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百歳に向かってもう一度世界一周

百歳に向かってもう一度「歩いて世界一周」に挑戦したい。日中友好董存瑞育英基金を充実したい。富士登拝・・・

赤壁懐古

2005-12-03 10:43:44 | 漢詩100選
12月1日

12月1日
 平成17年1月1日より335日目
    歩いた歩数   其の距離
 本日   10,000歩   7,000m
 総計 4,551,392 歩 3,185,974 m
仮想到着地点  与那国島(11.23)

 上海で仕入れた唐詩鑑賞辞典には196人の詩人による1105篇もの詩が収められているというので、真剣に探したが中国文人の代表とも言うべき「蘇東坡」の名前も赤壁懐古の詩も無い。よくよく考えて見たら「蘇東坡」は北宋の人で唐代の詩人ではないからだった。

 中国五大名山を凌ぐ名山「黄山」に観光果樹園を創設する構想があって相談に乗ったことがある。そのときのお礼に竹篇に浮き彫りされた「蘇東坡」の赤壁懐古の詩を頂いた。大変有難たかったが、どうしても解読できない。これでは猫に小判だ。

                    

 今回「漢詩紀行百選」の鑑賞ガイドを得て、ようやく自分のものとなった。この嬉しさに財布の底を叩いて大枚4万何がしかを送金した。

 大江 東に去り 浪は淘(アラ)い尽くせり 千古の風流人物を 
 故塁の西辺 人は道(イ)う 是れ 三国の周郎の赤壁なりと
 乱石は雲を崩し 驚濤(キョウトウ)は岸を裂き
 千堆(センタイ)の雪を捲(マ)き起(ア)ぐ 
 江山 画の如く 一時 多少の豪傑ぞ
 遥かに想う公瑾(コウキン)の当年
 小喬(ショウキョウ) 初めて嫁(カ)し了(オワ)り 雄姿英発たり
 羽扇(ウセン) 綸巾(リンキン)と 談笑の間(アイダ)に 強虜 灰と飛びて煙(ケムリ)滅(メツ)す
 故国に神(ココロ)は遊ぶ 多情応(マサ)に笑うなるべし 我が
 早く華髪(カハツ)を生ぜしを 人間(ジンカン)は夢の如し 
 一樽(イッソン)還(マ)た江月(コウゲツ)に酹(ソソ)がん

江碧鳥逾白

2005-11-26 17:31:08 | 漢詩100選
11月24日

11月24日
 平成17年1月1日より328日目
    歩いた歩数   其の距離
 本日   16,302歩   11,411m
 総計 4,458,782 歩 3,121,147 m
仮想到着地点   与那国島(11.23)

 飯山は寺の町、秋には恒例の寺宝展がある。或る年、私が正受庵のガイドを務めた時のこと、仏壇の右側の書を読んで「江(コウ)碧(ミドリ)にして鳥いよいよ白し」と言ったところ、「山 青くして 花燃えんと欲す」と返ってきた。対句になっていたことさえ知らずにガイドを務めていたことを羞じた。

 中国安徽省の黄山へ行ったとき、「唐詩鑑賞辞典」を手に入れた。全文が中国語で記述されているので読めないが、漢字なので大意は判ったような気がする。詩人195人 詩作1105篇 1536頁という巨編なので、我が家の宝物にしても良いと思って買ったのだ。この詩について早速調べて見た。

  絶句 其二 杜甫 江碧鳥逾白 山青花欲燃
              今春看又過 何日是帰年

 さすが「詩聖」と云われるだけあって、419ページから600ページまで、120ページに亘ってすべて杜甫の詩である。

   江(コウ) 壁(ミドリ)にして 鳥 逾(イヨイヨ)白く
   山 青くして 花 燃えんと欲す
   今春(コンシュン) 看(ミ)るみり 又過(ス)ぐ
   何(イズ)れの日か 是れ 帰年(キネン)ならん

 河の水はふかみどり色を湛え、河の上を飛ぶ鳥はそのためひときわ白さが際立つ。山の若葉は青々と茂り、その中に、真っ赤な花が燃えるように咲いている。この春も見る見る裡に過ぎ去ろうとしている。わたしは何時故郷へ帰れるのだろうか?
 

楓橋夜泊

2005-11-23 12:23:55 | 漢詩100選
11月22日

11月22日
 平成17年1月1日より326日目  
    歩いた歩数   其の距離  本日   11,679歩   8,175m
 総計 4,429,128 歩 3,100,390 m

仮想到着地点   西表島(11・15)

 月落烏啼霜満天 月落ち 烏啼いて 霜天に満つ
 江楓漁火対愁眠 江楓(こうふう)漁火(ぎょか)愁眠(しゅうみん)に対す
 姑蘇場外寒山寺 姑蘇場外(こそじょうがい)寒山寺
 夜半鐘声到客船 夜半の鐘声(しょうせい)客船(かくせん)に到(いた)る

