日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

「劇団態変」東京公演迫る。11月2~4日は座・高円寺へ!

2018-10-19 10:00:00 | (理)のブログ
 月刊イオで、2015年と16年に連載していた巻末エッセイ「金滿里のこれは態変だ!」。
 身体障碍者の唯一無二の身体表現を引き出す「劇団態変」主宰であり、自身も重度ポリオ障碍者としてさまざまな表現を試みてきた金滿里さんが、障碍のこと、社会のこと、差別のこと、表現のことなど、たくさんの言葉を綴って下さった。
 16年10月号のエッセイでは「施設障碍者は二度殺された!」というタイトルで相模原の障碍者施設殺傷事件に触れ、強い怒りを記している。

 「神奈川県の収容施設で、障碍者46名殺傷、その内19名もが虐殺された、この国の戦後史で最悪の事件が起きた。それにもかかわらず、この事件へのこの国に居る人々の反応が余りにも、無反応に近く酷すぎる」(「これは態変だ!」本文より)

 表現者の性なのだろうか、この事件に触発されて、金さんは一本の舞台作品を書き上げた。冒頭のチラシにもある『ニライカナイ ―命の分水嶺』だ。
 必要とされつつも社会の中心からは見えないようにされている「施設」という問題と、沖縄に息づく自然をテーマに、自身の幼少期の施設体験も基にしながら描いた力作だという。大阪の初演で好評を得た同作品が、11月上旬に東京で上演される。



 私は去年、金さんのソロ公演で初めて障碍者の身体表現というものを見た。取材も兼ねて観覧し、追いつかない言葉でなんとかかんとか記事を書いたことを覚えている。今回はさらに「劇団」での表現とあって、どのような舞台になるのか期待が高まる。

 公演スケジュールは以下。お時間ある方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。(理)

劇団態変第68回公演『ニライカナイ ―命の分水嶺』

日時:11月2日(金) 14:00★☆/19:00★
      3日(土) 14:00★/19:00
      4日(日) 14:00
   ※受付開始は開演1時間前、開場は開演30分前より
   ★の回は終演後に金滿里さんとゲストによるアフタートーク
   ☆の回は託児サービスあり

開場:座・高円寺1(JR高円寺駅北口より徒歩約5分) 

チケット:一般4000円/障碍者(手帳をお持ちの方)3600円/学生(大学、専門学生以下)・シルバー(70歳以上)3000円

問合せ:Tel/06-6320-0344、web予約フォーム/http://www.asahi-net.or.jp/~tj2m-snjy/form/ticket2.html
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イオ11月号が完成!

2018-10-18 10:00:00 | (瑛)のブログ



 イオ11月号が完成しました。

 表紙に登場いただいたのは、大阪朝鮮高級学校オモニ会の洪貞淑会長、副会長の朴京任、高己蓮さんです。

 高校無償化制度から朝鮮高校が排除されて8年目。

 大阪は無償化排除と同時に大阪府、市の補助金も大幅に削減され、民族教育の現場は、厳しい闘いを強いられてきました。しかし、その厳しさを跳ね除ける「逞しさ」で子どもたちを守っているのが、オモニたちです。

 9月27日に下された大阪無償化裁判控訴審判決で大阪高裁は、朝鮮学園側が全面勝訴となった一審判決を取り消しましたが、この8年間、闘いの中心にはいつもオモニたちがいました。

 来る30日に東京も控訴審判決が下されます。勝利を信じ、大阪のパワーを読者の皆さんにお届けしたいと思います。

 特集は、「板門店の春、平壌の秋に」。

 今年3回目となる北南首脳会談が9月18~20日にかけて平壌で行われ、北南関係の発展をさらに加速させるうえで重要な里程標となる「9月平壌共同宣言」が発表されました。

 金正恩委員長と文在寅大統領は、2泊3日のほぼすべての公式日程を共に過ごしながらさらに親交を深め、わが民族同士、平和繁栄の新しい時代を共に切り拓いていく姿を全世界にアピールしました。

 本特集では、写真と両首脳の発言で3日間を振りかえります。また、宣言の意義について金志永・朝鮮新報編集局長が解説を寄せ、メーデースタジアムで15万人の観衆を湧かせた両首脳の演説を朝鮮新報の金淑美記者がレポートしてくれました。また、今後の朝米関係の展望について浅井基文さんが論考を寄せてくれました。今後の経済、民間交流についても現状をまとめています。

 特別企画は、冒頭で紹介した大阪無償化裁判控訴審判決です。

 大阪朝鮮学園が大阪朝鮮高級学校を高校授業料無償化・就学支援金支給制度の対象としないのは違法だとして、国を相手に不指定処分の取り消しおよび指定の義務づけを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は9月27日、昨年7月の1審判決を取り消す原告逆転敗訴の判決を下しました。司法が矜持を捨て去った不当判決への怒り、「不当な支配」で押し切った「結論ありき」の差別的判決について、解説を載せました。

 他にも、

 折り紙でチマチョゴリを作り、ギネス記録を打ち立てた茨城朝鮮初中高級学校のオモニたち、

クオリティ高い舞台で4000人の観衆を魅了した「ウリ民族フォーラム20181 in 兵庫」、

 群馬の「記憶、反省そして友好」の追悼碑をめぐる裁判についての朴順梨さんの寄稿、

 フィンランドの介護現場を訪れたシン・チャンスさんのエッセイなど、単独記事も充実しています。

 月刊イオ11月号、ぜひご覧ください。

 月刊イオは以下の定期購読フォームにてどなたでも注文することができます。
 http://www.io-web.net/subscribe/

 1冊からのご注文も承っています。定期購読ではなく1号のみの注文の場合は、「その他伝達事項」の欄にその旨と希望号数を記入して下さい。(瑛)
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映画『沈黙-立ち上がる慰安婦』の上映に応援を

