日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

政治家の相次ぐ暴言

2013-05-31 09:40:16 | (相)のブログ
 「日本軍慰安婦」問題など日本の戦争犯罪に関する政治家の暴言が相次いでいる。
 昨日のエントリで(瑛)さんが書いていたので橋下大阪市長(日本維新の会共同代表)の発言については繰り返さないが、日本維新の会では石原慎太郎氏をはじめ西村眞悟、平沼赳夫、中山成彬氏などが「慰安婦」制度を正当化し、被害者を貶める発言を次々と行った。
 維新の会だけではない。今回の橋下氏の発言の発端となった安倍晋三首相の「(村山談話を)内閣としてそのまま継承しているというわけではない」「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」という発言をはじめ、稲田朋美行革担当相や高市早苗自民党政調会長など政権の閣僚や与党自民党の幹部からも暴言が飛び出した。
 昨年11月には米ニュージャージー州の地元紙に、日本軍による「従軍慰安婦の強制連行はなかった」という意見広告が載ったが、同広告の賛同人にはあろうことか現首相である安倍氏(当時は自民党総裁)、下村博文文科相、前述の稲田氏、高市氏らも名を連ねている。

 このような発言には戦前の日本の国家体制とアジア諸国に対する植民地支配、侵略戦争を正当化したい意識が見て取れる。そしてこれらの発言は今回突然出てきたものではなく、脈々と受け継がれてきたものであり、日本の政治家の歴史認識が表出したものだといえる。
 歴史修正主義の台頭は日本の過去の戦争と植民地支配を美化し、多くの被害者たちの尊厳を繰り返し傷つけてきた。一方、在日朝鮮人に対する悪意ある発言がネット上で日常茶飯事となって久しい。近年、排外主義者は街頭に躍り出て、彼らの罵詈雑言と攻撃は過激さを増している。
 そしてこれらのヘイトスピーチにある種のお墨付きを与え、煽っているのが上に挙げた政治家、公人による歴史修正主義的、差別的発言なのだと思う。彼らの発言の持つ影響力はネット言論よりはるかに大きいのだ。
 暴言を吐く政治家がそのままのさばっている現状、このような発言が「本音」ともてはやされる風潮が存在することにも恐ろしさを感じる。(相)
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橋下市長を取材しながら

2013-05-30 09:00:00 | (瑛)のブログ



 橋下徹・大阪市長が、「軍隊に『慰安婦(日本軍性奴隷制度)』制度は必要であった」「(在日米軍司令官に)風俗業を活用してほしい」と発言した(5月13日)ことが日本国内はもちろん、世界中で波紋を呼んでいる。日本を訪問していた日本軍性奴隷被害者の女性が面会を拒否し、橋下氏の訪米も取りやめられた。だが、5月27日に、東京・有楽町の日本外国特派員協会での記者会見を取材しながら、この人は「弱者を切り捨て、強者にひれ伏す人」だと痛感した。なぜなら、在日米軍司令官への発言は撤回したが、日本軍性奴隷問題については「誤報」だとして撤回しなかったからだ。

 「慰安婦」容認発言について氏は、「慰安婦の方々が被った苦痛、そして深く傷つけられた慰安婦の方々のお気持ちは、筆舌につくしがたい」としつつも、性奴隷被害者の証言については、「信憑性については議論がある」と疑問を呈した。さらに、日本が植民地支配したアジア各国の女性を「性奴隷」化したことを、「当時の日本が国をあげて強制的に拉致したわけではない」「歴史学者、政治家の中には民間業者が行ったという主張は多い」との発言を繰り返し、日本軍性奴隷制度の事実を認めることはなかった。



 会見場には約400人の記者が集まり、会見は3時間の長丁場。海外の記者たちからは、「人身売買を容認するのか」とその認識を質す質問が続いた。

 「国際的な人身売買の定義には、女性を騙したり拉致する最初の取引から、移送・拘束、意に反して働かせるなど、すべての過程が含まれる。市長は、『慰安婦』制度が当時の認識として人身売買ではなかったと考えているのか」(ニューヨークタイムズ記者)、「奴隷制度を容認するような市長の発言は、法律で人身売買を禁じたフランスを含めヨーロッパで驚かれている。もし、当時の日本政府、軍が強制連行や拉致を行っていることを知っていて何もしなかったのなら、その段階で軍が関与していたと考えられないのか。そうでなければ、誰がこの問題の責任を取るのか」(フランス人記者)―。会場には、最後まで「証拠がない」ことを口実に、国家の戦争責任を否定する市長の歴史認識欠如と人権感覚を疑問視する声もあがった。

 橋下氏は質疑の中で、過去に是正を主張していた(2012年8月24日)「河野談話」について、「全否定しない」と主張を変えたが、それを問題視する質問もあがった。

 香港・フェニックステレビの李・東京支局長は、「市長の説明は不明確で矛盾がある。河野談話は日本軍の直接、間接の関与を認めている。市長は、軍は関与したが強制性はなかったと思うのか、国は関与せず強制性もなかったのかと思うのか」と真意を質したが、答えは得られなかった。李さんは「日本の大きな政党のリーダーが外国人に風俗業を勧めたことは道徳・人格的にあまりに問題があり、発言撤回は当然のことだ。しかも、『慰安婦』問題につい発言を撤回しなかったし、本心はわからない」と納得できない様子だった。

