読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

犬ゲノムを読む

2010-08-14 08:57:43 | 新聞
犬は私たちの社会の中でますます身近な存在となっている。今世紀に入り、新たな視点で犬が注目されるようになってきている。それは犬のゲノム研究である。犬のゲノムを研究することで犬に対する理解が深まり、そこから人についてのさらなる理解へと繋がっていく。
何故ゲノム研究で、犬に注目が集まることになったのか?本来、ゲノム研究の目的は何なのか? ゲノムには、私たちの私たちたる特徴を決める情報が書かれている。言うまでも無く“遺伝子”である。遺伝子は、身体の大きさや肌の色などの外見は言うに及ばず、運動能力や性格、体質などにも影響を及ぼしている。また、忘れてはならないのが病気である。先天性の遺伝子疾患もあれば、糖尿病などの生活習慣病やガンにも遺伝子の働きが関わる部分があることが分かっており、ゲノムを研究することで、様々な生命現象の仕組みを知り、病気に対して予防・治療の両方面からアプローチすることができる。このように、様々な個性を作り出している遺伝子だが、実は、ゲノム上に遺伝子と呼ばれる部分はほんのわずかしかないのだ。実際に遺伝子として働くわけではない部分がとても多いのである。遺伝子を記録しないそのような領域は一見不要なもののようにも思えるが、遺伝子ではない部分を調べることでも、生物の進化の歴史や、遺伝子の働きを制御する仕組みなどが明らかにされてきている。