日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

ケジュボン!

2014-06-30 09:00:00 | (理)のブログ
 昨日、下北沢のTOLLYWOODという劇場で、在日1世の証言をまとめたドキュメンタリー映像「ケジュボン!」が上映されました。

 主催したのは、在日本朝鮮青年同盟の東京都本部。東京に暮らす同胞青年たちに呼びかけて活動を開始したそうです。企画、脚本、撮影、編集から、宣伝や音楽まで…。全て自分たちの手作りといいます。

 タイトルのケジュボンとは、リレーのバトンを指す朝鮮語です。在日朝鮮人1世たちの孫にあたる3、4世が主体となって自分たちのルーツを探り、1世が後代まで伝えたい願いや思いを丁寧にまとめています。

 製作委員会の方々のお話、また本編を見て、ケジュボンというキーワードには様々な意味が込められていると感じました。

 1世から2世、そして3、4世、5、6世まで…在日朝鮮人の歴史、願いを受け継ぐということ、在日朝鮮人に対する差別や偏見が多い中で、在日朝鮮人という存在について正しく知ってもらい、自分たちと日本の人々を繋ぐということ。また監督は、「生存する1世の証言収集活動を、ぜひ全国でもやってもらいたい」と言っていました。朝青東京から全国の同胞青年たちに向けてのケジュボンでもあったようです。

 映像は、とりあえず一日限定上映だったようですが、カンパなどを募り今後さまざまな場面で上映を続けていきたいと言っていました。HP、ブログなどもあります。余談ですが、私もまさかのナレーションで携わらせていただきました。自分の声を会場で聞くのはやっぱり恥ずかしかったです。(理)

HP:http://kejyubong.info/

ブログ:http://ameblo.jp/kejyubong/

来週の日曜は「ウリ民族フォーラム2014in長野」!

2014-06-29 09:00:51 | (愛)のブログ
来週の日曜はいよいよ「ウリ民族フォーラム2014in長野」が開催されます!
地元での民族フォーラムということで、私もとても楽しみです。
いま長野では、県下同胞が準備に向けて練習など慌しく動いていることだと思います。

私は去年初めて民族フォーラムを生でみることができました。
映像や記事でみるよりも、やはり現地に足を運んで直に見るほうが感じることが多かったです。
去年は9月に埼玉で行われましたが、今年は7月に長野県松本市で行われます。
準備期間が1年もない中での開催ですが、今年はどんな民族フォーラムを観れるのでしょうか。

さて、イオWEBマガジンでは現在、過去に行われた民族フォーラムの記事をひとつにまとめたブックレットを無料でダウンロードできます。
http://www.io-web.net/store/
前編、後編とわかれてまとめられていますので、ブックレットに一度目を通して民族フォーラムに関して予習をして(?)
来週の日曜日に行われる「ウリ民族フォーラム2014in長野」に行かれてみてはいかがでしょうか?(^^♪(愛)

朝鮮での取材で思うこと

2014-06-28 11:12:44 | (淑)のブログ
 5月下旬から日本各地の朝高が修学旅行で朝鮮を訪問している。毎年この時期は修学旅行シーズンで、平壌ホテルにも5月から愛知、九州、続けて神戸、広島の生徒らが訪れた。ホテル内では生徒らが歌の練習をしたり、空き時間には部活の自主練をしていてにぎやかだ。
 朝高の修学旅行といえば移動のバスの中での歌合戦がおなじみで、現地ガイドが新しい歌も教えてくれる。私が高校3年生の頃は「통일아리랑」をよく歌っていた。数人の朝高生に尋ねたところ、朝高生たちに人気の歌は「내 심장의 목소리」と「인민의 환희」だった。どちらもモランボン楽団が歌った人気ソングだ。
 そのときどきの朝鮮の時世や社会全般の雰囲気を表す流行歌は、生徒たちにとって、ともすれば訪れた場所よりも印象深く、長く、記憶に残るもの。通常の学校生活に戻った生徒たちは今頃、ウリナラで習った数々の歌を懐かしく口ずさんでいるだろうか。という自分も、連日テレビからも流れてくるそれらの歌をわれ知らず口ずさんでいる今日この頃だ。

