現代日本語百科をもじった、現代日本「誤」百科という命名はまぎらわしい。ひもとく とあるので、これも何を意味するか。コラムのタイトルとしてはそれなりにしゃれたつもりであろうけれど、連載900回を過ぎ、いよいよ1000になろうとする、その日本「誤」なるものは、まったく迷惑なことである。942回の、辛らつな思い というのをつくづく、感じる。この語もすでにふれてきたところでは、自分のことについて使うのは不適切だそうで、つらい思い 辛酸を嘗める という言い換えをあげていたが、その意味合いで使う思いと、辛らつな思い とは意味内容が異なるのであるから、辛らつ というのを、他人にかかわる事物に対して厳しい意見を言う場合に使われると限定して、辛らつな批評 とだけ使うのが正しいとする、そういう理解をしているのは、日本語のとらえ方がコラムの筆者だけの偏りがあって、間違いとする、この記事がその間違いを起こしすぎている。
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日本語「誤」百科 あなたが生まれる以前 を例題にしている。コラムの解説は、以前 と結びつく、語のとらえ方にある。以前 と同じような使い方をする、以後 について、戦争が終わった以後 という言い方を、しない、言わないと説明している。戦争が終わった後 というのなら、よいそうである。したがって、例題も、あなたが生まれる以前 ではなくて、あなたが生まれる前 というのなら、よいというわけである。例題のような言い方が日本語では全くしないかどうか、これを間違っているかどうかはということになると、これは間違った言い方ではない。あなたが生まれる前 あなたが生まれる以前 戦争が終わった後、戦争が終わった以後 いずれも表現性があり、伝える意味内容がそれぞれにあるので、文脈によって使うことができる。法律用語を参照すると、この使い分けはあるようである。 . . . 本文を読む
現代日本語「誤」百科 943 銀行の失墜 を例題にしている。コラムの解説は、失墜 の語義について、この例題では表現内容の不足としている。銀行の信用の失墜 とでもするとよい、と説明するようである。辞書の例文の通りである。失墜について、検索をかけると、信用の失墜、信頼の失墜というふうに、銀行、金融関係がヒットする。その一方で、銀行の信用だけではない用例もあって、その文脈をたどって意味内容を理解する例もある。その権威、ブランドイメージである。それはまさに、そのまま名とともに失墜するわけであるから、例題のように、銀行の失墜といった場合にも、銀行に対する信用イメージから、それを含む銀行そのものが金融取引において低迷して失墜することが起こるのである。 . . . 本文を読む
現代日本語「誤」百科 942 辛らつな思いをした を例題にしている。コラムの解説は、辛らつ の用例を、辛らつな言葉 のように限られた用法で説明する。この語には、自らの経験に、辛らつを極める 辛らつなあじわいをした思い というような用法があってもよい。辛らつな思い という例が、これは何についていった用例であるのか、説明の文ではわからないので、検索をして、辛らつな思い を探してみた。 . . . 本文を読む
和製英語・カタカナ英語を正しい英語に直す翻訳辞典 というサイトから、カタカナ語を拾い出して読んでいくと、あるは、あるは、こんなにあるじゃない、かと、引用してみた。英語でもないわけだから、和製英語とすると、これが英語になることはないだろうに、カタカナ英語としても、この通称は正しくない。和製英語、カタカナ英語、いずれもわからないではないが、和式英語となるとこれは似たる四人で、いっそ、和式外来語とでもすればいいだろう。なんだか外来語そのものは洋式であるような発想であるけれど、和式外国語とすればなんとなく区別がつきそうな、ともってみて、それでもめいめいには矛盾、撞着を起こしているので、和式によるカタカナ英語またはカタカナ外来語を表すには、カタカナ日本語とでもするか。 . . . 本文を読む
日本語「誤」百科 937 許されない程度の使用 を例題にしている。コラムの解説は、程度の使い方について、例題のような 一定の基準より低い数値を表す場ためにはつかうことはできない、と説明する。それではどうするか、、ほど を、使えば、食べきれないほどの料理 となるように、適切な言い方になる とするが、どうだろうか。例題は、許されないほどの使用 ということになるが、ていど と、ほど についての使い方をみる。程度の語は、ある限度までを示して、その限度以下のときに使う用法があるので、一定の基準より下回ることは表現として可能である。焦げない程度に焼く、という例文が辞書にもある。これは名詞の用法をあらわすので、程度を使うことは、これでよい。その程度を、ほど という語で使うと、副助詞の用法が程度と同じ働きをする。そしてそれは文脈によって限度いっぱいの度合いを示すことにもなるので、、例題の言いかえでは、許されない程度の使用 許されないほどの使用 という二つの表現には意味内容の違いを生ずる文脈があることを予想することになるだろう。 . . . 本文を読む
やぐる、何のことかわかる、かな。浮気現場を彼氏に目撃されること、であって、浮気現場を目撃した場合は、ヤグられた、だそうだが、ちょっと受動表現が能動表現にあるってどういうことか、とでも言いたくなる新語である。そこで、実用例は、聞いてよ!彼氏にヤグられたんだけど!などと言うのを、うむむ、そうかと思って、なにやらわかったような気になる。次いで、やばば、これは、やばばば、やばばばばば、とも言える、つまり、ば、が増えることでその程度を表すそうだ。そしてまたまた、KS、があって、これは、ラインの用法であるらしく、既読スルー、ということなんだが、分かるかなぁ。 . . . 本文を読む
日本語「誤」百科 941 お世話になった恩師 を例題にしている。コラムの解説は世話をする、受けるの関係が混乱した説明で、よくわからない。さらに正しい言い方があって、世話になった恩師 と言いかえをしているが、世話 という語の理解ができていないようだ。世話を用いる言い方には、いろいろとすることを表すので、この語の意味内容にある、先生が世話をするとなると、どうすることか。お世話になった と言うのは、お~ をつけて、それに対する敬意を表す慣用句の表現となる。 . . . 本文を読む
日本語「誤」百科 940 人間たちを食い尽くす巨人たち を例題にしている。食い尽くす 食い尽くしている 食い尽くそうとする この複合動詞の意味をコラムは捉える。この用例は、検索ですぐにヒットして、アニメのキャッチコピーのようである。見てみると、どうも、巨人が人間たちを食い尽くす、となるのは、人間たちのすべてを食ってしまうことと、人間のすべてを食ってしまうことと、そのようすがうかがえる。捕食する巨人たちには、えさにすぎない人間である。いずれ人間たちを食い尽くしてしまうのだろう。連体修飾の文構造では、動詞の連体形に現われる意味は、人間たちを食い尽くした巨人たち、の情報ではない。食い尽くすという表現には現在時の進行状態の意味内容がある。 . . . 本文を読む
現代日本語「誤」百科 939 練習が積めている を例題にしている。積む という動詞が、積めるとなった、その可能形にした意味内容を、練習 とのかかわりで説明する。積める という語を解釈して、能力のあるものに用法があると言いたいようだが、積む 積める についての意味はそれだけではない。積む という語の意味内容から解説をした方がわかりよいだろう。用例を検索すると、つめる について、練習が積める という例がヒットする。それから派生すれば、練習が積めている という言い方も、使いやすいのであろう。 . . . 本文を読む