北の旅人

旅行や、ちょっといい話などを。そして、時には言いたいことを、ひとこと。

まったくおかしい!飲酒運転死亡事故裁判

2009-08-14 12:43:04 | Weblog

いよいよ裁判員制度が動き出し、少しずつ国民の意見が反映されつつあることは喜ばしいことだ。だが、一方で、裁判員制度が始まる直前に行われた裁判の審理では、相変わらず理解に苦しむ判断が示されている。

先月、北海道栗山町で4人が死傷した交通事故を巡り、札幌地検は逮捕された容疑者(35)について、法定刑の重い危険運転致死傷罪や、逮捕容疑となった道交法違反(ひき逃げ)の適用を見送ることを決めた。

事故は同町の直線道路で発生し、容疑者の車に追突された乗用車が対向車と衝突、3人が死亡、1人が重傷を負うという、誠に悪質な事故。にもかかわらず、容疑者を自動車運転過失致死傷罪と道交法違反(酒気帯び)で起訴する方針だという。

札幌地検によれば、事故から約3時間後に容疑者の呼気からアルコールが検知されたので、危険運転致死傷罪の適用を検討していたが、正常な運転ができないほど酔っていたとはいえないと判断したという。

また、「ひき逃げ」については、現場で救護措置などをせずに徒歩で立ち去っていたが、現場で警察官らの聴取に応じていることなどから適用を見送ったというのだが、まったくおかしな話だ。

2006年8月に起きた、福岡市の車事故3児死亡事故も、一審の福岡地裁は、事故現場まで接触事故がなく、追突直前にブレーキをかけたことなどを理由に飲酒の影響を認めず、脇見による前方不注視が事故原因と認定。懲役25年の求刑に対し、業務上過失致死傷罪のみを認定し、懲役7年6月とした。

しかし、二審の福岡高裁は危険運転致死傷罪を認定し、道路交通法違反と併せ懲役20年の判決を下したのは、極めて真っ当な判決だ。この二つの事故に共通しているのは、飲酒運転が確認されているにも拘かわらず、「正常な運転ができないほど酔っていたとは言えない」「事故現場までは正常に運転していた」などと、常識では考えられないことを言っていることだ。(福岡の場合は二審で覆ったが)呆れた話だ。

問題は、被害者には何の落ち度もなく一方的に地獄に突き落とされたという厳然とした事実があるのみなのだ。これでは、何とかして加害者の刑を軽くしようとしているとしか思えない。加害者の立場に立てば、このような理屈が出てくるはずがないのだ。

飲酒運転だけでも大変な犯罪であり、酒の量によって罪の重さが変わるのではない。何を判断の基準にしているのか、全く理解できない。裁判官たちの狂った判断としか言いようがない。

こんなばかばかしい、大甘な判決しか出せないようでは、飲酒運転は絶対になくならない。おかしな裁判官たちに猛省を促したい。