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あきらめないことが、時代を切り拓く―広島無償化裁判控訴審第5回口頭弁論

2019-04-24 10:00:00 | (全)のブログ
 

 朝鮮学校を高校無償化の適用対象外としたのは違法だとして、広島朝鮮学園と広島朝鮮初中高級学校高級部の卒業生らが国に対して処分取り消しなどを求めた、裁判の控訴審第5回口頭弁論が4月23日、広島高等裁判所の304号法廷で行われた。
 この日、法廷では控訴人側(朝鮮学園、卒業生)が提出した第8準備書面(3月1日提出)、原告の陳述書(4月8日提出)を踏まえ、控訴人側代理人である足立修一弁護団長と平田かおり弁護士が、準備書面の要点について陳述を行った。
 第8準備書面には、三輪定宣・千葉大学名誉教授による意見書、18年6月21日の九州無償化裁判第19回口頭弁論で実施された三輪名誉教授の証人尋問調書、田村和之・広島大学名誉教授(行政法学者)による意見書その2が含まれている。
 三輪名誉教授の意見書では、教育財政学の立場から、人類史における無償教育の意義を強調しながら、高校就学支援金は、日本の学校と同様に差別無く朝鮮学校の生徒に支給されるべきだと主張している。
 田村名誉教授の意見書では、生徒たちの権利侵害の観点から本件不指定処分の違法性について、「これまで、同学園に対し、法令違反の学校運営を理由とする監督官庁による監督権限の行使は、行われたことがない。他方、同学園が設置運営する本校が、教育上多大の成果をあげていることは、広く知られている。そのような学園に対し、不指定処分を行い、控訴人生徒らに経済的負担を課しても致し方ないというだけの事情があるとは考えられない。かりに本件学校の運営に法令違反があるとすれば、学校教育法や私立学校法などの定める是正方法により、それを正すのが筋である。そうせずに、生徒らに大きな不利益を課する本件不指定処分を不意打ち的に行うのは、生徒らの教育機会均等に寄与するという無償化法の目的からみて、到底正当化できない」と主張している。
 裁判官は、控訴人側に朝鮮学園と朝鮮総聯の関わりについて、▼本件不指定処分時(2013年)に、学園の理事で総聯の役員を務めた人はどれくらいいるのか、▼2期6年を超えて務める理事は存在するのか、▼理事を退任し、その後、朝鮮総聯の職員、役員になるのか、などの人事上の問題について7月中旬までに陳述するよう求めた。



 閉廷後、広島弁護士会館で報告集会が開かれ、広島朝高の高級部の生徒、保護者、支援者ら約120人が参加した。集会では、弁護団から第5期日についての報告がなされ、各地から駆けつけた支援者たちが発言した。

 

 平田かおり弁護士は、今回の弁論で裁判官が原告側に課した宿題について、「裁判所が自分たちの判断として、不当な支配の事実認定をしていこう肯定的な側面が見られる。原審の裁判官の姿勢とはまったく異なるという意味では評価できる」とのべる一方、「民族学校設立の歴史的背景、民族団体と学校の関係というものを理解してくれていないのではないかという不安がある。この不安の方が大きい。形式的な人事の点で『支配が及んでいる』という判断をしかねない。裁判所の求めには、民族教育がどのように支えられてきたのかという部分を主張していかなければならないと感じた」と話した。

 

 徳島から駆けつけた冨田真由美さんは、「傍聴しながら裁判の苦しさ、乗り越えなければならない山が私たちの目の前に立ちはだかっていると改めて感じた。教育が政治に屈してはならない。諦めたらいけません。諦めないことが時代を切り拓く大きな力になる」と呼びかけた。

 

 またこの日、日本軍性奴隷被害者の李容洙さんが韓国から激励に駆けつけた。李さんは自身の過酷な体験を語りながら、「私は、安倍政権に真相究明と公式謝罪を求めて、今もたたかっています。朝鮮学校の生徒たちも日本政府の差別に負けてはいけない」と激励した。

 

 

 高級部生徒らによる合唱が披露された後、広島初中高の金英雄校長が発言した。
 金校長は「裁判官には豊富な資料に基づいて、時間をかけて尋問を行いたいという姿勢が見受けられた。私も民族教育の姿を裁判官にしっかり示していきたい」とのべた。
 次回、控訴審第6回口頭弁論は7月23日の14時から広島高裁で行われる。証人尋問は第7回以降に行われる。

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