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折衷文法

2016-07-27 | 日本語文章
ある文法学史の説明に、伝統的な国学を基盤とし、西洋の文法概念が折衷された国文法、とある。いくつかの異なった考え方のよいところをとり合わせて、一つにまとめ上げることが、折衷の辞書義である。折衷案、折衷学派、折衷主義などの項目を上げる。和洋折衷の意味は、日本風と西洋風の様式を、程よく取り混ぜること、である。さきの和洋折衷は国文法における学説書の嚆矢に位置する大槻文彦をの学説及びその時期に当たる幕末から明治初期の文法書をさして一般に捉えられるが、その折衷はいわば和洋であるが、伝統的な国学とするものは、漢学に対比される。




伝統的な国学を基盤とし、西洋の文法概念が折衷された国文法

文法史 (シリーズ 日本語史) | 金水 敏, 高山 善行, 衣畑 智秀, 岡崎 友子 | 本 ...
https://www.amazon.co.jp/文法史-シリーズ-日本語史-金水-敏/dp/4000281291
内容紹介. 伝統的な国学を基盤とし、西洋の文法概念が折衷された国文法。その国文法と、従来疎遠な関係にあった生成文法や、記述研究としての日本語学、近年の歴史語用論、社会言語学等の理論を包括的に踏まえ、日本語文法史を捉えようとする画期的な ...




せっちゅうがくは 折衷学派
江戸中期の儒学の一派。古学・朱子学・陽明学など先行各派の諸説を折衷して穏当な説を唱えた。片山兼山・井上金峨(きんが)・太田錦城・細井平洲らがいる。

折衷主義 〔eclecticism〕
相異なる哲学上・宗教上の見解のうちから正しいと思われるものを選び出して調和させようとする考え方。


学習文法のグランドデザイン① - Born in the northern heart of ...
d.hatena.ne.jp/ownricefield/20060105/p1
2006/01/05 - Celce-Murcia and Larsen-Freeman(1999)によれば、理論言語学を支える理論文法が説明の一貫性を求めるのに対して学習文法は折衷的だという。また理論文法はその分野を専攻していなければ理解できない場合があるが、学習文法は ...


文法の3つのレベルと3つの側面

Celce-Murcia and Larsen-Freeman(1999)は、次の3つのレベルで文法を見ていく必要があると指摘。

subsentential level (morphology)
sentential level (syntax)
suprasentential level (discourse)

また、文法を次の3つの側面から捉える必要性も合わせて指摘している。

FORM (morphosyntax): How is it formed? (Accuracy)
MEANING (semantics): What does it mean? (Meaningfulness)
USE (pragmatics): When/Why is it used? (Appropriateness)

Celce-Murcia and Larsen-Freemanは、この3つの領域を厳密に分けることは難しいとも述べており、学習文法が理論文法としての生成文法ほど統語論の自律性ということにこだわる必要がないことを示唆している。

理論文法と学習文法

Celce-Murcia and Larsen-Freeman(1999)によれば、理論言語学を支える理論文法が説明の一貫性を求めるのに対して学習文法は折衷的だという。また理論文法はその分野を専攻していなければ理解できない場合があるが、学習文法は専門的な知識がなくても理解できるものでなければならないと主張している。

「折衷的」ということは、必ずしも「場当たり的」であるという意味ではない。Sharwood Smith(1981)は、学習文法の記述の仕方をconcentratedとextendedに区別し、concentratedな学習文法は包括的でなければならないと主張している*1。包括的な文法記述にはある程度の一貫性が必要である。

concentratedな学習文法とは参照用文法(reference grammar)である。阿部(1994)は参照用文法は学習上・教育上役立つものであるが、理論的な枠組みを強調しすぎると理論文法に近いものになってしまうと指摘している。しかし学習文法をlearning grammarとteaching grammarに分けて考えた場合、後者として、理論言語学の中核を成す理論文法とは違った、応用言語学の一般としての理論文法(theoretical grammar for pedagogical purposes)のようなものがあってもようのではなかろうか。つまりSharwood Smithの用語に合わせれば“easy-to-extend”な教師用の参照用文法を構築すべきだということである。

参考文献

阿部一(1994)「英語学と教育文法」『現代英語教育』30(13) pp.44-47.
Celce-Murcia, M. and Larsen-Freeman, D. L. (1999) The Grammar Book An ESL/EFL Teacher's Course 2nd ed. Boston: Heinle & Heinle.
Sharwood Smith, M. (1981) "Notions And Functions in a Constrastive Pedagogical Grammar" In A. James and P. Westney eds. New Linguistic Impulses in Foreign Language Teaching. pp. 39-53.


Sharwood Smith (1981)

Sharwood Smith(1981)は、学習文法(pedagogical grammar)が特定の言語理論にのみ依拠するものではなく折衷的なものであると述べている。ただし折衷的とはいっても何の根拠もなく漫然と理論を利用するのではなく、学習者の必要とする文法を言語学、心理学、そしてときには社会学の知見などを活かして記述していくことが肝心であると主張している。

この記述の方法には2種類があり、1つは教師や上級学習者向けの参照用文法となり、幅広い用途に対応するconcentratedなもので、もう1つは特定の学習者や指導法に対応するextendedなものである。Sharwood Smithは学習文法の体系化にあたって、まずconcentratedな記述を行い、それをextendedな文法に応用すべきであると提案している。

Sharwood Smithは学習文法のconcentratedな記述を行う場合は、包括的でなければならないと主張している。包括的であるということは統語論や形態論のみならず意味論や語用論を含むものでなければならず、理論言語学者が対象とする文法の範囲を超えるものとなるが、理論言語学で十分研究されていないという理由で学習文法から必要な知見を除外してはならないと主張している。

Sharwood Smith, M. (1981) "Notions And Functions in a Constrastive Pedagogical Grammar" In A. James and P. Westney eds. New Linguistic Impulses in Foreign Language Teaching. pp. 39-53.


学習文法の5つの概念

 学習者の文法(LEARNER'S GRAMMAR)
文法学習([the act of] learning grammar)
文法知識(knowledge of grammar)
文法知識の活用(access to knowledge of grammar)
教師の文法(TEACHER'S GRAMMAR)
文法の明示的知識(explicit knowledge of grammar)

文法指導([the act of] teaching grammar)
 (馬場1992: 23)


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