玉島小学校の廊下に張り出されていた卒業おめでとう
以下のメールをkさんからいただきました。茨木でも塩見昇(大阪教育大学名誉教授)さんの講演が開かれましたが、私はほんの最初だけで途中退席しました。まとまった報告ですのでこ紹介します。体調不良で以前微熱、咳、鼻づまりが続いています。外は春めいているのに残念です。こんな時もあるさと構えてはいるのですが・・・・。
昨日、「図書館と指定管理者制度」とテーマとする講演会に参加しました。長くなりますが報告します。
草津市立南草津図書館において、滋賀県下で初めて、指定管理者制度が導入されようとしていることに対して、そのことに危惧し、反対をしている市民運動、「私たちの図書館」を考える会の主催だった。
この問題を深く知らない私は、参加して、今日の民営化が進む社会にあって極めて重要な問題だと認識できた。
メインの講演は、(社)日本図書館協会理事長・塩見昇氏(大阪教育大学名誉教授)日本図書館協会のホームページ http://www.jla.or.jp/同氏は、この問題を非常にわかりやすく、解説され、問題のありかが明確になった。
まず、滋賀県が全国的にも図書館の評価がトップクラスで高いこと、そして、八日市や草津がその牽引をしてきたことを前置きし、今日図書館運営において、指定管理者制度が導入されるような問題が浮上している背景が、(小泉)構造改革-経費節減-民営化にあり、そして格差、ワーキングプアー問題とも関連していることを指摘された。
そして、指定管理者制度とは、2003年地方自治法改正で、地方公共団体が、「公の施設の設置目的を効果的に達成するために必要」があるときは、民間などに公の施設の管理を代行させることができるというものだが、つまり、指定管理者に任せたほうが「設置目的を効果的に達成するために」うまくいきますという場合に導入できるのだが、実際は、その「設置目的を効果的に達成」できるか検証しないまま、経費節減を図るため、逆に「導入しないならその理由を報告して示せ」と、総務省は通知して、強引に導入してきた。
そんな制度を図書館に導入することがなじむのか。まず、現在の導入状況は、全国1700余の図書館のうち05年から10年までに導入されているか導入予定のところは、全体の1割程度。実際、図書館としてのサービスレベルが高いところほど導入していない。日本図書館協会としても、図書館への指定管理者制度導入は、適切ではないと明確に見解を出している。
http://www.jla.or.jp/kenkai/201003.html
問題のポイントは3点。
①図書館の管理を安定して行なう物的人的能力を持つ民間業者や団体はないこと。
②指定期間が限られており、事業の蓄積・発展はできないこと。
③経費節減により働く人たちの労働条件に安定性を欠くことが明らか。
①は民間などで図書館管理をやってきたところは極めて少ないので、適切なところはまずない。
②は、指定管理者の選定は、入札-契約で行なわれるが、契約の仕様書以上のことは経費的にしない-あらかじめ決められたことはするがそれ以上はしない-から、利用者が増えた場合とか、利用者による新たな図書購入希望などに適切に応じられないなど、現場で支障が出る。そして、事業蓄積発展は見込めない。また、市=管理部門と指定管理者-現場職員との意思疎通は難しい。ギクシャクする。さらに、重大なことは、指定管理者が、誰に対して仕事をするのか、という点である。契約を更新してもらうために、市民-利用者より、市のほうを向いて仕事をすることとならざるを得ない。管理部門の意に沿うように動く。図書館が誰のためにあるのか。その『設置目的の効果的達成』とは逆の事態が生まれる。
③図書館は、図書館法により、無料でサービスを提供する。一般貸し館をするところなどは、貸し館収入が増えるなどがありうるが、図書館は、利用者が増え、経費は増大しても、収入が増えるわけではない。利用者が増えるなど経費増大となると、収入は増やせないから、勢い、そのしわ寄せは、人件費削減に向かう。もちろん、内容充実などはありえない。労働条件の低下が、現在の雇用問題にも現れているように、公の施設からワーキングプアーを生む原因を作ることとなる。
