【東京】恐る恐る日常を取り戻しつつある当地で、いったん離れた職場に復帰する外国人や日本人を新たな問題が待ち構えている―自分が避難していた間も働き続けていた同僚の怒りを買っていたり、仲間外れにされたりしたらどうしよう。
日本の大手企業で働くある外国人は、先週3日間大阪に移動したことについて、上司や同僚が怒り心頭であり、東京の職場に戻る際には仲間外れにならないよう細心の注意を払わなくてはならないと語った。
避難する外国人(「外人」)が目立ったのは東京のオフィスだ。先週、米国大使館が自国民間人を他の安全なアジア地域に航空機で退避させるための準備を進めていると発表した後、日本出国が最高潮に達した。出国する外国人を表す”flyjin”(fly + gaijin)なる言葉まで登場した。
生活が会社中心の「サラリーマン」集団で知られる国での避難は文化的に微妙な決断だ。
金融業界の求人情報を提供するトップ・マネー・ジョブス(TopMoneyJobs.com)のマーク・ピンク氏は「何に忠誠であるかについて、(日本人と外国人の間に)差がある。日本では、会社と家族はほぼ一つで同じだが、外国人はまず家族、次が会社だ」と述べた。
東京証券取引所の斉藤惇社長は、22日の会見で、外国人の大量出国を残念に思う気持ちを表明すると同時に、「大丈夫だと言ってわざわざヘッドが東京に人を連れて入ってきたような参加者の会社もある」と強調。「日本はすばらしい国だとしっかり外国に伝え、あまり風評が出ないようにするのも東証の役割かもしれない」と訴えた。
小さな会社を経営する東京のある外国人は先週、事業パートナーとともにロンドンに行くことを決めた。「労働生産性の点からみてこうするのが正しい。月末に大きな期限を控えている」ためだという。「ただ、出国に大満足というわけではない。臆病だと思われるのは確かだし、反論はしない」
職場に戻った外国人は、東京の生活がおおむね通常に戻ったと感じるだろう。ラッシュ時の電車は満員、昼時の飲食店はサラリーマンでいっぱいだ。ただ、混乱が完全には収まっていないことが所々に表れている。節電のため午後6時で閉店する店が多いほか、牛乳やトイレットペーパーといった必需品が品切れの店も多い。
投資銀行に勤めるある外国人は、これほど多くの会社員が出国しても意外ではないと語る。「命を危険にさらさせるために人を雇っている訳ではない。ここは投資銀行であり、われわれは投資銀行家タイプを雇う」という。「復帰した従業員を仲間外れにしないよう心がけている。そんなことをしてもいいことはない。ただ、善意のいじめもある」
確かに、22日にマネジャー数人にインタビューしたところ、東京でチームを率いる外国人マネジャーの大半は東京にとどまるか、国内の別の場所に職場ごと移動している。出国したのは専業主婦、その子ども、部下がおらず香港やシンガポールなど遠隔地で働ける従業員が大半だ。東京を離れた中には日本人もいるが、実家に帰った女性や子供が中心で、夫は東京にとどまっている。
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンの代表取締役社長に就任して4年のゲラシモス・ドリザス氏は「社長の自分が(東京を)離れていたら、リーダーとしてのわたしの役割が損なわれていただろう」と述べた。同社は外国人12人、日本人130人の全従業員と家族を愛知県豊橋市に移した。
一方、ボーイングは、名古屋での勤務、外国人には帰国も提案したが、30人のスタッフの過半数が東京にとどまっているとしている。
日本人の同僚は外国人が予想している以上に理解を示すだろうとの見方もある。長年のデフレと景気低迷で日本人の考えは変わったという。フライシュマン・ヒラード・ジャパン代表取締役社長の田中慎一氏は「数十年前の日本人はもっと集団主義的だったが、いまはそうでもない」と説明。「リスクがほとんどないと思っているから避難しない日本人が大半」との考えを示した。
ある外資系投資銀行の日本人従業員は同僚数人の避難について、迷惑ではないと語った。技術の進歩のため遠隔地とのギャップが狭まり、自分の分担をこなせる者もいる。避難した同僚はアジアのほかの国で働いているという。
それでも、経営陣は今後数週間何かにつけflyjinの東京その他地域復帰に対応しなくてはならなくなりそうだ。
ピンク氏は「大半の企業が、見捨てられたと感じる人と、戻ってきた当初に緊張を感じる外国人の双方に調整の余地を与えようとしている」と語った。ただ、「1週間ほどで自然に解決するかもしれない」という。
