炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

広大な宇宙を旅する地球。私たちは今、どの辺にいるのでしょう. 

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・  869年の 宮城 ・ 福島沖 巨大地震 大津波を考える

2005-11-17 | 日本列島の災害
 11月15日の朝6時39分、三陸沖にM6.9の地震が発生し、朝から津波警報が出ていました。三陸地方は、古くから大地震の記録の多く残っている地域です。
今日は、『 日本三代実録 』という史書に記されている、平安時代の三陸沖の巨大地震を考えます。

 平安時代、陸奥の国府、多賀城( 現代の宮城県仙台周辺 )の官人が書き記した、大地震の様は、ただならぬ規模の災害であった事を示唆しています。
以下は、私の独断と偏見にもとづいた『 日本三代実録 』貞観十一年五月二十六日の条の現代語訳です。

 >「 旧暦五月二十六日の夜 陸奥国の地に、大地震が発生し、その発光現象で、昼のように明るくなったり影ったりする。
人々は、悲鳴をあげて倒れ、起き上がることが出来ない。建物の下敷きになり圧死し、土砂崩れに埋もれてしまう人もいる。
牛や馬は、走り回り、高い所に登ろうとして折重なって騒ぐ。
城郭や倉庫、門、見張り台、城壁は崩れ落ち、破損した所が数多い。

 そうするうちに海から轟音が響き渡り、その音は、雷鳴のようだ。
大津波が陸上を襲い、怒涛渦巻き溢れ、たちまち(多賀城の)城下に達した。
さらに、はるか内陸にまで浸水して、原野や道も、見渡す限り水没してしまった。舟に乗る間もなく、山に登ることも出来ずに溺死した者は、千人ほど。財産や農作物もほとんど失われてしまった。」


 冒頭から、大地震にともなう発光現象と思われる記述が、出てきます。
原文の書き下しに、『 五月二十六日 癸未、陸奥国 大地震動、流光 昼の如く隠映す....』
以前、この部分は意味不明とされていましたが、1995年の阪神淡路大震災でも、多くの発光現象の目撃例があり、また、海外の大地震でも多く目撃され、今では一般化しています。
地震学者の武者金吉は、明治29年 6月15日と、昭和 8年 3月3日の三陸大津波の、発光現象の目撃例を集め、手堅く考察しています。

 次の「人々は、悲鳴をあげて倒れ、起き上がることが出来ない。云々」の所からは、震度6強以上の強烈な揺れに、みまわれた事が分ります。
問題は次の、津波の記述です。多賀城に、砂押川から津波が押し寄せたとすると、海から4~5km、南側から来た場合は1km近く離れていたのではないでしょうか。標高は、平地で5mほどですが、そこでたくさんの溺死者が出た上に、見渡す限り、田畑も浸水してしまったというのです。

 私も、昨年のスマトラ島沖の巨大地震による津波災害の様子を見るまでは、上の所は、どうにも理解に苦しむものがありました。今考えると、これは、M8.7以上の猛烈な地震の発生を思わせるものがあります。

 地質学者は、この11月12日に、貞観11年の大津波の痕跡が、仙台周辺の地下に、薄い地層として広く残っている事を明らかにしました。同時にその地震の規模は、スマトラ沖地震に匹敵する、という見解を表明しています。
文献だけの記述をこねくり回すのでなく、こうした物的証拠から、過去の災害を解明してもらいたいものです。

 なぜこれほど興味深いことが、今まで調べられて来なかったのでしょう。
多賀城では、毎年、考古学の発掘調査も行われていますし、地元大学の理科系はノーベル賞クラスの水準を備えていたのに、不思議でなりません。

アメリカ太平洋岸のプレート沈み込み帯、シアトルのあるワシントン州から、オレゴン州、カリフォルニア州北部の海岸線の津波の痕跡は、考古学者、地質学者それに人類学者も参加して詳しく調査されています........


次回に続きます。・ >>> ・


-ご参考-
・ 多賀城の位置 国土地理院地図閲覧サービス.  
・地質学者の意見. 「原子力発電所は、小さな地震で壊れてしまう....」

・ 拙ブログ
・ 「 太平洋を越えた津波  オレゴン沖M9の巨大地震 」  
・ 「 一瞬の何かが. 登呂遺跡埋没を考える.」  
・ 「 仙台つり天井の裏側に 」   

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10 コメント

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コメントありがとうございました (ツボ)
2005-11-19 11:57:05
U-2さん、記事の内容とは外れますが、コメントの表示が悪かったようでご心配をかけましたが、今はちゃんと表示されていると思います。



昔から巨大地震は沢山あったけど、未だに解明されていないのが歯がゆいところです。

天災とはそう云うものかもしれません。

責めて人災だけは起こして欲しくないものですが、先日のような事が起きてしまいましたね。

人のモラルには限界が来てしまったのかな。嘆かわしい事です。
守屋喜久夫の好著 (U-2)
2005-11-19 21:57:39
ツボさん、ありがとうございます。見えない所を、こっそり手を抜くというのは、「上物」だけではないようです。

少し古い本ですが、守屋喜久夫『 地震災害の防止と対策 』には、歴史的な各地震について、地盤と基礎の問題点を分易く解説していました。古い構造物が壊れず、新しいものが壊れた新潟地震、湯布院1975年の地震など、私のような素人にも、モラルの問題が自ずと察せられる内容でした。

今回の基礎部分はどうなのでしょう。人命にかかわる所は、しっかり検査して欲しいものですね。お嘆き、よろずお察しいたします。
専門的な情報 (sato0513)
2005-11-20 07:41:05
U-2さんの専門的な情報。有難うございます。都市計画の分野でも例えば、かつて断層について語ると不動産価値に影響を与えるということも含めてタブー視されていたこともあります。阪神大震災以降、そうした見方は情報を開示する方向に変化してきたものと思います。