さらに、図書館は、地域や県レベルで連携している。滋賀県は全国的にもトップであり、そのモデルとなっているところであり、県と市町の図書館の関係、市の中の複数図書館の関係、これらは、公が実施するからうまくいっている。しかし、指定管理者が導入されると、企業秘密などもあり、各館の連携はとりにくくなる。図書館は横のつながりが大切であり、それが指定管理者制度導入により、確実に阻害される。
また、2008年、当時の文科大臣は、導入率が1割程度という低い状況や、導入しているところでの短期的な職員の入れ代わりなどの弊害が生じていることも考慮し、「図書館には、特定管理者はなじまない」と、国会答弁している。
指定管理者を導入すると、開館時間が長くなったとか休館日が少なくなったことや、職員の対応がよくなったと、そのメリットが言われる。果たして、開館時間の延長が、その図書館の質の向上なのか。
開館時間は長いに越したことはない。しかし、公でもそれば議論していけば可能だ。その議論が手間取るから、安易に、時間延長などのやりやすい指定管理者に流れるとしたら間違っている。職員の対応も公でできないことはない。むしろ公でできなかったらそのこと自体が問題だ。
この程度のことが、指定管理者導入のメリットとされるなら、弊害と比較した十分な議論を行なうべきである。
確かに金の問題は、地方公共団体にとって今日重大だが、これも踏まえて、安易な議論で進めるべきではない。全国的には、指定管理者導入をやめるところも出てきている。図書館の本質的問題から、やめているわけではなく、指定管理者-業者・団体の側の問題でやめているようだが、それこそ、図書館の公共性に支障となる。指定管理者導入が始まってから、4~5年だが、今指定管理者制度の脆弱性が、現れ始めている。
概要としては以上だった。
そのあと、守山市や高島市、湖南市において、いずれも指定管理者の問題点から導入に至らなかった経過などが、市民や図書館協議会委員から報告された。
そして、主催者の予想を超えてたくさん集まったフロアーから、いろいろな質問意見が出された。
改めて、図書館とは何のためにあるのか。設置目的とは。またどういう図書館を作っていこうとするのか。現在に問題があるとしたら、「今よりよくなるかどうか」丁寧なかつ十分な議論をすべきだ。事業仕分けのような安易な議論で変更するべきではない。法的には、図書館協議会が設置できるが、館長が諮問し、そこで十分な議論をする必要がある。草津のように図書館協議会がないところでは、協議会設置がぜひ必要だ。
そして、図書館の連携という点からも、南草津の図書館の指定管理者制度導入が、県下に広がらないよう市民運動を進める必要があることと、何よりも、南草津図書館での導入をやめるよう草津市長に要請していくという報告が、主催者から行なわれた。
私としては、これまでよくわかっていなかったため、指定管理者との契約で図書館司書など配置させたらうまくいくというような論理に(草津市議会本会議での答弁でもこんな風に述べられて、議論は終わっていた)、そうなのかな程度しか理解していなかったが、そんな程度の問題ではないことが、よく理解できた。
自治体の民営化問題の基本的なことが、この図書館への指定管理者導入問題に孕んでいることを知ることができ、民営化が、今日の社会の新自由主義と一体のものであり、ひいては、その新自由主義が、戦争などと表裏の関係のものであることからすれば、この南草津図書館の問題は、一自治体にとどまらず、極めて重大な問題だと気づかされた。
私が大切だと思っている図書館の自由に関する宣言(日本図書館協会1954年5月30日採 択/1979年改訂 )を添付します。
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/tosyokannkennsyou.htm
この中に以下のような内容があります。
第4 図書館はすべての検閲に反対する
検閲は、権力が国民の思想・言論の自由を抑圧する手段として常用してきたものであって、国民の知る自由を基盤とする民主主義とは相容れない。
検閲が、図書館における資料収集を事前に制約し、さらに、収集した資料の書架からの撤去、廃棄に及ぶことは、内外の苦渋にみちた歴史と経験により明らかである。
したがって、図書館はすべての検閲に反対する。