2018-10-17 10:00:00 | (相)のブログ
 10月16日に神奈川県茅ヶ崎市の市民文化会館で行われた映画『沈黙-立ち上がる慰安婦』の上映会に対して、後援した茅ヶ崎市や市教育委員会へ映画の上映中止を求めるクレームが殺到しているという。
 本作は、在日朝鮮人2世の朴壽南監督によるドキュメンタリー映画(2017年公開)。日本政府による謝罪と国家補償を求めてたたかってきた元日本軍「慰安婦」たちの姿を記録した作品だ。
 この作品を攻撃し、映画の上映を中止させようとする電話が市や市教育委員会に多く寄せられたのだが、主なクレーム元は、日本軍による性奴隷制被害を否定する歴史修正主義の極右団体だという。ネット上では、団体の関係者やそこにつながる右派人脈が市への「抗議」を呼びかけているようすが確認できる。上映前日の15日には自民党の市議団が上映に対する抗議の申し入れを行っている。
 SNSなどで確認する限り、昨日の上映会はとくに大きなトラブルもなく行われたようだが、今後も各地での映画上映に対する不当な攻撃が続くことが予想される。史実を直視せず、それを隠したり修正したりしようとする動きは内外の批判をまぬがれないだろう。私たちにできることは、映画の上映を企画したり後援したりしている団体がこれらの卑劣な圧力に負けないよう激励すること、そして一人でも多くの人々がこの作品を観ることだろう。
 未見の方々の参考に、本誌2017年11月号に執筆した映画評を再掲する(文中の年齢、肩書などは執筆当時のもの)。

 半世紀の沈黙を破る被害者の闘いの記録

 『沈黙-立ち上がる慰安婦』

 本作は、2014年、韓国・忠清北道で暮らす元日本軍「慰安婦」の李玉先さん(90)のもとを監督の朴壽南さん(82)が訪ねる場面から始まる。17歳で満州に連行された李さんは、半世紀の沈黙を破り、1994年5月、日本政府の公式の謝罪と国家補償を求めて「被害者の会」の仲間とともに来日。首相に直訴しようと、国会前に座り込んだ。李さんらはその後も、95年に発足した「女性のためのアジア平和国民基金」に反対し、再三にわたって来日する。在日朝鮮人2世の朴監督は、孤立無援の中で出発したハルモニたちのたたかいに寄り添い、彼女たちの恨(ハン)を映像として記録していく―。
 本作は、『もうひとつのヒロシマ-アリランのうた』(86年)をはじめとする一連の作品で日本の植民地支配による朝鮮人犠牲者に光を当て続けてきた朴監督が、30年近い歳月をかけて追ってきた日本軍「慰安婦」被害者たちの名誉と尊厳の回復を求めるたたかいをまとめたもの。80年代末~90年代初めの沖縄、95年前後の日本、そして2014年の韓国―作品の中で3つの時間軸と空間が重なり合う。
沖縄のパートでは、朝鮮女性として初めて日本軍「慰安婦」としての被害を明かした裵奉奇さんのインタビュー映像も映し出される。作中では、韓国で日本軍「慰安婦」被害者たちが相次いで名乗り出て問題がクローズアップされる90年代の政治、社会状況とハルモニたちのたたかいの背景が提示される。また、加害者側の元軍人や日本人市民、高校生とハルモニたちとの交流、そして支援団体との衝突や被害者の会内部での葛藤、苦悩も描かれる。
本作に登場した日本軍「慰安婦」被害者たちの多くはこの世を去った。2015年12月28日、日韓両政府は日本軍「慰安婦」問題の決着に合意したが、当事者不在の合意として批判を浴びている。
ハルモニたちの名誉と尊厳の回復とは何か、今を生きる私たちに何が問われているのか―。被害者の証言に耳を傾け、歴史を直視することからしか本当の解決は生まれない。彼女たちのたたかいの記録がそのことを伝えている。
(相)
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驚異的な朝鮮のマスゲーム、その作られ方

2018-10-16 09:46:33 | (K)のブログ


 9月7日の私のブログ(https://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/f384c9b7cd681c4c54a53d650daa7824)で、朝鮮民主主義人民共和国創建50周年の際に現地で取材した時の思い出を綴った。1998年9月3日にマスゲームのリハーサルを取材したということも書いた。朝鮮のマスゲームは世界的に有名で、緻密さや一糸乱れぬ動きのすごさなど、その質の高さは驚愕そのもの。マスゲームはどのように作られているのか。今回は朝鮮のマスゲームについて当時の取材の内容を簡単に紹介したい。
 いま行われている「輝く祖国」は、大マスゲームと芸術公演ということで、マスゲームと芸術公演を合体させたより総合的で豪華な公演となっていて、単純なマスゲームとは違う。なので、以下、紹介するマスゲームとは内容が違う部分があるだろう。また、20年前の取材なので、今はどうなっているかもわからない。さらに、20年前のマスゲームは金日成競技場で行われたが、今回はメーデースタジアムで行われている。金日成競技場は一般のスタジアムだが、メーデースタジアムは背景台がマスゲームをしやすいように、席が平面に近く配置されている。そういうことを頭に入れて読んでもらいたい。

 1998年9月3日、金日成競技場に取材に行き、マスゲームについていろいろと話を聞くことができた。
 マスゲームの出演者は大きく、いろんな場面を描き出す背景台(背景隊)とフィールドで演技する部隊の2つに分けられる。20年前の背景隊は全員で1万2000人、フィールドで体操をするのが3万8000人、合計5万人の子どもたち(日本でいう小中高校生)が出演していた。今回の「輝く祖国」では、背景隊の人数が1万7490人だと朝鮮新報は伝えている。
 20年前、背景隊を構成している巨大な長方形の、縦が何人で横が何人かと質問すると、それは秘密だと言って教えてくれなかった。金日成競技場は普通のスタジアムなので客席は当然のことながら湾曲しており下段と上段では座席数も異なる。単純に縦何列、横何列というふうになっているのではない。湾曲や座席数の違いなどを計算にいれて、なおかつ中央正面からみると平面な長方形の絵に見えるようにするための誰にも言えない秘訣があるのだという。下段、中段、上段、そして横と中央で、子どもが持っている一枚一枚の本(絵のひとかけら)の大きさも微妙に違っているらしい。それらをコンピュータですべて計算して作っていると言っていた。
 背景隊への指示は正面上の電光掲示板で数字を表示し(その数字のページを開く)、赤いランプを点滅させることによって準備をさせる。同時にマイクで「準備、1、2、3」と言うことにより「3」のときに一斉に本を広げるのである。そのときにマイクで「右から広げろ」「左から広げろ」と合図すると右から順次広げて行ったりする。マイクは背景隊の座席のあちこちに70ほど設置されており、子どもたちはマイクの声と電光掲示板の指示で統一した行動をおこすのだ。
 ケソン高等中学校の女の子に手に持っている本を見せてもらった。拡げると縦80センチ、横100センチほど、分厚さは10センチ以上あったと記憶する。本のページごとに付箋のようなものが付いていて、数字が書いてある。それを見て広げるのである。フィールドで演技する子どもたちは音楽に合わせて動作を起こす。
 本番では、始まる前に背景隊の子どもたちが学校ごとにデモンストレーションをするのだが、そのデモだけで観客は圧倒される。サッカーの場面、選手がシュートするとボールが飛んでいきキーパーの手をかいくぐってゴール。そんな場面を背景隊は描くのだ。それほど緻密で水準が高い。次の動画で実物の一部を見てもらいたい。
 時事通信社の大マスゲームと芸術公演「輝く祖国」の映像https://www.youtube.com/watch?v=DhurHN_znoo