 「日本は謝罪しなければいけない」としつつ、国の関与や強制性については「河野談話には明確に書かれていない」と日本の責任を回避する橋下氏。氏はアメリカ、イギリスなどにも同様の制度があったとし、日本だけが攻撃を受けることに反発していたが、第二次大戦中に軍中央が認定する慰安所を持っていたのは日本とドイツだけで、日本がこの戦争犯罪を清算していないからこそ、「慰安婦」容認発言が世界中から問題視され、人権感覚を疑われるのだ。外国特派員との記者会見では、日本軍性奴隷問題に関する橋下氏の認識がどれほど低いものかが露呈された。

 「第二次世界大戦の直前及び戦争中における軍事的性奴隷の徴集について説明を書こうとする際、もっとも問題を感じる側面は、実際に徴集が行われたプロセスに関して、残存しあるいは公開されている公文書が欠けていることである。『慰安婦』の徴集に関する証拠のほとんどすべてが、被害者自身の証言から得られている。このことは、多くの人が被害者の証言を秘話の類とし、あるいは本来私的で、したがって民間が運営する売春制度である事柄に政府をまきこむための創作とまでいって退けることを容易にしてきた。それでも、徴集方法や、各レベルで軍と政府が明白に関与していたことについての、東アジアのきわめて多様な地域の女性たちの説明が一貫していることに争いの余地はない」

 上記の文章は、1994年に国連人権委員会が「女性への暴力に関する特別報告者」に任命したスリランカの法律家・ラディカ・クマラスワミさんが執筆した国連報告書(1996年)の一部である。約20年前になるが、91年にアジア各国から被害者の訴えが噴出した後、国連は「日本軍性奴隷」問題を公式調査し、日本政府が国際法を違反した法的責任を受諾し、被害者個々人に対して賠償と公的謝罪をし、教育内容を改め、犯罪者を処罰するよう、勧告した。

 橋下氏は、日本軍性奴隷問題がきわめて国際的な問題だということに気づいているのだろうか。(瑛)
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朝鮮学校支援、いつやるの?………今でしょ!

2013-05-29 09:00:12 | (K)のブログ
 先週、関西へ出張に出ました。月曜日の20日に大阪で大阪府オモニ連絡会が主催する「私たちの夢、私たちの心プロジェクト-大阪 国連、文科省要請報告会」が行われたので、参加してきました。



 報告会では、大阪朝鮮高級学校オモニ会の千秀月会長による文部科学省要請報告、大阪府オモニ連絡会の玄順愛会長による国連要請朝鮮学校代表団報告、丹羽雅雄弁護士による大阪朝鮮学園関連の法廷闘争報告などが行われました。その詳しい内容については、朝鮮新報の報道を見てください。

 感動的だったのは、大阪朝鮮学園支援府民基金(愛称=ホンギルトン基金)の一部が大阪朝鮮学園に、「私たちの夢、私たちの心プロジェクト」によって大阪で集まった募金の一部が「朝鮮学校無償化を求める連絡会・大阪(連絡会・大阪)」にそれぞれ手渡されたことです(写真)。




 ホンギルトン基金は連絡会・大阪が、「高校無償化」から除外され府・市の助成金をストップされた大阪の朝鮮学校を財政面で幅広い人々の力で支援しようと立ち上げたもので、昨年9月、府と市を相手に大阪朝鮮学園が提訴した際に手渡され、今回は2回目です。
 「私たちの夢、私たちの心プロジェクト」はオモニ代表団がジュネーブへ行くに当たり、「高校無償化」適用を求める多くの人たちの思いを文科省や国連に届けようと、群馬朝鮮初中級学校に子どもを送るオモニらによって発案されたものです。折鶴とともに募金も行ったわけですが、多くの人々の参加により予想以上の募金が集まりました。
 朝鮮学校支援を守ろうと立ち上がった連絡会・大阪から朝鮮学校へ、そして、オモニたちの思いから始まった活動の成果が連絡会・大阪へ、支援金という形で手渡されたわけです。

 集会では府下10校の朝鮮学校のオモニ会会長らが横断幕をもって壇上に上がり一言ずつアピールしました。どこの学校かは忘れましたが、最後のオモニ会会長が次のように言いました。「朝鮮学校を支援するための活動、いつやるの?……今でしょ!」


 さすが大阪、このような集会でもベタな笑いを入れてくると感心しながらも、この日参加した人たちはじめ、多くの人たちが、現在進行形で今、朝鮮学校を守るために闘っているのだと改めて思いました。そして、どんな形であれ、今できることをやることが大切なのだと思いました。

