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総聯中央が関空税関当局の不当な押収に抗議する記者会見

2018-06-30 09:00:00 | (理)のブログ

 東京都・千代田区の総聯中央本部で6月29日、緊急記者会見が行われた。朝鮮民主主義人民共和国への修学旅行から帰ってきた神戸朝鮮高級学校・高3生徒らに対する関西国際空港税関当局の非人道的な措置を受けて急きょ持たれたものだ。



 記者会見では初めに、総聯中央本部国際統一局の徐忠彦局長(写真左)が発言。
 「去る6月28日に朝鮮から帰国し関西空港に到着した神戸朝高・高3生徒ら(62人)が、修学旅行の際に親戚や友人からもらったお土産を税関当局にむやみに没収されたことが保護者や同胞たちの声で明らかになった。自分たちも事実関係を調べてみると、あまりにも酷い状況だったため記者会見を開いた」と経緯をのべた。

 徐局長は続けて、「神戸朝高の生徒たちは、朝鮮にいる親戚や友人からもらった心からの贈り物を目の前で没収され、その非情さに心を引き裂かれて泣きじゃくったという。朝鮮半島の北と南、そして朝鮮とアメリカ間において和解の流れができてきた中で、生徒たちは『次は朝鮮と日本の関係改善の番だ』という期待と希望に胸を膨らませて帰ってきた。そんな思いが、ささやかな贈り物やお土産まで没収され、日本に着いた入り口で無残にも踏みにじられた」と話し、以下のことを求めた。

1.制裁を口実に基本的人権を踏みにじることは許されず、よって税関当局は在日朝鮮人生徒たちに対するこのような職権乱用、非道極まりない人権侵害行為について真摯に謝罪し、再発防止を確約すること。
2.日本政府は今回の事態が発生した根源である、朝鮮に対する不当な制裁を一日も早く撤回すること。
3.日本政府は在日朝鮮人の民族教育に対する不当な差別と弾圧をただちに中止し、国際人権法に基づいた諸権利を保障すること。




 続いて、偶然にも東京へ出張に来ていた神戸朝高の許敬校長が詳細について説明した。
 62人の生徒たちは2台の飛行機に分乗して帰ってきた。許校長は1便目の生徒らを引率。税関では全員のスーツケースや鞄が開けられ、生徒6人のお土産・民芸品などが押収された。
 2便目は20時半に関空へ到着する予定だったが運航が遅れ、23時過ぎに到着した。しかし、ここでも税関は全員のスーツケースを検査し、お土産や民芸品を大量に押収。生徒たちは声を上げたり涙を流して説明や抗議をしたが、頑なに放棄書へのサインを要求したという。税関から最後の生徒が出てきたのが0時半。飛行機が遅れただけでも心配なのに、お土産まで没収され泣きじゃくる我が子を見て、迎えに来ていた保護者は怒りを禁じえなかったという。


 その後、質疑応答が行われた。主に国内メディアが事実関係の確認をする中、ロシア関連の媒体の記者が何度も本質的な質問をしているのが印象的だった。以下、同記者と徐局長の質疑応答の内容をいくつか紹介したい。

Q. 今回のこと以外に、在日朝鮮人は日頃からどのような差別を受けているか?
A. 高校無償化制度から朝鮮学校のみが排除されるという差別のほか、文科省から地方自治体による朝鮮学校への補助金見直しを求める通達があり、朝鮮学校にだけ補助金を出さない自治体が多く出てきた。また、ヘイトスピーチはもちろん、在日の商工人に対する融資を銀行が渋ったり、朝鮮籍と韓国籍の人に対して制度上の差をつけるなど、生活上さまざまな問題がある。また、マスコミの意図的な「北朝鮮報道」によって、子どもたちを狙い撃ちにした脅迫もある。

Q. 今回の事件が日本と朝鮮の関係にどのような影響を与えると考えるか?
A. この事態はすでに本国にも伝わっており、今後の日朝関係に大きな禍根を残すと思う。北南朝鮮、そして朝米間でも和解の動きが進む中、最近は安倍総理も対話重視の姿勢を見せているが、日本政府が真摯に朝鮮との対話を望むなら、口先だけではなく、このような卑劣で非人間的な措置をやめることから始めるべき。

Q. 今回の事件、そして高校無償化制度からの除外もそうだが、子どもたちが日本の中でターゲットになっている現状がある。なぜそのようなことが起こっていると考えるか?
A. 日本政府は朝鮮に制裁を続けているが、本国には効き目がないので、日本にいる在日朝鮮人を、ある意味では人質のように考え、圧力をかければ本国が心を痛めて態度を変えるだろうと考えているのではないか。このような日本政府の行為は非常に卑劣極まりない。在日朝鮮人は、植民地支配の被害者である。私の父も強制連行で日本にきた。その子孫を苦しめる行為は、国際的にも犯罪行為に当たると思う。簡単に言うと、ドイツ政府がユダヤ人をいまだに差別し、圧力をかけているというような状況が、今の日本で起こっている。私は国連人権理事会にも参加するが、その例を出すとみんな信じない。そんなひどいことが現実に日本で起こっているなんて、という反応だ。

 なぜこのようなしっかりとした質問をするのかと気になり記者会見後に話しかけてみると(通訳は在日朝鮮人の記者がしていた)、なんと在日朝鮮人のドキュメンタリー番組を作っているとのこと。「明日はチョデ(朝鮮大学校)にも行きますよ」と教えてくれた。色々な取材をしているところに、たまたま今回の事件があったそうだ。どのように報道されるのだろうか。

 最後に、許校長が改めて発言した。
 「皆さんにぜひお願いしたいのは、この事実関係をしっかり知らせること。修学旅行から帰ってきた子どもたちがお土産をすべて没収されて泣きじゃくっている姿とか、そのようなことすら知らない人がたくさんいると思う。朝鮮学校で学んでいる子たちは、反日教育を受けているわけではない。例えば『拉致問題』でも朝鮮と日本、両方の見方を考えさせ、その問題をどのように理解し、どうやって解決していったらいいのかということを授業でも教えている。子どもたちが本当に日朝友好の架け橋になれるような教育を心がけているし、スパイを育てるための教育はしていません」
 ここまで聞いて、このような場でこんな当たり前のことを言わなければならない校長先生の辛さ、やるせなさを考えた。しかし、言わないと分からない、それが現実なのだということも同時に思った。

 「子どもたちは、さまざまな偏見の中で暮らしている。高校無償化の問題では各地で子どもたちが裁判を起こしている。神戸朝高も月に1度、子どもたちが街頭に立って署名活動をしている。声をかけてもほとんど無視されて―中には『頑張りや』、という激励もあるが―、そういった活動をしていることを、ほとんどの人は知らないと思う。僕たちももっと声を上げていきたいが、朝鮮学校の子どもたちがどんな思いをしているのか、発信していってほしい」

 いつも子どもたちが被害を受けている。すべての問題解決のための一番の根本である、日本による朝鮮への植民地支配に対する清算が一刻も早くなされなければならない。(理)
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