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日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

同胞の手話教室を訪ねました

2017-10-31 10:00:00 | (S)のブログ
以前日刊イオでお知らせした、在日同胞を対象に開かれている手話教室に先日お邪魔しました。
2017/5/31「手話教室が開かれます」(理) ※生徒募集期間は終わりました

主催は在日同胞福祉連絡会の同胞障がい者音楽サークル「Tutti(トゥッティ)」。
今年6月から来年4月まで11回に渡り開催中で、今回はその5回目です。

これまで取材などを通して手話という言語について話を聞く機会がありましたが、手話そのものに触れたのは初めてでした。

「雨の中お疲れ様です。お久しぶりですね」
講師が手話であいさつを始めると、受講生も習った手話を駆使してあいさつを返します。
同胞の手話通訳士の方が隣でフォローしてくれますが、それ以外に「音」はないので、講師の手の動きから目をはなす暇はありません。
机のノートばかり見ずにしっかりと人を見ることから始まるので、学校で受けてきた授業とは感覚が違って新鮮でした。

趣味や好きな食べ物など、講師からの質問に1人ずつ答えて行くだけでも、新しい単語が次々に出てきます。
「キムチ」を表す手話が朝鮮半島の北と南、日本でそれぞれ違ったり、日本の中でも地域や人によって少しずつ表現方法が違ったり。
朝鮮半島と日本の手話は似ているそうですが、その中にも「方言」のような違いがあちこちにあって興味深かったです。

また、単語の意味やようすを“想像する”ことが本当に大切だと感じました。
はじめはちんぷんかんぷんでも、分かってみると、必ずその言葉の特徴が表れています。「なるほど!」と感じられれば記憶にも残ります。
改めて言葉の意味を考えてみたり、他にないその言葉だけの特徴を探してみたり、身近にありすぎて気にかけていなかった「言葉」と出会いなおすような作業に感じられて、これもまた新鮮でした。

過去にブログでも書きましたが、手話はろう者にとって「アイデンティティ言語」だという取材先での話が印象的です。
2017/5/8「漫画『わが指のオーケストラ』、 是非読んでください」(S)
聴覚障がいを持たない人が、ろう者の言葉である手話に触れることは、自分と違う感覚や世界観を持つ「他者」を知り寄り添おうとするための第一歩だということを、手話教室で改めて感じました。

「Tutti」は在日同胞障がい者への福祉活動を行う過程で在日のろう者とも出会いましたが、一方で手話を話せる在日が少ないという現状にも直面したそうです。
手話教室は、在日同胞社会をもう一回り大きく捉えて、もっと大きな輪で同胞たちがつながれる小さなきっかけを作る取り組みだと思います。

何より、受講者の方々が本当に夢中で楽しく手話を習っていました。
外国語を学んだり、新たなことにチャレンジする時に、「手話」という選択肢が自然にあってもいいのではないか、そう感じました。(S)

劇団アランサムセ、8年ぶりの…

2017-10-30 10:00:00 | (理)のブログ

 月刊イオの連載「ジョンホの決めゼリフ」筆者・金正浩さんが主宰する劇団アランサムセが、11月16日から19日にかけて東京で公演を行います!

 今回は「現代朝鮮演劇シリーズvol.2」と冠して、『チャラン ポラン』『約束』『山越え』の3作品を上演します。「現代朝鮮演劇シリーズ」は実に8年ぶり。待望の第2弾です。
 「現代朝鮮演劇」という名の通り、朝鮮民主主義人民共和国で作られた現代戯曲が原作になっています。アランサムセのメンバーが翻訳・脚色を担当。
 ちなみにvol.1で上演された3作品のうち、『バスケ選手』と『熱き心たち』はイオ本誌で漫画化もされました。それぞれ上下編で2015年9月号~12月号に掲載されています。

※左がバスケ選手(9月号)、右が熱き心たち(12月号)


 さて、今作品の簡単なあらすじを紹介します。以下はチラシより抜粋。

チャラン ポラン
 中央(ピョンヤン)と地方の格差、世代間の葛藤を、恋模様を絡めてコミカルに。

約束
 次々と女性を紹介されるもその誰をも気に入らない青年の恋の行方。

山越え
 譲り合い助け合う素朴な人々の交流をユーモラスに綴る。

 もう少し作品の説明をすると、『チャラン ポラン』は1時間ほどの中編。朝鮮語の자랑(誇り)と보람(やりがい)をかけたタイトルです。 地方にある食料工場を舞台に、技術や整備の「現代化」を一気に推し進めようとする若者たちと、なかなかそこに踏み切れない中年コンビの葛藤が描かれます。中央(ピョンヤン)からの「お客さん」が登場することで、「誇り」とはなんなのか、世代間のギャップも少しずつ浮かび上がってきます。若い男女の恋愛模様も絡めながら、コミカルに物語が進んでいきます。