 集会が終わり、ロビーに出ると、売っていたのがこの絵はがきセット。


 朝鮮学校を支援するために制作されたもので、東北朝鮮初中級学校復興支援の絵はがきセットがAとBがあり、それぞれ6枚入って1セット500円。伊丹朝鮮初級学校応援の絵はがきセットが2枚入って200円、福島朝鮮初中級学校復興支援の絵はがきセットが2枚入って200円です。すべて、イオにもイラストを描いていただいた柳純華さんの可愛いイラストが描かれています。
 早速、いま支援しようと、すべてのセットを定価以上の2000円(おつりは寄付)で買いました。皆さんもどうぞ。
 販売しているのは、朝鮮学校を支える宝塚市民の会です。
 郵便振込口座:00950-4-110385
 口座名:朝鮮学校を支える宝塚市民の会

 以前、このブログでお伝えしましたが、愛知での裁判(朝鮮高校生就学支援金不支給違憲国賠訴訟)を支援するために朝鮮高校無償化ネット愛知が作ったクリアファイルセットも絶賛販売中です。これも今回、京都のとある集会で販売していたので、「今でしょ!」と3セット(2400円)買いました。皆さんもどうぞ。
愛知朝鮮高校「無償化」裁判に支援を:http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/0609d0260708c3e96e26c7d08a5abe26

ホンギルトン基金のホームページはこちらです。こちらも引き続きご協力お願いします。Http://www.osakahuminkikin.net/


 最後に集会の告知です。東京でも明後日の31日(金)に、「高校無償化制度」の即時適用と補助金復活を求める院内集会―国連社会権規約委員会での日本政府の審査結果と今後の課題-が行われます。(k)

5月31日(金) 14:30~16:30(14時~受付)
衆議院第二議員会館 多目的会議室
[内容] 国会議員挨拶/国連社会権規約委員会での日本審査に参加した全国オモニ連絡会の活動報告/国連社会権規約委員会の総括所見について/朝鮮学園支援についての取組み報告/今後の行動提起など
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世界の美しい鳥

2013-05-28 09:00:00 | (麗)のブログ
今日は漫画ではなく私が気になった写真集をご紹介します。

四月に家族が東京に遊びに来たときに訪れた小洒落た雑貨屋で目にとまった「世界の美しい鳥」という写真集。

ページを開くと、紅、橙、瑠璃、紺といった原色を纏い、自由に飛んでいる鳥たちの姿に魅了されます。
本の最後には鳥とは何か、何故このような鮮やかな色を持つのかが解説されています。

この表紙の鳥の可愛らしさと鮮やかな色彩に惚れたのと、職業柄、デザインに色は欠かせないので、こうした自然界の色彩を参考に出来ないかなと思い手にしました。

実際に見てみると、私なんかでは想像出来ない色の組み合わせがわんさかあり、色見本帳としても十分に成り立ちます。


動物好きなので、美しくて可愛い鳥を見て癒されつつ、勉強になる一冊です。(麗)
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お披露目

2013-05-27 09:00:00 | (理)のブログ


 じゃん。これ、なんだかわかりますか?これはマトリョーシカといって、ロシア伝統の民芸品です。開けると中からひとまわり小さな子が出てきて、それを開けるとまたひとまわり小さな子が出てきて…という仕組み。ロシアのスターバックスには、これをモチーフにしたタンブラーがあるそうです。

 私はマトリョーシカが好きですでに二つ持っているのですが、たまたま自分でも絵付けができるというのを見つけて、せっかくだから挑戦してみようとすぐに型を注文しました。



 これが型です。絵付けをしてみると想像以上に難しくて何度も投げだしそうになったのですが、どうにか完成させることができました。ただ真似をして描くのでは面白味がないので、チマ・チョゴリを着たマトリョーシカ。





 配色のセンスがないのでいろんな写真を参考にしながら、どうにか色とりどりのチマ・チョゴリョーシカ(強引)にすることができました。



 もともと持っているマトリョーシカと一緒に。ここで少しだけマトリョーシカの魅力を語るなら、私は「小さくなればなるほど適当になっていく絵柄」が好きです。それが顕著に現れるのが顔。最初はこんなにメイクばっちりなのが、



 小さくなるにつれてさっぱりしていき、最後には点だけになってしまいます(これが精一杯)。  



 この一番小さい子の、なんとも力の抜けた表情が好きです。


 
 私も程よい脱力感が出せるか心配でしたが、丁度いい感じに仕上がりました。



 これでわが家のマトリョーシカ・ファミリーが増えました(話しかけたりはしていません)。おそらく8年ぶり?の絵の具での作業は、とても面白く新鮮でした。今回それなりに満足できたので、次の機会にはもうひとまわり大きい型にチャレンジしてみたいと思います。(理)

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「オンマ」

2013-05-26 09:00:00 | (愛)のブログ
お久しぶりです。(愛)です。
久々に日刊イオのブログに戻ってきました。
休職中にひとりの子の親になりました。
病院で子の健診の時に「お母さん」と呼ばれて、あ、そうなんだーと、
「オンマ」という言葉にくすぐったさを感じながらも少ーしずつ自覚するようになりました。
母親といっても世の中のオンマと比べてまだとても未熟なので自信をもって言えませんが、
日々手探りで悩みながらも育児に励んでいます。

