ギャラリーと図書室の一隅で

読んで、観て、聴いて、書く。游文舎企画委員の日々の雑感や読書ノート。

「夏の庭2022」薄暮イベント

2022年08月08日 | 游文舎企画




遊観遊音さんが、8月7日4時半からと、6時半からの2回公演をしました。いずれも藤棚の下で、一回目は祭りをテーマにさまざまな民族音楽を思わせる音、最後は日本の祭りでノリノリの演奏を見せ、2回目は打って変わって、地の底、水底からの地霊を思わせる声を響かせながら、聴く人を異界に引込みました。夕日に染まる空を背景にその多彩な音色を存分に聴かせてくれました。



2回の公演の合間に茅原登喜子さんが三歳の娘さん・つむぎちゃんと共に、公開展示をしました。観客のお子さん達も加わり、カラフルな木片を展示? 散らかしているだけ? と興味津々見ている内に、思いがけずにすてきな配置に納まっているのでした。

そして日没後の7時半、上空に半月が雲間に現われては隠れる頃、丹羽洋子さんの登場です。こちらではうまく写真が撮れなかったので、丹羽さんのHPご紹介します。

https://akamomo.hatenablog.com/entry/2022/08/08/114850

幽玄さを増した、むしろ「舞」といいたくなる動き。静かに目覚めた体がゆっくりと地に足をつけていくようで、たかはし藤水さんの竹のインスタレーションの中で、自然との対話をしているようでもありました。

お知らせ:夜7時まで開場しています。日没と共にお楽しみ下さい。




「夏の庭2022」展、始まる(3)

2022年08月03日 | 游文舎企画





「夏の庭のベッド」 猪爪彦一



「La paz(平和)」 井上智子

二段ベッドを使い古した帆布で覆った猪爪さんの作品。ありふれたものを覆い隠すことで生まれる不穏な気配。包帯を巻かれて横たわる兵士を思わせる木。そうなると傷病兵を癒やすベッドにも思えます。でも白黒の旗は弔旗のよう。隠したいものとは一体何なのでしょうか?
井上さんの作品は、竹にすだれを巻いたものを黄色と青の結束バンドで束にしたもの。そこから芯棒である竹が突き出していて、竹槍を思わせたり、何かを貫く意志のようにも思えたり。ごろんと横たわる大きな束は不敵にも見えます。猪爪さん、井上さんの作品が偶然連動しているように見えるのもこうした企画ならではでしょうか。





「月影(つきかげ)」 たかはし藤水 と 「つぼ・み」 丹羽洋子 (たかはし藤水さんの作品の中で踊る丹羽洋子さん)

炎天下、たかはしさんが一日がかりで竹を差し込んで描き出したのは大きな月の影。離れるほどにその全貌が浮かび上がり、天と地との対話の中から生まれたような作品です。その中で踊るのは丹羽洋子さん。和を取り入れた衣装で、指先まで張り詰めて、観客をも緊張感溢れる世界に引込みます。やがて少しずつ体が目覚め、その体をいとおしむような、静謐な異空間を創り出しました。



即興 遊観遊音

何を使って、このような音が出ているのか・・・とにかく楽しい。テンポよく、息がぴったり。今、ここで、ここでしか生まれない音。この場所の空気を受け取り、設置作品と協奏し、生まれる音。庭をも生き生き躍動させてくれました。