北の旅人

旅行や、ちょっといい話などを。そして、時には言いたいことを、ひとこと。

甲子園・伝説の名勝負

2009-08-02 15:50:28 | Weblog

夏の高校野球出場校が決定した昨日、たまたま高校野球の名勝負を取り上げた番組2本を見た。

①NHK「アーカイブス 甲子園・伝説の名勝負△「死闘延長18回蓑島VS星稜」 △30年後の球児たちは 

②テレビ朝日「神様に選ばれた試合 いま甦る真夏の名勝負△「田中将大VS斎藤佑樹5時間33分決勝再試合612球…死闘の舞台裏

①は、1979年(昭和54年)夏の甲子園3回戦。蓑島が何度も離されてはホームランなどで追いつき、結局、劇的なサヨナラ勝ちを収めるという感動的なものだった。まさに神がかりというしか表現のしようがない、素晴らしい3時間50分の試合だった。今まで何回か観ているのだが、それでも胸を打たれる。

② は、2006年(平成18年)夏の甲子園決勝。駒大苫小牧VS早稲田実業は、駒大苫小牧が73年ぶりという夏三連覇に挑むという試合だった。早稲田実業は夏の初優勝を狙っていた。延長15回1―1で決着つかず再試合。翌日は結局、4-3で早稲田実業が初優勝に輝くのだが、これまた球史に残る一戦だった。



朝日新聞社のパネルより

今、田中君、斎藤君ともに、プロで、大学で期待通りの活躍をみせ、日本球界を背負う逸材として進化を続けている。楽しみこの上ない。

この決勝戦、今、思い出してもぞくぞくする。あの感動を鮮やかに活写した名文がある。高校野球をこよなく愛した作詞家の阿久悠氏が長年スポーツニッポンに連載していたものだ。あの熱闘を改めて讃え、あの感動を呼び起こすために、ここに掲載させていただく。

2006年夏 甲子園の詩2 終わりなき名勝負

ぐるりと取り囲んだ
純白の人の壁につつまれて
甲子園の空気が
震えることも忘れて凍りつく
団扇のそよぎが
嵐の予感のように壁を這うが
空気は呼吸を停めて
動かない
緊張と興奮で満員の観客は
声を発するふうでもなく
ただ 見つめる そして
やがて訪れるであろう
劇的な結末を待った

第88回全国高校野球決勝戦
駒大苫小牧 早稲田実業
終わりのない名勝負は
奇跡にも似た少年たちの可能性を
イニングごとに引き出し
増幅しながらつづき
涙ぐみたいような感動を
三時間にもわたってくりひろげた
最初はそれぞれの学校に対して
別々のシンパシイがあった
73年ぶりの三連覇を
達成させてやりたいという思い
名門伝統校の初々しさに
栄光を与えたいという願い
それらが確かに競っていたが
しかし いつか
どちらにも勝たせてやりたいとか
どちらにも負けさせたくないという
そんな思いになった
まさに 終わりなき名勝負
挫けない精神力と
おとろえないタフネスに敬意を
きみたちは凄いと言おう

2006年夏 甲子園の詩3 二〇〇六年 いい夏

昨日から持ち越した興奮が
超低周波の音のように
甲子園球場に満ちた
静寂でありながら
鼓膜を叩くものがあるのだ
このようなときめきこのような胸騒ぎを
日常に感じることがあるだろうか
寒々としたことばかりの社会で
歓喜の瞬間を待つ心の準備を
足踏みしながらととのえたことがあるか
この日 人々は
球場で テレビの前で
人から得る情報の確認で
久々にワクワクしたのだ
引き分け再試合
37年ぶりの
過酷だが誇りに満ちた
頂点の少年たちの決戦
勝利のためか
青春の光輝く証明のためか
本来なら
全精力を消化し尽くして
悲壮に見える筈の少年たちが
まさに 疲れを知らない
昂揚の美を示して
ただの一度も崩れることなく
毅然として闘った
顔を歪めなかった
肩でいきをすることもなかった
コントロールも乱れなかった
球威も落ちなかった
脚力ももつれなかった
最後までベストであった
二〇〇六年 いい夏
人々は日記に きっとそう書く(阿久悠氏HPより)

さて、今年の夏は、どんなドラマを見せてくれるのか。 8日からの甲子園が待ち遠しい。



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