 『約束』と『山越え』は、それぞれ15分ほどの短編。前者は、朝鮮本土とそこから150里離れた島とをつなぐ船の船長さんが主人公です。親戚のおばさんからしょっちゅうお見合いを勧められている船長さん。どんな女性を紹介されてもなかなか気に入らない、その理由とは?
 後者は、日が暮れてしまった道の途中で、山を越えるために車を待つ人々の交流を描いています。個性的な人たちが様々な事情を抱えて、できるだけ早く山を越えようとやって来ます。山の向こうには何があるのでしょう?―

 演劇は社会や時代を反映するもの。どの作品も、登場人物たちが生き生きとしていて、人間くさくて、情に溢れており、現代の朝鮮の姿をリアルに表していると思います。日本社会での朝鮮に対する報道が相変わらずな中、朝鮮に暮らす人々の喜怒哀楽や息づかいが感じられる、小さいながらも素敵な空間になるはず。ぜひたくさんの人に観てほしいです。


 三河島駅から徒歩3分のところにある「日暮里ARTCAFE百舌」(https://ameblo.jp/artcafe100z/entry-12028511167.html)が会場になります。
 11月16日(木)・17日(金)は19:30から、18日(土)は14:00からと19:30からの2回公演、19日(日)は14:00からで、開場はいずれも30分前。
 チケットは前売り3000円(当日3300円)、大学生2500円、中高生1000円。全席自由です。

 チケットの予約はメールもしくは電話にて。
 メール:aransamse@gmail.com
 電話:090-4415-0339(金)


 劇団アランサムセのfacebookページやTwitterでは稽古のようすや出演者の情報も公開しているのでぜひチェックしてみてください。
 facebook→https://www.facebook.com/arangsamse/
 Twitter→https://twitter.com/arangsamse





 私も出演します。(理)

公園で聞かれたこと

2017-10-27 10:01:22 | (瑛)のブログ
 (相)さん同様、「朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を! 全国集会」に参加した。懐かしい知人は、雨のなか、小学生の娘を連れてきていて感心したのだが、娘さんは母親と参加した今日の光景をしっかり刻むのだろう。

 集会の帰り、渋谷の若者がデモを写メしている様子が目に飛び込んできた。デモ隊の列が長いので、信号がしばらく止まる。文句の声もチラホラ。「差別反対」とシュプレヒコールを叫んだ私だったが、この中のどれくらいの人が朝鮮学校を知っているのだろうか。知らない人に「差別反対」の声がどれだけ届くのだろうか、と逡巡しながら、帰路に着いた。

 この春、日本の保育園から朝鮮の小学校に進学した次男は、やっと新しい環境になれてきて、最近では、学芸会の練習を楽しんでいる。天気をあてるアオガエル役をするそうだ。カエルの鳴き声も、日本語では「ケロケロ」だが、朝鮮語は「ケグルケグル」。民族によって、聞こえ方、伝え方が違うことをおもしろがってくれば、と感じる。セリフを練習している時間は、無償化裁判の現場や、東京判決の敗訴の日に感じた暗澹たる気持ちを忘れさせてくれる平穏なひとときだ。集会で、ある朝高生の女生徒が、自分のありのままの姿を見てほしいと語っていたが、私たちは誰もが持つ平凡な毎日を守りたいだけ。

 その次男が、ある日、公園で遊んでいると、「自分は朝鮮人?」と、聞いてきた。「そうだよ」と伝えてしばらくして、「朝鮮人って何か悪いことをした?」ときく。公園で一緒に遊んだ友だちに何か言われた訳でもない。おそらく民族学校に通うことで、自分は日本人ではないことを知り、周りと違うことに気づいているのだ。質問は、「違い」が何かを知りたかっただろう。発言にドキッとしたのは、母親の私だけだ。

 冒頭の集会では、数十メートル先でヘイトスピーチが延々と繰り返されていた。その攻撃性たるやひどいものだった。カウンターの人たちが、雨のなか、生徒たちを守ってくれたことが、ただただありがたかった。しかし、日本で生まれ育った在日の子どもたちは、いつかこの現実を知ることになる。それでも、だからこそ、今は、日本の子どもたちと分け隔てなく自由に遊ぶ、そんな少年期を過ごしてほしい。