 99年9月号の月刊イオに掲載した記事には次のように書いている。(トップ写真)
 「一人ひとりが背景版という大型の本のようなものを持っている。各ページに色が塗られていて、前方の電光掲示板の数字に合わせて開けることにより、図柄を浮き上がらせる。描き出す図柄は260カットにもなる。本番が近づくと緊張するのかと思いきや、そこは子どもたち、笑顔を見せて隣同士でふざけ合うなど結構リラックスしている。マスゲームは大きな国家行事の度におこなわれるが、出演するのは1回きりとのこと。子どもたちにとっても一生の思い出だ。本番はミスのない完璧なできで、祖国の建国50周年をみんなが祝った。」

 9月に平壌で行われた北南首脳会談はサプライズの連続だった。その際、文在寅大統領をはじめ韓国の代表団のメンバーがマスゲームを観覧した。どのような感想をもったのだろうか、気になる。そして私も久しぶりにマスゲームを観覧したい。(k)

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新しい出会いに感謝

2018-10-15 10:02:48 | (全)のブログ

 先日イオのOB、中学時代にサッカーを指導してくれた先生とYさんとご飯を食べに行きました。

 Yさんとは初対面だったのですが、会話のなかでYさんが姉と同級生ということが発覚しました。さらに、この日集まったメンバーはみな同じ大学、同じ学部を卒業しています。イオについて、中学校時代の思い出、学部についてなど、話の尽きない食事会でした。

 11月号の編集後記にも少し書きましたが、社会人になり、学生時代に比べ、新しい出会いが増えました。新たな出会いが増えるなかで驚くのは、みな、どこかでつながっているということ。

 知人の親友やきょうだいの友達であったり(今回の食事会の様に)、出身校、部活、学部が同じなど・・・。縁というものを不思議に思う今日この頃です。

 取材では新しい出会いがほとんどです。取材先で必ずすることと言えば、名刺交換。入社当初はネットで「名刺交換 方法」「名刺交換 失礼」などよく検索しました。

 一つのモノを買うのにすごく悩んでしまう私は、名刺入れもなかなか買うことができないでいました(先方には失礼なことですが)。そんな私に編集部の(愛)さんが名刺入れをプレゼントしてくれたことも。

 まだまだ駆け出しですが、名刺が徐々に増えると嬉しくなります。こんなにも新しい出会いがあったのか、また新たなつながりが増えたと。
 同時に、一回きりの出会いで終わるのではなく、つながりをさらに発展させることも今後の記者生活で大切なことだとも実感します。

 冒頭の食事会の話に戻ります。
 お店はカラオケがついていたので、最後は音痴な自分の歌で締めた楽しい食事会でした。(全)
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2019年度に向け…

2018-10-12 10:00:00 | (麗)のブログ
昨日、11月号の締切を無事に終えた。

締切当日、忙しさからか何なのか、まだ11月号の制作にも関わらず、
「この連載、『最終回・終わり』って入ってないんですが…」と、12月号の制作と勘違いして喋っていた。

自分でも何故そう思い込んでいたのか謎だが、いくらなんでもボケ過ぎではと思わず声に出して笑ってしまった。

2018年度のイオも残すところあと1号…! あっという間だ。

現在、編集部では来年度の連載に向け、企画会議を行っている。
すべての新連載が決まれば、新規レイアウトの作成が始まる。
作成期間中は、企画の趣旨に沿ってデザインを考える。

レイアウトの参考にと、本屋に足を運び、いろんな雑誌を物色する。
自分の引き出しに限界を感じたらいつもそうするようにしている。

このレイアウトいいね!と言われるような誌面を常に目指していきたい。


2019年度のイオはどのように変化するのか―。
簡単なことではないが、制作する立場としても、いち読者のとしても楽しみだ。(麗)
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料理と風習

2018-10-11 10:00:00 | (理)のブログ
 イオ11月号「この街のオンマオリニサークル」では、埼玉県中部支部のアジャンアジャンフェ(よちよち会)を紹介する。9月末、取材のため埼玉朝鮮初中級学校(さいたま市大宮区)での集まりにお邪魔した。



 この日のイベントは、女性同盟の顧問による簡単コチュジャン作りだ。参加者が多く、始まる前から活気があった。

 コチュジャン自体は30分足らずで完成! 本来はもっと手間のかかる(発酵させながら作る)方法もあるそうだが、忙しいオンマたちが気軽に朝鮮料理に親しめるようにとオリジナルの短縮レシピを紹介していた。
 「簡単コチュジャン」と言えど、バシッと決まった味にオンマたちは大喜び。顧問が準備してくれていたハチノスにつけてじっくりと味わっていた。

 興味深かったのは、その場で飛び交うさまざまな言葉やエピソード。

「マヌル(にんにく)はバラしてお水に浸けるとつるんと皮がむける」
「にんにく、ゴマ、ごま油はチョソンサラム(朝鮮人)の3点セットね」
「昔は日本人が牛すじの良さを知らなかったけど、最近はだんだんと美味しさが分かってきて高くなっちゃったから残念」
「日本での内臓の食べ方は朝鮮人が広めたんですよ」

