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ハナガサギク=特定外来生物指定種 ~ 学名から解説

2019-05-22 10:07:35 | 写真
ハナガサギク、漢字で花笠菊。別名はヤエザキハンゴンソウです。ヤエザキハンゴンソウはハンゴンソウの八重咲き種ではなくオオハンゴウソウの八重咲き種です。

説明に行く前に、環境省のホームページ、日本の外来種対策の特定外来生物のページにオオハンゴンソウ、ハナガサギク、ヤエザキハンゴンソウと書かれているので特定外来生物指定種です。

名前が違うじゃないかと思われる方がいると思います。オオハンゴンソウもハナガサギクもヤエザキハンゴンソウも日本名であって、正式な生物名ではないのです。そこを理解してください。
オオハンゴンソウとハンゴンソウは生物的にキク科という分類が同じだけで関係はありません。日本名から想像するとハンゴンソウの大きいのがオオハンゴンソウになるけど、似ているのは葉っぱだけで花はまったく違う形をしています。ただ単に葉っぱが似ていてハンゴンソウより大きいからという理由でオオハンゴンソウという日本名が付いただけなんです。

ハンゴンソウの花(三河の植物園さんからの写真)    オオハンゴンソウの花
           


ハンゴンソウ Senecio cannabifolius キク科キオン属の多年草。
オオハンゴンソウ Rudbeckia laciniata キク科オオハンゴンソウ属の多年草。
それでは、ハナガサギクとヤエザキハンゴンソウの学名はというと、
Rudbeckia laciniata var.hortensis です。

Rudbeckia laciniata まで同じです。Rudbeckia はスウェーデンの植物学者の名前で、laciniata は細かく裂けたという意味です。キク科オオハンゴンソウ属で葉っぱが細かく裂けている種ということです。

オオハンゴンソウの葉


では var.ってなんでしょ。var. はヴァリエーションの略です。変種の記号です。hortensis は庭園栽培種のこと。つまり、ハナガサギクやヤエザキハンゴンソウはオオハンゴウソウの庭園用につくられた変種ということです。

栽培種なんだからいいのではと思われるかもしれませんが、環境省のオオハンゴンソウのリスト名は Rudbeckia laciniata としか書かれていませんので、オオハンゴンソウの変種もすべて含まれると解釈されます。

学名の var. の表記と解釈にルールがあって、var. がある場合 Rudbeckia laciniata しか表記していない場合は変種をすべて含むとされています。ハナガサギクを含まないで一重の花のオオハンゴンソウを示す場合は
Rudbeckia laciniata var. laciniata
と var. の後にもう一度 laciniata を表記しなくてはいけないのです。

ちょっとややこしいですが、日本名で生物を判断してはいけない。すべて学名で判断されます。

一番重要なことは、変種は基本種(母種)と交配できるということです。ハナガサギクとオオハンゴンソウは交配してオオハンゴンソウの種を作ることが可能です。このことからハナガサギクはオオハンゴンソウと同様に特定外来生物に指定されています。


外来法について

特定外来生物・維管束(植物)は平成28年10月1日に16種類になりました。

また、平成25年6月12日に特定外来生物法つまり外来生物法が改正されました。

罰則は、目的によって違っています。
1.許可なく輸入した場合
  個人 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 法人 1億円以下の罰金

2.許可を受けていない者に対して販売や配布をした場合
  個人 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 法人 1億円以下の罰金

3.販売・配布目的のために許可なく飼養した場合
  個人 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 法人 1億円以下の罰金

4.愛玩(ペット)などの目的のために許可なく飼養した場合
  個人 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 法人 5千万円以下の罰金

5.偽りや不正をして飼養等の許可を受けた場合
  個人 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 法人 1億円以下の罰金

6.許可なく野外に放ったり、植えたり、まいたりした場合
  個人 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 法人 1億円以下の罰金

となっています。
植物の場合、飼養は栽培と解釈してよいでしょう。4は栽培して自分で楽しむ場合の事と解釈されます。これを見る限り、4以外は植物の場合は死んでいない種(たね)を移動させたら違反になります。それから、告知期間は終わったので、特定外来生物の種類を知っていなくても特定外来生物を許可なく輸入・栽培・販売・譲渡したら程度の差はあるだろうけど確実に違反です。

また規制が厳しく除草作業がしづらいという観点から、除草日時を行政に申請して外来生物法に抵触しないように指定された通りの作業・処分すれば除草作業はできます。
作業・処分状況を写真に撮っておくのがいいでしょ。

特定外来生物と知らないで栽培してるお宅のハナガサギク。種ができる前に刈ってしまうことをすすめました。

(Canon IXY DIGITAL 510IS)(2018年7月18日撮影)


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