親になってみると、色々と視点が変わることもありました。
休職中、授乳で朝が早いので、何気なくNHKをつけていると、
その流れで国会中継をみることが増えました。
いままで国会中継を通しでみるということはなかったのですが、見ると真剣に聞いてしまいます。
最近の国会中継の内容は
在日朝鮮人としてこれから生きていくわが子の将来が不安になるような発言ばかりが目立ちました(例えば教科書問題など)。
日本社会はこれからますます内向きになっていくのではないか。。。
在日コリアンが堂々と胸をはって、日本社会で共生していけるのだろうか。。。
そう思う度、メディアの持つ意義についても改めて深く考えさせられました。

難しい内容は書きませんが、
これからの子どもたちの将来のためにも、自分ができることは何でもしていこうと思います。
愛おしい小さな手を握りながら、
何が何でもわが子を守りたいという「オンマ」の気持ちがわかるこの頃です。(愛)
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外国人学校合同絵画展

2013-05-25 09:00:00 | (淑)のブログ

 今年で12回を数える「東京外国人学校合同絵画展」が5月17日から22日まで、東京・新宿にある都政ギャラリーで開催されました。
 現在、東京都内には約5000人の外国人小学生、約3000人の外国人中学生が在住し、多くの子どもたちが外国人学校に就学しています。
 同展は、外国人学校の存在をアピールし、多くの日本人に理解を得ると同時に、外国人学校同士の交流を深め、地位向上と権利拡充のために働きかけることを目的として2001年に始まりました。
 今年は都内の朝鮮学校8校と、東京中華学校、東京インドネシア共和国学校、グローバル・インディアン・インターナショナルスクールの11校の児童・生徒らの作品、116点が展示されました。
 自画像や風景画、学校生活、民族衣装。絵画展では、多様なテーマや表現、個性的な筆致で描かれた作品群を一同に見ることができ、それぞれの学校の日常生活や文化が反映された子どもたちの絵は、どれも楽しいものばかりでした。私はいろんな表情をした鬼面瓦と、ランドセルの絵が気に入りました(写真下)。

 
 

 ギャラリーに足を運んだ日は東京中高の中級部の生徒たちも来ていて、会場はとてもにぎやかでした。



 生徒たちはひと通り絵画を鑑賞したあと、他の外国人学校と朝鮮学校の作品の中で気に入ったものをそれぞれ一つずつ選んで、作品に対する感想と絵を描いたともだちへのメッセージを書いていました。感想文は絵を描いた本人に送るそう。用紙には自己紹介と似顔絵の記入欄もあり、趣味やクラブ活動のことなんかを書いている子が多かったです。
 この取り組みは同校が毎年行なっているもので、他校からも同様の葉書が送られてくるそうです。文通みたいでいいですね。
 中級部1年生のある女子生徒は、「日本に暮らす同じ外国人として、外国人学校に通う生徒たちがどんな学校生活を送って、どんな考えを持っているのか、会って話をしてみたい」と話してくれました。また、「絵を通して、日本には日本人だけじゃなく、外国人も存在しているということを伝えたい」とも話していました。

 2001年から毎年行われてきた同展。2010年には10周年記念行事として上野動物園で合同写生会を行うなど、交流を積み重ねて来ました。
 今年は準備の都合上、不参加でしたが、例年は韓国学校からも多くの作品が出品されてきました。今後、同じ民族同士の学校のつながりはもちろんのこと、他の外国人学校、そして日本の学校とのさまざまな分野での交流がいっそう深まり、違いを知り理解することで、それぞれの教育の現場がより豊かに彩られることを期待したいです。(淑)
 










 
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社会権規約委の勧告が意味するもの

2013-05-24 09:07:11 | (相)のブログ
 すでに各種報道やSNSなどを通じて伝えられているように、国連社会権規約委員会第50回会議(ジュネーブ、4月29日~5月17日)の会期中に行われた同規約の履行状況に関する日本政府報告書審査の結果が同委員会の「総括所見」(concluding observations)として発表された。
 
 同文書には締約国に対する委員会側からの懸念事項と勧告がまとめられているが、日本政府による朝鮮学校の「高校無償化」制度からの除外や「日本軍慰安婦」問題に関しても勧告が出た。このたび社会権規約委員会で勧告が出されたというニュースは、最近の「日本軍慰安婦」問題に関する政治家の相次ぐ暴言や排外主義団体によるヘイトスピーチの問題とあいまってマスメディアでも少なからず報じられた。
 すでに目にした方々も多いと思うが、以下、総括所見から上記2つのイシューに関する部分を抜粋して紹介する(日本語訳は「社会権規約NGOレポート連絡会議」によるもの。原文は以下のurl
http://www2.ohchr.org/english/bodies/cescr/docs/co/E-C-12-JPN-CO-3.doc で入手できる)