  
 6月も終わりに近づき、滞在期間もそろそろ折り返し地点が見えてきた。時間ばかりが過ぎて、慣れないこともまだ多くはやる気持ちもあるが、なんとか取材を続けている。朝鮮での取材はさまざまな制約を伴う、とは諸先輩方から聞いていたが、私は今回が初めてなのでなおさら悪戦苦闘続きだ。
 中でも「言葉」。朝鮮語で現地の人と意思疎通できるというのはギリギリの及第点であって、現地の人の独特の表現や言い回しはもとより、日常的に飛び交う政治に関する語句も正確に聞き取って理解することが求められる。
 その点ではまだまだ至らない。それどころかつい先日もトホホな聞き間違いをしてガイドのYさんを困らせてしまった。比較的わかるのは、数年前にとある目的で勉強した野菜や魚、果物などの朝鮮語くらい(苦笑)。
 あんずは살구(サルグ)だ。今の季節、街路樹には黄金色のあんずが実っていて、平壌の街を彩ってくれている。おすそ分けでいただいたので食べてみたが、甘酸っぱくておいしかった。

  
 話は変わり、朝鮮戦争が始まった日である6月25日を迎えて、金日成広場では平壌市民大会が行われた。広場には市内の労働者、大学生など約10万人の群衆が集い、普段ののどかな平壌の雰囲気とは一変して、緊張感が漂っていた。こういった行事では、朝鮮半島がいまだ「戦時下」にあるという現実を否が応でもつきつけられる。
 この日だけでなく、取材先で出会った人や現地スタッフとの会話の中でも、朝鮮半島に横たわる分断体制を言葉の端々から実感させられることがままあった。朝鮮半島に関する問題を見るとき、「朝鮮戦争はまだ終わっていない」という視点は不可欠で、「戦時下」ということを前提に物事を見聞きし認識しなければならないのはいうまでもない。しかし生活の中でそれを体感している「本国」の人々の意識と自身のそれとでは、ずいぶんと開きがあるように思えた。


 余談だが、どうも朝鮮で私は21、22歳くらいに見えるらしく(ごめんなさい)、ある店では年齢を言ったら従業員に「嘘をいえ」と笑われ、百貨店では販売員に「記者なの? いったい何歳で?」と訝しげに聞かれた。言われるたびに(やっぱり朝鮮語が拙いからだろうか…)と落ち込む。市民大会の日も、ハシゴを持ってくれたり親切に接してくれた現地メディアのカメラマンに年下だと誤解され、「ヌナに向かって失礼なことを言ってミアナムニダ」と冗談交じりに謝られた。でも託児所に行った際、子どもを迎えに来た母親が私を見ながら「ほら、アジミ(おばさん)にあいさつして」と子に促したときは、ちょっとほっとした。(淑)

「グローバル化の中の民族教育」展

2014-06-27 09:00:00 | (相)のブログ
 
 
 昨日、新宿の高麗博物館で開催中の企画展「ともに生きる―グローバル化の中の民族教育」を見に行った。
 同博物館では5年前の2009年にも「民族教育の今を考える―朝鮮学校を中心に」という企画展を行っており、今回の展示はそれに続く第2弾。
 企画展の趣旨は、
 現在、日本に在住する外国人が200万人を超え、グローバル化が進んでいます。互いにその多様性を認め合い、受け入れることは豊かな社会づくりの第一歩ではないでしょうか。
多民族共生社会の実現には、誰もが自分のアイデンティティをはぐくむ民族教育を受ける権利を持っていること、それを社会全体で担うことが大切だと思います。
今回、朝鮮学校をはじめとする外国人学校で学ぶ子どもたちを取り巻く歴史を振り返り、未来の社会の担い手として、対等な共生ができるような多民族・多文化教育のあり方をともに考えましょう。

 というものだ。

 展示はパネルと資料・書籍という2つに分かれている。パネルの内容は、1945年から現在までの朝鮮学校の歩みにはじまり、「高校無償化」からの除外や補助金支給停止、京都朝鮮学校襲撃事件に代表されるヘイトスピーチなど現在の問題、そして交流や支援、連帯の取り組みなど。ほかにも、諸外国における外国人学校の位置づけ、日本にある外国人学校の比較、日本学校における多文化共生教育の取り組みなど、朝鮮学校だけにとどまらず、このテーマにおけるさまざまなイシューがわかりやすく整理されていた。パネル以外にも、朝鮮学校を扱った書籍や昔の貴重な資料も展示されていて非常に充実した内容だと感じた。
 6月4日から始まった同企画展は8月31日まで開催される。
 展示以外にも、東京朝鮮第9初級学校の保護者らをゲストに招いてのシンポジウムと交流会(7月19日)やドキュメンタリー映画「茨城朝鮮学校」上映会(8月9日)など関連イベントが予定されている。
 詳しくは高麗博物館のウェブサイトまで。http://www.40net.jp/~kourai/

