■ 与党が急いだ「復党」
昨年の総選挙で、郵政民営化法案に反対して自民党を追われ、無所属となった議員が11月27日に復党願を出しました。一連の「造反」「刺客」騒動からわずか1年あまりで復党を誘導した自民党に対して、来年の参議院議員選挙をにらんでの「選挙目当て」だと非難の声が上がっています。
もちろん「選挙目当て」に違いありませんが、今回、同じ郵政民営化に反対した議員でも、落選した議員には声もかかっていません。参議院議員選挙を考えるなら、落選議員も火種となりかねません。本当に万全を期すのであれば、こうした勢力も取り込んでおくのも一つの策です。
しかも、今後また紛糾が予想される臨時国会の真最中に、これを行ったのには別の狙いがあります。それは、政党助成金です。
■ 「金目当て」の復党誘導
政党助成金は、直近までの選挙における得票数で算出する「得票数割」のほか、所属議員数で算出する「議員数割」があります。
多くの得票、多くの議員数を持つ政党ほど、多額の助成金を得ることが出来ることは言うまでもありません。
政党助成金は月割ですが、毎月計算を行うのではなく、年に一度の「基準日」に一年分をまとめて算出します。その基準日は「1月1日」なのです。
安倍首相は11名の議員について、復党手続きを進めるよう指示しましたが、「議員数割」はこの11名分だけでも年間約2億5千万円にのぼります。
もちろん、これはあくまで「議員数割」ですから、自民党は「落選した者には用はない」というわけです。
これから党内の手続きを経て復党ということになれば、この日に間に合います。そして自民党には来年、2億5千万円が入るという訳です。
■ 自民党の「億単位」の減収
2億5千万円という金額は、自民党の収入全体では大した額ではありません。しかし決して馬鹿にならないのも実情です。
05年の自民党の年間収入は、対前年比で約1億8540万円の減収でした。自民党の政治資金団体である国民政治協会の年間収入も、対前年比で約2億4231万円の減収となっています。
今回の無所属議員だけでなく、国民新党や新党日本に行った議員は、ベテラン・中堅が多くいました。彼らは資金源を握っていましたので、その離党は、自民党の財政に億単位で影響を及ぼしていたのです。
総選挙では大勝し、新人議員が大量に増えましたが、それくらいではこの欠損を補いきれなかったことがよく分かります。
■ 「八百長」だった総選挙
昨年の総選挙で、自民党は「改革を止めるな」と唱え、当時の小泉首相は「郵政民営化、イエスかノーか!」と絶叫しました。そして「ノー」を唱えた候補者を排除して、多くの議席を得ました。一方「ノー」を唱えた候補者にも同情が集り、彼らも一定の議席を確保しました。
その反対派も自民党に復党するというのですから、昨年の総選挙そのものが「八百長」だという批判も当然です。
いったん追い出した議員を再び「選挙目当て」「金目当て」で呼び込む安倍自民党。また「身分保障」を求めて、高らかに掲げた「政治信念」をあっさりと覆し「復党願」を提出する国会議員。このような人々が国政に携わっているのですから、嘆かわしい限りです。
■ 「生きた教育」に恥じない政治こそ先決
「政治は生きた教育」という言葉があります。
1950年11月、当時の東京大学の南原繁学長は、衆議院文部委員会で学校教育について意見を求められ、次のように発言しています。
「むしろ国会自身が一番『生きた教育』の模範となるべきものを示していただきたい。これはこの委員会を通じ、また本会議を通じ、また楽屋裏を通じて、すべてりつぱな政党政治をつくつて、われわれに『日本の模範』を示していただきたい。」
いま日本の国会、そして政党政治は、「日本の模範」と呼べるほど、立派なものでしょうか。
日本の政治は、私たちや子どもたちが、見習うべき「生きた教育」だと言えるでしょうか。
安倍首相は「教育の再生」を掲げて教育基本法の改定を図り、「国家主義」教育への回帰を目指していますが、教育を語ろうというのであれば、まず国会、そして日本の政党政治が「力ずく」「金ずく」ではなく、真に「生きた教育」「日本の模範」の名に恥じないような態度を示すことが先決ではないでしょうか。
