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源氏物語の魅力その17 紫の上の魅力つづき

2010-08-25 07:10:48 | 源氏物語
十四歳の時、初めて、光源氏に抱かれ、名実ともに夫婦になった紫の上でしたが、当時の一夫多妻制に加え、当代切ってのプレイボーイの光源氏は、そのあとも、次々に浮気を重ね、紫の上にとって波瀾万丈の人生が幕を切って落とすのです。
まず、最初の試練は、光源氏が不倫のお相手、朧月夜との逢瀬が宿敵、皇太后にばれ、都を追われて、光源氏と別れ別れに暮らさなければなる事から始まります。
「どんな苦労でもしますから、一緒に連れていって下さい」
そう言って、泣きながら光源氏に訴える紫の上なのですが、
「どうしても、帝のお許しが出ないで、帰れない時は、必ず呼び寄せますから、その時はどんなみすぼらしい岩穴の中でも二人で暮らしましょうね」
と、光源氏になぐさめられ、紫の上は悲しさのあまり、その場に崩おれてしまうのです。
ところが、そんな感動的な約束を紫の上としたにも拘わらず、光源氏は落ちのびた先の須磨で、女を作り、子供まで生ませてしまうのです。

光源氏、あなたって人はつくづく・・・

ねぇ、光源氏、聞いてる?
あなたがいない間、紫の上は、二条のお屋敷を気丈に切り盛りして、しっかり守っていたのよ。
少しは、紫の上の気持ちを考えておあげなさい!

そうして、須磨で、明石の君との間に子供を作った光源氏でしたが、残念な事に紫の上との間には、子供を授かる事はありませんでした。

愛する男性の子供を産むのは、多くの女性の願いだと思うのですが、紫の上には叶えられなかったのです・・・

しかも、光源氏はほかの女性との間には子供を作ってしまう。
紫の上は、最初、光源氏の子供を産んだ明石の君に嫉妬するのですが、その子供をあずかった後は、宮中にあがるまで、母親の役目を務め、しっかり育て上げるのです。
昔は、継子いじめとか、よくあったみたいですけど、それとは大違いですね。

紫の上は、光源氏の愛した女性たちに嫉妬する事もあったのですが、ちょっとすねて見せるくらいで、それが光源氏には、かえって、かわいらしく見えたみたいです。
それが、どんなにほかの女性にうつつをぬかしたとしても、最終的に紫の上のもとに帰っていく光源氏の秘密だったのでしょうね。
嫉妬も、程度をわきまえれば、かわいく見えるという事でしょうか?(笑)

だけど、そうは言っても、そんなにあちこちに女を作られては紫の上もたまったものではありません。
紫の上は、次第に精神を病み、女三の宮を、光源氏が正妻に迎えた時に、その哀しみは頂点に達し、ますます心労の度を濃くするのです。
かくなる上はと、出家を思い立つ紫の上なのですが、彼女を愛する光源氏はそれを許さず、ずっとそばに置こうとします。
しかし、心の奥から沸き上がる哀しみは募る一方で、いつしかからだまで蝕み、ついに四十三歳で紫の上は亡くなってしまうのです。



紫の上は、光源氏を愛するがゆえに、その意に添うよう従順に生きてきました。
しかし、光源氏は次々に女を作り、自分だけを見つめてほしいという女性の願いは叶えられず、愛する人の子供を産む事さえ出来ませんでした。

しかし、それでもなお紫の上は、ひたすら光源氏に愛されようと、光源氏に尽くし、愛情を傾け続けたのです。


そんな紫の上が、私は涙が出るほど、愛しくて愛おしくてならないのです・・・


















 

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
紫の上大好きです (mpmonga)
2013-02-26 15:11:03
私も紫の上が大好きです。瀬戸内寂聴さんは嫌いってい言いますけど、紫の上は愛情深く、逆境にさらされても強く健気に人生に立ち向かっている人だと思うのです。「あさきゆめみし」は何度読んでも、紫の上の最期は泣けてきます。
mpmongaさんへ (奈々)
2013-02-26 18:13:02
コメントありがとうございます。
紫式部が、彼女の名を紫の上としたのは美しくて優しく貞淑で、高貴なイメージにもっとも当てはまるから、そうしたのでしょうね。
私も紫の上が一番好きです♪