 月は沈み、烏が啼き、霜の降りる気配があたり一面に満ちている。長江沿いの楓、漁り火の明かり、旅の憂いに眠れぬ私の目に入る。蘇州の町外れの寒山時から。夜更けに鐘の音がこの船の中まで聞こえてくる。

 我が家にも「楓橋夜泊」の掛け軸がある。あまりにも有名な詩、何処にでもある掛け軸である。

 愈樾が書いた書だ。寒山寺の石碑からたくさんの拓本が伝わったと思っていたが、寺の売店では「ここに傷のあるのが本物です。他所で買えるものは皆偽物です」と言われたのには驚いた。私のものは、たしか台湾で買ってきた筈だ。でも愈樾の書体に間違いはない。

 もともと寒山寺は伝説の僧、寒山・拾得が住んでいた寺といわれるが、あまり訪ねる人は少ない寂れたお寺だったが、「楓橋夜泊」の詩を読んだ日本人が訪ねるようになって、建て直されて観光地になったとか。
 

葡萄の美酒

2005-11-19 10:57:57 | 漢詩100選
11月17日

11月17日
 平成17年1月1日より321日目
    歩いた歩数   其の距離
 本日    8,755歩    6,129m
 総計 4,355,576 歩 3,048,903 m

       仮想到着地点   西表島(11・15)

  涼 州 詞
葡萄美酒夜光杯   葡萄(ぶどう)の美酒(びしゅ) 夜光(やこう)の杯(はい)
欲飲琵琶馬上催   飲まんと欲すれば 琵琶(びわ) 馬上(ばじょう)に催す(もよおす) 
酔臥沙場君莫笑   酔うて沙(さ)場(じょう)に臥すとも 君笑うこと莫れ(なかれ)
古来征戦幾人回   古来 征戦(せいせん) 幾人か回る(かえる)

 葡萄の美酒を夜光の杯に酌んで、飲み干そうと思ったそのとき、琵琶の音が馬上から聞こえてきた。その調べにすっかり酔った私は砂漠に臥してしまったが、こんな私をどうか笑わないでください。昔からたくさんの兵士が偏狭の地に駆り出されたが、いったい何人が無事に故郷に帰ってきたというのか!

 夜光杯は唐の時代には遥か遠い西域の地で作られた貴重な杯であったろうし、シルクロードからもたらされた葡萄酒も貴重品だったろうと思う。
 私もいつの日にか矢光杯を手に入れたかったものの一であった。以心伝心ということか、偶々我が家を訪れた河北省の陸麗麗さんがお土産に持って来てくれた。思い出の品である。さて陸さんは、いまどうしていることだろう。



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                 まあ~んで げっと  その11

 「テレビがうるさいから、少し小さくしろ!」「ニュース見たいから、チャンネルひねってくれないか」と言ったら、最近の子供は、リモコンだから(チャンネル回す)とか、(ひねる)とか言っても判らないらしい。そして「音は小さくなりますが、テレビは小さくなりません」・・・ときたもんだ。


国破れて山河あり

2005-11-15 09:47:37 | 漢詩100選
11月14日

11月14日
 平成17年1月1日より318日目
    歩いた歩数   其の距離
 本日   15,104歩   10,573m
 総計 4,313,555 歩 3,019,489 m
 
       仮想通過地点   石垣島(11.11)

         春 望 杜 甫
国破山河在     国破れて 山河(さんが)在り(あり)
城春草木深     城(しろ)春にして草木(そうもく)深し
感時花濺涙     時に感じては花にも涙(なみだ)を濺(そそ)ぎ
恨別鳥驚心     別れを恨んでは 鳥にも心を驚かす(おどろかす)
熢火連三月     熢(ほう)火(か)三(さん)月(げつ)に連(つら)なり
家書抵万金     家書(かしょ)万金(ばんきん)に抵(あ)たる
白頭掻更短     白頭掻(か)けば更に短(みじか)く
渾欲不勝簪     渾(す)べて簪(しん)に勝(た)えざらんと欲す

 長く続いた戦乱で国中がめちゃめちゃになってしまったが、山と川だけは昔どおりに存在し続け、まちに春がやってくれば草も木も深々としげる。移りゆく時に感じるかのように花は涙をそそぎ、群れから離れた悲しさに鳥は心をびくつかせる。戦争を告げる烽火は春三月になっても止まず、不安な毎日のなかで故郷からの便りだけは何者にもかえがたい価値をもつ。昔は豊かだった髪の毛も今や白髪頭になったばかりか、憂いのあまりかきむしるのでまたまた短くなってしまった。ああ、もう簪も挿せないではないか。

 わたしは、「国破れて」を敗戦ととって、そうした気持ちでこの詩を観賞してきたが、「観賞ガイド」では、玄宗皇帝の御世、平和な治世が安禄山の乱によって8年間もの長い間の戦乱で、国中が滅茶苦茶になったことを表したものと言っています。目から鱗が落ちた思いです。自然の風物と人の心の情感を読み上げた杜甫の傑作の一つと思います。生涯暗誦出来るようと思っています。

                   

                                  柿みのる