日本の大手企業で働くある外国人は、先週3日間大阪に移動したことについて、上司や同僚が怒り心頭であり、東京の職場に戻る際には仲間外れにならないよう細心の注意を払わなくてはならないと語った。
避難する外国人(「外人」)が目立ったのは東京のオフィスだ。先週、米国大使館が自国民間人を他の安全なアジア地域に航空機で退避させるための準備を進めていると発表した後、日本出国が最高潮に達した。出国する外国人を表す”flyjin”(fly + gaijin)なる言葉まで登場した。
生活が会社中心の「サラリーマン」集団で知られる国での避難は文化的に微妙な決断だ。
金融業界の求人情報を提供するトップ・マネー・ジョブス(TopMoneyJobs.com)のマーク・ピンク氏は「何に忠誠であるかについて、(日本人と外国人の間に)差がある。日本では、会社と家族はほぼ一つで同じだが、外国人はまず家族、次が会社だ」と述べた。
東京証券取引所の斉藤惇社長は、22日の会見で、外国人の大量出国を残念に思う気持ちを表明すると同時に、「大丈夫だと言ってわざわざヘッドが東京に人を連れて入ってきたような参加者の会社もある」と強調。「日本はすばらしい国だとしっかり外国に伝え、あまり風評が出ないようにするのも東証の役割かもしれない」と訴えた。
小さな会社を経営する東京のある外国人は先週、事業パートナーとともにロンドンに行くことを決めた。「労働生産性の点からみてこうするのが正しい。月末に大きな期限を控えている」ためだという。「ただ、出国に大満足というわけではない。臆病だと思われるのは確かだし、反論はしない」
職場に戻った外国人は、東京の生活がおおむね通常に戻ったと感じるだろう。ラッシュ時の電車は満員、昼時の飲食店はサラリーマンでいっぱいだ。ただ、混乱が完全には収まっていないことが所々に表れている。節電のため午後6時で閉店する店が多いほか、牛乳やトイレットペーパーといった必需品が品切れの店も多い。
投資銀行に勤めるある外国人は、これほど多くの会社員が出国しても意外ではないと語る。「命を危険にさらさせるために人を雇っている訳ではない。ここは投資銀行であり、われわれは投資銀行家タイプを雇う」という。「復帰した従業員を仲間外れにしないよう心がけている。そんなことをしてもいいことはない。ただ、善意のいじめもある」
確かに、22日にマネジャー数人にインタビューしたところ、東京でチームを率いる外国人マネジャーの大半は東京にとどまるか、国内の別の場所に職場ごと移動している。出国したのは専業主婦、その子ども、部下がおらず香港やシンガポールなど遠隔地で働ける従業員が大半だ。東京を離れた中には日本人もいるが、実家に帰った女性や子供が中心で、夫は東京にとどまっている。
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンの代表取締役社長に就任して4年のゲラシモス・ドリザス氏は「社長の自分が(東京を)離れていたら、リーダーとしてのわたしの役割が損なわれていただろう」と述べた。同社は外国人12人、日本人130人の全従業員と家族を愛知県豊橋市に移した。
一方、ボーイングは、名古屋での勤務、外国人には帰国も提案したが、30人のスタッフの過半数が東京にとどまっているとしている。
日本人の同僚は外国人が予想している以上に理解を示すだろうとの見方もある。長年のデフレと景気低迷で日本人の考えは変わったという。フライシュマン・ヒラード・ジャパン代表取締役社長の田中慎一氏は「数十年前の日本人はもっと集団主義的だったが、いまはそうでもない」と説明。「リスクがほとんどないと思っているから避難しない日本人が大半」との考えを示した。
ある外資系投資銀行の日本人従業員は同僚数人の避難について、迷惑ではないと語った。技術の進歩のため遠隔地とのギャップが狭まり、自分の分担をこなせる者もいる。避難した同僚はアジアのほかの国で働いているという。
それでも、経営陣は今後数週間何かにつけflyjinの東京その他地域復帰に対応しなくてはならなくなりそうだ。
ピンク氏は「大半の企業が、見捨てられたと感じる人と、戻ってきた当初に緊張を感じる外国人の双方に調整の余地を与えようとしている」と語った。ただ、「1週間ほどで自然に解決するかもしれない」という。
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