 うんうんと同意する声、へえ~と関心する声、そして「(発酵させて作るコチュジャンを仕込んでいた時は)醗酵の力が強くて、冷蔵庫の中で鍋の中のコチュジャンが爆発していて大変だった」という顧問の思い出話に笑いが広がる。
 あるオンマは、「顧問と喋ってたら美味しい思い出がいっぱい浮かんでくる…」と感慨深げにつぶやいていた。そのオンマのオモニも、伝統的な朝鮮料理を手間ひまかけて作る方だという。

 話を聞きながら、民族の文化や自身のアイデンティティに自覚的になる場面は生活の中でいろいろあるが、料理の話になるとそういったものが顕著に表れるんだなあとつくづく感じた。
 そういえば、親から朝鮮人であることを知らされずに育てられながらも、食卓にキムチがあったり、チヂミやスープなどの日本式でない料理から違和感に気づいたという話を聞くことが少なくない。知人や友人からそういう話を聞くたび、「なんでそこは気をゆるめる!」とつい笑ってしまう。それくらい、食文化は簡単には隠せないものなのかもしれない。

 話は戻って、アジャンアジャンフェの今イベントは大好評だったようだ。「こういうレシピや豆知識ってクックパッドじゃ分からないよね」という言葉に大きく頷いた。サークルの責任者によると、コチュジャン作りはオンマたちの要望で実現した企画だという。朝鮮料理を直接、2世の同胞から学べるこういう場は貴重で、またとてもニーズがあると思った。(理)
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「大きくそだて みんなの木」@第24回極美展

2018-10-10 09:59:35 | (瑛)のブログ


 東京・上野の東京都美術館で開かれた第24回極美展(9月28日~10月5日)に行ってきた。

 一番見たかったのは、この絵。「大きくそだて みんなの木」のタイトルのもとに、壁一杯に広がっていたのは、朝鮮半島の南北、日本、中国・延吉の子どもたちの絵とメッセージ!圧巻だった。

 朝鮮学校の美術教員たちが運営してきた「在日朝鮮学生美術展―東京展」は2001年から、韓国で平和統一教育を実践しているNGO「オリニオッケドンム」と日本のNGO「南北コリアと日本のともだち展」とともに、朝鮮半島の南北、日本に暮らす子どもたちの絵の交流を進めてきた。

17年度は、葉っぱをかたどった紙に自己紹介をしあう共同制作を行ったという。一枚一枚のメッセージを読んでいると、現地での暮らしぶりや、まだ会えずにいる子どもたち同士が、お互いを思い慮る姿が目に浮かぶようで、胸が熱くなった。10年以上、この展示を見させてもらっているが、地道な交流をつなげてきた人たちの努力には、いつも頭が下がる。







 朝鮮学校生は、北と南を訪問し、現地での共同制作で独自の役割を果たしてきたものの、朝鮮半島情勢の緊張により、07年を最後にソウル訪問は中断。日本の小学生の訪朝も数回に留まっている。10年以上の断絶の月日。それを繋いできたのが絵の交流だった。

 今年に入り、朝鮮半島の平和作りに向けた大きな歩みが始まったが、一般の人たち、何より「祖国分断」のなかで生きてきた子どもたちに、「統一」を実感できる体験をもっともっと増やしてあげたい。そんな思いをかき立ててくれた展示だった。

 極美展は、「自由闊達なる表現によって、具象、非具象にとらわれることなく、独創性を高め、新鮮な芸術を極めようとする人材の開発と新人の育成を目的とし、その成果を世に発信し、芸術文化の発展に寄与するとともに、アジア諸国の芸術家との交流を追求するという趣旨」で一般公募されている。今回も、在日同胞画家たちが多くが出展していて、見ごたえがあった。

「歓喜・2018.4.27―民族の春」(朴正文さん)が外務大臣賞・叙々苑賞、

「済州道 トルタン」(夫正鵬さん)がモンゴル大使館賞、

「街風景」(金任鎬さん)が極美審査員特別賞、

「月と日、時を越えて」(金聖蘭さん)が極美審査員賞、

「双鉢鼓舞」(姜俊成さん)が東京クロス賞、

「舞踏―暖かな雪につつまれて」(張留美さん)がアートジャーネル社賞を、

 それぞれ受賞する活躍ぶり。

 御世話になっている方々の作品が日本の展示会で評価されたことも嬉しかった。(瑛)
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排外主義あおるフジテレビの入管PR番組

2018-10-09 10:00:00 | (相)のブログ
 先週土曜日(10月6日)にフジテレビで放映されたある番組が物議をかもしている。
 『タイキョの瞬間! 密着24時~出ていってもらいます!~』。番組公式サイトによると、「強制退去を捉えた緊迫のリアルドキュメント」で、外国人の強制退去を担う入国警備官に「密着取材」した番組だという。「不法滞在者や、不法占拠など、違法行為や迷惑行為を許さないプロフェッショナルたちの姿」を描いたというこの番組には「入管行政の人権侵害を隠蔽している」といった批判がネット上を中心に多く寄せられている。
 番組放送前日からSNSで話題にのぼっていたので、私も録画視聴した。
 一言で、ひどい内容だった。
 まずタイトルからして、排外主義をあおるようなつけ方ではないか。以前から入管行政に対しては、長期収容や死亡者(自殺者含む)が出るような収容環境の劣悪さなどが問題視されているにもかかわらず、このような問題点を指摘しないまま取り締まる側の正義をクローズアップするのは「入管行政のプロパガンダ」と批判されても仕方ないだろう。
 また番組では、外国人技能実習生として来日して実習先から失踪した人が取り上げられていた。すでにさまざまに報じられていることだが、この技能実習生制度は、単純労働に従事させられ、人権侵害も相次ぐなどその劣悪な労働環境がたびたび問題視されている。国連人権理事会などからも批判を受けている。実習生の失踪には背景にさまざまな問題が絡んでいるにもかかわらず、単に不法滞在した犯罪者として扱うのは問題の所在を覆い隠す役割しか果たさない。

