恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

教育基本法の改悪、「国家と国民」

2006年04月25日 | 教育基本法・教科書
■ 両与党が法案を了承

 「愛国心」教育などを盛り込んだ教育基本法「改悪」案は今日、自民・公明の両与党内の手続きを終えました。同法案は28日には閣議決定を経て、国会に提出される予定だと報じられています。
 与党内からは、今国会で成立させるため会期延長も辞さない考えが示されており、大変危険な状況にあると言わざるを得ません。
 私は、以前から書いてきた通り、この教育基本法の「改悪」には絶対に反対します。

■ 共謀罪との連動

 今日、私は「共謀罪」法案について書きました。
 国民に広範な規制をかけ、国家が国民を弾圧するための「共謀罪」も、私は反対していますが、「教育基本法改悪」と「共謀罪」、この2つは決して無関係ではありません。
 それを解く鍵は「国家と国民のあり方」です。

■ 子どもたちに忠誠を強要し、大人たちの口を封じる政府

 教育基本法「改悪」の本質は、子どもたちに、国家に対する絶対的忠誠を叩き込むことにあります。
 そして「共謀罪」は、国家を批判する大人たちの口を塞ぐため、犯罪も行なわれず、その準備行為も行なわれていないのに罪に問えるというものです。
 これまで主権者であったはずの国民は、この2法案によって「国家」に隷属する立場になってしまうのです。

■ すべてが「有事」へ

 もちろん連動しているのは、この2つだけではありません。
 こうして国民の目を多い、口を塞いだ後、行く先は、憲法9条改悪による「戦争する国」づくりに他なりません。自民党改憲案が、国民の自由・権利を「公益」や「公共の秩序」の下に置いていることも先の2つと強く結び付いています。
 さらに、現在の防衛費約5兆円の大半は、人件費と維持費です。戦争するようになれば、もっと金がかかります。その捻出のために社会保障を切下げ、次々と増税を進めようとしているのです。
 言ってみれば、すべてが「有事(戦時)体制」に繋がっていくと考えることもできるでしょう。

■ 今こそ「不断の努力」を

 このように国民から主権を奪い、軍事・国家主義体制を築こうとする政府・与党の策動を、黙って見過ごす訳にはいきません。
 憲法97条は、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、…現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と定めています。
 また、憲法12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」と定めています。
 「将来の国民」に「永久の権利」であるはずの「基本的人権」を引き継ぐために、今こそ私たちが「不断の努力」を行なうべきときだと思います。

「共謀罪」についての石原伸晃委員長への手紙

2006年04月25日 | その他
衆議院法務委員会 委員長 石原伸晃様

謹啓 連日の国会活動に深甚の敬意を表します。
 さて、早速ですが、現在、法務委員会において「共謀罪」導入をめぐる審議が行なわれています。
 この法案の問題点は多くありますが、その一つに「密告の奨励」があります。

 石原委員長は、4年前の2002年3月25日、参議院予算委員会で行革担当大臣として次のように答弁なさいました。

 「内部告発は悪い言い方をしますと『密告』でございます」

 今年4月に施行された、いわゆる「公益通報者保護法」は、例えば「リコール隠し」「産地偽装」など企業・団体によって実際に違法な行為が行なわれているとき、内部からの告発によらなければ事実が発覚せず、多くの人々に被害が拡大する恐れがあることから、それを防ぐために不充分ながらも内部告発者の保護をうたった法律です。

 しかし、その「実際に違法な行為が行なわれているとき」であっても、石原委員長は「密告だから」と慎重視なさっていました。

今回の「共謀罪」はどうでしょうか。
 ご存知の通り「実際に違法な行為が行なわれている」どころか、その準備行為がなくても、ただ「謀議」したというだけで「共謀罪」は成立してしまいます。
 しかも、適用される罪状は619にものぼり、何とでも理由を付けて国民を逮捕することができます。

 今回、政府はこの「共謀罪」摘発のために「密告」の奨励を図ろうとしています。
 「公益通報者保護法」は企業の違法行為から国民を守るためのものですが、「共謀罪」導入は国民を弾圧するためのものです。

 どちらの「密告」が、国民にとって危険であるかは明らかです。

 この法案は2度、廃案になった、問題の多い法案です。今回の修正も形ばかりのものです。
 石原委員長におかれましては、「密告社会」に対する、4年前のご自身の慎重な姿勢をよく思い出して頂き、国民を守るために、同法案を廃案にして下さるよう強くお願い申し上げます。

敬白