 少人数の学校なので、次男が近所で遊べるクラスメートはいない。最近、保育園のお母さんのお誘いで、地元のサッカーチームで練習をはじめた。練習は毎週、ボランティアの人たちが担当してくれる。練習場所は固定されておらず、近隣の公立小学校を回るのも楽しみのひとつ。日本の友だちとの時間も新鮮なようで、これからが楽しみだ。(瑛)

朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を!全国集会

2017-10-26 10:00:00 | (相)のブログ
 

 昨日10月25日、朝鮮学校が高校授業料無償化・就学支援金支給制度から除外されていることなど朝鮮学校に対する差別に抗議し、同制度の適用を求め、日本各地5ヵ所で争われている裁判での勝利を誓う趣旨で「朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を!全国集会」が18時30分から東京・渋谷の代々木公園で行われた。 
 東京都内を中心に首都圏の朝鮮学校生徒や保護者、学校関係者、支援者らが集まった。

 この手のイベントは取材する側として参加することが多いのだが、この日はいち参加者として会場に足を運んだ。
 集会は、日中からの雨が夕方になっても止まず、時おり激しく降るというあいにくの空模様の中で始まった。
 舞台の壇上では、東京朝鮮中高級学校の愼吉雄校長、東京朝高無償化裁判弁護団の李春煕弁護士、東京朝高の生徒、同校オモニ(母親)会会長、朝鮮大学校の学生、そして大阪、広島、福岡など裁判係争中の各地域の代表らが発言した。
 憤り、悲しみ、喜び、希望―。さまざまな思いがつまったスピーチは、これまで運動の現場に立ち続けてきた当事者、支援者だからこそ紡げる、力強い、それでいてユーモアにもあふれた言葉だった。
 そんなスピーチの数々が、デモに向かう私を奮い立たせてくれた。

 

 渋谷のメインストリートを練り歩く。これまで何度も通ったこのデモコースをあと何回歩くことになるのか―。
 雨上がりの渋谷の街はいつにもましてきらびやかだった。

 この日の集会のもようは、取材を担当した編集部員が後日、詳細を本ブログにアップすると思う。もちろん、本誌12月号にも掲載される。

 最後に、あらためて、このたびイオ編集部が出した『大阪で歴史的勝訴――高校無償化裁判 たたかいの記録vol.2』(発行:樹花舎、発売:星雲社 500円+税、A5版、80ページ)の宣伝を。

 

 現在、裁判に対する関心の高まりも相まって、各地から注文が多く寄せられている。注文方法は以下のリンクを参照。どうぞよろしくお願いいたします。
 http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/10777d8a7da831d11ddf136ea0b3847c 
(相)


 



料理をつくれる人は偉大

2017-10-25 10:00:00 | (麗)のブログ
イオで特集される料理企画で、ほぼ毎回、撮影を担当している。

人とは違い、物言わぬ料理。こちらがリクエストをしても、応えてはくれない。
料理撮影はとてもとても難しいが、どうすれば美味しく見せられるだろうかと試行錯誤するのが楽しい。


撮影後には、作り手たちの愛情がこもった料理をいただける。
一人暮らしの身としてはこれが大変ありがたい。
手間暇かけて作ったあたたかい料理ってどうしてこんなに美味しいんだろう、といつも感謝をしている。

私は料理をつくる事に関してはてんで素人でもっぱら食べる専門だが、作っている姿を見るのは好きだ。
よく台所に立っているオモニの横で工程を眺めていたが、いまだに料理をつくる楽しさを見いだせないでいる。
趣味を謳歌しているので興味がそこにないというのも、単純に面倒くさいという理由も、色々だ。

作り手の背中を眺めながら、しみじみ思う。
いつか自分にもその楽しさがわかる時が来るのだろうか。
いや来ないかも…?


撮影で作っていただく料理はいつも美味しい。
すごいな、偉大だな、と
ひとときの幸せをかみしめている。(麗)

柳美里さんの新刊「国家への道順」

2017-10-24 10:08:05 | (K)のブログ
 2010年1月号から2017年1月号まで、7年にわたり月刊イオで連載した柳美里さんの「ポドゥナムの里から」が、1冊の本となりました。タイトルは「国家への道順」(河出書房新社、1350円+税)です。
 さっそく読みましたが連載していたときと、印象が大きく違っています。本にするに当たり、大きく加筆、修正されたのだと思います。本のタイトルが非常に刺激的です。朝鮮半島にルーツをもつ柳さんが、日本という国と向き合って(格闘して)、紡ぎだされた言葉が躍動しています。
 「はじめに」に次のような文章があります。海外に出て日本に向かう時の心情で、