 本誌イオでも入管の問題はたびたび取り上げている。今年に限っても、5月号から7月号まで3号連続で『入管の収容問題を追って』と題した緊急ルポを連載した。編集部の(理)さんが取材・執筆を担当した骨太のルポだ。
 マスメディア、とくにテレビの影響は非常に大きい。なぜオーバーステイなど不安定な状態で日本に留まる外国人がいるのか、技能実習生として来日した外国人がなぜ実習先から逃げ出したのか、その理由や背景を十分に説明しないまま権力側の視点に乗っかって制作した番組が広く公共の電波に乗るのは恐ろしいことだと思う。(相)
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祖国が統一したらビール掛けをしたい

2018-10-05 09:42:02 | (K)のブログ
 日本のプロ野球、セパの優勝が決まりましたね。何年も前にプロ野球への興味が完全になくなったので、どこが優勝しようがどうでもいいのですが、優勝した時に行うビール掛(か)けのことが気になります。
 両チームが優勝した夜もビール掛けをやっていました。パリーグの優勝チームの場合、準備されたビールは3000本で約20分でなくなったと報道されていました。私が年間に消費する何倍もの量のビールが20分で流され消えてしまう。ビール掛けの姿を見るたびに、何という無駄なこと、いい加減にバカなことは止めればいいのにと思ってしまいます。

 今から6年前の秋のことです。プロ野球の優勝チームが決まり、ビール掛けをやっている姿をテレビのニュースで放送していて、ぼんやりと見ていました。朝鮮半島の北と南の関係が冷え切っていた時代です。ビールを掛け合うバカな姿に何か感じたのでしょう。
 ツイッターとフェイスブックに、「祖国が統一して、ビール掛けがしたい」と投稿したのでした。ついでに「とりあえず、高校無償化適用実現でもビール掛けしようかな」とも投稿しました。
 すると、何人かから反響がありました。「私もやりたい」「ぜひやりましょう」といった感じです。ちょっと、盛り上がりました。

 そのときから6年、今年に入っての北と南の動き、朝鮮半島情勢を見ていると、ちょっと心配になっています。
 本当にビール掛けをやらなければいけないんじゃないか、やらなかったら嘘つきになってしまう、と。そんなことを投稿したことなんか誰も覚えていないのでしょうが。

 一方、高校無償化の方ですが、9月27日の大阪の無償化裁判控訴審では1審の判決を覆し、朝鮮学園側の敗訴という不当判決が出ました。(相)さんが9月28日の日刊イオで裁判の詳細を報告しているのでごらんください。国を相手にした裁判で、最初から難しい闘いになることはわかっていました。しかし、誰がどう見ても明らかな差別、法に反している朝鮮学校排除なので、普通に考えれば勝てるはずだと希望をもっていたのですが(昨年の大阪の1審判決は素晴らしいものでした)、現状は厳しいものがあります。
 大阪高裁の今回の判決をはじめ朝鮮学校側を敗訴にした判決は結局、「朝鮮学校は朝鮮総聯(北朝鮮)に不当な支配を受けているから無償化を適応しない」と言っています。朝鮮学校を在日同胞組織と引き離し、在日朝鮮人を祖国と引き離そうというもので、不当極まりない、めちゃくちゃなもの、絶対に受け入れるわけにはいきません。今月30日には東京高裁の判決が出ます。こらからも闘いは続きます。

 6年前は冗談で、「ビール掛けがしたい」と投稿したのですが、祖国が統一したら、無償化裁判で勝利が確定したら、本当にビール掛けをしたいと考えています。
 ビール掛け、一緒にやりたいという方がいたら、ご連絡ください。(k)

 トップの写真は2005年8月、祖国解放60周年を記念する北と南、海外同胞が集まったソウルでの「自主、平和、統一のための8.15民族大祝典」の時のもの
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未明に緊急地震速報が

2018-10-04 10:09:06 | (全)のブログ

昨夜未明、関東地域を対象に緊急地震速報が流れましたね。

気象庁発表では、千葉東方沖でマグニチュード6.7の地震が発生したとのことです。
最大震度4と、深刻な被害が生じた地震ではありませんでしたが、突然の緊急速報にびっくりしました。

「チリンチリンチリンチリン、緊急地震速報です強い揺れに警戒してください」

しかし、何度聞いても緊急地震速報のアラーム音に慣れることができません。言葉では表すことができない不安感や恐怖感でいっぱいになります。

さて、このアラーム音ですが、開発するにあたって「雑音の中でも聞こえる音」「老人でも子どもでも気づける音」という条件があったといいます。
緊張感を持った和音を使用しいているアラーム音ですが、制作者は福祉工学の研究者である伊福部達さん。上記の条件をもとに制作する際に、伊福部さんが参考にしたのが伊福部さんの叔父である伊福部昭さんが作曲した「シンフォニア・タプカーラ」。

叔父の伊福部昭さんは「ゴジラ」のテーマ曲を作った方で、伊福部さんは小さい頃からこの曲を聴いていて、ゴジラと地震がリンクするイメージがあったそうです。

さまざまな試行錯誤のもと、出来上がったのが緊張したリズムの、緊急地震速報ということです。
今年、日本列島では地震、台風と自然災害が頻発していますが、日ごろからの準備と心構えが大切だと実感しました。(全)
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何かに癒されたい

2018-10-03 10:00:00 | (麗)のブログ
(全)さんの北海道出張の記事を読んで、旅の良さを改めて感じた。

そういえば、旅自体もう久しく行っていない。
連休も特にこれといった外出もしないので、たまには思い切ってどこかに行くのもいいなと思えた。

「あぁ、リフレッシュしたい」

ぼーっとこう思ったり、無意識に動物の映像を求めている時があるのだが、「何かに癒されたいサイン」だと感じている。
また何か動物カフェなどに行って癒しを求めに行こうかと思う。


話は変わって、来週いよいよ家族がやってくる。
リフレッシュが出来るといい。
最近台風が連続で来ているが、中止にならないことを祈る。(麗)
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“生涯現役”――朴日粉さん出版記念会

2018-10-02 10:00:00 | (理)のブログ
 朝鮮新報社で40年以上も記者活動を続け、今年5月末に退職した朴日粉さん。同月には、朴さんが在職中に出会った著名な日本の方々へのインタビューをまとめた書籍『過去から学び、現在に橋をかける ――日朝をつなぐ35人、歴史家・作家・アーティスト』が出版された。月刊イオ8月号にも書籍の紹介と著者へのインタビューが掲載されている。