 01年12月に開館した高麗博物館は新宿・職安通りの雑居ビル内にある。決して目立つ施設ではないが、年間を通してさまざまな興味深い展示を行っている。次回の企画展のテーマは朝鮮女性史(開催期間は9月3日~11月30日)。
 同館専務理事の田崎敏孝さんは、「朝鮮学校や民族教育についてよく知らない人々にこそ多く足を運んでもらいたい」と話していた。
 興味のある方々はぜひ訪れてほしい。(相)

ココロの絵本

2014-06-26 09:00:00 | (瑛)のブログ
 どこかで、子どもは10歳から思春期がはじまる、と読んだことがあります。

 思春期は大人への階段と言いますね。いつまでも子どもと思っているのは、大きな間違いで、自分の意見をしっかり考え、話すようになるし、ぶきっちょながらも、周りの友人たちとぶつかりながら、自分を受けとめていく、と最近思います。

 そこで大人ができることは、なんだろう、と考えさせてくれたのが、偶然出会った「ココロの絵本」シリーズでした(大月書店/2001~2002年)。


ひとりぐらし(小学1年 やまもと けんた)

 ぼく ひとりぐらししたいねん
 ぎゅうにゅう すきなだけのんで
 げえむ 一にちじゅうやって
 ごはん おかあさんに
 とどけさせて
 せんたくも させて
 「はようせえや」って
 おかあさんに
 めいれい したいねん。

 絵本は全10巻。ご紹介した詩は、「イラつく ムカつく!」に出ているもので、ガミガミ怒る両親(とくに母親!)、宿題をたくさん出す先生、自分をムシしたりいじめる友人について、ストレートに思いをつづっています。

 子どもに自分を見透かされているようで、ドキッとする作品も数えきれず、ドキドキしながら、読みました。

 最後の10巻「私たち地球人」には、西東京朝鮮第2初中級学校(当時)の中3の生徒の文章も載っています。

 自分の生い立ちを深くとらえた芯の通った文章です。今の中学生にも読んでほしいです。(瑛)




「NIPPON」

2014-06-25 09:00:00 | (K)のブログ
 先日、サッカーW杯に関してのある在日朝鮮人のブログを読んで、思うところがあったので紹介したいと思う。
 「いち在日朝鮮人kinchanのかなり不定期更新日記」というブログで、「在日に対する「あなたはサッカー日韓戦で日本と韓国のどちらを応援しますか?」に回答する」というタイトルの文章を掲載している。Http://d.hatena.ne.jp/dattarakinchan/20140612/1402586181

 日本と韓国(もしくは朝鮮)が対戦したとき、どちらを応援するのか?という質問を、私自身はほとんど受けたことがない。そういう環境にない(職場が朝鮮人しかいないなど)からだろう。でも、先のブログの筆者が前半部分で言っていることにはうなづける内容が多い。

 先のブログは「日韓戦」ということで論じているので、これから書くことは、先のブログとはまた別の話になるのだが、「どちらを応援する?」という質問は受けないけれど、「日本に住んでいるのだから日本を応援するのは当たり前」という圧力はよく感じる。日本がその他の国と対戦したときは、「どっちを応援するの?」という質問以前に、「日本を応援している」という前提で話が進む。
 私の周囲にいる朝鮮人で、日本の会社で勤めているなど日本人に囲まれて生活している人たちはもっとその圧力を感じているようで、日本戦の翌日、勝っても負けても、同じように喜び同じように悲しむのが当たり前という感じで、職場の人間が接してくるので気を使い疲れるという話をよく聞く。
 私もたまに同じような場面に置かれるときがあり、「前半の終了間際に○○選手が、チャンスを確実にものにしていたら、試合の流れはどうなっていたかわかりませんでしたね」などと、当たり障りのないことを言って相手に合わせることがほとんどだ。

 どこの国のマスコミも自国の試合結果を大きく扱い一喜一憂するのだから、日本のマスコミもそうするのだが(良いことだとは思わないが)、その騒ぎ方が年々エスカレートし、同調するように渋谷などでの若者の動きが活発になっているようだ。スポーツというものを利用して、権力者が「国民」をある方向に引っ張ろうとしているのではないかと危惧してしまう。今回の椎名林檎の歌う曲はその典型的な現れであろう。それが私には圧力として感じてしまう。この圧力は東京オリンピックに向けてどんどんエスカレートしていくことだろう。

