昼は市役所で用事、夕方からズームで参院選対策会議。
世に「菊タブー」なる言葉がある。天皇や天皇制について踏み込んで発言することを避ける空気、とでも言おうか。そのタブーの沼にはまりかけているのがドキュメンタリー監督の森達也さん。3月に出した小説の主人公は退位前の上皇、上皇后両陛下である。だが、いくつもの出版社に断られ続け、やっと刊行されたかと思えば、メディアからほぼ黙殺されているのだ。吉井理記】
◇上皇、上皇后ご夫妻が実名で 小説は「千代田区一番一号のラビリンス」(現代書館)。皇居の所在地がタイトルになった。3月に出版され、重版もされたが、皇室が関心分野の一つである記者は同僚の美術担当記者に教えてもらって初めて知った。思えばそんな「問題作」なのに、書評すら目にしていなかった。
森さんが苦笑い。「そうなんです。書評はほぼ出ていなくて。いつもはどんな本を出しても、だいたい何かしら書いてくれるのですが、今回ばかりは……」
小説中の上皇、上皇后ご夫妻は「明仁」「美智子」と実名で記される。お二人の日常生活や公務、その合間に交わされる近現代史や「象徴天皇」を巡る会話をタテ軸に、映画監督の「克也」が企画した天皇を巡るドキュメンタリー番組制作と周囲の人間模様をヨコ軸に絡めて物語が進む。フジテレビ、NHK、安倍晋三元首相といった組織や人物も実名で登場する。
一番の読みどころは、ご夫妻で交わされる会話である。
例えば2013年、秋の園遊会に出席した当時参院議員の山本太郎氏が、お二人に福島の原発事故の実情を訴える手紙を手渡し、自民党議員や「保守」を自称する人たちから「天皇の政治利用だ」「不敬だ」などと猛批判された一件。 <「あと天皇の政治利用だって怒っている人たちがたくさんいる」「私の政治利用?」> <「手紙を私に渡すことが、なぜ私を政治的に利用したことになるのだろう」>
<利用するとかしないとか、何だか私の夫は国民や政治家たちの道具のようね。失礼しちゃうわ。ちゃんと意思のある人間よ> あるいは戦争と歴史を巡るやりとりや独白。
<「国民の多くが自分たちの過去や歴史に関心がないのなら」と明仁がつぶやいた。「私たちの存在意義が消えてしまう」「きっと都合の悪い歴史が嫌なのよ」「ならば、私たちの家系の歴史は、この国の多くの人にとって都合がいいのかな」>
<少なくとも私を自分たちの象徴だと思っている日本国民に、聞いてほしいことはたくさんある、……夫はそう思っている。でも今は誰にも言えない。言ったとしても誰もそれを伝えてくれない。だから私が聞く>
◇番組も小説もキャンセル もちろん小説である。会話は森さんの想像の産物だ。でも、本当にこんな会話がひそひそ交わされているのかも、と錯覚する。血とは、家系とは、象徴とは、戦後日本とは――。分かったつもりになっていた記者も、そのむき出しの問いを目前に突きつけられ、考え込んだ場面があちこちにある。
「この小説は20年近く前に書き始めたんです。小説でも触れているように、2005年にフジテレビの憲法特集の番組のために、天皇と憲法1条をテーマにした作品を撮りかけたのですが、途中で撮影中止を強要され、断念したということがあった。フジ上層部によれば、理由は『番組として成立しない』の一点張り。理由になっていないんです。題材が天皇だから、ということでしょう。それ以外に考えられません」
一体何がどうしてダメなのか、さっぱり分からない。だれもきちんと言わない。これが「タブー」と呼ばれるゆえんなのか。
この空気は何なのか。やがて天皇を主人公にした小説を思い立つ。いくつか大手出版社に刊行を打診した。森さんはすでにドキュメンタリー映画などでジャーナリズムの世界では著名人になっていた。小説はスムーズに世に出るかと思いきや――。
ここからが長かった。ある有名出版社では、一度は社のPR誌での連載が決まったにもかかわらず、役員会で「これはまずいのではないか」という声が上がり、キャンセルされた。大手出版社、有名文芸誌からも「面白いが、ウチでは無理です」と断られ続けた。なぜ無理なのか、何が「まずい」のか、やはり説明はなかった。
「もちろん、出す出さないは出版社の裁量です。面白くないからと言われれば反論できない。でもそんなことを言われたことは一度もないんです。それなのに掲載や出版は拒まれる。これだけ続くと、何か別の理由があると思いたくなります。本当は退位する前に刊行したかったのですが、そんな具合でなかなか実現せず、結局は僕の最初の本(オウム真理教のドキュメンタリー撮影をつづった「A撮影日誌」)を出版した現代書館が手を挙げてくれました。ぐるっと回って、元の位置に帰ってきた気分です」
皇室を描いた小説を巡っては1961年、「風流夢譚」事件があった。「夢の中」の革命で皇族が処刑されるといった記述のある作家・深沢七郎の小説「風流夢譚」に対し、右翼が小説を雑誌掲載した中央公論社(当時)の社長宅で家政婦ら女性2人を殺傷したものだ。
もちろん、森さんの小説はそういう話ではない。だが――。 やっと刊行できたと思ったら、今度はほぼすべてのメディアに黙殺される事態が待っていた。