 9月28日、新宿の京王プラザホテルで出版記念会が行われた。朴さんの友人たちが呼びかけ人となり、各界各層の方々がお祝いに集まった。
 

 100万部以上のベストセラーとなった『もの食う人びと』の著者である辺見庸さん。同作が新聞で連載されている頃から辺見さんのファンだった朴さんがインタビューを依頼したことがきっかけで出会ったという。
 「私が近代の日本の動きに関心を持つようになったのは、韓国の『慰安婦』のハルモニたちと出会ったことが大きい。今まで自分が読んできたものの数百倍、数千倍のものを生身の人間たちに教えられ、思想やものの考え方を根本から変えてくれた。朴さんと会っていると、どうしてもその感覚が重なる。朴さんからはたくさんのことを教えてもらったし、これからも教えてもらいたい」
 

 大阪から駆けつけた詩人の李芳世さんは、舞台に上がって「今朝、新聞で泣いている女の子の写真を見た。新幹線で東京に向かう間中、ずっとその女の子のことを考えていた」と話し始めた。出版記念会の前日にあった、大阪無償化裁判控訴審判決言い渡しについて報じる記事だ。
 「私は、1923年に起こった関東大震災の話が忘れられない。当時、朝鮮人がたくさん殺されたが、なかには朝鮮人を針金で電信柱などにくくって、『殴るなり蹴るなりどうぞ』という看板が立てられることもあったという。その前を通る人は、唾を吐き、竹槍で刺し…。その話を聞いた時、『この人たちはなんど朝鮮人を殺したら気が済むのか』と思った。今朝、新聞に掲載された女の子の写真を見ながら、この気持ちに通じるものを感じた」

 「私は、日本が大っ嫌いです。でも日本の人たちは大好きです。この本は、改めてそんな気持ちを持たせてくれる本だった。許せないことは許せない、と毅然とした人たちの言葉を取り上げた本。出版、本当におめでとうございます」



 乾杯のあと、引き続きたくさんの人が登壇し祝辞をのべた。



 朴さんの書籍でも紹介されている詩人の石川逸子さんは、「朴さんは、偏見にとらわれない視線でいつも様々なことを教えて下さる。いま、日本がアジアから孤立しそうな時だからこそ、日本の若い人たちにこの本をぜひ読んでほしい」と話し、自身の詩「少女」(韓国の「少女像」をモチーフにした作品)を朗読した。



 フリージャーナリストの中村一成さんは、「いまの日本の政権は、言葉を踏みにじることを基盤として成り立っている。そんななか、このような本を出してくれて感謝している。自分の譲れない一線について言葉を刻んでこられた、それぞれの人の思想の言葉が載っている」と書籍について話したあと、やはり先日の大阪無償化裁判控訴審判決について言及した。
 「昨日の判決はひどかった。こんなに荒れた法廷は初めて見た。裁判官がいる間に言葉を投げつけてやりたいという感じで、オモニたちが罵声を飛ばしていた。生徒たちは法廷の中では毅然とした態度だったが、外に出た途端に泣き崩れていた。裁判官にはその姿を見せたくなかったんだろう。だれもかれもが大声を出していた。でも、『負けない、負けるわけにはいかない、負けるわけがない』と、すでに色んな動きが出ている」…。東京に向かいながら改めて書籍を開いたという中村さんは、最後に実感を込めて「この本にまた力をもらった」と話していた。



 続いて、神奈川新聞の石橋学さんが発言。石橋さんはちょうど今月、朝鮮民主主義人民共和国を訪問したことについて紹介した。
 「今回訪朝して、いかに私たちの目が歪んでいるかということを感じた。それは自分も携わっている日本のメディアが歪ませてしまっているもの。日本のリベラルといわれるジャーナリストですら、訪朝してまでも『平壌には生活が感じられない』『ビルなどがハリボテに見える』と言っているのを聞いて愕然とした。日本には歴史的な責任があるという認識が全くなく、むしろ朝鮮への蔑みの目線と重なっている。昨日の大阪判決も本当に恥ずべきものだった。朝高生たちにはかけられる言葉が見つからない。でも、もし何かの言葉をかけるとするなら、朴さんの本を手渡して『この本を読んでごらん、このような言葉を紡いで日本社会を正そうとしている偉大な先輩たちがいるんだよ』と言ってあげたい。またそれよりも、それは私自身がやらないといけないことだとも感じている。勝手だが、私は朴さんからバトンを受け取ったと思っている。いつも背中を押してくれることに感謝したい」



 女性同盟東京都本部の趙英淑委員長は、30年来の友人として挨拶に立った。取材を通して知り合ったという趙さんは、朴さんの人柄についてのべながら「こういう人と出会ったことがなかったので衝撃的だった」と言い、笑いを取った。また、長年交友を深めながらたくさんの話を交わす過程で印象的だった朴さんの名言を3つ紹介。
 「一つは、『そんなのはどうでもいいことだよね』。朴さんは本質的でないことには関心がない。前向きで積極的で、話していて楽しく、希望が湧いてくる。二つ目は『家父長制だよね』。女性の不利益などにいつも怒りを表していた。そして最後が『おじいちゃんの話はつまらない』(笑)。特に昔えらかったおじいちゃんの話はつまらないと言っていました」

 趙さんは、朴さんの過去の書籍も紹介しながら「民族差別、女性差別、貧困のなかでも、逞しくいきいきと自分の人生を切り開いていく在日1世のハルモニたちの話を読みながら、女性の強さ、したたかさ、愛を読み取れた」と話していた。



 詩人の河津聖恵さんは「朴さんと出会って、他者に対する思いやりをかき立てられた。朴さんが引き出してくれたものがたくさんある」と、記者として、人間としての朴さんの魅力について語った。



 今回、朴さんの書籍を出版した梨の木舎の羽田ゆみこ代表も登壇。「梨の木舎は『教科書に書かれなかった戦争』というシリーズで日本の加害の歴史を伝えてきた。朴さんの本はシリーズ68冊目になる。歴史を見ないことは未来をふさぐことにつながる。この本は読めば読むほど中身が深く広い。ぜひ多くの人に広めてほしい」と呼びかけた。

 他にも多くの方が舞台に立ち、書籍を通じて現在の日本社会に思うことや自身の活動について思い思いにのべていた。参加者たちの、朴さんに対する強い愛情が感じられる時間だった。



