徳丸無明のブログ

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免疫のはらわた

2021-04-29 22:33:16 | 雑考
キャスリン・マコーリフの『心を操る寄生生物――感情から文化・社会まで』(インターシフト)を読んでの気付き。
これはサイエンスライターのマコーリフが、寄生生物の生態をまとめた本で、寄生生物は宿主に取りつくのみならず、行動を操り、時には命を投げ出すことさえさせてしまうという話が記されており、人間の行動も寄生生物に操作されているかもしれないということ、そうなると自由意志というものがどこまで明確に存在するかが曖昧になってしまうという、生物学の領域にとどまらない大きな問題を含む議論が提示されている。
この中の一章「偏見と行動免疫システム」の中で、「嫌悪」が人に与える影響について、様々な研究や調査が引用されている。嫌悪とは、人が自分の身を守ろうとするときに起こる感情であり、差別や偏見の元でもあるが、病の感染を防ぐために免疫力を高める働きもあるとして、心理学者のマーク・シャラーが行った次のような実験が紹介されている。


以前のたくさんの実験と同様、被験者には嫌悪を感じさせるようなスライドショーを見てもらったが、今回は大きな違いがひとつあった。その直前と直後に血液サンプルを採取して、それを試験管で病原体の表面マーカーと混ぜ合わせ、被験者の白血球がどれだけ積極的に敵に対抗しているかを判別したのだ。具体的には、被験者の嫌悪の感情が高まると、その人の白血球がインターロイキン六(IL‐6)と呼ばれる病原体と戦う物質を生産する量が増えるかどうかを調べた。
増えていた。しかも二四パーセントという、桁外れの増え方だった。(中略)
イギリスで実施された同様の実験では、一九七四年製作の恐怖映画『悪魔のいけにえ』を見せて被験者の感覚を血、殺戮、切断という吐き気を催すイメージでいっぱいにし、その前後に血液サンプルを採取した。すると、それらの参加者の感染と戦う白血球の数が急増し、それは映画上映のあいだに平凡な読み物を読んで過ごした対照群では見られない変化だった。


「笑い」が免疫力を高めることはよく知られている。笑うのは体にいいことだと。療養中の人が積極的にコメディー映画を観ていたら病状が大幅に改善されたという話も聞いたことがある。
しかし、笑いだけでなく「恐怖」(=嫌悪)もまた、免疫を高める効果を有していたのだ。
ということは、病に罹ったときにはコメディー映画ばかりでなく、ホラー映画も観たほうがいいということだろうか。コメディーばかりだと飽きるだろうから、コメディーとホラーを交互に観るようにしたらいいだろうか。
「笑いと恐怖は紙一重」というが、免疫を高めるという点でも極めて近い感情だったわけだ。
この事実が広く知られるようになれば、病院からホラー映画の悲鳴がしょっちゅう響いてくるのが当たり前の光景になるかもしれない。


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11 コメント

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そう (和田ヶゐ)
2021-04-30 23:50:06
そういう可能性を無視して、薬漬けにして病気を治しましょうって発想が、いかにも現代っぽくって面白くって笑えますよ(@_@)
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和田ヶゐさん江 (徳丸無明)
2021-05-01 23:33:27
医学ってのは、あくまで医学で扱える範囲しか相手にできないから、しかたないと言えばしかたないのですが。
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まあ (和田ヶゐ)
2021-05-02 00:24:14
俺は脱病院宣言しようとはしてますが(@_@)

外科とか歯科は割と信用してますがね
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和田ヶゐさん江 (徳丸無明)
2021-05-02 23:10:10
じゃあ病気になっても入院しないんですか。
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病気になったら (和田ヶゐ)
2021-05-05 03:04:24
手術で何とかなるの以外は、入院はしません!!(@_@)

そして、病院には基本、行きません!!

スタッフ細胞に期待してます!!
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和田ヶゐさん江 (徳丸無明)
2021-05-05 23:40:00
じゃあ東洋医学に頼るといいですよ。
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いや (和田ヶゐ)
2021-05-06 23:41:26
頼るのは己の肉体と、精神(@_@)
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和田ヶゐさん江 (徳丸無明)
2021-05-07 01:10:55
早死にしそうなこと言いますね。
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早死にするなら (和田ヶゐ)
2021-05-07 23:33:55
それはそれでよし!!(@_@)

延命はしない。医者は信用しない!!外科と歯医者だけは信用する!!
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和田ヶゐさん江 (徳丸無明)
2021-05-08 23:27:58
じゃあもう、何も言うことはないです。
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