 本来、どこの国(チーム)を応援しようが人の勝手である。しかし、ブログのような公の場で私自身が応援するチームを大っぴらにすることに躊躇を覚える。一般の日本人にはなかなか理解できないかもしれないが…。

 蛇足だが、ひと昔前はたまにタクシーに乗ることがあった。そんなときによく実験したことがある。運転手さんに結果を知っているのに「今日、野球は勝ちましたか?」と声をかけるのだ。そうすると90%以上の確率で、「今日は江川が打たれて負けました」などと答えてくる。そういう時は、やっぱりなと思いながら、前提になっている読売ファンということに乗りながら、運転手さんと負け試合についてあれこれと話をするのだ。
 私の性格もちょっと曲がっていると言えるだろう。(k)

※この文章は、25日5時(日本時間)開始のコロンビア対日本戦の前に書いています。

暗黙のルール

2014-06-24 09:00:00 | (麗)のブログ
(瑛)さんの記事にも紹介されていましたが、ただいま「朝鮮学校百物語」のFacebookページを立ち上げています。
徐々に投稿が集まってきていますので、これは是非紹介して欲しい!という朝鮮学校に関するお話があれば、お気軽にご投稿ください!^ ^

さて、私からもひとつ、エピソードを。
Facebookにも投稿しましたが、どのハッキョにもあるだろう「生徒たちの暗黙のルール」をご紹介します。

私は東大阪朝鮮中級学校に通っていたのですが、当時、入学したての頃に初めて聞いたルールが「1年生は男女、部活関係なく、先輩には必ず挨拶をする」というものでした。
たまに階段で1学年上の先輩とすれ違う時があったのですが、先輩だと気付かずに素通りしてしまい「あの子、生意気や」と言われたこともしばしば…。

他にも、「1年生は運動場の真ん中を通ってはいけない」「1年生はジャージのズボンのチャックを全部しめる。2年生は半分まで。3年生は全開OK」…というルールがありました。

また、大阪朝高のバスケ部に所属していた時は「休日の練習、1年は開始1時間前に体育館に来てモップ掛け(先輩は15分前に来るのでその間、爆睡)」「合宿の時は先輩より早くご飯を食べ終える」などがありました。

舞踊部では「常に髪はひとつに結び、前髪はオールアップ」「登校・下校時に先輩を見かけたら必ず止まって挨拶をする」というルールが。

どんなに解せぬものでも「ルールはルール」。守らないと先輩に目をつけられる…。中学・高校時代の先輩って何故あんなに怖かったのでしょう…?笑(麗)

心あたたまる結婚式

2014-06-23 09:00:00 | (理)のブログ
 昨日は、高級部2年、3年時に担任を受け持って下さったソンセンニムの結婚式でした。ソンセンニムの結婚式というのは不思議な感覚で、しっかりとおめかしした姿を見ながら、最初はニヤニヤが止まらず。式では2人の馴れ初めと、結婚にいたるまでのいくつかのエピソードが紹介され、「そんなこともあったんだ~」と聞きながら胸が弾みました。

 学生たちのユニークなビデオレター、お約束のチュムパン、新郎とそのアボニムによる突然の騎馬戦など、式は終始楽しいムード。参加者はみな幸せそうに笑っていて、どこを見ても心あたたまる結婚式でした。

 7月も二つの結婚式に参加します。それぞれどんな式になるんだろうと今から期待が高まります。日本にはいくつかの結婚情報誌がありますが、ウリ式のものはもちろんありません。やはり親や先輩に色々とアドバイスをもらいながら準備しているのでしょうか。イオでも久しぶりに、ブライダル特集をしてみたいです。(理)

大学時代の恩師に出会い…

2014-06-22 09:00:00 | (愛)のブログ
先日、大学時代にお世話になった美術科時代の恩師に取材というカタチで久々にお会いできました!
最寄駅から結構歩くとのことで、上司の車に同乗させてもらい(理)さんと三人で伺いましたが、車で着いたと同時にご夫婦おふたりでアパートの廊下から顔をひょっこりだして、出迎えてくれました。
もう御年 80歳になろうというにも、とてもお元気で、私たちを笑顔で出迎えてくれて、奥様はドリップしたてのコーヒーとおいしいバウムクーヘンでおもてなししてくれました。
アトリエとも言える部屋には、長年描かれた絵や昔の写真がきれいに額縁に入れられて飾られており、昔のアルバムや資料などがそこかしこに積まれたりしてました。その空間で取材させてもらったのですが、そこにいるとよりリアルにソンセンニムの人生を想像でき、情景が浮かんだりして、とても居心地がよかったです。