 最後に、朴さんが謝辞に立った。
 「この本は、日朝への思いを一人ひとりの言葉で書き下ろしたもの。2000年代、メディアというメディアが『北朝鮮叩き』で埋め尽くされた。その時でも私のインタビューを快諾してくれた日本の方々がいる。頑固なまでに実践と言葉を重ねてきた人々がいることを日本人、そして在日同胞たちにも伝えたかった。なんとか世論を変えて、いい社会にしたいという気持ちで仕事をしてきた。若い記者たちにもその気持ちを引き継ぎたい。社会を変えるためには、強い信念を持って行動していくしかない」

 朝鮮新報社を退職する直前に、公益財団法人在日朝鮮学生支援会の代表理事に就任した朴さんは、大阪の判決にも触れ、「子どもたちの学ぶ環境がどんどん悪くなっている。明日への希望、夢を持ってもらうには学ぶための資源が必要だと社会に伝えていきたい。それを整えてあげたいと切実に思った」と話した。

 「新聞記者の時代とは全然ちがうステージに立ったが、思いは一つです。日本社会の不条理を許さない、子どもたちを守る。この強い信念を忘れずに、これからも活動を続けていきたい」――。

 最後の挨拶を聞きながら、朴さんの代表作『生涯現役』のタイトルが浮かんだ。子どもたちのために日本をよりよい社会にしていきたい、そんな燃えるような思いが集まる会だった。(理)
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大阪無償化裁判控訴審判決の日に接した言葉たち

2018-10-01 10:03:49 | (相)のブログ
 

 すでに先週金曜日から土曜日にかけて本ブログでもお伝えしたように、大阪朝鮮学校高校無償化裁判の控訴審で原告・朝鮮学園側に逆転敗訴の判決が下った。
 当日は判決の言い渡しを法廷で傍聴し、その後の報告集会も取材した。この日に聞いた印象的な言葉の一部を紹介したい。

 判決後の記者会見。原告側弁護団の丹羽雅雄弁護団長は、「朝鮮学校で学ぶ子どもの人権にかかる裁判であるにもかかわらず、裁判長はそのような視点を全く持っていなかった。著しく不当な判決だ」とのべた。
 大阪朝鮮高級学校を2011年3月に卒業し、現在は東京大学大学院で学ぶ申泰革さんは、「朝鮮」に対する否定的なイメージが蔓延し、同胞の子どもたちが自身のルーツに否定的になりがちな日本社会の中で、朝鮮学校は「私たちが堂々と胸を張ることができる場所」だとその重要性を訴えた。
「地獄の底に突き落とされた気持ち。いくら国家権力が強大でも、当たり前の権利が認められるまで地面をはいつくばってでもたたかう」。大阪朝高生徒保護者である高己蓮さんの発言だ。

 同日夕方に市内の会場で行われた報告集会。
 大阪朝高の女子生徒が壇上に立ち、高裁判決に接しての思いを吐露した。
 「私は今日の判決を聞いて深い憤りと悔しい気持ちでいっぱいになりました。12年間通ってきたウリハッキョが、民族教育が、在日朝鮮人という自分の存在が否定されたような気がしました。裁判を傍聴しながら、自分のことなのに何もできなかった無力さを感じました。これからも、いつ終わりが来るのかわからないたたかいが続くと思う。それでも私は勝利するその日まで決してあきらめません」
 弁護団や学校関係者、支援者の大人たちに向けて、「私たちにごめんね、と謝らないでください」と言葉をかける彼女のその気遣いに心を打たれるとともに、生徒にそのようなことを言わせてしまった大人の一人として胸が痛くなった。(相)
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大阪朝鮮学園逆転敗訴の不当判決―大阪無償化裁判控訴審

2018-09-28 16:36:51 | (相)のブログ
 

 大阪朝鮮高級学校を高校授業料無償化・就学支援金支給制度の対象としないのは違法だとして、同校を運営する大阪朝鮮学園が国を相手に不指定処分の取り消しおよび指定の義務づけを求めた訴訟の控訴審判決が9月27日、大阪高裁で言い渡された。
 結果は、昨日速報で伝えたように、原告である朝鮮学園側の逆転敗訴。大阪高裁は、原告全面勝訴となった昨年7月28日の地裁判決を取り消し、原告の訴えを退けた。

 判決の主文の内容は、
 ①原判決を取り消す
 ②本件訴えのうち、規定ハに基づく指定の義務付けを求める部分を却下する
 ③被控訴人(朝鮮学園側)のその余の請求(不指定処分の取り消し)は棄却する
 ④訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする、というもの。
 高橋譲裁判長は、大阪朝鮮高級学校は在日本朝鮮人総聯合会(総聯)から「教育の自主性をゆがめる不当な支配を受けている疑いがある」として、国の不指定処分を違法として同校を就学支援金支給の対象に指定するよう命じた1審判決を取り消した。判決は、▼総聯傘下の出版社が発行する教科書が使われている、▼総聯が学校に財政的支援をしている、▼幹部レベルでの人事交流がある、ことなどを挙げて、「教育の目的を達するために必要な限度を超えて朝鮮総連の介入を受けている」と指摘。朝鮮学校で就学支援金の管理が適正になされない恐れがあることにも言及した。
 また、就学支援金支給の対象に指定するかどうかは「教育行政に精通する文科大臣の裁量」だとし、教育基本法が禁じる「不当な支配」を受けている疑いがある以上、朝鮮学校を対象から除外した国の判断は不合理ではなく、裁量権の逸脱・乱用もないと結論づけた。
 1審判決が「教育の機会均等とは無関係な政治的判断に基づくもので、違法・無効」と断じた規定ハ削除については判断を回避した。

 判決が言い渡された202号法廷では、判決の主文を読み上げて退出しようとする裁判官に、傍聴席に陣取っていた朝鮮学校の保護者や支援者らから悲鳴にも似た抗議の声が投げつけられた。裁判所の外でも、朝鮮学園側の逆転敗訴の報が伝えられると、生徒や保護者、教職員、支援者から憤りの声が上がった。

 