 26.委員会は、「慰安婦」が受けてきた搾取により、彼女たちによる経済的、社会的および文化的権利の享受ならびに彼女たちの賠償請求権に対する悪影響が永続していることを懸念する。(第11条第3項)
 委員会は、搾取の永続的影響に対応し、かつ「慰安婦」による経済的、社会的および文化的権利の享受を保障するため、締約国があらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、「慰安婦」にスティグマを付与するヘイトスピーチその他の示威行動を防止するため、締約国が「慰安婦」の搾取について公衆を教育するよう勧告する。

 27.委員会は、締約国の高校教育授業料無償化プログラムから朝鮮学校が除外されていることを懸念する。これは差別である。(第13条、第14条)
 差別の禁止は、教育のあらゆる側面に全面的かつ即時的に適用され、また国際的に定められたすべての差別禁止事由を包含していることを想起しつつ、委員会は、高校教育授業料無償化プログラムが朝鮮学校に通う子どもたちにも適用されることを確保するよう、締約国に対して求める。


 今回の社会権規約委員会に先立って、第2回人種差別撤廃委員会(10年2月)と第3回子どもの権利委員会(10年5月)でも「高校無償化」問題と関連する内容が文書に盛り込まれたが、安倍自民党政権によって朝鮮学校が正式に制度の対象外とされた後、この問題で勧告が出るのは初めてだ。
 国連の人権条約委員会が日本政府による「無償化」制度からの朝鮮学校排除をDiscrimination(差別)であると明確に指摘し、朝鮮高級学校に通う生徒たちにも制度を適用するよう勧告した意味は決して小さくない。そもそも「高校授業料無償化・就学支援金支給制度」は社会権規約第13条の履行という文脈から出てきたものだ。規約の理念を捻じ曲げた省令改悪→朝鮮学校不指定という日本政府の措置が委員会から「ダメ出し」を受けたことは、この「朝鮮学校外し」という措置の不当性をこの上なく明確に示したといえないだろうか。

 総括所見の英文に目を通しながら、先日、朝鮮学校全国オモニ会連絡会の代表団に同行してジュネーブを訪れたときのことが再び思い出された。オモニ代表団の目的は日本政府の朝鮮学校差別の現状を訴え、その是正のための世論を喚起することにあった。その意味では、今回の勧告はオモニたちの活動の一つの結実だといえる。
 たぶん、彼女たちが現地まで行かなくとも勧告は出ただろう。しかし、オモニたちの現地での活動には大きな意義があったと思っている。彼女たち自身を、そして彼女たちをジュネーブへ送り出した他のオモニや同胞たちを奮い立たせたという意味でも。

 今月31日、「高校無償化制度」の即時適用と補助金復活を求める院内集会が衆議院第二議員会館で行われる(14:30~16:30)。テーマは、国連社会権規約委員会での日本政府報告書の審査結果と今後の課題。
 勧告に法的拘束力はない。過去の事例からいっても、日本政府が今回の勧告を進んで履行する考えがないのは明らかだ。運動側も、出された勧告を現在係争中の裁判をはじめ今後の取り組みにどう活かすか知恵を絞っていくことが求められている。
 たいそうなタイトルがついていますが、文章の内容が伴っていなくてすみません。本当の意味での解説や分析は専門家の方々によって後ほどなされると思います。(相)
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ベルマーク

2013-05-23 09:00:00 | (瑛)のブログ

味の素のマヨネーズ、ドレッシング、コンソメ…

生茶に魚肉ソーセージ、牛乳石鹸にコイケヤのポテトチップス…

使い終わったプリンターのカートリッジ(キャノン・エプソン)はなんと50点! テトラパックの紙容器も!

保護者になって、ベルマーク探しを欠かさずするようになりました。

四角の黒枠から5ミリほどの周りをキッチンバサミでチョキチョキ、チョキチョキ…。せっせと切っていると、子どもたちも「ベルマークここにもあるよ!」と知らせてくれます。

少々手はかかりますが、「チリも積もれば山となる」と念仏を唱えながら集めております。

そして、6月の第2週土曜日はベルマーク集計の日! 

この日はオモニたちが総動員となってベルマークの点数を数えます。 新校舎建設に向けてひとつでも立派な備品を寄付しよう!との思いを込めて。

ベルマーク運動は、「すべての人に等しく、豊かな環境のなかで教育を受けさせたい」との願いから1960年から始まったもので、経済的に厳しい学校を支援することが当初の目的だったそうです。

ご存知のとおり、ウリハッキョでも活発なのは、誰でも思いさえあれば気軽に参加できるからですよね。
それにしても
、わが校の保護者は40世帯足らず。集めても数に限りがあるので、もっとたくさんの人たちに参加してほしいです。

このブログを読まれた同僚の皆さん! ドリンクやお菓子にベルマークを見つけたら、(瑛)にどうぞお知らせくださいませ(笑)

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今後50年の京都民族教育の拠点

2013-05-22 09:00:00 | (K)のブログ

 

 5月19日、京都朝鮮初級学校の新校舎竣工式に行ってきました。
 建設委員会が発足して2年、不景気や朝鮮半島、在日朝鮮人を取り巻く状況が厳しさを増す中で、京都の同胞たちが一丸となり学校をつくりあげました。
 
