今月の模型サークルの定期会合にて、モケジョのレイコさんが上図の画像について質問してきました。
「あの三角形の並び方、何かのルールなんですか?」
すかさずアンドー氏が「パンツァーカイルと言ってな、第二次大戦中にドイツ軍が東部戦線において考案した戦術や」と応じました。
「パンツァーカイル・・・、第二次大戦中の戦術ですか・・・。ガルパンでも使われてるんですけど・・・」
「そりゃそうや。ガルパンの黒森峰はドイツ機甲師団の末裔やからな。同じ戦術使っててもおかしくねえな」
「そのパンツァーカイルって戦術は、強かったんですか?」
「うーん、どうやろねえ。実際のドイツ軍は確かえーと、ツタデレ作戦やったか、ソ連軍の対戦車防御線、これバックフロントってゆうのやけど、これにパンツァーカイルでぶつかってんや。でも部隊によって戦果はまちまちだったらしい。防御線を撃破したのもおったし、出来なかったのもある」
「じゃあ、あんまり強く無かったんですね」
「まあな。防御陣地ってのは基本的に強固やからな、ドイツ機甲師団をもってしても恐るべき相手であったことには間違い無いやろうな」
「ガルパンの黒森峰は、なんでそんなパンツァーカイルで動いてるんですか?」
「そりゃあ、その、ドイツ戦車部隊独特の陣形やからな、それにカッコイイし。あれ見たらマニアは泣いて喜ぶわけよ・・・」
「それだけなんですか・・・?・・・じゃあ、黒森峰チームがこのパンツァーカイルで行っても、大洗チームには勝てないわけですね」
すると、それまでビールを飲みながら静かに聞いていたAFV部会の面々から異議の声が上がりました。それらを代表するように、タダ氏が「勝てないのは大洗の方やで。厳密にしっかり史実に即してアニメ作ったらな、黒森峰ってのは誰がどう考えても最強やぞ。一対一でやったら間違いなく強い。それがあんた、20輌揃えてんのに、なんで8輌しかねえ烏合の衆の大洗に負けるわけ?え?絶対おかしいで、ガルパンってアニメはよ。ホンマ・・・」と顔を赤くしてまくしたてるのでした。
いやまあ、そこはアニメなんで、大洗をどうしても勝たせないとストーリーがまとまらんから、ああいう展開になってるわけやで、とアンドー氏がなだめていましたが、タダ氏は「それは解ってるんやけど、なあ、でも納得出来るんかね、心から。ねえ、安藤さん・・・」と畳み掛けていました。アンドー氏は、しまいには沈黙していました。
そのやり取りを興味深そうに聞いていたレイコさんは、「じゃあ、黒森峰のパンツァーカイルに出会ったら大洗は確実に負けた筈なんですか?」と、今度は私に聞いてきました。
「普通は簡単に負ける筈ですよ・・・。史実のドイツ戦車みたいに、まず遠距離でガンガンやってこられたら、大洗はその時点で壊滅ですよ。接近戦なんて無理。パンツァーカイルというのは、兵力集中、各個撃破のお手本みたいなものですんで、あれでやって来られたら大洗は絶対に太刀打ちできない。火力が全然違うし、戦車の防御力もまるで比較にならない」
「そうみたいですね・・・。マウスとの戦いでかなりやられてますもんね・・・」
「やから、レオポンが橋壊して進路を断ったり、市街地に逃げ込んで分散させたり、アヒルたちがオトリ使って陽動やったり、ウサギが路地で後ろ取ったりしてるわけ。一対一で激突するという形にならんようにあれこれ策を使ってるわけですよ・・・」
「それで西住姉妹の一騎打ちという形に持ち込んだわけですか」
「そういうことですな。大洗チームの戦力は話にならなくても、西住みほの強化Ⅳ号だけなら、西住まほのティーガーⅠに対抗出来る余地がある。みほも黒森峰の一員だったから、一対一の格闘なら存分にやれる。そういう場面に持っていくべく、あの第12話のストーリーが作られてる筈ですね。ちょっと色々無茶してるみたいですけどね」
「そういうことですか・・・」
そう答えていたものの、まだ完全に理解出来ていないようなレイコさんの表情でした。
「いっぺんパンツァーカイルで戦ってくれたらなあ、そしたらどんなものか分かるのに・・・」とワインを飲みながら呟いていました。
それには、全く同感でした。黒森峰女学園チームがパンツァーカイルで相手チームを撃破する場面を見てみたい、と思うのは決して私だけではない筈です。ガルパンの黒森峰チームファン共通の願望のひとつではないでしょうか・・・。