ギャラリーと図書室の一隅で

読んで、観て、聴いて、書く。游文舎企画委員の日々の雑感や読書ノート。

霜田文子展in Paris 10月5日~10日

2024年10月01日 | お知らせ

                     「光の糸Ⅱ」

 

私事ですが、游文舎企画委員・霜田文子はこのほどパリで個展をすることになりました。

会場はパリ中心部に近いパサージュ・ショワズールの中にある「ギャラリー・ショワズール」。会期は10月5日~10日です。

19世紀初頭に作られたパサージュ(アーケードのような商店街)の中でも古い歴史を持つショワズールでの開催はとても楽しみです。

展覧会タイトルは「Au-delà de la Lumiére」

「光の方へ」「光の彼方へ」といった意味で、近年の油彩を中心に、ボックスアート、バーントドローイングの衣装をまとった小さな人形などを展示します。

                  「光の糸Ⅰ」

                  「尖った夜Ⅱ」

                    「迂回路Ⅰ」

            「ダ・ヴィンチの卵あるいはものがみる夢(捧げ物)」

     「ダ・ヴィンチの卵あるいはものがみる夢(ミニ)」

                  「天使のように」

2019年12月にパリでパリ在住の画家、偕子・風間・オベールさん、東京の置鮎早智枝さんとの三人展をして以来、5年ぶり、二度目のパリです。

その5年間と言えば、帰国後すぐにコロナ禍となり、さらにウクライナやガザ地区での戦争が始まり、世界が動転した歳月でしたが、再びパリに行けることを本当にうれしく思っています。そんな中、以前よりも私の作品はむしろ明るくなってきました。まさに光の方へ、手探りで向かっていきたい、そんな気持ちからです。

偕子さん、置鮎さんにも三点ずつ出品していただく他、燕市在住の倉持志宏さん、群馬県の新井三呼さんにも出品していただきます。

パリの人たちにどんなふうに見ていただけるか、パサージュの中でどんなふうに作品が見えてくるのか、期待と不安を抱えつつ、まもなくパリに向けて出発します。(霜田文子)

(誠に勝手ながら10月の游文舎の展覧会企画はありません。)


高橋章映像・絵画展「旅は、まだ終わらない」 9月21日から29日

2024年09月20日 | 游文舎企画

 

 

21日から、柏崎市新道出身で、元NHKカメラマンの高橋章さんの個展が始まります。高橋さんはNHKの人気番組「プロジェクトX]や「日曜美術館」などの制作に関わり、実績を積むと供に人脈や審美眼も得て、退職後は自身の趣くところの、絵画や映像作品を作り続けてきました。また、游文舎立ち上げに当っては、さまざまなアドヴァイスをくださると供に、開館記念展となった「菅創吉」展や「木下晋」展の企画にも多大なるご協力をいただきました。

今展では、自由な発想で描かれた油彩、ライフワークともいうべき木喰仏を描いた作品群、そして独自の視点や編集技術を生かした映像作品を展示します。

上の作品は「預言者」と「命脈」

大胆な筆致の中に不気味な未来を予感させます。

木喰仏を見る目には、木喰に通じる優しさと厳しさが。

いずれも風景を描いたものですが、それぞれの表現の違いに注目です。高橋さんの風景画には抽象から具象まで大きな幅がありますが

いずれも対象を深く掘り下げ、丹念に描き込まれています。

木喰画に通じる宗教的な気配がありますが、色彩やマチエールにより、特定の宗教を超えた、超越的な世界を表現しているようです。

 

21日午後三時より、映像作品を見ながらのギャラリートークを開催します。ぜひご参加ください。


うみまちアート ライオン像のある館にて

2024年09月02日 | 展覧会より

上越市直江津地区で開催されている「うみまちアート」。今年で4回目となる。

「ライオン像のある館」として知られる、旧直江津銀行では「へんシン」というタイトルで、上越市在住の、いたずらや尚さん、井上智子さん、季村江里香さんによる作品で会場が埋め尽くされている。日常使われているものをアートに変身させる試みだろうか。いたずらやさんの、ペットボトルや空き缶を使ったインスタレーション、季村さんの、段ボールに描かれた絵画、井上さんの卵のパッケージや流木で作ったアート作品が、家具や調度もそのままに残された古い建物を変身させていた。

日曜日の会場には、次々と観客が訪れ、作家を含めて会話が弾む。アートを介在させたつながる、ひろがる時空間だ。

 

季村江里香さんの段ボールに描かれた作品。夕日をテーマにした絵本の一コマである。細やかな線描、切れ味のよいコラージュと構成、観る人にもたくさんのイメージを膨らませる語りかけ、挑発するような人物たち。単独でも見応えのある絵画作品である。

井上智子さん。卵のパッケージをカラフルに彩色し、重ねた、いろいろなものが波打ち共鳴するような作品だ。

3人による「へんシン」展は9月6日まで。

 


「毒」展 ギャラリーみつけで開催中 8月25日まで

2024年08月16日 | 展覧会より

 

見附市の「ギャラリーみつけ」で県内作家7人によるグループ展「毒」展が開催されています。游文舎・霜田文子も参加しています。

「毒」とはまたずいぶん物騒なタイトルですが、どのようにとらえるでしょうか?人間の内面にあって時々うずくような毒。外部に向かって放たれる毒。それはまた痛烈な批判や、あるいは小さな抵抗かもしれません。はたまた世界への怨嗟のような毒もあるかもしれません。出品作家たちそれぞれが、そういった毒をいったん内在化して再び作品として表すという作業により、とても見応えのある作品展となっています。また絵画(油彩、ミクストメディア等)、版画、彫刻、造形と、手法も様々でまさに七人七色です。

倉持志宏さん(燕市)の絵画。

 

小沼智恵利さん(見附市)

 

猪爪彦一さん(新潟市)

 

高橋洋子さん(新潟市)

 

斉藤博文さん(長岡市)

 

霜田文子(柏崎市)

 

田中幸男さん(見附市)

 

前方の立体は斉藤さんの作品。

8月25日まで。(19日休館) 入場無料。ぜひご高覧ください。


7月20,21日「椿の海の記」井上弘久氏公演のご案内

2024年07月11日 | 游文舎企画

 

 

昨年好評を博した井上弘久氏独演による「椿の海の記」。

『苦海浄土』で知られる石牟礼道子の自伝的小説を、井上氏が脚色、一人語りで全十二章の全国公演を続けています。昨年游文舎で、県内初上演を果たし、今年は第二章「岩どんの提灯」を上演します。

四歳の自分を主人公にしたこの小説は、自意識の目覚めの時期の、言語化しがたい世界観を見事に描ききっています。自然も人も動物も、弱者も強者も生も死もない交ぜの世界を、純真な目がとらえます。

「岩どん」とは火葬場の隠亡(おんぼう)で、その提灯は被差別の民を火葬するために集まった人たちの葬列を照らします。幼い「みっちん」の心に刻まれた光景が、のちの石牟礼文学の原点となっていることに気づくことでしょう。

今回の公演では、コントラバスの𠮷田水子(みなこ)さんも共演、昨年とはまたひと味違う舞台をお楽しみいただけることと思います。

ぜひご高覧ください。

観覧料は2500円

事前お申し込みの上、当日会場にてお支払いください。

ご予約はTel  0257-32-1238(游文舎)

20日 午後3時半開演(3時開場、5時終演予定)

21日 午後1時半開演(1時開場、3時終演予定)