 〈「自分の国へ帰る」「帰国」ではないので、「日本に戻ります」と言ってみたり、「帰着しました」と言ってみたりしていますが、どの言葉もしっくりきません。〉

 私自身も同じような思いにとらわれます。海外にほとんど出たことがなく、日本を離れる場合の多くは朝鮮に行くときなので、特にそうです。

 今の日本政府の「北朝鮮」政策は恐怖をあおり対立を激化させることだけで、対話をしようとはまったく考えていません。それがどれだけ愚かなことなのか、この本を読むとよくわかります。柳さんは「おわりに」で「わたしは、対話を、求めます」と訴えます。

 本の表紙のオビの言葉がまた、刺激的です。
 〈わたしは「日本人」に問います。「あなたは自分が何を考え、何をしているのか、解っていますか?」〉

 月刊イオからできた本です。ぜひ、ご購入ください。(k)

公演のお知らせふたつ

2017-10-23 10:00:00 | (理)のブログ

 月刊イオ2016年2月号の「それでも手をつないで」で紹介した、舞台女優の有馬理恵さん。誌面では、日本軍「慰安婦」被害者に関する詩や証言の朗読、一人芝居などを日本各地や海外で上演しながら、被害者の気持ちを伝える活動について主に紹介しました。

 一方で有馬さんは、「劇団俳優座」の代表取締役も務めています。俳優座は、1944年に結成されてから現在まで、歴史や人権、平和などをテーマにしながら、常に時代を反映する作品を手がけてきた伝統ある劇団だそうです。
 そんな俳優座の公演が、今後ふたつ控えています。興味のある方はチェックしてみてください。

 一つは、有馬さんも出演する『いつもいつも君を憶ふ』。物語は、1923年に起こった関東大震災の翌年から始まります。
 関東大震災と言えば、流言飛語によって朝鮮人が大量に虐殺された歴史があります。去る9月1日に行われた「朝鮮人犠牲者を追悼する式典」では、小池百合子都知事が追悼文送付を見送ったように、公権力が堂々と負の歴史をなかったことにしようとしています。

『軍靴の響きが忍び寄りつつある今、過去の過ちを二度と繰り返さないよう歴史を見つめ直すために。そして、人間関係が薄れている現代社会で、他者と向き合い、時にはぶつかり合うほどに関わる「ぬくもり」の中にこそある希望を、未来へ繋げるために―。』(案内チラシより)
 作品には、在日朝鮮人の親子も登場するそうです。どのようなストーリーになるかは分かりませんが、歴史を考えるうえで、ぜひ私も観てみたいと思いました。こちらは年明けの上演です。


 もう一つ。今月25日から『クスコ~愛の叛乱(はんらん)~』という作品も上演されます。平安時代初期(810年)、平城天皇と嵯峨天皇が対立した「薬子の変(くすこのへん)」を題材に、国の動乱期を描いた内容だそうです。あらすじは以下。

『時は大化の改新より150年あまり後。国を治める王には、3人の息子がいた。武にも智にも長けたイヨノ、おつむの弱いカミノ。そして第一の王子アテノは、女の尻を追いかけてばかりいた。ある日アテノは東国征伐の勇者タダヌシの娘・ヨマをさらい、妻に迎え入れる。入内の日、世話役として参内したヨマの母・クスコはアテノに見初められ、一夜限りならと身を許してしまう。』

 両作品とも、詳細は俳優座のHP(https://www.haiyuza.net/)を参照してください。(理)

韓紙工作の魅力

2017-10-20 10:00:00 | (愛)のブログ
昨日(S)さんがブログにも書いていましたが、先日、「親子の時間」の最後の取材がありました。

11月号、12月号では東京第6で講師を務めていらっしゃる成必麗ソンセンニムに
韓紙を使った工作を紹介して頂いています。

実はさかのぼること2ヵ月前、
私自身が地域のイベントである「韓紙工芸ワークショップ」に参加し、
成必麗ソンセンニムに韓紙を使ったプレート作りを教わったのがきっかけでした。

ソンセンニムが用意してくれたセットを使い、組み立てから行い、
韓紙選び、そして選んだ韓紙を自分の好きなデザインに切っては貼り、2時間以内で作り終えます。

久しぶりの工作にワクワクがとまらず、気が付けば手を糊だらけにしながら夢中で作っていました。
あっという間の2時間で、時間が足りない!と思ったほど。

大人も子どもも参加したのですが、
それぞれがとても個性がでてて、
どれを見ても素晴らしい出来で出来上がったものを見るだけでも楽しめます。





プレートの裏側もとってもおしゃれ!

自分が作ったものを家に持ち帰ったのですが、
こどものぬいぐるみのベッドになってしまいました(笑)
(なんて豪華なベッドだ!!)