 学校は、それは立派なもので、建設委員はもちろん、参加した人たちみんなが誇らしい表情でこの日を迎えていました。竣工式の模様などは、月刊イオの7月号に掲載しますが、今日は、出張中ということもあり写真を中心に素晴らしい校舎を紹介します。
 
 敷地面積は6200坪。運動場がものすごく広くて、サッカーの公式試合が余裕でできる広さです。初級学校としてはもちろん一番でしょうし、東京朝鮮中高級学校にも負けていないように思えました。
 
 校舎は2階建てで、太陽光発電設備、エレベーターもあります。校舎の中に体育館があります。廊下が広くてソファー、本棚も置いてあり、廊下というより憩いの空間となっています。
 
 
 トイレの女の子の絵もチョゴリ姿。
 
 
 幼稚班が併設されていますが、初級部と体育館を挟んで完全に独立した空間となっています。
 
 
 今後、すべり台やジャングルジム、鉄棒などの設備をオモニ会や卒業生などが寄贈するとのことでした。
 
 「今後50年、京都における民族教育の拠点、同胞社会の中心となる」と語っていた建設委員会委員長の言葉が、学校完成の喜びと意義をよく表していました。(k)
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「第一次結婚ラッシュ」到来

2013-05-21 09:00:00 | (麗)のブログ

地元の友達の「結婚ラッシュ」が始まった。
たまにフェイスブックを開いたら常に誰かが結婚していて、しかもフェイスブックで初めてそのことを知る。
アップされた写真の中に知り合いが何人もいて、一瞬「呼ばれてない」と考えるが、そんなに仲良くなかった子だなと思い一人、納得するのが恒例となっている。

それはさておき、周りの結婚報告を聞くたびに、いよいよ自分もそういった年齢に差し掛かったのだなと思う。
私のきょうだいも未婚、みんな結構いい歳になってきている。
親に「孫欲しい?」と聞くと「そりゃ欲しい。けど、あんたら見てると当分まだやね」だ。
親には申し訳ないが、自分もまだ何のビジョンもない。

「みんなそんなもんでしょ」なんて段々言ってられなくなってくるのだろうか。
自分は一度、ちゃんと人生設計でもしたほうが良いのだろうか。
そんなことを考えつつ、来月結婚する友達のウェルカムボードの制作に追われる。
来月参加する結婚式で女友達にでも聞いてみるか。

なにはともあれ、みなさんお幸せに^^(麗)

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泣いて笑って…

2013-05-20 09:00:00 | (理)のブログ
 昨日はいとこの結婚式に行ってきました。そのいとこは私の4歳上で、長女である私にとっては憧れのお姉さん的存在です。

 土曜日の夜は親戚が集まって盛大な食事会。周りの目を気にせず飲んで喋って笑って食べて…。映画「ホームアローン」の家族さながらの騒がしさでした。食事会が終盤にさしかかると、先にいとこのオンニが退席。明日の準備かな?と思って聞いてみたら、涙ぐんで帰って行ったそうです。結婚とはほど遠い私には難しいですが、嫁ぐということはそういうものらしいです。その姿を見て他の親戚もうちの家族も号泣。もともと感情が豊かな人たちなのですが、その日は特に、笑って泣いて…と忙しい日でした。

 結婚式当日は言うまでもなく。うちの両親は嗚咽をもらす派。おじさん夫婦は静かに涙を流す派。それを見ながら私ももらい泣きで…とにかく親族のテーブルは涙、涙でした。本当にいい結婚式で、最後に幸せそうに笑うオンニの顔が印象的でした。

 式が終わって落ち着くと、親戚たちから「次はあんただね」「いつ結婚するの?」と軽く圧力をかけられました。どうにか笑ってごまかしましたが、このごまかしもいつまで通用するか、心配です。(理)
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橋下発言を容認するか否か

2013-05-18 09:00:00 | (淑)のブログ
 日本軍「慰安婦」問題をめぐる橋下大阪市長の発言は、著しく人権意識を欠いた許し難い暴力であることは言うまでもないが、問題はいち政治家の資質云々の問題にとどまりません。
 社会意識の根底に内在された「女性への支配」、構造的な性暴力の問題はもとより、植民地主義の未清算に起因する問題であり、日本の戦争犯罪、戦後責任を自らの問題として受け止められない市民の意識が、こうした政治家を持続的に支えてきたという点で、橋下氏の発言を容認するか否か、日本社会のあり方そのものが問われていると思います。

 来週、韓国から被害女性らが再び来日し、関西で証言集会を行います。関西方面の方はぜひご参加ください。
 被害女性たちはこれまで幾度も証言を重ねてきましたが、証言を記録し語り続ける役割を被害者だけに委ねるのではなく、私たち自身、何よりも日本が歴史の責任として担っていかなければならないことだと思います。

 24日には被害女性らが橋下氏と面会すると報じられました。女性たちの正義を前にしても、橋下氏は同じ妄言を繰り返すのでしょうか。

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●「何度でも語る 歴史の事実はこれです」
     ~再び戦争への道を歩まないために~ in おおさか

