五反田発リスボン行き急行列車

五反田駅からリスボン行き急行列車に乗ることを夢想する前期高齢者の徒然

2014・6・29

2014-06-30 14:28:15 | 日記
昨日の日記に劇団ギルドの公演を見に行く予定だったのに気分が悪くて(寝過ごして)行くのをやめたと書いてしまってから、もしもこの日記を高谷さんが読んでいて、それでいて今日も行かなかったら困ったことになるぞと畏れた。それで食事もゆで卵にトマトジュースだけで済まし、催眠効果のあるアレルギー抑制剤はお休みし、反対に医者から処方されたカフェインをニ袋飲んで、定刻よりは一時間も前に高円寺の明石スタジオに到着した。すると高谷さんは私が来るのを当然と思っていりみたいで何の驚きも示さず、且つ招待者のリストの中に私の名前まて入っていた。そう、やっぱり日記は読まれていたのだ。うっかりしたことを書かないでよかった。そして今日の日記にもうっかりしたことは書けない。でもだからと言って当たり障りのないことばかり書きつらねてしまったら、私の日記ではなくなる。だから正直なことを書こう。私が高谷さんの芝居を一番最初に見たのは2002年の「あなたを見つめて」だ。広尾にあった頃のコレドでおこなわれた芝居だが、カウンターを窓に見立てて、前半ではそこから表を監視する二人の男女を描き、後半ではその視線の先にいる二人の男女を描くと云う、とてもユニークな作品で、一度でほれ込んだ。二作目「BUS」「も同じコレドで、細長い店内をバスの中に見立てて、バスジャック犯と運転手と乗客の右往左往ぶりがばかばかしくて、とても面白かった。コレドが乃木坂に移ってからは「誰?」と云う男女三人の密室劇を出演者を変えることで合計50数回?も公演すると云う快挙をやってのけた。十数年で高谷信之と云う劇作家は私の中で一番顔多く作品を見ている作家と云うことになる。でも、今あげた作品はみな極めて狭い、劇場とはいえない空間で行われた芝居だ。出演者も「BUS」以外は数人だ。私はそんな高谷さんの芝居にひきつけられ、芝居心を飼い馴らされたのだ。だからか、高谷さんと劇団ギルドと池袋グリーンシアターやこの明石スタジオで展開される芝居にはどうにも違和感を感じてしまう。出演者が多いのは劇団員全員を出演させなくてはいけないと云う高谷さんの優しさだろうけど、それにしても今度の芝居「吾が魂の八犬伝」は出演者が19人もいる。これだけの人間を公平に描こうとしたら上演時間が100分?として一人単純計算で5分ちょっと。一人の人間を五分で描くなんてさすがの高谷さんでも無理ではないかと思う。それに普通の劇場では殆どが時代劇だけど、衣装その他にお金がかかっているわりには劇場空間に似合わないのだ。ここにはどうでもいいスペースを特別な空間に変えてしまう高谷マジックが効いてない。勿体ないと思う。あの奇想天外のアイデアをとりいれた、ユーモアに満ち溢れた、劇的サスペンスが繰り広げられる高谷ワールドを今度こそ見せてほしいと、私は多分次の公演にもいくことだろう。それは最初に惚れた弱みだ。、

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