かつて2000年ごろに起きた女川原子力発電所のマイナーな事故に関しても、私が知ったのは海外のメディアが先で、日本で報道があったのはその1‐2日後のことでした。近くの人たちに知らされていないこと。日本には多いような気がしています。

原子力発電所では冷却用に海水を利用していますので、あまり高い位置には設置していないようです。これも許容高さを想定される当時の津波の基準値ぎりぎりに合わせている可能性もあるので、今回検証された平安時代の大津波と同じ規模のものが発生したことを想定して改めて検討してみることも必要なのかもしれません。
八月の宮城県沖地震 (U-2)
2005-11-20 20:41:33
satoさん、ようこそ。拙いブログをお読み頂きありがとうございます。

当方、一般的な本や新聞記事をネタに綴っております。どうか、誤解のありませんように(^^;。



>かつて断層について語ると不動産価値に影響を与えるということも含めてタブー視されていたこともあります。阪神大震災以降、そうした見方は情報を開示する方向に変化してきたものと思います。



そうですね。現在では、損害保険会社が、危険度を独自に調査して地域ごとに、掛け金をランク分けして公表していますし、都市部では自治体が、地盤の固さ、軟弱さを元に危険度を公表していると聞いています。



日本の原子力発電所の問題の方は、最近、ずさんな事故が多く、海外の技術者の指摘も受けて、問題になっているようですが、私はあまり詳しくありません。八月の宮城県沖地震で、あれって、思いました。今では、あれ~!?です。(笑)^^



少なくとも、アメリカ太平洋岸のプレート沈み込み帯で、日本と同規模の地震が起きている所(カリフォルニア州北部~オレゴン州~ワシントン州の海岸には、なぜか原発は、一つもありません。
コメントありがとうございます (AZU)
2005-11-22 14:37:05
はじめまして。コメントありがとうございます。

確かに考えてみると耐震性の弱い建物は多いのかもしれませんが、私が怒っているのはこの事件が発覚したせいで今後の建築業界が今以上に寒いものになってしまうおそれがあるからです。

私は建築の仕事に誇りがあり、夢を持っています。

地道にがんばっている人や尊敬できる建築家がいます。それをたった一人のせいで、建築界が批判され、無駄な仕事が増えることが嫌なんです。

阪神大震災で手抜き工事が見つかったこともあり、今の建築士の試験は難しくなりました。今回も同じことが言えると思います。

文面ほど怒っているわけではありませんが、友達や家族と一緒に

「このマンションの人大変やねぇ」と人事のようには

言えないんです。



話は変わりますが、面白そうなBLOGですね★☆★

また遊びに来ます。

批判されるべき対象 (U-2)
2005-11-22 16:54:00
AZUさん、コメント賜り、ありがとうございました。立派な建築家の方ほど、今回の事件は、憤り深い事と、お察し致します。

ニューヨークに行った時も、日本の建築の方が、ずっと優れていると感じました。

日本の現代建築というのは世界に誇るべきものがあります。それを歪める者は外にあり、建築士の方々への批判には、ならないと思います。こうした土壌を生んだ、政治家の水戸黄門型の民百姓お上、泣き付かせ体質こそ、批判されるべはないでしょうか。
ありがとうございます (下町ウォーカー)
2005-11-23 22:15:39
はじめまして、U-2さん。

コメントありがとうございます。

ブログ読ませていただきました。



日本の建築にとって「地震対策」とは、永遠のテーマのひとつではないでしょうか?

今回、その地震に対する安全・安心を担うプロたちが犯した罪はとんでもないことだと思います。



日本の技術は優れていると思いますが、一部でとんでもないことも起きています。そんなとき、「迅速な対応・処理・再発防止・とんでもないことがおきないこと」ができてこそ!本当に技術が優れているといえるのでは、ないでしょうか。



これからも拝見させていただきます。

よろしくお願いします。





「責任のなすりあい合戦」(^^)! (U-2)
2005-11-23 22:28:40
下町ウォーカーさん、そちらの>「責任のなすりあい合戦」がはじまっている。という所、本当だと思いますよ。それっ!!



そもそも、お役所が、ちゃんと書類を見ないで、他人任せのどうでも良いようなシステムだった所が、今回の事件の発生原因と思います。



公務員の方は、概ねちゃんとしているのですが、政治家の多くは建設会社の経営者が多いですから、介入してきます。で、ことが起きれば、庶民に泣きつかせる、水戸黄門型政治を演じているのかも。。。。



原発も、アスベストと同じような結果にならないよう祈っています。どうか、時々、お出でくださいませ。
((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル (凪羅しずく)
2005-11-24 10:27:15
訪問&コメントありがとうございました!



昔の大地震の記録、とても生々しく地震の恐ろしさをより一層感じました。

大地震が懸念されてるこの状況で、今回のマンション耐震偽造事件は本当に許しがたい事だと思いますが、発覚してないだけで同じような事をやってる所が他にも沢山ありそうで、本当怖いですね。
手抜きいろいろ (U-2)
2005-11-24 19:50:31
凪羅しずくさん、ようこそ。そちらのブログ、楽しいですね(^^)。。



昔の人の記録は、実際、体験した人の目に焼きついた状況が、時を越えて、リアルに伝わってきます。



そちらのページに姉歯建築士の建物の耐震値が出ていました。原発の内部よりは、丈夫化も知れませんね。マグニチュード6.5 はマグニチュード 7.2の何倍でしょう?



手抜きにもいろいろあるようで、施工段階のものが多いのですが、今回は設計からインチキでした。部屋の床面積なんかもちがうかも。

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