…昔は高い画材を買うためバイトをしてお金をためては画材を買って絵を描いていた。いまの学生はモノをきれいに使って大事にしない…、
あ~そういえば学生の時も言われたな~と、ソンセンニムの人生を聞きながら思いだし、いまの自分の物の使い方を少し反省しました。
壁に飾られた数々の絵を見ながら、
いまも精力的に活動し、絵を描き続けているソンセンニムに改めて畏敬の念を抱かずにいられませんでした。
と、同時に朝大美術科卒業生として自分ももっと頑張らねば!と奮い起たされた日でした。(愛)

平壌市民の暮らしあれこれ

2014-06-21 09:00:00 | (淑)のブログ
 久しぶりの平壌は大小様々な新発見の連続である。4年ぶりなのでなおさらなのだろうが、ここ数年に限っては毎年訪れている人であっても来るたびに必ず何かしらの変化を実感できるほど、首都は変貌を続けている。
 代表的なのが急ピッチで進む各施設の増改築や新しいレジャー施設の建設。国家建設の勢いを目に見えて感じられる一方で、人々の暮らしに視線を落とせば、街ゆく人のファッションや百貨店に並ぶ食料品、衣類、靴、化粧品などの生活必需品は、市民の生活における変化の一端を示してくれる。頻繁に朝鮮を訪れている人からすれば取るに足らないことかもしれないが、今回は暮らしの中の四方山話を。

 「平壌の女性たちがおしゃれになった」とはよく聞いた話しだが、これまさに。市内を歩いている女性たちを見ると、ボトムスはスラックスのようなパンツと膝丈のスカートが大半でも、トップスのバリエーションは色・デザインともにかなり豊富になった。ネックレスにブレスレット、指輪などのアクセサリーの類もひと通り身につけている。
 中でも驚いたのがピアスだ。NGだとばかり思っていたのに、普通につけている。一粒のものから揺れるピアスまで、女性たちはみんないろいろつけておめかししているのに、一つしか持ってこなかった(それもピアスホール維持のため)自分がなんだかちょっぴり惨めになった。
 それは冗談として、ファッションにおいて最も顕著な変化は靴だと思う。ハイヒールやミュール、プラットフォームの靴を履いている女性は、「増えた」なんて次元じゃない。若い女性たちは、見る限りほぼ全員ハイヒール。しかも7センチ以上の。赤いスカーフを巻いた中学生と思しき女の子まで(!)。
 それから日傘を差す人も増えた。朝鮮は日差しがとても強いので、浅黒い人が多いという印象だったけど、最近は美白志向? でも女性たちが差している日傘は大抵キラキラのレース仕様で、紫外線カットよりもファッション性の高いものが多い。日本に行くまでに、日焼け防止には真っ黒の傘がより効果的だと誰かに耳打ちしたい。


 ローカル紙の広告で知った平壌第1百貨店の商品展示会にも行ってみた。





 平壌第1百貨店は、国産商品を扱う国内最大のデパート。今回展示された1600種、340余万点の商品のうち70%が国産の商品だ。展示会なので通常営業のときよりも商品が多いのは当然だが、こんなにたくさんの国産商品を見たのは初めてだったので感動だった。
 食料品の中では、とりわけ菓子コーナーが目を引いた。朝鮮のお菓子といえば沖縄の「ちんすこう」に似た焼き菓子のイメージしか持っていなかったため(情報が古すぎる)、これには驚いた。クッキーは多数あったし、チョコレートがコーティングされたパイのようなものやチーズ味のスナック、フルーツ味の飴などなど。パッケージもチョゴリを着た子どもが描かれた民族的なものからシックなものなど様々あり、朝鮮仕様のパッケージデザインにいっそう愛着が芽生えて、あれもこれも買いたくなった。
 別の日に他の店に行った際に、何個か買った国産のお菓子はどれもシンプルな味で、甘いものが好きじゃない私には程良かった。中でも気に入ったのがゴマクッキー。クッキーの表面にぎっしりとのったゴマが香ばしくて美味だった。これは菓子類、パンなどの加工品で有名なソヌン食料工場のもので、包装も食べきりサイズで個装されているので保存もきく。
 ただ、滞在している平壌ホテルの売店や各フロアの喫茶店に常備してある菓子類の多くは輸入品のため、国産の商品は外出しなければ手に入らないのが残念だ。

