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蓮池透さんの講演会 レジメ全文です。

2014年11月02日 |  #憲法 #平和 #民主 #人権 #茨木市議会議員
 昼から蓮池透さんの講演会。「拉致問題の視点からナショナリズムを考える」がテーマで教科書問題を考える北摂市民ネットワークが主催です。私のFacebookを見た人から参加したいとの連絡があり、早めに行きました。
天気が今一つで心配しましたが、会場は満席でスタッフは立ち見でした。





        拉致問題の解決へ向けて
         …拉致問題の視点からナショナリズムを考える…
                                        蓮池透

1.はじめに
  2002年9月17日小泉首相(当時)が訪朝し、北朝鮮による日本人拉致が白日のもとに晒されてから12年余が経過した。その聞、拉致被害者5人とその家族が帰国・来日した以外、拉致問題は膠着状態であり、何の進展もない。被害者の帰国を一日千秋の思いで待っている私たちは、ただ年齢を重ねただけであり、その苦しみや悲しみは年々増大し、もはや限界を超えている。非常に残念極まりないことである。

2。民主党への政権交代
  その時間の流れの中、政治の世界には大きな変化が到来した。すなわち自民党から民主党への政権交代である。様々な分野で自民党政権との対立軸を明確にしていた民主党政権であるが、果たして長期間に亘って停滞を続けている対北朝鮮外交ではどのような政策をとるのか注目していた。しかし、残念ながら旧態依然としたものだった。

  北朝鮮は、「自民党政権は倒れて当然」という趣旨の報道をしていた(とはいえ民主党政権支持とは言っていないが)。これは、対北朝鮮政策について、従来とは異なる方向へ大きく舵を切る最大かつ唯一のチャンスであったと考える。

3。鳩山元首相の国連演説
  ……一方、鳩山元首相は2009年9月24日国連総会の一般演説で北朝鮮問題について演説した。その概要は以下のとおりである。

①核実験、ミサイル発射は脅威であり断則として認めない。国連安保理決議を完全に実施する。六者協議を通じて朝鮮半島の非核化に努力する。

② 日朝平壌宣言に則り、拉致、核、ミサイルという諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を、誠意をもって清算し国交正常化を図る。

③拉致問題については、昨年(2008年)合意したとおり速やかに全面的な調査を開始する等の、北朝鮮による前向きな行動が日朝関係進展の糸口になり、北朝鮮による前向きかつ誠意ある行動があれば、日本としても前向きに対応する用意がある。

  この内容、すなわち対話路線指向については共感できるものであるが一部不満もある。首相は、②で「諸懸案を包括的に解決」と言っている。これは聞こえは良いが、ご都合主義の逃げ口上としか私には思えない。核・ミサイルと拉致は全く性格の異なる問題であり、拉致問題は日朝固有の問題として単独できちんとした戦賂を立てるべきである。また、③であたかもボールは、北朝鮮側にあるような発言をしているが、これには異論がある。2008年の合意は、同時行動が原則だったはずであり、現状では日本側が先に行動の意思表示をし北朝鮮の同時行動を促すべきである。すなわちボールは日本側にあると思うのである。

  翻って、では鳩山元首相はなぜこの演説の内容を日本国民に向けて積極的に発信しなかったのであろうか。所信表明演説や施政方針演説でもこれらがすべて明確にされることはなかった。ただ、対話と交渉を模索していたことは事実だ。

  その後、菅元首相、野田前首相についても、ほぼ同様の国連演説を行ったが、具体的な拉致問題の対応については当時と大きな相違がなかった。そして、安倍総理の同演説では「国交正常化」という言葉はなくなっていた。

4。安倍政権は12年間を検証・総括すべき
  少なくとも、安倍政権はこれまでの政権が12年間とってきた対北朝鮮政策を検証・総括する必要かある。なぜ膠着状態が続いているのか。正すべきところは正すべきである。北朝鮮がなぜ日本を相手にしないのか、何を怒っているのか、北朝鮮の視点に立ってよく考えてみる必要もある。その背景について12年間を振り返る形で自分なりに分析してみたいと思う。

(1)経済制裁の有効性
  5人の被害者とその家族が帰国・来日して以降、日本政府がとった政策は経済制裁であった。私は、それも一つの手段と考えていた。

  ただし、経済制裁は平和的解決と武力行使の間にあり、しかも極めて武力行使に近い手段であり、戦争をしないわが国にとっては最後の手段である。しかるに実行するに当たってば、被害者の救出につながるような戦略的なものであるべき、と主張してきたつもりである。

