文章は複数の文か
文章は文の複合体であるにもかかわらず、文章について複数の文が集まったものという。この「複数の文」を捉えなおさなければならない。文章の説明また定義によることである。それを、日本語教育用の文型で示すと、助辞「は」によって次の基本文が複合している。
文型① N1は N2です/だ N: noun 名詞文 丁寧/普通
文型② Nは/が Aです/-i(Φ) A: adjective Φ: 言い切り 形容詞文
文型③ Nが Vます/-u (Φ) V: verb 動詞文
たとえば辞書義に、幾つかの文を連ねて、まとまった思想を表現したものということで、散文の作品をさしていうことがある。大辞林にある定義につき、実際の文章を検討すると、この説明はさらに具体的な文法分析を必要とする。
基本文はそれぞれ、文体を丁寧体と普通体に示している。話し言葉がスタイルを持つことは、日本語教育での教授法によるステップであらわされることである。すなわち、通常の会話にまず丁寧が現れ、その文を複文にすると文法形式である普通が現れて、段階を踏むことになる。
それを文章にすると、手紙文のほかには丁寧体を書くことがまずないので、普通体の書記言語が話体の転換となる。それをもって、基本文では。次の文型を派生することになる。
文型①` → N1は N2だ N1は N2である
文型②` → Nは A -i (Φ) Nが A -i (Φ) Nは na-A(だ) Nが na-A(だ)
文型③` → Nが V-u (Φ) Nが V-aux. aux: auxiliary verb
文を言語単位の一つとするときに、一語文からセンテンス、そして、複数の文で文章とする。この文章は、複数の文から構成され、あるまとまった思想を表したものであるが、それは、いかに分析をするように文が派生して、基本文と派生文とが複合したものとなる。これまで、文また文章の説明は文法書からのままのもので、辞書などに変わらずに受け継がれている。
(日本語助辞「は」の用法記述)