私が習ったプレート作りは難易度が高いので、誌面では紹介していませんが、
キーホルダー、写真立てもとっても素敵なのでぜひ作ってみてください。

大人も必ず夢中になってしまう韓紙工作、イオを見ながらぜひチャレンジしてみてください。(愛)

連載「親子の時間」、最後は韓紙を使った工作!

2017-10-19 10:00:00 | (S)のブログ
2016年の年間企画を立てたのがつい最近のようですが、すでに最後の12月号を準備しています。
今年もあっという間に終わりそうです。

今年進めている企画のひとつに、「親子の時間」という連載があります。
子どもも大人も一緒に楽しめる取り組みを誌面で紹介し、親子の大切な時間を楽しんでもらいたいという思いではじめた企画ですが、先日、最終回の取材を無事終えました。



最後は朝鮮半島に古くから伝わる「韓紙(ハンジ)」を使った工作を2回に渡り紹介します。
11月号では、韓紙を厚紙に貼って作るキーホルダー(写真上)。
他では見られない独特な雰囲気があり、色も鮮やかできれいです。
工程は簡単なのですが、出来栄えが予想以上で驚きました。
実際に作ってくれた子どもたちも自分の作品にとても満足したようで、大切に持ち帰っていました。

12月号では、韓紙を使ったフォトフレームです。
これも古風で品のある、韓紙の魅力たっぷりの作品。少し難易度が上がりますが、初級部低学年でも十分作れます。
クラスメイトとの写真や家族との写真など、それぞれの大切な写真を入れて完成させた子どもたち。「ハルモニにあげたい」「家に飾りない」といいながら思いを込めて作ってくれました。

この号を担当してくださった先生によると、「韓紙はそれ自体が完成された芸術作品なので、どのように組み合わせてもすてきな仕上がりになる」とのこと。
さまざまなな色や質の韓紙がありますが、確かにどれをどのように合わせても独特な雰囲気が出ます。
次々から次へのどんどん作りたくなる工作で、子どもだけでなく大人も夢中になってしまいそうです。


これまでたくさんの方の協力をいただきながら、民族打楽器やチョゴリに合う髪飾り、子どもの小さな手形などを使って作る雑貨、レゴブロック遊びなどを紹介してきました。
どうすれば子どもも楽しめるかなど、色々な工夫を凝らしてくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

読者のみなさんにも、最後までこの企画を楽しく読んでいただけたら嬉しいです!(S)




大阪での勝訴を受け、高校無償化裁判本の続編を出版!

2017-10-18 09:53:49 | (瑛)のブログ


高校授業料無償化・就学支援金支給制度から排除された朝鮮高校の生徒らが国を相手取って裁判を起こしてから4年半。日本全国5ヵ所で係争中の裁判のうち、今年に入って広島、大阪、東京の各地裁で判決が下されました。

7月28日には、大阪では大阪朝鮮高級学校を就学支援金の支給対象に指定するよう国側に命じる原告全面勝訴の判決が言い渡され、一方、広島と東京では原告全面敗訴の判決が下りました。

イオ編集部は、大阪での歴史的な勝訴判決を受けて、15年7月に出版した『高校無償化裁判~249人の朝鮮高校生 たたかいの記録』の続編を出版します。

書籍タイトルは、『大阪で歴史的勝訴――高校無償化裁判 たたかいの記録vol.2』

本書では、大阪、東京、広島の各裁判の判決当日のルポや判決要旨、解説を、地裁審理が継続中の愛知、九州の裁判については現状を整理。裁判に関する基本情報をまとめたQ&Aや大阪と東京の原告側弁護士の対談も収録しています。

完成は東京で「朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を!全国集会」が開かれる10月25日。
 
地裁から高裁へと裁判はまだ続きます。最終的な勝訴に向けて、無償化裁判のすべてがわかる本書をぜひご活用ください。

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書籍タイトル:『大阪で歴史的勝訴――高校無償化裁判 たたかいの記録vol.2』
月刊イオ編集部編○発行:樹花舎、発売:星雲社 500円+税、A5版、80ページ

●ご注文方法

◇注文方法は①ファクス(番号→03・5615・4095)、②e-mail(orderアットマークio-web.net)の2つの方法があります。

◇ファックスの場合、①希望冊数②ご住所③お名前④電話番号⑤e-mail⑥請求書宛名―をお書きください。

◇e-mailの場合は、件名に「無償化本注文」と明記のうえ、前記6項目を記入ください。

◇10月25日以降の発送となります。発送に1週間ほどかかります。

◇ご請求料金は書籍代(540円、税込み)に送料180円(1~4冊の場合、それ以外は別途規定あり)がかかります。


●『大阪で歴史的勝訴――高校無償化裁判 たたかいの記録vol.2』目次

高校無償化制度、無償化裁判 きほんのQ&A

第1章 大阪で歴史的勝訴!