  つまり、どのような動機付けで、シナリオであるいはメカニズムで被害者が救出されるのか、知恵を絞った上での制裁である。

  ところが、2006年、実際に制裁は行われたが、それは北朝鮮のミサイル発射と核実験が発端であり、拉致問題に関しては後付けであったと言える。そこに私の言う戦略があったかといえば全くない。やみくもな経済制裁は、北朝鮮の感情を悪化させ彼らの結束を固めるだけで被害者の救出にはつながらない。当時の日本政府がそれでも経済制裁にこだわった理由は、拉致問題に対する基本姿勢が「逃げ」であったからだと思う。被害者家族らの言うとおりに経済制裁を実行したということを言い訳にして、タフで面倒な交渉を回避し、机上で指示できる経済制裁に逃げていたのである。また、日本国内向けのパフォーマンスともいえ、偏狭なナショナリズムを煽るだけの結果となる。まさに思考停止状態である。

 (2)4回の政治決着
  2002年9月17日に遡るが、この目以降、日朝間で4回の拉致問題の政治決着が企てられたが、すべて失敗に終わり、日朝関係はもつれてしまったと私は考えている。

  第一は、2002年9月17日その日に行われたことである。故金正日総書記が拉致を認めて謝罪すれば、国交を正常化できる。その上うな水面下での日朝密約があったものと想像できる。国交正常化を急ぐあまり、拉致問題を早く排除したかった。

  そのため日本政府は「5人生存、8人死亡」という情報を既成事実化しようとした。「お上」が家族に「死亡宣告」するという、稚拙な方法で、そこには拉致被害者の、人権、人格、尊厳に対する配慮は全くない非情なものであった。日朝平壌宣言は締結されたが、「8人死亡」のシナリオが成立するはずはなく失敗に終わった。

  第二は、5人、の被害者の「一時帰国」である。被害者の生存をアピールし、大きく盛り上がった北朝鮮批判の日本世論を少しでも沈静化させ、国交正常化につなげようとする政治決着。ここにも5人の人権に対する配慮などない。完全に帰国させるのではなく、性懲りもなく被害者を利用する不条理な約束があった。このような決着など実現する訳はない。
                      
  第三は、「小泉再訪朝」である。5人の家族の帰国・来日により拉致問題の進展を世間に訴え、国交正常化を図ろうとした。しかし、これも失敗に終わる。

  最後は、横田めぐみさんの偽遺骨問題である。めぐみさんの遺骨により死亡を証明し、日本の世論を鎮めようとした。しかし、それも偽物であることが判明し、国交正常化どころか日本のナショナリズムはますます「北朝鮮批判一辺倒」に傾いていった。

  こうして、4回の政治決着、すなわち拙速な国交正常化策はことごとく失敗に終わり、それ以来、北朝鮮は日本政府を相手にせず、拉致問題は終わったとして、両者の間に長い膠着状態が続くこととなったのである。2008年ようやく日朝協議が行われ、調査委員会設置と制裁一部緩和の同時行動が合意されたが、それも実現しなかった。

5。安倍政権のあるべき姿
  安倍政権にとって4回の政治決着の失敗という現実から学ぶべきものがあると思う。なぜ、北朝鮮は怒っているのか、何を望んでいるのか良く考えて欲しいのである。そして、日本は何をするべきなのか、理性的にそして戦略的に知恵を絞ってもらいたい。

  原則論を貫き、制裁路線にこだわっていたならば身動きが取れなくなる。甘いと言われても、対話・交渉路線の模索は必要である。いかなる民族が相手であろうと対話と交渉なくして和解はない。鳩山元首相や菅元首相の国連演説にある北朝鮮の調査委員会の設置を、日本の制裁緩和と同時に行動し、それを糸口とすべきである。

  そして、日朝平壌宣言の履行につなげていく。「過去の清算」を巡る様々な議論があるが、日朝平壌宣言にはっきりと謳われている。これも鳩山元首相、菅元首相および野田前首相の国連での演説にあるように、日本政府としての公式な見解なのである。そうであるならば、「過去の清算」を具体化して準備し、堂々と国交正常化へ向けて行動する姿勢を提示することにより、北朝鮮の誠意ある拉致問題に対する同時行動を求めていくべきではないだろうか。

  最近ようやく「再調査」が決まった。 2008年の合意に戻るのに何故6年もかかるのかという思いがある。
しかし、[夏の終わりから秋の初め]という第1回報告の期限はすでに過ぎた。そもそも今回の日朝合意は、「合意」の意味合いが薄い。あまりにも取り扱う対像が広範すぎるからだ。何か両国にとってゴールなのか「合意」していないに等しい。当初から憂慮していたが、現実味を帯びてきた、やはり対象を絞り短期決戦で事を進めるべきではなかったか。(もちろん段階的に行う必要かあるが)ゴールがうやむやで長期的であるということは
果てしなき闘いになる公算が高い。安倍政権の本気度が問われている。再考を求めたい。
                                               (了)
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HK & Les Saltimbanks "On l�・che rien" (Japanese subtitles)あきらめないぞ! (いつの世もあきらめたらおしまい。自民党安倍政権が政治の私物化をもくろみ、国民だれでも逮捕自由自在の「なんでも秘密」法(特定秘密保護法は自由民主党が自由と民主の真逆であるのと一緒で、特定ではなく官僚が秘密と言ったら秘密になる)に反対し続けます。この歌に勇気をもらって頑張ります。)
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