日 時:5/25(土)12:30開場、13:00~16:30
場 所:ドーンセンターホール
被害者証言:金福童さん/吉元玉さん
講演1「被害者の声に向き合ってー記録し、記憶し、未来へ語り継ぐ責任ー」 吉見義明さん(中央大学教授)
講演2 尹美香さん(韓国挺身隊問題対策協議会共同代表)
うた:李政美さん・安聖民さん
資料代:一般800円・学生400円
主催:日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
協賛:日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
問合せ:080-6185-9995 info★ianfu-kansai-net


●「何度でも語る 歴史の事実はこれです」
     ~再び戦争への道を歩まないために~ in なら

日 時:5/26(日)12:30開場、13:00~16:30
場 所:奈良県人権センター2階大研修室(旧奈良県解放センター)
被害者証言:金福童さん/吉元玉さん
講演1「被害者の声に向き合ってー記録し、記憶し、未来へ語り継ぐ責任ー」 吉見義明さん(中央大学教授)
講演2 尹美香さん(韓国挺身隊問題対策協議会共同代表)
<アニメーション上映>『少女の物語』
資料代:一般800円・学生400円
主催:日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク、
     アイ女性会議なら、多文化共生フォーラム奈良、部落解放同盟奈良県連合会女性部

http://www.ianfu-kansai-net.org/index.html




 話は変わり、本日イオ6月号ができあがりました。
 当ブログで何度も告知していますが、特集は「在日朝鮮人とマスメディア」。日本のマスメディアが在日朝鮮人に関する問題をどのように報じてきたのかを歴史的に振り返り、その歪みを検証します。

 特別企画は「オモニ代表団、国連へ」。スイス・ジュネーブで国連社会権規約委員会の日本審査に参加したオモニ代表団の活動を追った現地ルポ、北南朝鮮をはじめとする世界各国の国連関係者のコメントをお届けします。

 ほかにも、帝京大学ラグビー部監督と同部で活躍する朝高卒業生らの座談会、文化センターアリランの連続歴史講座など、今月号も多彩な内容でお届けします。ご愛読のほど、よろしくお願いします。(淑)
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開城の史跡が世界遺産登録へ

2013-05-17 09:00:00 | (相)のブログ
 高麗王朝(918〜1392年)の首都だった朝鮮の都市・開城の史跡地区が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録される見通し、というニュースが数日前に飛び込んできた。
 ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が13日に発表した報告書で登録を勧告した事実を韓国の聯合ニュースが伝えたものだ。
 http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2013/05/13/0200000000AKR20130513112851005.HTML?from=search
 朝鮮では2004年に平壌市近郊の高句麗壁画古墳群が初の世界遺産に登録されている。開城が登録されれば、同国で2番目の世界遺産となる。イコモスによる評価は登録の如何に決定的な影響を及ぼす重要なものなので、特別なアクシデントのない限り正式登録が確実視されている、と上記の報道は伝えている。6月16日~27日の日程でカンボジアのプノンペンで開催されるユネスコ世界遺産委員会で正式な登録の可否が決まる予定だ。
 北南関係を含めた朝鮮半島情勢が緊張している中で、喜ばしい知らせであることは間違いない。

 自分の記憶では、開城の世界遺産登録に向けた取り組みが本格化したのは04~05年ごろ。04年7月、蘇州で開かれた世界遺産委員会で高句麗壁画古墳群が世界遺産に登録されたが、その他にも開城と平壌が文化遺産の暫定リストに登録された。同年11月18日から21日にかけては、開城で北と南の共同学術討論会と遺跡踏査があった。当時、私は平壌に滞在していた。車を飛ばしてはるばる開城を訪れ、取材したことをおぼえている。
 そして、当時書いた記事がこれ。
 http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2006/06/0606j0111-00002.htm
 現場で北側の関係者らは、「展望は明るい」と登録実現へ自信をのぞかせていた。南の学者、研究者らも登録推進活動への協力の意志を表明していた。その後の12月に開かれた北南閣僚級会談では、開城の史跡の世界遺産登録および保存管理で協力するという取り決めもなされた。
 それから7年半。ずいぶんと時間がかかった。途中、さまざまな紆余曲折はあったが、関係者の努力が報われることは、関係する場に一瞬でも身を置いた自分にとってもうれしい。

 開城市一帯には高麗時代の文化遺産が数多く存在している。今回登録される見込みの史跡には満月台、南大門、高麗成均館、善竹橋、崇陽書院、王建王陵、恭愍王陵など12の対象が含まれているという。私もそのうちのいくつかを見て回ったことがあるが、歴史的に価値の高いものであり、観光資源としてもすばらしい可能性を持った対象だと感じた。
 開城にある歴史遺跡については、以下のリンク先で詳しい内容を知ることができる。
 http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2006/06/0606r400.htm
 世界遺産登録が正式に決まれば、個々の史跡の保存・整備もさらに進むだろう。国内外の多くの人々がここを訪れ、悠久の歴史の一端に触れられる日が早く来ることを願っている。そして、この都市の名を冠した工業地区における北南の経済協力事業の再開も願いながら。(相)
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妄言は被害者をふたたび苦しめる