1 朝鮮高校不指定は、「違法、無効」
2 屈せざる者たち、結実した4年半のたたかい
●国の差別ただす歴史的判決 丹羽雅雄●大阪無償化裁判弁護団長
【解説】大阪地裁判決のポイント /【資料】大阪無償化裁判大阪地裁判決要旨
3 補助金裁判、控訴審へ

第2章 東京、一審敗訴 国の差別を司法が追認

1 62 人の東京朝高生の声、届かず
2 東京弁護団の功績―文科省役人の証人尋問の実現
●事実から目をそむけ、規定ハ削除の違法性も判断せず 
喜田村洋一●東京無償化裁判弁護団長
【解説】東京地裁判決、何が問題か /【資料】東京無償化裁判東京地裁判決要旨

第3章 広島、愛知、九州でも裁判続く

1 広島―逆転勝利を誓い再出発
●文科省がやっていることは差別の扇動 足立修一●広島無償化裁判弁護団長
【資料】広島無償化裁判広島地裁判決要旨
2 愛知―「歴史と法」の2本柱で
●「人権問題」としての朝鮮高校無償化事件 内河惠一●愛知無償化裁判弁護団長 
【資料】山本かほり教授意見書 「朝鮮学校で学ぶことの意味」
3 九州─民族教育を否定する被告・国 
●下村元大臣の証人尋問実現を 服部弘昭●九州無償化裁判弁護団長

第4章 1勝2敗、裁判をどう闘うか

1 1勝2敗。どう闘う、無償化裁判
  対談/大阪 金英哲弁護士× 東京 李春熙弁護士
2 裁判運動・新しい境地へ

●資料
日誌 無償化裁判をめぐる動き(2010 年〜)
無償化問題に関連し国連人権条約審査委員会から出された総括所見

朝鮮学校の歴史性を正視すれば、おのずと「解」は明らかである
──「あとがき」にかえて  田中宏

イオ11月号が完成しました

2017-10-17 10:00:00 | (相)のブログ
 

 イオ11月号が完成しました。
 
 今回の特集は、「輝くシニア世代」。
 超高齢化社会に突入した日本。在日朝鮮人社会も同様です。仕事の第一線から退いた後の人生が長く続きます。本特集では、高齢となっても人生を謳歌する同胞高齢者の方々の姿から、「老後」と呼ばれる日々をいかに有意義に過ごすのか、そのヒントを探ります。また、豊かなセカンドライフを過ごすうえで役立つさまざまな情報や社会保障制度の活用法もまとめました。

 特別企画は、9月13日に言い渡された東京朝鮮高級学校無償化裁判の地裁判決について取り上げました。
 国が朝鮮学校を高校授業料無償化・就学支援金支給制度の対象から外したことは違法だとして、2014年2月、東京朝鮮中高級学校高級部の生徒62人が国を相手に1人あたり10万円の損害賠償を求めた東京無償化裁判。このたび、東京地裁は原告の請求を棄却する判決を下しました。拉致問題を口実に、朝高指定の根拠となる規定までなくし、朝高を対象から除外した国の横暴を司法が追認する不当判決でした。今回の特別企画では、判決当日の現場ルポ、判決の問題点を掘り下げた解説、そして今回敗訴判決が下された東京無償化裁判と7月に勝訴判決を勝ち取った大阪無償化裁判、それぞれの裁判の原告側弁護士による対談も掲載しています。
 ほかにも、開始から20年目を迎えた北海道のアンニョンフェスタ、公益財団法人在日朝鮮学生支援会が設立した「トップアスリート育成基金」の紹介、今夏に朝鮮民主主義人民共和国を訪れ取材活動を行った本誌編集部の(理)さんによる訪朝報告など読み応えのある内容となっています。

 11月号もご愛読のほどよろしくお願いします。(相)

衆院選と新聞「思想運動」

2017-10-16 09:36:20 | (K)のブログ
 月刊イオ編集部に送られてくる定期刊行物(新聞、雑誌)の中に「思想運動」という新聞がある。
 送られてきた10月1日号の1面(写真)は、「金持ちは戦争で儲けている! アベ「朝鮮国難選挙」のデマを打ち破ろう」というタイトルの記事が掲載されていた。今回の衆議院議員選挙と朝鮮問題を関連させて論じている。「北朝鮮の脅威」を煽るなかで米日の軍事費が跳ね上がり軍需産業と圧倒的な力を持つ金融資本・独占資本、一握りの金持ちたちが金儲けをする。希望の党の誕生は、保守2大政党づくりへの目論見で、国会の場から護憲勢力を駆逐・一掃しようとする支配階級の一種のクーデターにほかならない、と論じている。非常に説得力がある記事になっている。

