百歳に向かってもう一度世界一周

百歳に向かってもう一度「歩いて世界一周」に挑戦したい。日中友好董存瑞育英基金を充実したい。富士登拝・・・

終戦日前後(軍隊手牒を焼く)

2007-08-21 18:39:16 | Weblog

  8月21日  (火)  ①
                            平成17年1月1日より 963日目
                                          歩いた歩数      その距離
                            本日           14,537歩        10,176m
                            総計   13,459,027歩  9,421,319 m
        北京より保定・石家荘・刑台・邯鄲を経て洛陽に向かう。327,831m

             
                                   ノールディック・ウォーキング講習会

  終戦の一夜が明けて、ならず者の古兵が若い士官に憂さ晴らしをした等の風評はあったが、以外に規律は保たれていた。早速出た命令は「軍隊手牒や写真を焼却処分せよ」というものだった。防空壕の上を跳ね除けて、その中に手当たり次第投げ込んで燃やした。

 「軍人は金玉取られてアメリカ人の奴隷にされる」といったM上等兵の言葉を思い出した。我々は直接戦闘に加わった軍歴もないのだから慌てることは無い筈だが、歴戦の下士官等は証拠となる材料は無いに越したことはない。一斉に投げ込んだので何日も燻っていた。

 武装解除で進駐軍が来るというので、営庭に「痰壷」まで並べた。私たちは立ち会うことも無く、何事も起こらず平穏に済んだ。こんな事なら写真まで焼くこと無かったなどと悔やんだが、後の祭り。

  「警察官と警察官志望者を至急除隊させよ」という命令が出た。私たちの中隊からも農協職員だったM君と郵便局員だったO君が手を挙げて除隊第1号となった。日本の治安維持のための妙手だと感心した。

  私たちが退職金を貰って懐が温かいのを見て、馬を払い下げるという案内があった。部隊長の馬が150円、通信中隊の馬は100円前後という。馬を買った者には三泊四日の外泊許可が出た。お金はあったが、農家でもないので家に持って帰るわけにもいかず、指を咥えて見ているばかりだった。

 ところが、営門で「博労さん」に売り渡して、家族とゆっくり過ごしてきたチャッカリ者が居たという。頭は使いようだ。金儲けをした上、家族団らんとはサスガだ。

 早く除隊した戦友がタバコを買いに来た。7銭で支給される「ほまれ」を一本1円で買うという。7銭で買える「ほまれ」を20円で売ってくれという戦友が気の毒に思えて、一箱1円で班内のタバコをかき集めて渡した。戦友は何度も何度も頭を下げて帰って行った。早くも闇商売を始めたんだ。サスガ立派な商人だ!

  「薬室」のサッカリンのビンが無くなったと言う。甘い物に不自由していることを聞いた者が持ち出したらしい。びっくりするほどの価値があったという。それに比べれば、あの土蔵のなかの薬剤行李は膨大な「隠退蔵物資」だ。貴重品だ。誰がどのように処分したろうか?誰かが何処かで、ほくそえんだ事だろう?