 
 数日前には平壌市内のあるパン工場にも行ってきた。


 この工場では20種類、250点のパンを生産しており、そのほとんどに食品添加物を使用していないため消費期限が3~5日と他の工場の商品に比べて短い。それでも回収率は5%未満とのこと。職員の一人が「平壌でパンの需要を独占する!」と豪語していたように、他の工場や企業所に負けじと、市民たちによりよいものを提供するため国産商品の改良を重ねる多くの労働者たちが、市民生活を底上げしていると感じた。ヘアスタイルが印象的(本人は気にしていた)なその職員は、うちの工場でつくったパンをぜひ食べてほしいと言って、ダンボールニつ分の大量のパンをお土産に持たせてくれた。消費期限、短いのに…(笑)。

 最後に、W杯ネタの続きを。
 朝鮮中央テレビでは開幕戦にはじまり、連日ほぼ全試合放映している。近年「スポーツ強国」を掲げてスポーツに注力する国の施策もあって、予想以上の盛り上がりだ。平壌駅では、大型スクリーンの周辺にいつも以上に多くの市民が群がって試合を観戦しており、さながらパブリックビューイングの雰囲気だった。私自身、W杯に寄せる関心は、「スペイン敗退したんだ、へー」くらいのくせに、あの人だかりの中で一緒に観戦できないものかと密かに目論んでいる。(淑)


うやむやにしてはいけない発言

2014-06-20 09:00:00 | (相)のブログ
 出張先の大阪でアクセスしたSNSのタイムラインを埋めるニュースに一瞬目を疑った。
 18日、東京都議会で女性の晩婚化や晩産化などの問題をめぐる支援について質問した女性都議に、「お前が早く結婚すればいいじゃないか」という酷い野次が飛んだ、というのがその内容。野次を浴びた塩村文夏都議(みんなの党)によると、さらに、「(子どもが)産めないのか」などの発言も聞こえたという。
 これが女性に対する明確なセクシュアルハラスメントであり、女性の人権を蔑ろにする発言であることに異論の余地はないだろう。
 悪質な野次を飛ばしたのは誰なのか―。塩村都議およびみんなの党は、発言は「自民党の席から聞こえた」としている。同党は発言者の処分を求める申入書を議長あてに提出する方針だ。
 件のセクハラ野次の波紋は広がっている。この発言を告発する塩村氏本人のツイートから火がついた批判の声はウェブ上を中心に広がり、都議会には昨日まで1000件を超す抗議が殺到したという。一方、発言元として名指しされた自民党の吉原修幹事長は、「自民の議員が述べた確証はない。会派で不規則発言は慎むように話す」と述べるだけの腰の引けた対応で、発言者を特定せず幕引きを図ろうとしている。

 以上がことの顛末。
 ニュースに接して、都議会議員という公職につく人間が旧態依然とした女性蔑視観にいまだとらわれているのかと暗澹たる気持ちになった。野次が発せられた瞬間、議場の一部が笑いに包まれたと報じられているが、この発言に同調するような議員が少なからずいたということにも問題の深刻さが表れてはいまいか。
 振り返ると、太田誠一衆院議員の「集団レイプする人は元気があるからいい」発言や、柳沢伯夫厚生労働相の「女性は産む機械」発言(肩書きはいずれも当時)を引き合いに出すまでもなく、男性政治家による女性蔑視発言は大小含めればこれまで枚挙に暇がない(ちなみにこの2人も自民党所属だった)。
 「議場での品格」うんぬんは批判として不十分だろう。発言の場所が議場だったから問題なのではない。議会にふさわしいかどうか以前に、女性の人権に関わる問題であると思う。
 うやむやにすれば、この酷い発言を黙認することになる。問題がここまで大きくなったからには、発言の主もこのまま黙ってはいられないのではないか。一刻も早く自ら名乗り出て、しかるべき処分を受けてほしい。
 件の野次を叫んだ議員は、「生意気な女を黙らせてやった」と心の中で喝采を叫んでいるのだろうか。そして、一連の野次の裏にある時代錯誤的な女性蔑視の認識こそがまさに、塩村都議が訴えた問題の解決を妨げているということに気づいているのだろうか。(相)