2013-05-16 09:00:00 | (瑛)のブログ
 橋下市長が、アジアへの侵略や日本の植民地被害を認めないことは今にわかったことではないが、彼の主張は世界には通じない。日本軍「慰安婦」制度は、被害者の勇気ある告発で国連の舞台で議論され、日本軍「性奴隷」制度と認められた。国連が日本軍性奴隷問題を取り上げたのは、世界各地で今現在も起きている紛争の中で、女性や子どもなど立場の弱い人たちが犠牲になっているという、今日的な問題に解決の道筋をつけるためだった。

 国連は日本政府に何度も勧告を出し、被害者の原状回復のために国家による謝罪と補償、真相究明や教育の実施を求めたが、日本政府がこれを受け止め、自国の歴史認識の構築に役立てたことはない。まずこのことが橋下市長のような政治家を量産している根本的な原因だと思う。

 米議会で2007年7月に「慰安婦」決議案が採択されたのも、日本政府が被害国や国連の勧告を無視し続けていたことが原因だった。日系のマイケル・ホンダ議員が中心となったこの決議には、①日本政府は、(略)日本軍が性奴隷制を強制したことについて、明確かつ曖昧でない形で、正式に認め、謝罪し、歴史的謝罪を受け入れるべきだ②日本の首相が首相としての正式な立場で謝罪を公式声明として発表するならば、これまでの声明の誠実さと性格に繰り返し向けられてきた疑問を解決する助けとなる③日本政府は、日本軍のための「慰安婦」の性奴隷化と人身取引はなかったとするいかなる主張に対しても、明確かつ公式に反駁すべきである④日本政府は、「慰安婦」に関わる国際社会の数々の勧告に従い、この恐るべき犯罪について現在および未来に世代に対して教育すべきである―などの内容が盛り込まれている。

 現在、米国が安倍首相の歴史認識を憂慮しているのも、日本の歴史認識がアジア諸国との不和をもたらすからで、たとえ同盟国といってもこの点は看過できないのだ。

 植民地支配を肯定する政治家たちは「証拠を出せ」というが、敗戦後、数多くの資料を焼き払って戦争犯罪の追及から免れようとしたのは日本の軍部だった。一例として細菌戦を準備していた731部隊については、「731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く」(青木冨美子著、新潮文庫)に詳しいが、強制連行、性奴隷被害など、軍や政府の関与を証明する資料探しの難しさは日本政府が証拠を焼却、隠蔽していることにある。

 さんざん証拠を隠しておいて、「証拠がない」と言い張る滑稽さ。アジアの心ある研究者たちが手を取り合い、史実を洗い出して日本の戦争犯罪の解明に急いできたのは、政府が事実をひたすら隠してきたからで、日本政府が自ら植民地支配の被害を調べたことはなかった。ここに犯罪隠蔽の底知れぬ「闇」を見て取れる。93年に河野談話を発表する際、日本政府は報告書を作成し、「日本軍の関与」「強制性」を認めたが、朝鮮総督府、台湾総督府を管轄していた拓務省・内務省資料、警察資料などの基本資料は出てこなかった。

 日本と植民地支配の清算をしていない、唯一の国は朝鮮民主主義人民共和国だが、朝鮮では2004年に日本軍性奴隷制度をまとめた「20세기특대형범죄 일본군성노예제도(20世紀特大型犯罪 日本軍性奴隷制度)」(과학백과사전출판사)という本が出版されている。性奴隷問題の国際会議に参加するために来日したこともあるチョン・ナムヨンさんが執筆したものだ。2000年に東京で行われた「日本軍性奴隷性を裁く女性国際戦犯法廷」に出席した被害者たちの証言も載っている。

 本におさめられた被害女性たちの証言は凄まじい。14、15歳でいい働き先があるとだまされ、遠く南方に連れていかれた女性もいる。長く伸ばした髪を切られ、日本名や番号で呼ばれ、一日数十人の性奴隷を強いられた。反抗すると拷問を加えられ、あげくの果てに殺された女性も数知れない。これを性奴隷と呼ばずに何というのか。

 彼女たちは、自分の意思で「従軍」したのでもなければ、「軍人」を「慰安」したわけでもない。「従軍慰安婦」という言葉は日本の軍人の身勝手な視点がそのまま映し出されたもので、「軍隊には慰安所がつきもの」と話す昨今の政治家と同じ発想だ。

 歴史認識はおろか、道徳のかけらもない政治家の発言に、過去に出会ったアジアの被害女性の顔が走馬灯のようによぎる。

 体に刻まれた深い切り傷、性奴隷の過去を家庭にすら話せず、結婚、出産、人生を断念した女性たちは日本の敗戦後の長い年月を苦しみの中で生きてきた。日本政府の謝罪の一言を待ち続け、どれだけ多くの女性たちがこの世を去っただろうか。妄言を繰り返す政治家に、人生を破壊された女性たちは再び苦しめられている。(瑛)

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