読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

富永仲基のこと

2010-08-29 13:38:52 | 歴史
明治二十年代、内藤湖南は無名の学者で大阪朝日の論説委員の助手的な立場で入社した。
そこで彼は大阪の江戸時代の独創的な思想家を発掘すると言う仕事をした。
そうして見つかった人物に富永仲基がいた。富永は醤油問屋の息子だった。三十歳で亡くなったが、近代的な文献学を駆使して仏典を調査し、大乗仏教の仏典、阿弥陀経や法華経など全部が釈迦の言った事ではなく、四世紀から五世紀に書かれたものだと言う事を証明した。これに本願寺が驚愕し、敦煌へ調査団を派遣するに到った。この富永の証明に今のところ反論した者はいないと司馬遼太郎が書いている。