房総閑話

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ヒトリシズカ(一人静)=千葉市要保護生物指定種 ~ 千葉市緑区

2019-04-26 17:00:49 | 千葉市レッドリスト掲載生物
キンラン(千葉市最重要保護生物指定種)を探して雑木林の林道を下って行くと都川に出ました。あと1kmも行かないで都川の最上流になる場所です。目の前の田んぼは水を入れ始めたばかりなのか乾いた土から湿った土に色を変え、ところどころに水溜りを作っています。いくつもの水溜りが合わさって田んぼに水が溜まり、田植えの季節を迎えます。
田んぼと都川を渡ると林道は西に90度折れ上り坂になります。林道の南側は切り立った斜面、北側は徐々に下に見える都川です。南側が斜面なので北斜面で直接日が当たりません。ウラシマソウがあっちこっちに。なんでウラシマソウは2種類の本葉の出方があるんだろうなどと考えながら斜面を見ながら歩いていると、白い色が目を横切りました。斜面に近づいてよく見るとブラシのような花です。ヒトリシズカです。




キンランが見つけれなかったことも疲れも忘れてしまいました。

ヒトリシズカ。漢字で、一人静。センリョウ科で日本のチャラン属の種(学名の種小名が「日本の」です)。



横に這う地下茎を根茎と呼びます。ヒトリシズカは根茎で、根茎から数本から十数本の茎が直立します。

数本から十数本のグループで群生をつくります。あたり一面という群生にはならないそうです。



あらら。「4枚しかない葉っぱなんだよ。食べ過ぎないでね」


ヒトリシズカは花びらもガクもありません。
花びらのように見えるのは花糸です。花糸とは雄しべの葯の付いていない部分です。雄しべの方がわかり易いですね。
雄しべは3本でひと組になっていて茎についている部分で合着しています。3本の雄しべの外側の雄しべの茎とくっついている部分に黄色い葯があります。
雌しべは3本の雄しべの真ん中の上側に緑色の子房から1本出ています。

ブラシの毛のように見えたのは雄しべです。



黄色い葯が見えます。花粉があるところです。



3本の雄しべの真ん中の上側に突出した器官があります。わかりますか。


ガクも花びらも雄しべも雌しべもすべて葉から作られたものです。
あるとき、「ガクも花びらも雄しべや雌しべを守るもの。花びら作るの面倒だから葉っぱで守ってもいいよね。ガクも作るの面倒だから最初から葉っぱでくるんであげるから、いいよね」
ヒトリシズカは進化の神様に言い包められてしまったのでした。
ガクも花びらもないことから、ガクと花びらが葉から作られる前に進化から分かれた古い植物と考えられていました。しかし遺伝子情報の解析で、ヒトリシズカは被子植物では早い段階で分かれたけど、そのときはガクも花びらもあったことがわかっています。何らかの要因による進化でガクと花びらをなくしたようです。初めからガクも花びらもなかったわけでなく、退行的進化をしたようです。
まあ、生育環境を見ても花びらをなくして4枚の葉っぱだけにした方が生活エネルギーの省エネになったのでしょう。近くに生育しているウラシマソウは2枚の葉っぱだけですから。

4枚の葉に包まっている雄しべと雌しべです。



奥から葉っぱ開いてきているのがわかりますか。


葉の付き方は2枚の対生で、対生同士があまりのも近いため輪生に見えます。このように輪生に見える葉の付き方を「偽輪生(ぎりんせい)」と呼びます。

緑色の光沢ある葉は対生で、鋸歯があり、鋸歯の先は尖っている場合もあります。

(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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