募集します!朝鮮学校百物語

2014-06-19 09:00:00 | (瑛)のブログ
 このたび、月刊「イオ」8月号では「朝鮮学校百物語」と題した特集を企画しました。

 日本全国にある朝鮮学校に古くから伝わる怖い話や思わず笑ってしまうようなオモシロ話、感動的なエピソードまで、ウリハッキョにまつわる古今東西の「あんな話こんな話」を集めて一挙紹介します。勉強や部活、ケンカ、恋愛、寄宿舎生活、通学路での思い出、名物教師の話、そして日本人との心温まる交流など―。本企画を通じて、ウリハッキョの70年近い歴史をこれまでとは違った側面から掘り起こしたいと考えています。

 朝鮮学校卒業生のみなさん、現役保護者や教職員のみなさん(かつてそうだった方々も)を含め、同胞、日本人問わず朝鮮学校に関わってこられたすべての方々からの投稿をお待ちしております。お寄せくださったお話の中から一部を掲載させていただきます。

フェイスブックページも立ち上げましたので、遊びにきてくださいね!
  https://www.facebook.com/hyakumono

 なお、匿名での掲載を望まれる方は、hyaku@io-web.netまで記事を送ってください。(6月30日まで)

 この企画を、フェイスブックで7000件以上の「いいね!」を獲得している、「嘘のような本当の在日話」さんと、タイアップして進めます。

 ウリハッキョは、多くの方が関わられている分、ご自身しか知りえない「景色」や「出来事」も多いことと思います。お手持ちの思い出写真なども投稿いただき、ウリハッキョの歴史を彩っていただけると嬉しいです。ご投稿、お待ちしております。


 最後に楽しいイベントの告知を。

 6月22日に、東京朝鮮第2初級学校で、李政美さんや東京朝鮮歌舞団が出演する「宵酔コンサート」が開かれます。(12時半開場、13時開演)
申し込みは、こちら→http://mire-edagawa.com/6.22/

 2003年に東京都から校地明け渡しを訴えられた東京第2。しかし、その3年後に勝利的和解を勝ちとり、2010年には、なんと!新校舎を建設しました。3年間の裁判の過程で、映画「パッチギ!」の上映に、民族教育権のシンポジウムなど、楽しく、ためになるイベントがたくさん開催されてきました。
 今でも年に2回、イベントを立ち上げ、たくさんの方が集っているそうです。

 今、日本各地の5ヵ所で高校無償化裁判が行なわれていますが、裁判を盛りあげる枝川のアイデア、参考になりますよ~。(瑛)


W杯と群馬の朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑

2014-06-18 09:03:22 | (K)のブログ
 昨日、(麗)さんがサッカーW杯には興味がないということを書いていましたが、私はある程度は興味があって試合も見ています。今回の大会は、日本では早朝にテレビ放送することが多いですね。この歳になると、朝、目が覚めるのが早く、起きた時間にテレビをつけて試合を楽しんでいます。今朝も5時に目が覚めたので、ブラジル対メキシコの後半戦を見ることができました。
 ただ、ブラジルでW杯に反対するデモが多発していると伝えられており、単純に楽しむことができません。「スタジアムを作るなら民衆の生活向上を!」などと訴えているのですが、サッカーが大好きなブラジルの人たちが自国開催のW杯を反対するのだから、よっぽど矛盾が噴出しているのでしょう。

 それにしても歳月の流れは速い。朝鮮が44年ぶりに出場した南アフリカ大会からもう4年が経ったとは信じられません。今大会、自分の中であまり盛り上がらないのは、朝鮮が出場していないからだと思います。
 それとは別に、年々、オリンピックやサッカーW杯に興味が薄れている自分がいます。必要以上に国威発揚の場となっていることが大きな理由の一つです。日本での「ニッポン、ニッポン」の連呼にも何か怖いものを感じてしまいます。


 4月23日の私のブログで、「群馬の朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑の存続の危機に―政治的とはどういうことか」http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/43fa2f2dc83dae3b39c51672b6b3433b
という文章を書きました。その後、群馬県議会の産経土木常任委員会で追悼碑 撤去の請願が採択され、16日の群馬県議会本会議で撤去が賛成多数で採択・可決されてしまいました。群馬の友人はフェイスブックで、「自民党議員のヤジが飛び交う中、設置許可更新や不採択を訴えた市民派の議員の訴えもむなしく群馬県議会本会議(6/16)において賛成多数で採択・可決されてしまいました」と報告しています。