 日本全国の5つの地裁(東京、愛知、大阪、広島、福岡)で起こされた朝鮮高級学校無償化裁判で控訴審判決が出たのは今回の大阪が初。これまで東京、愛知、広島では1審で原告敗訴、福岡(九州)では1審が継続中だ。ここまで唯一、朝鮮学校側が勝訴した大阪の1審判決がこれで覆された。
 判決後の記者会見で原告の朝鮮学園側は、高裁判決について「著しく不当」として上告する意向を表明した。

 と、ここまでは各種報道ですでに伝えられている通りだ。
 昨日の控訴審判決について詳細に検討することは現時点で難しいが、本エントリでは、昨夕の報告集会であった弁護団からの説明も参考に、今回の判決の概要を記して本判決の不当性を理解するうえでの一助としたい。
 まずは、昨年7月28日の1審判決を振り返る。
 本件訴訟における請求の趣旨は、
 ①文科大臣が原告に対して2013年2月20日付でなした本件規則第1条第1項第2号ハ(規定ハ)に基づく指定をしない旨の処分を取り消す(取り消し訴訟)
 ②文科大臣は原告に対して、大阪朝鮮高級学校について規定ハに基づく指定をせよ(義務付け訴訟)
 ③訴訟費用は被告の負担とする、の3つ。
 昨年7月28日の一審判決では、この3つがすべて認められ、原告・朝鮮学園側の全面勝訴が言い渡された。国を相手取った行政訴訟で原告側の全面勝訴判決が出るのは異例のことだ。
 主な争点は、①不指定処分の違法性(朝鮮高校を就学支援金の支給対象に指定する根拠規定であるハを削除したことの違法性)、②指定の要件を満たすか(規程13条適合性)の2つ。争点①に関して判決は、文科大臣は高校無償化法の趣旨である「後期中等教育段階の教育の機会均等」とは無関係な外交的、政治的判断に基づいて規定ハを削除した、これは法による委任の趣旨を逸脱するものとして違法、無効であると判断した。
 争点②は、朝鮮高校が「法令に基づく適正な学校運営」について定めた「本件規程13条に適合すると認めるに至らなかった」とする国側の主張が妥当かどうかというもの。これについても判決は、大阪朝鮮学園は▼私立学校法に基づいて財産目録、財務諸表が作成されている、▼理事会も開催されている、▼大阪朝高は大阪府の立ち入り検査でも法令違反の処分はなし、という3点をもって13条適合性は立証されているので、ほかに「疑念を生じさせる特段の事情がない限り、13条適合性が認められる」とした。そして、「特段の事情」に関する国側の主張を退け、朝高は規程13条の要件を満たしていると認めた。
 その後、昨年12月から始まった控訴審において、国側は、教育基本法の抽象的規定を数多く持ち出して行政裁量(行政が自由に判断できる余地)を広げつつ、朝鮮学校に影響力を行使する総聯が反社会的な活動を行っているかのような印象を与える主張・立証をしてきた。一方の朝鮮学園側は、国側の主張に反論しながら、高校無償化法や教育関係法令を指摘し、これらの法は文部科学大臣に学校選別における裁量を与えていないので、団体との関係を理由にした本件不指定処分は違法であり、原判決を維持すべきと主張してきた。

 そして今回の控訴審判決。1審判決を覆すために動員された理屈は、やはりというべきか、国側が不指定の理由としてこじつけで持ち出してきた「規程13条適合性」(「不当な支配」)の問題だった。
 1審判決では争点①(規定ハ削除の違法性)から順に判決理由がのべられたが、控訴審判決では争点②(規程13条適合性)→争点①の順番で理由がのべられている。規程13条適合性から理由が書かれているというのは、広島裁判や愛知裁判での判決とも共通する点だ。
 控訴審判決は、規程13条適合性の判断にあたっては教育内容が教育基本法の理念に沿ったものであるかどうかも考慮すべきと判断した。また、地裁判決の争点②にあった「『特段の事情』のない限り、規程13条適合性が認められる」という部分について、「特段の事情」という高度な立証責任を国に課すべきではなく、「相当な根拠」で足りるとした。
 規程13条適合性の判断における文科大臣の裁量についても、「不当な支配」に該当するか否かの判断を文科大臣が下してもいい(ただし、広大な裁量はない)とした。一審判決は、不当な支配をする可能性のある文科大臣にはこのような裁量はないと言っている。
 総聯と朝鮮学校との関係については、教育内容や人事面で「不当な支配」があったと判断。その理由としてのべられているのは、▼総聯が組織的に朝鮮学校を指導するという関係が成立している、▼総連と学校との間で幹部レベルの人事交流があり、人事面における関係性が強い、▼朝鮮学校の教員や生徒が総聯の傘下団体に加盟している、▼傘下の事業体が発行する、朝鮮の指導者を賛美する教科書を使用させるなど総聯が学校の教育内容に対しても強い影響力を行使している、▼学校に対して財政的な支援をしてきている、などだ。
 控訴審判決は、上記の事情に照らして考えれば、大阪朝高は総聯から「教育の目的を達するための必要性、合理性の限度を超えて介入を受け、教育の自主性をゆがめるような支配を受けている合理的な疑いがあるというべきである」と結論づけた。「学校に対して総聯の一定の関与は認められるが、それは協力関係ともいうべきものであり、学校は運営の自主性を失っていない」と歴史的経緯も含めて判断した1審判決とは対照的な判断が下された形になった。
 そのうえで判決は、大阪朝高が総聯から「不当な支配」を受けていること、財政面で就学支援金の管理が適正に行われないことを疑わせるに足りる相当な根拠があったものと認められるので、法令に基づく適正な学校運営という観点からして規程13条適合性があるということはできない→大阪朝高が規程13条に適合すると認めるに至らないことを理由とした不指定処分が不合理なものということはできず、これについて文科大臣の裁量権の逸脱・濫用があるということもできない、本件不指定処分は違法とは言えない、とした。
 今回の訴訟の最大の争点といえる①(規定ハ削除の違法性)は、広島や東京、愛知での判決と同じように、争点②の妥当性が認められたので判断をする必要がないという理由で判断が回避されてしまった。
 報告集会で弁護団の金英哲弁護士が指摘したように、今回の判決は「行政訴訟において国を勝たせる典型的な結論ありきの判決」といえるだろう。(相)
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