満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『スタータイド・ライジング』

2006-05-22 00:53:15 | 

皆様ごきげんよう。黒猫でございます。

電車の中でみんなが『ダ・ヴィンチ・コード』だの『ハリー・ポッター』だの『嫌われ松子の一生』だのを読んでいる中、わたしはひとりで『スタータイド・ライジング』(デイヴィッド・ブリン著、酒井昭伸訳、ハヤカワ文庫SF)を読み続けた一週間でした。

イルカとチンパンジーが知性化され、人類同様知能を持つようになった未来。
宇宙船<ストリーカー>は、初のイルカの船長が率いる船として航海に出た先で、偶然にも大発見をする。そのひとつひとつが月ほどの大きさのある5万隻の太古の宇宙船団を発見したのだ。船長の不注意でこの発見は全銀河系に知れ渡り、それは既知の知的種族の誰もが捜し求めている<始祖>のものであるかもしれないとの憶測が流れる。
人類は、宇宙進出を果たした知的種族の中では最も若い種族のひとつであるという以上に、上位の種族からの知性化を受けず、独力で知性化を果たした(らしい)という点で多くの種族から敵対視されていた。そんな人類とイルカたちの成し遂げた発見の結果を奪取しようと、さまざまな種族からの攻撃にさらされた<ストリーカー>は、とりあえず水があってイルカたちの活動に有利で、金属が豊富な惑星キスラップに姿を隠すが・・・?

というような話。

デイヴィッド・ブリンのシリーズ『知性化戦争』の第一作・・・なのですが、どうやらこの次の作品『知性化戦争』まではシリーズ化の予定がなかったのか、シリーズですとはどこにも書かれていません(涙)。某所で『知性化戦争』シリーズは面白いよね!との評判を得て探したものの、これを見つけるまでだいぶ苦労しました・・・。
でも苦労の甲斐あって面白かったです!
設定がかなりしっかりしているので、世界観をつかむまではちょっと骨が折れますが、つかんでしまえば入り込めます。
スペースオペラというのともちょっと違うと思いますが、惑星キスラップの上で繰り広げられる列強諸族(=他種族)の殺り合いはすごいです。争ってないで平和的になんとかするという思考はどの種族にもないようです(笑)。というのも、地球人以外の宇宙航行種族は<始祖>と呼ばれる半ば伝説的な存在により、知性を付与されて進化したという事実があるからなのでしょう。地球人以外は、知性化された種族Aが種族Bを知性化し、種族Bが種族Cを・・・というドミノ理論で進化しているのです。そんな中、何故地球人だけが自力で進化したのか?もしかして地球人と<始祖>は何かつながりがあるのか?という、嫉妬のようなものもあり、どうやら地球人種は浮いているようです。

そんな中で全宇宙から狙われるような立場の<ストリーカー>ですが、そこで更に船が故障したり仲間割れがあったりと、これ以上ひどくならなそうな位状況が悪化していくのですが、最後の巻き返しはお見事でした。8人しかいない人間のクルーにして主役のひとり(?)が日本人(の末裔?)なのも個人的には嬉しかった。まだ若い士官候補生、俊夫が今後どう成長するのか楽しみです。


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