「大手週刊誌も新聞社系の週刊誌もほぼダメですね。ただしゼロというわけじゃない。『サンデー毎日』と『週刊新潮』に小さな書評が出ました。でも『週刊新潮』『週刊文春』であれば、『こんな不敬な本を許していいのか』ぐらい、大きく批判してほしかったな。何でしょうね。どう扱えばいいのか分からない、だから見ないようにする、といったような……」
記者も20年以上この仕事をしている。各メディアが取り上げない気持ちも感覚として分かる。面倒なのだ。社会から批判・攻撃されるリスクを減らしたい、つまり「火中の栗」を拾いたくない、ということなのだろうが、では天皇・皇室についてのみ、このことを強く感じるのはなぜか。戦後、憲法で保障されたはずの言論や表現の自由が、今なお大日本帝国時代の空気を克服できていない、というもっともらしい答えはあるが……。
◇自粛いつやめれば 小説の中で上皇、上皇后の両陛下が敬称なしの実名で登場することもメディアの腰を引かせる要因かもしれない。 「これは小説です。主人公を『さま』とか『陛下』と呼ぶ小説なんて変でしょ。でもメディアにとっては、長年の習慣なのか空気なのか、敬称をつけないなんてありえない、という認識があるのかなあ」
森さんも首をひねる。記者もこの原稿で「陛下」「お二人」などと記してきた。どこのメディアも皇室用語には規定がある。毎日新聞も「敬語を使うが多用しない」などとされ、「陛下」「殿下」「さま」の用い方も決まっている。記者もこれに従っている。
思えばこれも不思議な話だ。憲法1条で天皇は「象徴」とあるが、それだけだ。国民は天皇に敬意を抱かねばならない、といった条文はないし、法律もない。でも読者・視聴者に根拠を何ら明示せず、例外的に敬語を使っているのだ。
「僕が映像の仕事を始めてすぐに遭遇したのが、『昭和天皇崩御』を巡る自粛の嵐(89年)です。テレビもラジオも歌舞音曲は一切ダメ。でもいつ自粛をやめればいいか、その判断を誰もできない。各局とも横にらみでした。そんな当時よりも、言論空間は硬直化し、悪化している。その最たるものが天皇や皇室にかかわる議論や表現だと思う」
記者も覚えている。今もテレビで活躍する大物タレントは、かつては昭和天皇の言動をギャグにしていたが、今やそんなネタは絶対にテレビに流れない。上皇、上皇后ご夫妻の結婚時(59年)には「ミッチーブーム」が巻き起こったが、テレビで「ミッチー」と呼ぶ人はいなくなった。
◇萎縮、抑制、そして沈黙 「僕はことさら天皇制反対などと言うつもりはないんです。でも明治以降の天皇制がさまざまな近現代の弊害を生んできたのも事実だと思う。ある意味でとても危険な制度です。あの戦争で大日本帝国の統治権の総覧者であった昭和天皇の戦争責任がうやむやになったし、家系や血筋をもとに天皇を『尊貴』であるとするなら、家系や血筋をもとに人を『ケガレ』た存在と見る部落差別の思想をも生む……」
そうした矛盾をだれよりも感じてきたのが上皇、上皇后ご夫妻ではないか、というのが森さんの考えである。 「メディアの姿勢は社会に感染します。弊害があれば議論し、改めねばならない。でも触れないようにしているから、議論すらできない。なぜ議論できないか、という議論すらできないんです。メディアも国民も萎縮し、当の天皇は発言を抑制されている。結果としてみんなが沈黙する。でも皇族の恋愛やスキャンダルだけは喜々として消費される。あまりにいびつです」
作中で、上皇后さまは日本社会のあれこれを横目に「この国がもっと成熟しないと」という言葉を発する。 それはタブーなく議論できることか。生身の人間を神のようにあがめ、「格子なき牢獄(ろうごく)」(三笠宮崇仁親王)に押し込めずに済む社会にすることなのか。 「愛国者」を自負する人にこそ、本書をお読みいただきたい。
駅前行動
◇早朝など駅前アピール 1回
◇茨金でのアピール 27回
◇総がかり行動など駅でのアピール 18回
地域宣伝行動
◆5駅アピールラン 19回 (3駅、4駅も含む)
◆市内アピールラン 1回 (のぼり、ゼッケン)
◆のぼりウォーク 12回
◆のぼり(ゼッケン)自転車 15回
◆自転車でメガフォンアピール 5回
街角トーク・スポット街宣
- 今日の回数 回
- 今月の回数 28回
- 11 月 回
- 10月 21回
- 9月 1回
- 計 33回
【山下けいきラン(含むビラニック)日誌】
◆ 1月のラン計 119㎞
◆2021年12月のラン計 55㎞
◆ 11月のラン 128㎞
◆ 10月のラン計 50㎞
◆ 9月のラン計 79㎞
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HK & Les Saltimbanks "On l�・che rien" (Japanese subtitles)あきらめないぞ! (いつの世もあきらめたらおしまい。自民党安倍政権が政治の私物化をもくろみ、国民だれでも逮捕自由自在の「なんでも秘密」法(特定秘密保護法は自由民主党が自由と民主の真逆であるのと一緒で、特定ではなく官僚が秘密と言ったら秘密になる)に反対し続けます。この歌に勇気をもらって頑張ります。)
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