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以下のメールをkさんからいただきました。茨木でも塩見昇(大阪教育大学名誉教授)さんの講演が開かれましたが、私はほんの最初だけで途中退席しました。まとまった報告ですのでこ紹介します。体調不良で以前微熱、咳、鼻づまりが続いています。外は春めいているのに残念です。こんな時もあるさと構えてはいるのですが・・・・。
昨日、「図書館と指定管理者制度」とテーマとする講演会に参加しました。長くなりますが報告します。
草津市立南草津図書館において、滋賀県下で初めて、指定管理者制度が導入されようとしていることに対して、そのことに危惧し、反対をしている市民運動、「私たちの図書館」を考える会の主催だった。
この問題を深く知らない私は、参加して、今日の民営化が進む社会にあって極めて重要な問題だと認識できた。
メインの講演は、(社)日本図書館協会理事長・塩見昇氏(大阪教育大学名誉教授)日本図書館協会のホームページ http://www.jla.or.jp/同氏は、この問題を非常にわかりやすく、解説され、問題のありかが明確になった。
まず、滋賀県が全国的にも図書館の評価がトップクラスで高いこと、そして、八日市や草津がその牽引をしてきたことを前置きし、今日図書館運営において、指定管理者制度が導入されるような問題が浮上している背景が、(小泉)構造改革-経費節減-民営化にあり、そして格差、ワーキングプアー問題とも関連していることを指摘された。
そして、指定管理者制度とは、2003年地方自治法改正で、地方公共団体が、「公の施設の設置目的を効果的に達成するために必要」があるときは、民間などに公の施設の管理を代行させることができるというものだが、つまり、指定管理者に任せたほうが「設置目的を効果的に達成するために」うまくいきますという場合に導入できるのだが、実際は、その「設置目的を効果的に達成」できるか検証しないまま、経費節減を図るため、逆に「導入しないならその理由を報告して示せ」と、総務省は通知して、強引に導入してきた。
そんな制度を図書館に導入することがなじむのか。まず、現在の導入状況は、全国1700余の図書館のうち05年から10年までに導入されているか導入予定のところは、全体の1割程度。実際、図書館としてのサービスレベルが高いところほど導入していない。日本図書館協会としても、図書館への指定管理者制度導入は、適切ではないと明確に見解を出している。
http://www.jla.or.jp/kenkai/201003.html
問題のポイントは3点。
①図書館の管理を安定して行なう物的人的能力を持つ民間業者や団体はないこと。
②指定期間が限られており、事業の蓄積・発展はできないこと。
③経費節減により働く人たちの労働条件に安定性を欠くことが明らか。
①は民間などで図書館管理をやってきたところは極めて少ないので、適切なところはまずない。
②は、指定管理者の選定は、入札-契約で行なわれるが、契約の仕様書以上のことは経費的にしない-あらかじめ決められたことはするがそれ以上はしない-から、利用者が増えた場合とか、利用者による新たな図書購入希望などに適切に応じられないなど、現場で支障が出る。そして、事業蓄積発展は見込めない。また、市=管理部門と指定管理者-現場職員との意思疎通は難しい。ギクシャクする。さらに、重大なことは、指定管理者が、誰に対して仕事をするのか、という点である。契約を更新してもらうために、市民-利用者より、市のほうを向いて仕事をすることとならざるを得ない。管理部門の意に沿うように動く。図書館が誰のためにあるのか。その『設置目的の効果的達成』とは逆の事態が生まれる。
③図書館は、図書館法により、無料でサービスを提供する。一般貸し館をするところなどは、貸し館収入が増えるなどがありうるが、図書館は、利用者が増え、経費は増大しても、収入が増えるわけではない。利用者が増えるなど経費増大となると、収入は増やせないから、勢い、そのしわ寄せは、人件費削減に向かう。もちろん、内容充実などはありえない。労働条件の低下が、現在の雇用問題にも現れているように、公の施設からワーキングプアーを生む原因を作ることとなる。