 過去の日本の国家犯罪を反省し犠牲となった人々を追悼しようとすることに対し、排外主義者、歴史修正主義者が撤去の声をあげ、それを県議会が採択する、そんなことが当たり前に起こるのが今の日本です。後は知事の決裁にかかっているとのことです。追悼碑存続のために引き続き要望の声をあげることが必要です。



 さて話は変わり、月刊イオ7月号が完成しました。
 特集は「集まれ! 趣味人」。鉄道やバイクなど定番の趣味からフラダンス、クレイクラフトなどちょっと変わったものまで、趣味を楽しむ人たちを紹介しています。また、各地のユニークなサークルも紹介しました。最後には朝鮮問題のチラシを収拾する日本人、朝鮮音楽にのめりこむ日本人も登場します。
 ちなみに、私の趣味は囲碁です。

 特別企画は「私もハップモ」。朝鮮学校には在日朝鮮人だけでなく、いろんな国の人たちが子どもを送っています。ロシア、コンゴ、中国、ネパールから来たハップモ(保護者)たちの家庭を取材させてもらいました。なぜ朝鮮学校に子どもを送ったのか、子どもを送って朝鮮学校に対する考えがどのように変わったのかなど、興味深い内容となっています。

 「私もハップモ」という企画を思いついたのは京都に取材に行ったときでした。京都のある朝鮮学校で通学バスを運転する日本の方を取材しました。朝、通学バスに一緒に乗って家々を回ったのですが、金髪の白人女性が、ハイと子どもをバスに乗せるのでした。目が点になりました。聞くと、ロシアからきた女性で、在日同胞男性と結婚して子どもを朝鮮学校に送っているとのこと。その後、各地の朝鮮学校に同胞と結婚したいろんな国の人たちが保護者となっているということがわかり、企画を立てたのでした。京都で会ったアナスタシアさんは今回、誌面にも登場していただいています。

 特集、特別企画以外にも、東京で行われた第12回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議のことや、再開された朝・日政府間会談の合意内容などについて掲載しています。今月号も充実した内容となっています。ご愛読ください。(k)

W杯に興味がない…?

2014-06-17 09:00:17 | (麗)のブログ
世間ではいま4年に一度のW杯で賑わっていますね。

テレビをつけても話題はやはりW杯。
朝から大興奮なテレビ番組ですが、サッカーのルールもいまいちよくわかっていない自分からしたら、あまり興味がないし何より興奮しすぎ…と冷めきった感情で眺めています。

え、メッシってアルゼンチンなんですか?
え、韓国も出場してるんですか?

簡単に説明するとこのレベル。


何にせよ、オリンピックの時も全くといって興味がなかったですから、W杯も気が付いた時にはいつの間にか終わっているのでしょう…。


ところで、ある女性週刊誌では「W杯出場国別イケメンランキング」という企画がありましたが、あ~こういった側面からサッカーに興味を持つということも有りだなぁ、とそのページをマジマジ見ている自分がいたのでした。


とりあえずその企画のおかげで、何人かの選手の名前は覚えました。笑(麗)

秘訣は楽しさ・手軽さ!

2014-06-16 09:00:00 | (理)のブログ
 去年のちょうど今頃、「朝30分早く起きて軽い運動をする」という新習慣をこのブログで決意したものの、3日坊主ならず1日で挫折。「一ヶ月続いたらブログで報告します」との宣言も見事に無駄になりました(笑)。

 一方で、今年の4月中旬から始めたお弁当作りが2ヶ月続いています。これには自分でも少し驚きです。きっかけはイオ5月号の特集「満点☆お弁当」で紹介された「油揚げと卵の巾着煮」(21p)。どうしてもこれを自分で作ってみたくなり実践してみたところ満足のいく出来だったため、そのまま作る(そして食べる)楽しさに魅せられてしまいました。

 普段は休みの日などに食材をまとめ買いし、一気に作り置きします。切った野菜や調理したおかずは一食分ずつ小分けして冷凍庫に保存。前日の夜に冷蔵庫へ移して翌日の朝はお弁当箱に詰めるだけなので、準備時間は3分ほど。この手軽さも、継続の要因かもしれません。

 それに比べると冒頭の習慣には、楽しさも手軽さもなかったんですね。自分に合わないことを突然はじめるものではないなと改めて実感。

 地元に帰省した際にはぜひ家族にも手料理をふるまってあげたいです。それまでにもっと腕を上げられるよう、これからもコツコツ続けながらレパートリーも増やしていきたいと思います。ちなみに、写真は誌面に掲載されたものです。念のため。(理)