 衆院選(10月10日に公示、22日に投開票)まで1週間を切ってしまった。今回の選挙を巡って日本の政界が大きく動いた。衆院解散の頃から見て、今の政治状況はずいぶんと変わった感じがある。そもそも何のための選挙なのだろうか。
 1990年ごろから(土井社会党ブーム以降)露骨・顕著になってきたが、選挙や政界再編は、国会から進歩的な議員を駆逐するために行われてきたという認識をもっている。「思想運動」の記事が指摘するように、私も今回の選挙はその完結編という目論見で行おうとしたものだと思っている。当初は、2大極右政党による国会が成立するかのように思われたが、その対抗軸となる勢力も出てきて、「3極対決」などと言われた。事前のマスコミの予想では、自公が300議席を超える勢いだと出ているが、はたしてどうなるのだろうか。
 しかし、と思う。
 今回の衆議院解散がなければ、国会で「北朝鮮非難決議」が行われる予定だったという。極右勢力も対抗勢力も、みんな、国会で「北朝鮮非難決議」に賛成を投じる議員たちばかりだ。朝鮮との関係正常化を公約に掲げる政党はどこもない。このような状況は、選挙結果がどうであれ、続く。選挙の結果は、「最悪か、そうでないか」というものでしかないのかもしれない。

 新聞「思想運動」は、「活動家集団 思想運動」という集団が発行しており、毎月2回、1日・15日発行、タブロイド版8ページの新聞だ。政治問題を中心に日本や世界の様々な出来事を紹介・解説している。朝鮮半島問題や在日朝鮮人問題、朝鮮学校のことも毎号のように掲載している。作っている人たちが、朝鮮問題イコール日本の問題という視点・立場があるからだと思う。
 10月1日号の「思想運動」には1面の記事の他にも、「北の脅威」を煽る日本のマスコミ批判や朝鮮の外相の国連での演説、韓国でのサード追加配備とそれに反対する人たちの動きなどの記事が掲載されている。
 徹底して働く普通の人々の立場と視点に立った紙面づくりをしており、毎号、どの記事も非常に勉強になっている。一般的な新聞では得ることのできない情報が満載の新聞だ。選挙で1票を投じる人たちには、ぜひ「思想運動」を読んでもらいたい。(k)
 「思想運動」のホームページ(http://www.shiso-undo.jp/index.html

商店街の風景

2017-10-13 10:00:00 | (麗)のブログ
帰宅途中、乗換駅周辺をふらっと立ち寄っている。
駅ビルがあるので、そこでお惣菜を買ったり本屋に寄ったりとブラブラしている。

昨日、とある事情でその乗換駅から自宅まで1時間近くかけて歩いたのだが、
商店街が続く道なりを歩いたため、いろんなお店を見ながら楽しく帰ることが出来た。

行きも帰りも満員電車、そんな変わり映えのない風景よりも、
こうやって風にあたり、活気ある商店街や行き交う人々を見て帰る方が、断然気分がいいし楽しいなと思った。

商店街は昔から好きで、母校の大阪朝鮮第4初級学校のすぐ近くにある
生野コリアタウン(当時私は朝鮮市場と呼んでいた)によく通っていた。

コリアタウンの近くに住む同級生の家に遊びに行くついでに、
タバコ屋に売っている駄菓子(酢漬けしたスルメなど)、お好み焼きやひやしあめなどを買いに行ったり、
同級生の家族が経営している八百屋さんの店主から大量にみかんを貰ったり…。
まだまだ思い出はたくさんあるが、本当によく通ったなと、ぼんやり考える。

ゴム手袋をはめ、黄色いタライでキムチを漬けている様子、
ハルモニが店内にちょこんと座り、商店街の様子を穏やかに眺めている昔ながらのチョゴリ屋…。
どこを切り取っても、懐かしくも人情溢れる、あたたかみのある風景がどの商店街にもある。


こういう風に楽しく帰宅するのもたまにはいいなと、
豪快に、快活に笑う商店街の人々と活気に、心がじんわりと温かくなった。(麗)

絵本紹介「とんぼのうんどうかい」

2017-10-12 10:00:00 | (愛)のブログ
今日は絵本の紹介をしたいと思います。
かこさとしさんの「とんぼのうんどうかい」。

ご存じの方も多いかも知れませんが、私は最近この絵本を知りました。
こどもが通っている園では絵本を自由に借りられるコーナーがあるのですが、運動会の前々日、この絵本を偶然みつけ、借りることにしました。
その夜こどもに読み聞かせをしながら初めて読みました。