昨年の総選挙で、郵政民営化法案に反対して自民党を追われ、無所属となった議員が11月27日に復党願を出しました。一連の「造反」「刺客」騒動からわずか1年あまりで復党を誘導した自民党に対して、来年の参議院議員選挙をにらんでの「選挙目当て」だと非難の声が上がっています。
もちろん「選挙目当て」に違いありませんが、今回、同じ郵政民営化に反対した議員でも、落選した議員には声もかかっていません。参議院議員選挙を考えるなら、落選議員も火種となりかねません。本当に万全を期すのであれば、こうした勢力も取り込んでおくのも一つの策です。
しかも、今後また紛糾が予想される臨時国会の真最中に、これを行ったのには別の狙いがあります。それは、政党助成金です。
■ 「金目当て」の復党誘導
政党助成金は、直近までの選挙における得票数で算出する「得票数割」のほか、所属議員数で算出する「議員数割」があります。
多くの得票、多くの議員数を持つ政党ほど、多額の助成金を得ることが出来ることは言うまでもありません。
政党助成金は月割ですが、毎月計算を行うのではなく、年に一度の「基準日」に一年分をまとめて算出します。その基準日は「1月1日」なのです。
安倍首相は11名の議員について、復党手続きを進めるよう指示しましたが、「議員数割」はこの11名分だけでも年間約2億5千万円にのぼります。
もちろん、これはあくまで「議員数割」ですから、自民党は「落選した者には用はない」というわけです。
これから党内の手続きを経て復党ということになれば、この日に間に合います。そして自民党には来年、2億5千万円が入るという訳です。
■ 自民党の「億単位」の減収
2億5千万円という金額は、自民党の収入全体では大した額ではありません。しかし決して馬鹿にならないのも実情です。
05年の自民党の年間収入は、対前年比で約1億8540万円の減収でした。自民党の政治資金団体である国民政治協会の年間収入も、対前年比で約2億4231万円の減収となっています。
今回の無所属議員だけでなく、国民新党や新党日本に行った議員は、ベテラン・中堅が多くいました。彼らは資金源を握っていましたので、その離党は、自民党の財政に億単位で影響を及ぼしていたのです。
総選挙では大勝し、新人議員が大量に増えましたが、それくらいではこの欠損を補いきれなかったことがよく分かります。
■ 「八百長」だった総選挙
昨年の総選挙で、自民党は「改革を止めるな」と唱え、当時の小泉首相は「郵政民営化、イエスかノーか!」と絶叫しました。そして「ノー」を唱えた候補者を排除して、多くの議席を得ました。一方「ノー」を唱えた候補者にも同情が集り、彼らも一定の議席を確保しました。
その反対派も自民党に復党するというのですから、昨年の総選挙そのものが「八百長」だという批判も当然です。
いったん追い出した議員を再び「選挙目当て」「金目当て」で呼び込む安倍自民党。また「身分保障」を求めて、高らかに掲げた「政治信念」をあっさりと覆し「復党願」を提出する国会議員。このような人々が国政に携わっているのですから、嘆かわしい限りです。
■ 「生きた教育」に恥じない政治こそ先決
「政治は生きた教育」という言葉があります。
1950年11月、当時の東京大学の南原繁学長は、衆議院文部委員会で学校教育について意見を求められ、次のように発言しています。
「むしろ国会自身が一番『生きた教育』の模範となるべきものを示していただきたい。これはこの委員会を通じ、また本会議を通じ、また楽屋裏を通じて、すべてりつぱな政党政治をつくつて、われわれに『日本の模範』を示していただきたい。」
いま日本の国会、そして政党政治は、「日本の模範」と呼べるほど、立派なものでしょうか。
日本の政治は、私たちや子どもたちが、見習うべき「生きた教育」だと言えるでしょうか。
安倍首相は「教育の再生」を掲げて教育基本法の改定を図り、「国家主義」教育への回帰を目指していますが、教育を語ろうというのであれば、まず国会、そして日本の政党政治が「力ずく」「金ずく」ではなく、真に「生きた教育」「日本の模範」の名に恥じないような態度を示すことが先決ではないでしょうか。