutaさんへ)
2005-11-26 10:01:02
こちらこそご無沙汰いたしております。

お立ち寄りいただいて、ありがとうございます。

いつも拝見させていただいては、こんなに上手く書けたらよいなぁ、とyutaさんのブログを参考にしては、ネタでいただいたりもしておりました。

お世話になっております。



新事務所に、1級建築士が数名おりまして、この度の事件について色々と解説をいただきました。

インタビューで住民が「震度4の時、よく揺れたんで、これが最近聞く耐震設計なんだと思っておりました」の声に、そりゃ、「免震」だよ、なんて言ってはおりましたが、人事ではないようです。



yutaさんも、冬眠などされないで、お体を大切にされ、息の長いブログでいてください。毎日、楽しみにしております。

失礼致します。
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