ストーリーはというと、
とんぼのうんどうかいが行われた帰り道、ぎゃんぐこうもりにつかまってしまったとんぼたちが、
うんどうかいの時のように一致団結してピンチを脱するというもの。
意外に愉快痛快な面白い展開に、読んでいるこちらもわくわくした気分になりました。

初版は1972年12月。
いまから45年も前に出版された絵本でした。
2008年7月の時点では81刷と奥付けにありました。

でも驚いたことに、かこさとしさんが書いたあとがきを読むと1956年の秋につくり、紙芝居としてみせたのが最初だということ。

いまから65年も前に作られたお話しなのに、いま読んでもすごく面白い!
絵本の奥深さと魅力をあらためて感じました。

世代を越えて愛される絵本、「とんぼのうんどうかい」。
私のお気に入りの絵本のひとつになりました。(愛)

あたりまえのこと

2017-10-11 10:00:00 | (理)のブログ
 昨日フェイスブックで、とても胸がジーンとする動画を見ました。一人芝居「在日バイタルチェック」などの活動で有名な、きむきがんさんが1曲の歌をうたっていたのです。
※きむさんと在日バイタルチェックについては過去の日刊イオでも紹介しています
http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/b66771f6b14be4a888797e7b58bf14aa

 歌のタイトルは「あたりまえのこと」。高校無償化裁判をたたかっている生徒や同胞、支援者たちに寄せて作ったものだそうです。ぜひたくさんの人にも知ってほしくて、ご本人から動画と歌詞の転載許可を頂きました。


●「あたりまえのこと」きむきがん



『あたりまえのこと』 作詞・作曲:きむきがん

口をぎゅっと結び
手をぐーにして
震える体 おさえて
自分の服を着て ただ前を向くその姿に

やがて人は心うたれ
それは大きな波となり
忘れていた何かを取り戻し
一緒に汗をかいていた

難しい事じゃない たったひとつの事
私を守る あたりまえの事

えんぴつ一本 紙一枚
ひとつひとつ学んだ言葉
それは誰かにとって親であり
誰かにとってのきょうだいで
それは誰かの友だち
誰かにとっての愛する人
だからそれは私たちの大切な場所

難しい事じゃない 人が生きるって事
世界中にある 心のふるさと

難しい事じゃない 人が生きるって事
私を守る あたりまえの事

無関心と偏見に満ちた
社会に咲く花
決して枯れることのない
情熱の花
時に折れそうになる心
励ましあって
それでも空に向かって
笑う花

難しい事じゃない たったひとつの事
私を守る あたりまえの事

難しい事じゃない 人が生きるって事
世界中にある あたりまえの事

私を守る 心のふるさと


 きむさんによると、ほんの数日前に完成したそうです。どんなきっかけや思いがあってこの歌を作ったのか聞いてみると、
「裁判闘争を見守る中、子どもたちと周りの大人たちの姿が頭から離れなくて、そして、私たちが訴えている事は、特別な事でもなんでもなくて、誰にでもあたりまえに与えられる権利なんだってことをたくさんの人に知ってほしいって思って作りました」
と仰っていました。同時に、
「沖縄の辺野古でうたったら、皆さん、とっても響いてくれました。違う現場で同じ痛みを持つ仲間として通じるところがあるんでしょうね」
とも。きむさんは、沖縄の米軍基地問題に反対して、数多く現場に足を運び声をあげていらっしゃいます。

 この歌を聞きながら私は、文科省前や参院会館など、数多くの場で手を震わせながらマイクを握り、自身の思いを伝える生徒やオモニたちの姿を思い出しました。表情や言葉一つひとつは毅然としていても緊張や不安はすごくあって、それが手の震えに表れているようで、いつも心が苦しくなります。
 別にみんな、たたかい慣れしているわけではありません。好きでこんなにたたかっているわけではない。たくさんの人々が行き交う街の中で声を上げたり、ビラを配るのもどんなに覚悟のいることか。しかし、今はそんな姿の方が「あたりまえ」になってしまっています。たたかう人たちの「弱さ」を見た時、やっぱり絶対にこんなことはおかしいと怒りがわいてきます。

 無償化問題に限らず、当事者の思いを知り、本当の「あたりまえ」に気づく人がこの社会にもっと増えていくことを望みます。
 きむさんの歌もこれから広く響きわたり、きっと多くの人になにかを感じさせるのだろうと思いました。(理)