さらに、図書館は、地域や県レベルで連携している。滋賀県は全国的にもトップであり、そのモデルとなっているところであり、県と市町の図書館の関係、市の中の複数図書館の関係、これらは、公が実施するからうまくいっている。しかし、指定管理者が導入されると、企業秘密などもあり、各館の連携はとりにくくなる。図書館は横のつながりが大切であり、それが指定管理者制度導入により、確実に阻害される。
また、2008年、当時の文科大臣は、導入率が1割程度という低い状況や、導入しているところでの短期的な職員の入れ代わりなどの弊害が生じていることも考慮し、「図書館には、特定管理者はなじまない」と、国会答弁している。
指定管理者を導入すると、開館時間が長くなったとか休館日が少なくなったことや、職員の対応がよくなったと、そのメリットが言われる。果たして、開館時間の延長が、その図書館の質の向上なのか。
開館時間は長いに越したことはない。しかし、公でもそれば議論していけば可能だ。その議論が手間取るから、安易に、時間延長などのやりやすい指定管理者に流れるとしたら間違っている。職員の対応も公でできないことはない。むしろ公でできなかったらそのこと自体が問題だ。
この程度のことが、指定管理者導入のメリットとされるなら、弊害と比較した十分な議論を行なうべきである。
確かに金の問題は、地方公共団体にとって今日重大だが、これも踏まえて、安易な議論で進めるべきではない。全国的には、指定管理者導入をやめるところも出てきている。図書館の本質的問題から、やめているわけではなく、指定管理者-業者・団体の側の問題でやめているようだが、それこそ、図書館の公共性に支障となる。指定管理者導入が始まってから、4~5年だが、今指定管理者制度の脆弱性が、現れ始めている。
概要としては以上だった。
そのあと、守山市や高島市、湖南市において、いずれも指定管理者の問題点から導入に至らなかった経過などが、市民や図書館協議会委員から報告された。
そして、主催者の予想を超えてたくさん集まったフロアーから、いろいろな質問意見が出された。
改めて、図書館とは何のためにあるのか。設置目的とは。またどういう図書館を作っていこうとするのか。現在に問題があるとしたら、「今よりよくなるかどうか」丁寧なかつ十分な議論をすべきだ。事業仕分けのような安易な議論で変更するべきではない。法的には、図書館協議会が設置できるが、館長が諮問し、そこで十分な議論をする必要がある。草津のように図書館協議会がないところでは、協議会設置がぜひ必要だ。
そして、図書館の連携という点からも、南草津の図書館の指定管理者制度導入が、県下に広がらないよう市民運動を進める必要があることと、何よりも、南草津図書館での導入をやめるよう草津市長に要請していくという報告が、主催者から行なわれた。
私としては、これまでよくわかっていなかったため、指定管理者との契約で図書館司書など配置させたらうまくいくというような論理に(草津市議会本会議での答弁でもこんな風に述べられて、議論は終わっていた)、そうなのかな程度しか理解していなかったが、そんな程度の問題ではないことが、よく理解できた。
自治体の民営化問題の基本的なことが、この図書館への指定管理者導入問題に孕んでいることを知ることができ、民営化が、今日の社会の新自由主義と一体のものであり、ひいては、その新自由主義が、戦争などと表裏の関係のものであることからすれば、この南草津図書館の問題は、一自治体にとどまらず、極めて重大な問題だと気づかされた。
私が大切だと思っている図書館の自由に関する宣言(日本図書館協会1954年5月30日採 択/1979年改訂 )を添付します。
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/tosyokannkennsyou.htm
この中に以下のような内容があります。
第4 図書館はすべての検閲に反対する
検閲は、権力が国民の思想・言論の自由を抑圧する手段として常用してきたものであって、国民の知る自由を基盤とする民主主義とは相容れない。
検閲が、図書館における資料収集を事前に制約し、さらに、収集した資料の書架からの撤去、廃棄に及ぶことは、内外の苦渋にみちた歴史と経験により明らかである。
したがって、図書館はすべての検閲に反対する。
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